私の求める武器は何処なるや?

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──間違いなく、そう長くない内に死ぬ。

施設内の非常事態を告げる警告音は鳴り止まず、今も何かが破壊される音が響き渡る。

アレがどこから来て、何のために襲撃しているのかは分からない。分かるとしたら研究チーム3664の連中だけだろう。全員くたばっちまったが。

少なくともあれは実体ある化物じゃねえ。情報生命体だとか、幽体だとかその類だろう。詳しくは知らねえが、初動対応からして概念的武装で対抗したんではなかろうか。見た感じ、それが有効な手段であり、そして唯一の手段だったんだ。

違う。化物であっても、生物じゃない。アレは──話す、銃?

 

……クソッたれ! 何だありゃ!? 話す銃なんてイメージも素っ頓狂だし、そんな朧げな記録しか想起出来ないのが腹立たしい。ほんの2,3分の間にどうなっていやがる!?

これが反ミームって奴か?噂話ぐらいでしか知らなかったが、ここに来てようやく実感が湧いた。

イライラしている場合じゃねえ。破壊音が近づいてきた。一刻も早く逃げなければ。

残弾が幾ばくも無いアサルトライフルを持ち、覚束ない足で駆ける。

 


 

「おおぉぇ……」

どれほど移動したかは分からない。だが、ここまでに見た凄惨な状態で俺の精神は摩耗し切っていた。

転がされ、損傷が激しい切断された四肢の数々。

生気を失った瞳孔で天井を仰ぐ、血だらけの職員。

未だに硝煙の匂いが鼻につく通路と、残骸になった火器。

ほんの数時間前まで談笑していたはずの職場が、今や惨劇の舞台だ。

目が霞んできたのか、持っている武器がただの黒い長方形のように見えてきた。

それでも俺は、任務を果たさなければならない。その足を止める訳にはいかない。

後頭部にでも怪我を負ったのだろうか。ズキズキと痛みが走る。

それでも全身の不快感、倦怠感を押して進む。

██としての矜持が裂傷だらけの体を動かしていた。

 

しかし、不条理とは得てして予期せぬ災い故に不条理と呼ぶのだ。

背後に迫る、抗いようのない死、絶望、不条理。

永遠のようにも感じる刹那を戦戦慄慄と享受するしかなかった。

走馬燈なのか何なのか、周囲が溶けていくように黒ずみ、歪み、崩壊し、落ちていくような感覚を覚えた。

視覚も聴覚も触覚も痛覚も。何もかもが理解を超え、自己の存在自体が曖昧になり消失するような。

 
 

──そして、隣にはダレカがいた。

 
 

隣のそいつも困惑した表情をしていたが、それはこちらも同じだ。

ここは何処だ!? ──その一言を絞り出すことすら出来ない。

咄嗟に声が出ないことを理解すると、拙い手話で伝えようとする。

 

追ってくるFOLLOWED-話すTELL-GUN

 

ワケも分からず、何度も何度も手話を繰り返す。繰り返す。繰り返す。

 
 

追ってくるFOLLOWED

 
 

話すTELL

 
 
 

じゅGU──

 
 
 
 

──そして、大きな破砕音と共に何もかも、闇に消えた。

 
 
 
 
 
 
 
 

死体(SCP-3664-α)の検査は、全身にある大きな裂傷や既知生物と一致しない咬傷を明らかにしました。SCP-3664-αの顔の特徴、ID、指紋、その他全ての潜在的な識別要素は不明な理由によって全く知覚できません。死体の後頭部にある財団記章のタトゥーはこの影響を受けていません。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 



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