SCP-XXXX-JP スタンディングオベーション
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必要な物資が最適化の結果であろうと思われる配置に置かれている。明滅することのない真っ白な明かりが煌々と室内を照らし、機械的という表現が的確な部屋の全貌を明らかにする。一切の塵や埃が見当たらないこの場所は病院だと言われても違和感なく受け入れられる。

あなたは部屋を一瞥し、ここが見慣れた部屋ではないことに気付く。そしてさっきまで閲覧していたSCP-XXXX-JPのページが映し出された画面に目を向ける。モニターの前に親切にも置かれた椅子は普段使っているものよりも快適な座り心地であるように感じた。

椅子に腰掛け、慌てそうになる心を抑え込みながら外部へ連絡を取ろうとする。
しかし、その試みは悉く阻まれた。ネットは切断されており、通信機器も圏外という二文字を指し示すだけで働きを止めている。

尋常ならざる事態、状況、環境。心を落ち着かせるためだと誰に聞かせるわけでもなく、自分自身に言い聞かせるために見慣れた形式で書かれた文章を読む。報告書形式という無機質な文章であるものの、この人気のない部屋よりいくらか温もりを感じる。

慣れというものが、バイアスとでも言うべきそれが、自分の判断をいくらか鈍らせているのかもしれない。だが、この場で打てる一手はこれだけなのだ。

SCP-XXXX-JP

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Keter Paradox-Apollyon1

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPによる関連事象も含め、SCP-XXXX-JPの完全な収容はその性質上不可能と考えられます。SCP-XXXX-JPの有効な収容手段として警察機関へのエージェントの潜入やSCP-XXXX-JP関連事象と考えられる椅子の回収、カバーストーリー"単なる偶然"及び"呪いの椅子"の流布などが挙げられます。SCP-XXXX-JPのDクラス職員による実験は、有意なデータが現時点で集められた情報以上に取得出来ないと考えられるため凍結されています。

SCP-XXXX-JPへの有効な収容手段が確立されたため、プロトコル・プロセニアムを発動しC-ZK-クラスシナリオを完遂させることがO5評議会において全会一致で可決、承認されました。これに伴いSCP-XXXX-JPはParadox-Apollyonに再分類されます。

Paradox-Apollyonという極めて稀なオブジェクトクラス、そしてその定義。C-ZK-クラスシナリオという前例のない分類。財団の収容しているオブジェクトの中でも相当の曲者であることは想像に難くない。改めて、周囲に誰もいないことを確認すると報告書に意識を戻す。

説明: SCP-XXXX-JPは一般的にバズビーズチェアと呼ばれるオーク材で構成される椅子です。この椅子に着席した人物は例外なく死亡していることが知られています。2現在、Dクラス職員以外で犠牲になった人物は65人であると推定されます。

現在、SCP-XXXX-JPはカバーストーリー"呪いの椅子"を効果的に流布させるため、英国:サースク博物館において吊られた状態で展示されています。これは上述の異常性が予期せず発露しないため、誤って椅子に着席する人物を出さないようにするための処置です。また、サースク博物館には常に█名以上の財団職員が配置されています。

上記の異常性及び現在の取り扱いは一般社会に流布されているものであり、後述する別の異常性を隠蔽するために意図的に流布された情報になります。SCP-XXXX-JPと同様の異常性を持つ椅子が全世界に偏在しているという事実はあらゆる手段を以って封殺するべきであり、この情報の無際限な流布は大規模な社会変動を誘発すると予測されます。

SCP-XXXX-JPは前述の異常性の他に、殺人現場の付近3に存在する椅子をSCP-XXXX-JPと同様の着席した人物が絶命する椅子に変化させる異常性も有しています。また、変化する椅子は範囲内に存在する椅子の中から必ず一つだけということがDクラス職員による実験から判明しています。

補遺1: ベルトルト博士が主導する研究チームによりSCP-XXXX-JPの効果的な収容手段の提案が複数行われました。SCP-XXXX-JPへの収容手段の提案ログは以下の通りです。


収容手段の提案 #: 001

提案内容: 有機化合物:Morality-1702を世界規模で散布し、他者の殺害に対する忌避感及び倫理的抑制を向上させる。

決議結果: 5-8(否決)

評議員からの講評: SCP-XXXX-JPの有する異常性は直接的な手法では収容が困難であることを意味している。この手法は有効ではあるが、しかし他のSCiPの収容業務に弊害を来す恐れがある。引き続き研究を実施することを要請する。 - J.シムス(O5-11)

収容手段の提案 #: 002

提案内容: 各国捜査機関への潜入工作員を増員し、現在以上に殺人事件に対する初動体制を強力なものになるよう、内部から切り崩しを行う。

決議結果: 4-9(否決)

評議員からの講評: SCP-XXXX-JPに対するこの提案を鑑みると、割かれる人員や必要となる資産が膨大になると思われる。SCP-XXXX-JPの収容手段は重要な議題ではあるが、この提案は些かやり過ぎであり、コストに見合う結果が出るとは考えにくい。 - C.パニーニ(O5-5)


そして続く十数個の提案。始めこそ現実的で一考の余地があると思えるものだったが、その後は研究チームの怠慢が垣間見える提案ばかりであった。それだけこのチームが苦慮していたとも言えるが、こうも酷いものが続くと自暴自棄に陥っていたのだろうと読み取れる。

そして、プロトコル・プロセニアムの提案がなされたログまで到達した。


収容手段の提案 #: 017

提案内容: プロトコル・プロセニアムの発動。

決議結果: 13-0(可決)

評議員からの講評: 可及的速やかに実行せよ。

追記: プロトコル・プロセニアムの詳細はセキュリティクリアランス5に指定されています。


実に簡素なログの内容。これまで割れてきたO5の意見すらも、満場一致という単純明快な結果になっている。しかし、裏を返せばセキュリティクリアランス5を提示しなければ何が起きたのか、その全容を知ることが出来ないということだ。

セキュリティクリアランスに対する憂いはない。クリアランスはおろか、機密情報という言葉にすら動揺や躊躇いが生まれた時分もあったが今は違う。その先を知る、そんな純粋な意思に動かされ、リンクをクリックする。


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