タイトルの変形 恋昏崎新聞社
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法務省によって24日に公開された平成26年度版犯罪白書により、前年度の反ミームを用いた犯罪件数が推定で計642件発生していたことが明らかになった。内訳として、検挙されたものだけでも殺人、詐欺、窃盗など合わせて75件、画像解析などで「疑いのある」とされているものは567件に上る。また、反ミームという異常の性質上、実際の被害件数はこの数倍以上に上ると予測されている。
反ミーム犯罪、その増加と手口
ヴェール崩壊以降、反ミーム性を有するオブジェクトはミーム汚染や現実改変を抑えて犯罪市場のトップアイドルの座を維持し続けている。反ミームは自己を抑制する異常性の総称であり、大きく分ければ存在そのものを隠蔽するもの、ある事象に対し他人に違和感を抱かせなくさせるものの2種類がある。
この性質は、犯罪を行うにおいては素人目に見ても非常に便利なものだと分かるだろう。何らかの手段で自らの存在や窃盗という行動に反ミーム性を付与するだけで、窃盗をする際に周りの目を伺うどころか犯罪の露見を恐れる必要すらなくなってしまう。それどころか反ミームの強度によっては、その窃盗による損害を認知、勘定することさえできず、理由もわからないまま赤字や倒産に追い込まれることもあるのだ。
窃盗に限らず反ミームが関わった有名な事件を挙げると、反ミームの恐怖と超常物品の理不尽さを[スラング、ヴェール外大衆]に知らしめた2000年の鉄錆の果実教団焼死事件、9.11の前事件の1つとして知られるUIU連続空白事件、精神影響犯罪の刑罰について司法に問いかけることとなった"腐り果て"収集家連続破綻事件など枚挙にいとまがない。そして、この文明に対する大きな脅威に対し、なぜ対抗策が未だに発達していないのか。おおよその察しはついているかもしれないが、それについて次の項で解説する。
現在判明している事件の概要
知っての通り、SCP財団、世界オカルト連合の名前は超常技術開発規制の代名詞だ。しかも、反ミームオブジェクトに関してはその規制が殊更強い。個人での所持・研究はもちろん大学や企業の新規参入さえ認められておらず、空港や警察に対してさえ80年代のパソコンのように重く感度も悪く汎用性もない検知器が渡されるだけだ。従って、研究は財団、プロメテウス、ニッソ医機、[何か]などの[ヴェール前企業を表すスラングを挿入]が独占している。
一方、財団の干渉が比較的薄い裏社会などでは、大々的にとまでは行かずともよく取引が行われると聞く。実際のところ、裏社会のそのまた裏側、パラテクに精通していた大企業がそれらの位置を占めている。そして、無法地帯の市場独占の恩恵として、これらの企業は情報を無暗に漏らさず、流通量も調整している。こうすることによって、価格と財団や政府による発覚のリスクを同時にコントロールしているというわけだ。1998年までマーシャル・カーター&ダーク社に勤務し、ヴェール崩壊後はヨーロッパで犯罪アナリストを勤めている暗鉦くらかね 壕雨ほりあま氏が取材に応じてくれた。「ヴェールが崩壊してからMC&Dは更にあくどくなったとは聞くが、実際にその世界に身を置いたことがある立場から言わせてもらえば、あいつらは期せずもいわゆる"いいヤクザ"って感じの役を担ってるように思う。2000年ごろは超常という魔法に酔った地元組織がこぞって反ミームを研究しようとしてたが、MC&Dはそこを一掃して、あっちの世界なりの均衡を確立してくれている。もう今では彼らを擁護する気はさらさらないが、財団たちがパラテク発展に大きな歯止めをかけているこの状況じゃ、裏社会の治安についてはMC&Dが最後の砦だと思うね。」
さらなる小見出し
「1998年までが俺らの最盛期だった。」そう語ってくれたのは、現AWCY本派("Still-Alive"派閥、通称SA)上位メンバーで、ヴェール崩壊前は反ミームを主軸とした芸術作品を制作していたツェッペンド・レイン氏だ。「あのポーランドの前から、ヴェールがなくなったらってのはたらればの話題として定番だった。世界に名を轟かせるアーティストになろうと意気込むヤツ、逆に一般人には理解できないだろうと見下すヤツ、そんなにオーディエンスが増えたらと新しいcoolなことを夢想するヤツ、ともかくそれについて話すときは、誰だって目が輝いていた。だが、蓋を開けてみりゃどうだ、財団は表の権力も手に入れて以前の何倍もの規制で創作者を締め付け、それにキレたホットなバカどもがテロをやらかす惨状だ。幕が開けて俺らの劇が始まると思ったら、どっこい皆まとめて舞台裏に押し込まされたってワケさ。反ミームもそうだ。これが悪用されれば何千人もの人を秘密裏に殺せる爆弾だってことは理解してるし、多かれ少なかれ[ヴェール前一般市民のスラング]の中に波紋が生じることだって分かってる。俺は、じゃあなぜまだ人類は続いているんだっていうことを言いたいんだ。正常性維持組織達は— 文明の発展のために大衆を、人類を保護するために在り、そしてそれを遂行できてたんだと思ってた。それなのに、もう無知でもなんでもない大衆にビビり散らし、無暗矢鱈に学問を制限した。子離れできない母親でもここまで酷くない。俺には、財団がまるで人類の前進を望んでないように思える。奴らの使命が、確保・収容・保護じゃないように見えてきて仕方ないんだ。」【分析】
▲広末 孝行 明大政治経済学部卒、東弊重工本社総務部で10年勤続後退社し、恋昏崎新聞社へ入社。この欄の小情報だけを頼りに大学時代のルームメイトのペットまで特定された。
財団による反ミーム規制は[スラング]の賜物であり、それと同時に財団のヴェールがいまだ厚く巻かれていることの象徴でもあります。 明示的にそうと示されているものでなくとも、反ミームの一般大衆への浸透を妨げるために行われたと予測されている事案はいくつもある。2000年に行われた各国の法律での合法・違法を問わない異常に厳格なアヘン取引規制、財団の影響が薄い南米やアフリカ地域での原因不明の連続した集団パニック等がそれだ。
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