極夜灯
小瓶の錠剤が手のひらでころころと揺れる。
私を揺らす情動と一緒に、飲み込んでしまおう。
これが私の使命だから。
街中で撮った1枚の思い出。二度と現れない非日常。
最後くらいは期待してもいいよね?
写真は常に、ある時を切り取る。その時は、止まったまま。
変わらない街に、これでもかと笑顔な自分がいる。
そんな非日常な一瞬は、この先も切り取られたまま。
…そろそろ、終わりかな。眠くなってきた。
おやすみ、私。
滑り落ちた1枚のポロライド写真が、動き出した日差しを浴びてキラキラと輝いていた。
眩しい日差しの中に、それにも負けない笑顔の彼女が静かに眠っていた。
- portal:6383945 ( 30 Apr 2020 09:07 )

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