一夜にして億万長者へ──、話題のトレーダーに訊くその裏側

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タイトル: 一夜にして億万長者へ──、話題のトレーダーに訊くその裏側
著者: ©︎sbjt_coffeemilk
作成年: 2021

　"財団"の資産差し押さえと、売却──。突如として国際社会にその姿を現した超法規的組織の崩壊は、経済界へも大きな変革を齎すこととなった。その荒波と言っていい激動の中を泳ぎ切り億万長者の領域へと成り上がった話題のトレーダーがいることはご存じだろうか？

　かの人物の名は、トーマス・バーター。それまで全く無名の彼がいかにして世界のトップクラスへと上り詰めたのか。その成功までの道のり、今回は我々月刊taronyu編集部の独占取材に応じて頂いた氏から得られた情報を余すことなくお伝えする。

　──本日は我々の取材に応じて頂きありがとうございます。

「いえ、私のことを取材していただけると聞いて非常に光栄です。本日はよろしくお願いします」

　──それでは早速お聞きしますが、トーマス氏はトレーダーとして活動し始める前はどのようなお仕事をされていたのでしょうか？

「驚くかもしれないですけど、実は財団で働いていたんですよね。しかもそこそこ良いポストで」

　──そうだったんですか！？てっきり金融関係のお仕事をされているのかと。非常に正確な予測もされていますし。

「よく驚かれるんですよ。トレーダーになってからの友人に実は、元々研究者やってたと言うと皆口を揃えて意外とばかり……。ただ、財団に勤めていたと言ったことはありませんが」

　──今になっては、先見の明があったと言えますが、何故財団をお辞めになってまでトレーダーに？

「今だから言えますけど、私が働いていた時から借金を踏み倒している節がありましてね。昨今では当たり前になりましたが、えーと、多次元企業ですか？それと揉めていたんですよ。現在ではまともな証券会社になったS&K、スカーレット＆キング、私の時はスカーレット&キング債権回収機構という名前でしたね」

　──あー、S&Kですか。それはまた凄いところと……。そうなると10年ほど前ですか。

「その頃はまだまだ財団にも余力があって、まあ何とかなるだろうと思ってました。でも、何やら怪しい方法で資金調達……いや、前々から黒い方法ではやってたんですけど、それに比べると余裕がないといった感じで。これは不味いなと思って、少しずつ辞職の準備を進めた感じですね」

　──すぐに辞めなかったのは何故ですか？

「そうですね。財団に居て良かったのはいろんな情報が比較的容易だったんです。政治経済、外交紛争、何でもです。ただ、余裕がある時に辞めても記憶処理されてそのアドバンテージを失ってしまいます。だから、そのギリギリを見極めてました」

　──なるほど。それでは、本題の株取引の方に移らせて頂きます。単刀直入にお聞きします。伝説とも言われるあの一夜、どうやって稼いだんですか？

「これは、……まあ、すごい簡単なことなんですよ。情報の取引です」

　──……え？それってもしかしてインサイダー