ちぢんだ! ビックリしたわ!! あとApollyonは許してくれ

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──O5評議会。

世界を裏から牛耳ることも不可能ではない、技術力と資金力、権力を有した超法規的組織の頂点に君臨する13人。彼らによって統治される評議会は、言うなれば財団の最高意思決定機関である。

画面越しの、音声のみによる会話ではあるが、間違いなくその先に居るのは自分が所属する組織の頂点であると思うと自ずと緊張するのは仕方ない。そう一職員であるトーマス・バーター研究員は止まらない震えに対して、そう理由づけた。

「レベル4研究員トーマス・バーター、君には少々がっかりしているよ」

「……っ」

画面に表示されたのはO5-1の文字。しかし、そんな淡泊な文字とは対照的にスピーカーから伝わる音声は酷く冷たく、老獪な男性の声がトーマスの鼓膜を震わせた。

「レベル4にまで至るのも簡単ではなかっただろう。君の能力を我々はこれまで高く評価してきたが、どうやら買い被りだったようだ」

今度は老獪ではあるものの、どこか中性的な高さを含む声がする。画面を見ると、どうやらO5-7によるものらしい。しかし、この流れは良くない。何かせめて心象だけでも良くするために弁明をしなければ。

「お待ちください! どうか弁明をさせて頂く訳には参りませんでしょうか! あれは私の指揮の下開発していた縮小光線の実験中に起きた偶発的事故によるものでして──」

「トーマス・バーター研究員。私たちが聞きたいのはそういうことではない」

無意識のうちに焦りを滲ませた早口の弁明を、冷たい声で一蹴した。
O5-2の一切の情を感じさせず機械的に進めようとする振動が、弁明という自己保身のために回転していた頭を真っ白にさせた。

ここまで来れば、財団のレベル4研究員としての地位を築くのに必要な明晰な頭脳どころか、中学生でも分かる極めて単純な話になる。
良くて、吹けば飛ぶような閑職の研究員落ち、悪ければ記憶処理を施され適当な場所へ捨てられる。実質社会的な抹殺を執行される。

過呼吸気味になる口元を抑え、一言一句漏らさぬよう、耳にだけは集中が途切れないようにする。

「君に問いたい」

画面が示すO5-12の文字を見つめながら、その言葉を聞き逃さぬよう細心の注意を払う。

「君が救援を求めるのに用いた方法は、あの場面において適切であったと考えるかね?」

「そ、その……わた、私が……」

思うように回らない口をこれほど恨めしく思ったことはない。先ほどまで饒舌であった舌は、油を注してない古びた機械のように歪な動きをしている。しかし、ここでO5-12の問いに答えられなければ、本当に何もかも終わる。

今までに体験したことのない量の汗が流れ出るのを感じ、鼓動が今にも破裂しそうなほどに高鳴る。

 
 
 
 
  

「……キーボードの上で、跳ねて入力……っくくく」

 
 
 

──んん?? 何か笑い声がしなかったか??

 
 
 

「……O5-12、大きな声だと聞こえますよ」

「あぁいや、すまないO5-11。聞こえてしまうな」

 
 

「いや、もう聞こえとるわ!」

 
 

「静粛にしなさいトーマス・バーター研究員。……ところで、この腹を空かせたネズミ、可愛いとは思いませんか?」

O5-3の画面には、与えらえれたようである餌をかきこむようにして食べているネズミの映像と画面外から撫でているようである皴だらけの指が映っていた。

入っている籠にはどうやら、トーマス・バーター研究員のお友達(笑)と張り紙がされている。

「O5-3ィィ! それ、私が喰われそうになった個体じゃないんですか!? 当てつけか!?」

トーマス・バーターは、ここで何かがおかしいと思い至る。
これが自分の思っていたような尋問だとか、喚問とは違うのだと。

 
 
 
 
 
 
 

概要:
トーマス・バーター研究員めっちゃダサww 
縮小光線に当たって ち ぢ ん だ w w あ、見たら賛成しておいて~。トーマス・バーター研究員、ダサいインシデント選手権参戦!! O5-4

評議会投票結果:

賛成 反対 未投票
O5-01 O5-13
O5-02
O5-03
O5-04
O5-05
O5-06
O5-07
O5-08
O5-09
O5-10
O5-11
O5-12

 
 
 
 
 

「あ、やべっ」

「何をしているのですかO5-5」

「ちょっと見返して笑ってただけよO5-6」

 
 
「全部聞こえてるから!! あんたら何やってるの!?」

 

O5-5の画面に誤操作か、文面からしてお遊びのふざけた内容の投票結果が映し出された。自分がこんな学生サークルくらい緩い雰囲気の人物たちに統率されていたと思うと頭が痛いことこの上ない。

「え、何これ。自分は何も聞いてないんですけど……」

「あのー!? O5-13は何にも知らないんですけどー!?」

「完全に無視されてる……(´・ω・`)……」

 
 


 
 

「それで? その後はどうなったんだ?」

「O5の連中に説教だよ。当たり前だろ。社会人としてのモラルとリテラシーが欠けてるんだから、上司と言えど諫言しないと」

翌日、上司連中の酷さを目の当たりにしたとはいえ自分がインシデントを引き起こしたことには変わりない。定型文の始末書を書きつつ同僚と昨日のことを愚痴る。

あと、露骨に除け者扱いされていたO5-13は可哀そうだなと思った。

「トーマス、メールが届いてるぞ」

「え? あ、本当だ」

 

 

「……大事になってるな」

「俺はただ、命欲しさにApollyonって書いてしまったことを謝罪したかっただけなのに……」

 

──トーマス・バーター研究員。後に受難の財団職員と呼ばれたとか呼ばれてないとか。

 
 


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