SCP下書き - ノアザミが消えた日II: 消失前史（8/7更新）

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クレジット

タイトル: SCP-2608-JP - ノアザミが消えた日The Day the Wild Thistle VanishedII: 消失前史Prehistory of Dissipate
著者: Witherite
作成年: 2022

この記事は「SCP-2304-JP - ノアザミが再び咲いた日」を読んでいるとより楽しめます。

アイテム番号: 2608-jp

レベル2

収容クラス:

euclid

副次クラス:

{$secondary-class}

撹乱クラス:

vlam

リスククラス:

notice

link to memo

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出現事例-2003042901におけるSCP-2608-JP-A実例。

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特別収容プロトコル: SCP-2608-JPはその性質上完全な収容は不可能であり、発生の抑制に重点が置かれています。発生の抑制のため、アラル海の全域を観測する定点カメラが複数地点に設置されています。なお、カメラの解像度の都合上SCP-2608-JP-Aが小さい物体であった場合発生は阻止できないため、人員を用いて定期的にアラル海を探査して出現したSCP-2608-JP-Aを回収します。回収されたSCP-2608-JP-Aは標準的な除却により処分されます。SCP-2608-JP-Aの多くは非異常の残留物と似ているため、発見した一般人への対応はおおむね不要ですが、その異常性を認識した場合記憶処理を施し対応してください。

今後アラル海の水位が1960年代以前の水位まで回復した場合、SCP-2608-JPの発生は停止すると考えられており、その際にはオブジェクトクラスのNagiへの再分類が予期されています。

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説明: SCP-2608-JPはアラル海周辺において不定期に発生する物体の出現現象です。SCP-2608-JPは、かつてアラル海が占めていたが現在は干上がっている地域であるアラルクム砂漠のみで発生しており、それ以外の土地や現在も湖が残存する場所には発生していません。今まで出現の瞬間が観測された例は存在せず、その出現プロセスはいまだに不明です。なお、現在の収容プロトコルは、観測されている場合には出現しない性質を利用して、SCP-2608-JPの発生を抑制しています。

SCP-2608-JP-AはSCP-2608-JPによって出現する物体であり、アラル海に関係する・属するもので構成されています。SCP-2608-JP-Aは全ての例において重度に劣化しており、年代測定で得られる年代から出現時までその物品がその環境で放置されていた状態と同等の劣化を示します。SCP-2608-JP-Aは19世紀から20世紀にかけての物品が多く観測されていますが、これは最近のものほど劣化の程度が小さく発見されやすいためであると考えられています。また、古い物品が出現したとしても極度の劣化から本来の形状が判別できない場合がほとんどです。そのため、SCP-2608-JP-Aによってアラル海周辺の歴史的資料を収集するのは不可能に近いと見なされており、また数も多いため保存する価値が低く、回収されたSCP-2608-JP-Aは処分するという収容プロトコルが策定されています。SCP-2608-JP-Aはその起源を除いて非異常です。

なお、アラル海は歴史的に水位が極端に減少した時期がありますが、その時期におけるSCP-2608-JPの発生の有無は、明確な証拠が残っておらず不明です。

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補遺2608-JP.1: アラル海

アラル海、1989年（左）、2014年（右）

アラル海は、主にアムダリアとシルダリアを源流とする巨大な塩湖であり、1960年代までは世界で4番目の広さを誇っていました。かつては様々な魚類が生息しており、そこに住む人々は古代からその水産資源を利用して生活していました。

しかし、ソビエト連邦の行った自然改造計画によりアムダリアにカラクーム運河が建設された影響で、1960年代に入るとアラル海は流入量が減少し、水量が低下していきました。これにより、アラル海の面積は縮小し、湖水の塩分濃度は上昇し、生息していた魚類や動植物は姿を消し、近辺に住んでいた人々の多くはアラル海を離れていきました。その後には水分が蒸発して残留した塩分や、かつての農業で用いられていた農薬などが残り、アラル海周辺は有害な砂嵐が発生するようになりました。

21世紀以降、アラル海の一部は国際的な支援によって環境の回復が行われており、水量・水位が徐々に増加している地域も存在します。

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補遺2608-JP.2: SCP-2608-JP-A概要

以下は頻繁にもしくは複数回出現するSCP-2608-JP-Aを分類して概略したリストです。なお、劣化が激しく判別ができなかったものについてはこのリストに含まれていないことに留意してください。

SCP-2608-JP-Aの種類	備考
在来種の魚類	アラル海の在来種。アラルチョウザメ（上）、シルダリアチョウザメ（中）、アラルトラウト（下） アラルチョウザメ（Acipenser nudiventris）、シルダリアチョウザメ（Pseudoscaphirhynchus fedtschenkoi）、アラルトラウト（Salmo trutta）を含みますが、それに限られません。この種類の-Aは大部分が欠損した骨や断片的な骨の状態で出現する場合が大半です。外来種の魚類が出現することは稀です。
什器	新石器時代の彩文土器と推測されるものから、1950年代の様式の食器やスプーンまで出現が確認されています。基本的には外気によるものと一致する劣化の様態ですが、ケルデリなど水位の低下していた時期にアラル海中に形成された集落に関連すると思われるものに関しては、塩水によるものと同様の劣化を示しています。
綿	アムダリア流域の綿花畑。 分析から、アムダリアやシルダリアの流域で栽培された種であることが判明しています。また、アラル海への水の流入の極端な減少が始まった1960年代以降に生産された綿の出現はほとんど確認されていません。
船舶	アラル海の船舶。 19世紀の船舶から、現代の漁船まで出現が確認されています。19世紀後半のアラル艦隊などの船舶は、いずれも極度の劣化のため船体の一部など断片的にしか出現しません。この種類の-Aは大型である場合があるため、一般人に露見し記憶処理を要する可能性がありますが、モイナクにおける船の墓場などにおいては非異常の放棄された船舶に誤認される場合もあります。

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補遺2608-JP.3: イベント・ベルギシズ

2030/12/25におけるSCP-2608-JPの発生で、未知のデザインの旗のSCP-2608-JP-Aが出現しました。特筆すべき点として、あまり外見が劣化していない（20-30年程度）ことが挙げられます。しかし、現在の情勢の影響により、このSCP-2608-JP-Aに関するさらなる調査は無期限に延期されています。

+ 画像を開く + 回収の際に撮影されたSCP-2608-JP-A-2030122502の写真。

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記事ここまで

タグ: jp scp euclid 外部エントロピー 国外収容 歴史 シガスタン qコン22

+ スポイラー

• SCP-2608-JPは意図なく発生しています。そのため、SCP-2304-JPによって占領が続けられているときにイベント・ベルギシズが発生したのは全くの偶然です。
• このタイムラインにおいて、シガスタンはCKクラスシナリオによって一度消滅しています。そのため、過去のものが出現するSCP-2608-JPで国旗が出現しています。
• ベルギシズ（Белгісіз）はカザフ語で「不明」という意味です。
• タイトルにIIがついているのは、以前SCP-2608-JPに投稿して低評価削除された「ノアザミが消えた日」というタイトルの記事をもとにしているためですが、その記事を知らなくても問題ない内容になっています（旧SCP-6542 - The Virgin Dairyに対する現SCP-6542 - The Virgin Dairy（旧題Virgin Dairy 2: SECOND CHURNING）のようなもの）。

気になる点

• 今はもう存在しないものが荒廃して出現することを通して寂寥感/無常感は感じられるか。
• 説明不足な点/わかりにくい点/意味の取れない点は存在するか。
• 最後の画像がシガスタン国旗であることがわかるか。

以下はフォーラム投稿用

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+ ライセンス情報

ソース: https://scp-wiki.wdfiles.com/local--files/theme%3Apaperstack/lgtrans.png
ライセンス: CC BY-SA 3.0

タイトル: lgtrans.png
著作権者: EstrellaYoshte
公開年: 不明

ファイルページ: ORIG - Image 2

ソース: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Aralship2.jpg
ライセンス: パブリックドメイン/CC0

タイトル: Aralship2.jpg
著作権者: Staecker
公開年: 2003
補足:
この画像は元画像をトリミングしています。

ファイルページ: ORIG - Image 3

ソース: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:AralSea1989_2014.jpg
ライセンス: パブリックドメイン/CC0

タイトル: AralSea1989 2014.jpg
著作権者: NASA. Collage by Producercunningham
公開年: 2014
補足:

ファイルページ: ORIG - Image 4

ソース: http://scp-jp-storage.wikidot.com/file:6370408-152-yr8v
ライセンス: パブリックドメイン/CC0

タイトル: fishes.jpg
著作権者: 不明, Kessler, William Converse Kendall, Witherite
公開年: 2022
補足:
この画像は以下の画像をWitheriteが編集したものです。

ソース: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Acipenser_nudiventris.jpg
ライセンス: Public Domain

タイトル: Acipenser nudiventris.jpg
著作権者: 不明
公開年: 1858

ソース: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Pseudoscaphirhynchus_fedtschenkoi.jpg
ライセンス: Public Domain

タイトル: Pseudoscaphirhynchus fedtschenkoi.jpg
著作権者: Kessler
公開年: 1874

ソース: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:FMIB_37751_Fourteen-Pound_Lock_Leven_Trout,_or_Brown_Trout.jpeg
ライセンス: Public Domain

タイトル: FMIB 37751 Fourteen-Pound Lock Leven Trout, or Brown Trout.jpeg
著作権者: William Converse Kendall
公開年: 1914

ファイルページ: ORIG - Image 5

ソース: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Karakalpakstan_Kyzyl_Qala_Cotton_Picking.jpg
ライセンス: CC BY-SA 2.0

タイトル: Karakalpakstan Kyzyl Qala Cotton Picking.jpg
著作権者: Bruce Allardice
公開年: 2018
補足:

ファイルページ: ORIG - Image 6

ソース: http://scp-jp-storage.wikidot.com/file:6370408-154-9n2l
ライセンス: パブリックドメイン/CC0

タイトル: ships.jpg
著作権者: Taras Shevchenko, 不明, Witherite
公開年: 2022
補足:
この画像は以下の画像をWitheriteが編集したものです。

ソース: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:%D0%A2%D0%B0%D1%80%D0%B0%D1%81_%D0%A8%D0%B5%D0%B2%D1%87%D0%B5%D0%BD%D0%BA%D0%BE_%D0%A8%D1%85%D1%83%D0%BD%D0%B8_%D0%B1%D1%96%D0%BB%D1%8F_%D1%84%D0%BE%D1%80%D1%82%D1%83_%D0%9A%D0%BE%D1%81%D0%B0%D1%80%D0%B0%D0%BB.jpg
ライセンス: Public Domain

タイトル: Тарас Шевченко Шхуни біля форту Косарал.jpg
著作権者: Taras Shevchenko
公開年: 1848-0849

ソース: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Michell-Russian-steam-barges-Kungrad.jpg
ライセンス: Public Domain

タイトル: Michell-Russian-steam-barges-Kungrad.jpg
著作権者: 不明
公開年: 1865

ファイルページ: ORIG - Image 7

ソース: http://scp-jp-storage.wikidot.com/file:6370408-155-qgy3
ライセンス: CC BY-SA 3.0

タイトル: scp-2608-jp_new.jpg
著作権者: George Pankewytch, y33r41, Nanimono Demonai, Witherite
公開年: 2022
補足:
この画像は以下の画像をWitheriteが編集したものです。

ソース: https://www.flickr.com/photos/gwp57/12412998304/
ライセンス: CC BY 2.0

タイトル: 16 Months after Sandy
著作権者: George Pankewytch
公開年: 2014

ソース: http://scp-jp.wikidot.com/foundation-or-goi-logo
ライセンス: CC BY-SA 3.0

タイトル: 2.jpeg
著作権者: y33r41（原案）, Nanimono Demonai
公開年: 2019

この記事はQのコンテスト2022参加記事です。
テーマは「Quit」「Quagmire」「Moʻynoq」「Quondam」です。
批評してくださったTutu-shさんに感謝します。

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  批評コメント批評コメント

  
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  Tutu-sh 06 Aug 2022 20:32

  + 拝読しました

  現在も湖が残っている場所

  「残存する場所」とするとよりクリニカルかと思います。

  なお、現在の収容プロトコルはこの観測されている場合は出現しない性質を利用して、SCP-2608-JP発生を抑制しています

  「収容プロトコルはこの観測されている場合は」と助詞の「は」が連続していてやや気になります。「なお、現在の収容プロトコルは、観測されている場合に出現しない性質を……」などとすると良いかと思います。

  SCP-2608-JP-Aはその起源以外は非異常です

  同様の理由で、「SCP-2608-JP-Aはその起源を除いて非異常です」はどうでしょうか。

  その時期にSCP-2608-JPが発生したかどうかは

  「その時期におけるSCP-2608-JPの発生の有無は」などがクリニカルかと。

  重度に崩壊した骨のみの形態

  動物の骨格に関して「重度に崩壊した」とはあまり言わない気がします。「大部分が欠損した」とか「断片的な」などでしょうか。加えるなら、チョウザメは硬骨魚類でありながら大部分の骨が軟骨で形成されているそうなので、硬骨のマスよりもさらに保存が悪いかもしれません。

  外気にさらされていたものと一致する劣化の様態

  水没していた状態と同様の劣化

  それぞれ「外気によるものと一致する劣化」「塩水によるものと同様の劣化」などが端的で良いかと思います。

  あまり外見が劣化していない（20-30年程度）ことも特筆すべきです。

  主語が省略されているように感じました。「特筆すべき点としてあまり外見が劣化していない（20-30年程度）ことが挙げられます」などでどうでしょうか。
  

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  現状UVです。私はSCP-2304-JPについて未読ですが、十分楽しめる内容になっていると思います。ただし、寂寥感/無常感についてはノイズになりうる要素があるかもしれません。以下に詳述します。

  寂寥感/無常感
  感じはしましたが、それがメインの感情になっているかは疑問です。自分の興味が考古学に近い領域に向いているからかもしれませんが、むしろ既に消え去った昔のものに対峙できるという点ではある種の高揚感を覚えるポジティブな異常性ではないかという印象を抱きましたし、考古学的な研究に使えそうだなあという興味深さも強くありました。特に補遺の1と2は、Wikipediaで雑学を収集する際のように、興味深さに引っ張られて楽しく読んでいました。

  こうした高揚感などを感じる可能性を潰し、寂寥感/無常感の方に誘導するためには、出現した物品の劣化を強調すると良いかと思います。報告書として多少不自然になるかもしれませんが、一覧表の下にこれらの物品が次第に風化・消失して保管・保存に難儀している旨とかを示せば、喪失の方向に持って行けるのではないかと思います。

  説明不足な点/わかりにくい点/意味の取れない点
  特にありませんでした。アラル海やその周辺の文化・生物の記述も平易なものであり、特に読解が困難ではありませんでした。物語的な面としてもシガスタン共和国を除いて他の作品に強く依存していることもないため、分かりにくい点はありませんでした。

  シガスタン国旗
  シガスタン国旗のデザインを記憶していたわけではありませんが、この展開で旗となるとシガスタン（の国旗）だろうなということは容易に推測出来ました。この流れでシガスタンが来ても特に強い意外性が働いたわけではなく、特別強いオチであるようには思いませんが、「ああ、あり得るよね」と納得感があるように思います。雰囲気系の記事としては良いのではないかと思います。

  以上です。執筆のほど応援しております。

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  Tutu-sh

  Witherite 07 Aug 2022 11:57

  批評ありがとうございます。表現の面は提案のように変更しました。

  + 折り畳み

  気になる点について回答していただきありがとうございます。おおむね問題はないようでよかったです。

  高揚感

  なるほど、その感覚は私にはありませんでした。補遺2608-JP.2はかつて存在したものを説明することで、それがボロボロになって出現するというところとのギャップによって寂しさを演出しようとしていたのですが、この部分でより劣化を強調して高揚感を抑えようかと思います。
  また、学問の観点も抑えるために、考古学的価値が薄い旨を追加します。

  SCP-2304-JPについて未読

  今考えると、この記事はSCP-2304-JPを読んでいることが暗に前提になっていた（SCP-2608-JPは失われたものが出現するため、失われていたシガスタンがSCP-2304-JPによって取り戻されている最中に国旗が出現することは、SCP-2304-JPはシガスタンにおける何かがない状態でシガスタンを復活させていることを暗示している→SCP-2304-JPに対する皮肉？）のですが、未読でも楽しめたようならばよかったです。

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