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LEVEL 6 — COSMIC TOP SECRET |
Protocol: Damnatio Memoriae is under deliberation.
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Atlas Hiemal / Apollyon1
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはCK-クラス:再構築シナリオの抑制と誘発の両面性を有しているため有効な収容手段が存在しません。仮説段階の研究として、ыK-クラス:時空因果混濁シナリオを発生させることが収容手段として考案されていますが、不確定要素の多さから実行には移されていません。
SCP-XXXX-JPは極めて一般的な概念として周知されていますが、財団の流布するカバーストーリーに属さないものは、カバーストーリー"陰謀論"、"捏造された説"、"稚拙な論説"等を流布し信頼性を極端に低下させることで対処しています。しかし、現在主流のものとして流布しているカバーストーリー"一般的定説"もSCP-XXXX-JPの特性上、絶え間なく変容させる必要があります。
SCP-XXXX-JPに関するあらゆる研究はサイト-ы0においてのみ実施、管理されます。それ以外のサイト及び人員にはSCP-XXXX-JPがSCiPであるという情報を含めて全て隠蔽されます。当該報告書を含めたSCP-XXXX-JPの情報の漏洩は、関与した人員全ての終了を以って処理されます。
説明: SCP-XXXX-JPは[削除済]される概念です。2現在SCP-XXXX-JPの研究へ参画することが許可されているのは日本国で出生し一度も戸籍が当該の国家から移動した記録が無い人物に限られます。旧研究主導国であったアメリカ合衆国、研究に参与していたフランス共和国はSCP-XXXX-JPの影響下に入った可能性が高いため人員の記憶処理及び排除、当該国家におけるSCP-XXXX-JPに関する全記録の抹消が行われ、完遂しています。
その他、全世界の90%以上の地域においてSCP-XXXX-JPによる致命的な過去改変が発生しています。現時点で改変が完了していない国家は日本、デンマーク、英国、スペイン、スウェーデンの5か国です。3
SCP-XXXX-JPは流動的である"現在"から固定的である"過去"に対する何らかの言述4が行われた際、時空連続体へ不安定化を促すことにより言述の対象となった時点から現在までの時間軸を改変します。ただし、その改変が完了するまでの時間は対象となった時間軸の長さと比例関係にあり、改変成功率は認知バイアスや史料批判、歴史認識等複数の要素が関与していることが明らかになっています。現時点でほぼ100%であると考えられます。
また、SCP-XXXX-JPは前述の異常性と対照的に言述が行われた過去の一地点から現在までの時空連続体に作用し、その範囲の時間軸における改変の巻き戻し5を行い、対改変耐性をより堅固な状態へと変化させる異常性も有しています。この異常性は、言述された内容がより多くの人物に正しいと認識されることで、精度が向上することが判明しています。ただし、永続的なものではなく前述の異常性に対する負のフィードバックに該当するものだという仮説が立てられています。
SCP-XXXX-JPはその特性上、報告書においても特異的な方法を用いて言述することが必要とされこの規則に反した場合、改変の対象になります。トレヴェリアン博士の研究によりSCP-XXXX-JPの異常性に対する有効な記述方式が提案され、カー博士の行った実験によってその効力が証明されました。当報告書はトレヴェリアン博士が考案した方式を採用して記録され、報告書としては多くの不備や不自然な置換がされていることを留意してください。
追記1: エマニュエル博士とシャルチエ博士の対談記録
エマニュエル博士: 思うに、編纂という行為が財団の言う現実性という概念の不安定化を招くものではないか、そう考えている。
シャルチエ博士: それが事実だとすれば、我々含めた界隈の人間は全員罪人ですね。
エマニュエル博士: Mr.シャルチエはこういった情報の伝達に造詣が深いと聞いている。君の見解を聞かせて貰いたい。
シャルチエ博士: 普遍的なことから入らせて頂きますが、そもSCP-XXXX6の本質とは語りです。我々にとって慣れ親しんだものをSCP-XXXXと一々呼ぶのは厄介ですが、これでいきましょう。
補遺1: SCP-XXXX-JPの発見からの経緯
補遺2: SCP-XXXX-JPによる各国への影響
確認例: XXXX-JP/001
対象: アメリカ合衆国
進行状況: 改変完了済
影響: ピルグリム=ファーザーズが乗船していたメイフラワー号が沈没したという結果に改変。英国によるアメリカ大陸の植民地化が大幅に遅れ、その後の欧州列強による植民地争奪など以後の世界情勢に大きく影響。時間軸上の"現在"において、時空連続体の著しい歪みから形而上的障壁が発生。以後通信が完全に断絶。
財団の対応: アメリカ大陸放棄。特定時間軸の再改変に失敗。
確認例: XXXX-JP/002
対象: フランス共和国
進行状況: 改変完了済
影響: パリ・コミューンはルイ・アドルフ・ティエールが行政長官を務める臨時政府に強く抵抗、最終的に█年もの間パリを占拠。最終的に弾圧されたものの、以後の社会主義及び共産主義の運動に大きく影響。特にドイツ、ロシアの改変に大きく寄与した。アメリカ合衆国と旧ソビエト連邦との間に生じた冷戦は███年にも及んだ。7
財団の対応: フランス支部が所有していた各種記録等を残存する5か国へ移送。フランスを中心とした西欧地域に複数の熱核兵器を投下し、西欧の改変が完了していない国家を除いた複数の国家に多大なダメージを与えることに成功。
[以降は改変進行中の4国に関する報告です。]
確認例: XXXX-JP/201
対象: スウェーデン王国
進行状況: 改変を確認、進行中。
影響: クリスチャン2世によるスウェーデン侵攻は頓挫し、反カルマル同盟の中心であった小ステン・ストゥーレは妻のクリスティーナ・ギレンスティアーナと共に独立を果たしたという旨の改変を確認。グスタフ1世の即位とは異なるスウェーデン王家の系譜となった場合、グスタフ・アドルフやカール12世など欧州情勢に大きく寄与した人物への影響が甚大なものになると予測される。
確認例: XXXX-JP/202
対象: スペイン王国
進行状況: 改変を確認、進行中。
影響: カスティーリャ女王イサベル1世とポルトガル王アフォンソ5世との間に生じた王位継承問題が長期化したという記述が複数の書籍より確認。改変が完了した場合、グラナダ陥落によって完了したレコンキスタ(Reconquista)やナスル朝滅亡によるイベリア半島からのイスラーム勢力の消滅に大きく影響することが予測される。
確認例: XXXX-JP/203
対象: 英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
進行状況: 改変を確認、進行中。
影響: ノルマンディ公ウィリアムによるイングランド征服(The Norman Conquest of England)はヘイスティングズの戦いにおいてハロルド2世の討伐に失敗、その後エドガー・アシリングらがハロルド2世陣営へ合流したことにより長期化したという記述に改変されていることを確認。ドゥームズデイ・ブックの作成やソールズベリーの宣誓等、時空連続体への大きな影響力を持つ事象が改変された場合、被害は甚大なものになる可能性が極めて高い。
確認例: XXXX-JP/204
対象: デンマーク王国
進行状況: 改変を確認、進行中。
影響: イェリング墳墓群に存在するゴームの石碑や、サクソ・グラマティクス著の『デンマーク人の事績』からゴーム老王の記述が消失していることを確認。特に、ゴームの石碑はそれまで記されていたルーン文字ではなく、形状の類似した未確認の文章が刻まれており、解析が進められている。
ゴーム老王はデンマークを含む複数の王室の開祖にあたる人物であり、デンマークの改変完了は欧州における財団残存勢力の消失を意味する。
補遺3: カー博士からの最終通信
これはイングランドにて悪足搔きを続けた我々からの最後の通信だ。
道半ばで脱落すること、本当に申し訳なく思う。
しかし、トレヴェリアン博士が考案した記述方式は時間稼ぎに大きく貢献した。それを実証した者として誇りに思う。
簡潔に言ってしまえば、年代などを記述しないことでSCP-XXXX-JPの対象から上手く逃れることが要の一部分だ。過去に関する記述をしても、具体的にどの時期なのかを記述しなければ逃れることは出来た。
書籍を徹底的に抹消していくこともSCP-XXXX-JPへの対抗手段として重要だ。過去を改変する異常性の肝は如何に多くの人々に知られているかだからだ。分野を問わず、過去について述べている書籍は非常に多かった。研究用に残したごく一部を残して全て燃えたが、一般社会の目はタイムパラドックスが引き起こした混乱に向いたのは僥倖だった。
始皇帝やナチスの焚書を思い出してしまうが、これも我々の使命の為だ。
それと、SCP-XXXX-JPがどんな異常性を持っているかは報告書の通りだが、異常性を促進する要素が何なのかはほとんど記述されていないはずだ。それもトレヴェリアン博士考案の中に含まれており、伝達できないことを許して欲しい。
このような形で引き継ぐことになるのは不本意だが、我々に代わってヘロドトスが、トゥキディデスが、司馬遷が、名も無き多くの学徒が灯した篝火を消してもらいたい。
無論、SCP-XXXX-JPをここまで悪化させたのは人類全ての罪だ。正しさの光を、多様性の濁流によって消し去った末路だ。
Protocol: Damnatio Memoriae──、人類が積み上げた叡智の蓄積を消し去ってくれ。
Protocol: Damnatio Memoriae
プロトコル: ダムナティオ・メモリアエは時間異常部門の協力の下、恣意的な過去改変及び時空連続体への大規模な歪みを発生させ、SCP-XXXX-JPの弱体化もしくは無力化を目的とするものです。最終的にはыK-クラス:時空因果混濁シナリオが発生するまでをプロトコル: ダムナティオ・メモリアエとします。
現在、プロトコル: ダムナティオ・メモリアエの進捗状況は最終段階に入っており参加人員の制定や、作戦の最終確認、日本支部理事会による承認が未完了となっています。
プロトコル: ダムナティオ・メモリアエの根幹として、SCP-XXXX-JPの普及につながった学者、複数人の終了が含まれています。終了対象となっている人物として"ヘロドトス"、"トゥキディデス"、"司馬遷"、"レオポルト・フォン・ランケ"、"マルク・ブロック"等███人に上ります。
説明は以上となります。
これより、プロトコル: ダムナティオ・メモリアエの審議に入ります。
日本国がSCP-XXXX-JPの影響下に入るまで残り14日と推定されます。
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ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:6360224 (22 Apr 2020 03:01)
拝読させていただきました。正直言ってこの記事がどのような評価を得るのかは、私には予想できません。「クオリティが低い」という問題ではなく単純に「この系列の記事がJPで投稿されているのを殆ど見たことがない」からです。sbjt_coffeemilk様が例に挙げたようにENやCNでは時々見かけるのですがそれが果たしてJPでどういった印象を受けるのかは不明です。少なくとも本投稿の際はディスカッションにスポイラーを置くことを推奨します。個人的にはuvとnvの間で揺れている状態です。
以下細かい点です。
さらに198件の報告が提出されています。
「この2件に加えて198件の報告が提出されています。」の方がよいと思いました。
批評ありがとうございます。ご指摘の箇所を含め、一部表現を変更いたしました。
専門的な内容が多い事や記事内では核心に触れる内容がないためEianSakashibaさんの仰る通り、
評価の予想が付きづらいことは理解しています。
出来るだけ多くの方から批評を頂き、投稿するかを考えたいと思います。
なかなか難しい記事ですね。おそらく「どう批評したものかわからない」人が多いのではないかと思います。
試みとしては面白いと思います。ただ範囲があまりに大きすぎて、なんでこんなことになってしまったんだという疑問から、読者を置き去りにしてしまっているような印象を受けます。単体の記事としてはよく書けていても、これをヘッドカノンとして受け入れ難いという理由からあまり評価されないおそれもあるかなあと思います。
たとえば過去改変ものとしてはダエーバイト年代記がありますが、あちらは範囲を絞ることで特異性をわかりやすくしつつ、そのくせ影響が世界的というヤバさを、秀逸な構成でまとめあげています。世界的にただ歴史を語るだけで世界が終わるというストーリーに説得力を持たせるには、なんでそうなったのか?のストーリーがあると、受け入れやすくなるのではないかなあと思います。「歴史を語るとトリガーになるから」というところをどう回避するかは難しいですが。
たとえば範囲を絞って「○○について語ると現実になる物体。これを利用したアポリオン。でも実は今の現実も未来から改編されたもので…」みたいな、過去改編を逆手に取ったループものみたいな構成にしても面白いかなあと思いつきました。