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アイテム番号: SCP-2212-JP
オブジェクトクラス: Eparch
レベル3/2212-JP
Confidential


分類委員会覚書: Eparchクラスは、それ自体は異常ではないものの異常に密接に関連しているオブジェクトの指定として定義されています

特別収容プロトコル: SCP-2212-JPは標準人型実体収容房に収容されます。SCP-2212-JPに影響を与えていると考えられている固有下位物語領域 (SCP-2212-JP-α) に干渉するための研究が進行中です。SCP-2212-JP-αの収容が達成された場合、SCP-2212-JPは記憶処理を施したのち民間に解放され、SCP-2212-JP-αはKeterクラスのオブジェクトとして再分類されることが決定されています。

説明: SCP-2212-JPは、花村 幸子 (Hanamura Yukiko) と識別される非異常の日本人女性です。SCP-2212-JPによってなされた「友人の失踪」に関する通報の内容が異常現象と高い関連性を持つ可能性を示していたことから、財団の感心を引き収容に至りました。SCP-2212-JP自身の証言から、現在SCP-2212-JPは未知の特性を有する物語災害 (SCP-2212-JP-α) の焦点となっていると推測されています。SCP-2212-JPに関するさらなる情報は調査中です。

補遺:

インタビュー記録


«記録開始»

笹井研究員: — 記録を開始します。まずは、ご協力いただきありがとうございます。

SCP-2212-JP: いいえ、いいの。私も貴女たちに頼ることができるのは安心できるから。

笹井研究員: それは良かったです。早速ですが、あなたが体験した出来事について教えていただけるでしょうか?

SCP-2212-JP: (間)ええ。私の友人に、友竹良子って人がいて。幼い頃からの仲良しだったんだけど、中学校を卒業したときに彼女が引っ越して、それからしばらく疎遠になっていたの。でも、つい最近 — 3か月くらい前かな、偶然同じアパートに住んでいたことが分かって。気づいたのは向こうからだったわ。

笹井研究員: そのご友人 — 良子さんの住んでいた場所を教えてください。

SCP-2212-JP: ええ、もちろん。███号室、私の部屋の3つ隣だった。職場の都合で、4か月くらい前に越してきたらしいわ。

笹井研究員: それで、その時から様子がおかしかったのですか?

SCP-2212-JP: おかしかった — って言うのかしら? 頻繁に、同じ人の話を聞かせてくれたの。良子ちゃんとその人はとっても仲がいいみたいで、(小さく笑う)少し嫉妬しちゃった。

笹井研究員: その方について詳しく話すことはできますか?

SCP-2212-JP: ええ。と言っても、私は会えずじまいだったから伝聞でしかないんだけど、その人には他にも仲間がいて、でも、事情があって会うことは難しいらしい、なんて言っていて — はじめは何かの勧誘かと思って警戒していたのだけれど、話を聞く限りそうじゃないみたいっていうか、むしろ、普通に仲のいい友達だったみたいで。

笹井研究員: 何らかの団体に所属していたのですね。

SCP-2212-JP: そうみたい。良子ちゃんは「いつか会えるから」って言っていたけれど、さっきも言った通り私は結局会うことはできなかったわ。

笹井研究員: あなたは、良子さんの失踪にその団体が関与していると考えているのですか?

SCP-2212-JP: ええ。おかしいかしら?

笹井研究員: 今は判断できる段階ではありません。他に何か情報はないでしょうか?

SCP-2212-JP: ごめんなさい、私自身、伝聞でしか知らないからこれ以上のことは何とも。

笹井研究員: いえ、仕方のないことです。話を聞くだけではこちらもわかることに限度がありますし。

SCP-2212-JP: そうね。(間)しばらくは貴女たちの調査の結果を待つことになるのかしら?

笹井研究員: そうですね、ただ — あなたにも協力していただきますよ。

SCP-2212-JP: それはもちろん。

笹井研究員: 近日中 — 早ければ明日にでも実験的な検査が始まる予定ですので、気がかりなことがあればいつでも言ってください。

SCP-2212-JP: ええ、ありがとう。

笹井研究員: インタビューを終了します。

«記録終了»

インタビュー記録


«記録開始»

笹井研究員: — 開始します。それで、良子さんと会うことができた、という報告についてですが。

SCP-2212-JP: ええ、一度私のところにやってきて、話をすることができたわ。

笹井研究員: (間)事前に説明した通りあなたの行動は監視されていましたが、そのような出来事は確認されていません。そもそも、我々に感知されずにあなたに接触できる人物はいないはずです。

SCP-2212-JP: (間)私のことを疑っているの?

笹井研究員: 残念ながら、その通りです。今日はそのことを伝える目的もあるのです。

SCP-2212-JP: でも、そういう監視の目を搔い潜ってくることは不可能ではないのでしょう? 貴女たちはそういう、想像もできないような不可思議な事柄に対処するためにいるんでしょう?

笹井研究員: 仮に、良子さんが異常な特性を持っていて、それを利用してあなたに接触したとしても、必ず検知されるようなシステムが構築されています。

沈黙。

笹井研究員: それに、根本的な問題の話になりますが — 単刀直入に言います。良子さんのことについて調べましたが、彼女が住んでいるとおっしゃっていた部屋は半年以上前から空き部屋になっていることが分かりました。

SCP-2212-JP: な、何を言って —

笹井研究員: 彼女の職場についても調べましたが、そのような人物は在籍していないとのことです。

沈黙。

笹井研究員: あなたが良子さんに会ったということ自体、勘違いだったのではないですか?

SCP-2212-JP: う、嘘よ。そんなはずないわ。

笹井研究員: そう、嘘なんですよ。あなたのついた嘘、それ自体が異常存在なんです。私たちはそれを情報災害と呼んでいます。より詳細には、物語災害とも。

SCP-2212-JP: 物語? いいえ、良子ちゃんはそんな —

笹井研究員: 落ち着いて聞いてください。私たちはそれを —

SCP-2212-JP: 嫌! あなたに分かるはずがないわ!

笹井研究員: 分かります! 友人を失う気持ちは痛いほど!

沈黙。

笹井研究員: すみません。こんなことを仕事にしていれば、仕方のなかったことです。忘れてください。

SCP-2212-JP: (間)いけないわね。取り乱してしまったわ。本当にごめんなさい。

笹井研究員: (間)私たちは、それを収容するための研究を既に開始しています。どのみち、あなたの話を証明するにせよ、あなた自身の協力が必要です。

SCP-2212-JP: (間)わかったわ。協力する。良子ちゃんのことをきっと明らかにしてもらう。

笹井研究員: 話はつきましたね。インタビューを終了します。

«記録終了»

インタビュー記録


«記録開始»

笹井研究員: インタビューを開始します。おそらく、これが最後の機会になるでしょう。まずは、残念な結果を伝えなければなりません。

SCP-2212-JP: それって —

笹井研究員: 情報を精査した結果、あなたのご友人 — 良子さんの失踪と我々の研究していた異常現象は無関係だと判断されました。

SCP-2212-JP: (間)全部、私の"ただの"妄想だったって言いたいの?

笹井研究員: その通りです。

SCP-2212-JP: それじゃあ、私たちが調べていた、物語災害っていうのはなんだったの?

笹井研究員: その見立て自体が誤りだったということです。その点については謝罪します。申し訳ありません。

SCP-2212-JP: ありえないわ。だって — だって、良子ちゃんは私に会いに来てくれて、それで —

笹井研究員: 結局のところ、それもすべて —

SCP-2212-JP: 嘘じゃない! 本当に、本当に [言葉に詰まる]

笹井研究員: (間)あなたには記憶処理が施され、私たちが管理する病院での経過観察の後に解放される予定です。あなたが不在だった期間の埋め合わせは順調に行われています。社会復帰は迅速に行われるでしょう。

SCP-2212-JP: そんなこと、そんなのどうでもいいわ。良子ちゃんのことはどうなるの?

笹井研究員: 残念ながら、あなたのおっしゃる「良子さん」は実在しないと結論付けられました。

SCP-2212-JP: そんな。そんなわけ — あ。

笹井研究員: どうしましたか?

SCP-2212-JP: やっぱり、嘘じゃなかったじゃない。ほら。

笹井研究員: 何をしているのですか。

SCP-2212-JP: 良子ちゃん。この人、私にとてもよくしてくれたのよ。ええ。

笹井研究員: 何を言って — どうして。

[激しい水音]

笹井研究員は非常に狼狽した様子を見せる。異変を検知した保安職員が介入し、録音が停止される。

«記録終了»

インタビュー記録

対象: 笹井上級研究員

質問者: 屋島博士


«記録開始»

屋島博士: それでは、インタビューを始める。なぜこの場が設けられたか、君はわかっているね?

笹井研究員: 違うの。

屋島博士: 違わない。君が規則違反を起こしてメインリストに独り言だけが記録されたファイルを張り付けたというのは紛れもない事実なんだよ。

笹井研究員: それでも — お願い、信じて。

屋島博士: 悪いがそれはできない。いま君に僕が求めているのは弁解ではなく説明なんだ。

笹井研究員: (間)どうしてわかってくれないの? 私たち — 友達じゃない。

屋島博士: ああ、そうだ。そうだけど、職務に私情を挟むことはできない。これでも、まだよかったと思ってるんだ。君が犯した違反が重大なものでなかったことにね。だから、僕こそ頼むよ。

笹井研究員: それでも —

屋島博士: どうか話してくれ。いったい何が君をそこまで追い詰めたんだい? あの時の心の傷がまだ癒えていないのなら、相応の処置をすることもできるから。

笹井研究員: 全部記録されているはずよ!

屋島博士: (間)君が行ったと主張している実験は記録に残っていないし、君の部下全員の記憶にもないし、器具が使用された形跡もない。すべては君の頭の中でしか起きていないことなんだよ。

笹井研究員: (間)異常存在のせい。物語災害よ。現実改変とは違って検出は困難でしょう?

屋島博士: いいや。君だって、物語災害を検出するための実験を行ったと言っただろう? 何も起きていないんだ、本当に何一つ。君だけがそうしているんだよ。

笹井研究員: それなら — ああ、嘘ね。彼女も、彼女も同じことを — (笑う)

屋島博士: どうした?

笹井研究員: 今なら分かるわ、貴女にはひどいことをしてしまったのね。

屋島博士: 笹井?

笹井研究員: 教えてあげる。いえ、いずれ貴方にも分かるわ。きっと。

沈黙。

屋島博士: 一度、インタビューを終了します。

«記録終了»


後記: 検査が完了するまで、笹井上級研究員への処分は留保されます。





以上の文書は財団外時間大深度アーカイブから回収された文書です。文書内の"笹井上級研究員"および当該人物が言及した異常な活動団体の実在は確証されておらず、調査が進行中です。






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