MrDrYTisgod-77--800b

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世界の始まる前夜か、もしくは始まっていないあらゆる世界に共通のことなのか、ISとIS NOTのみが世界に存在していた時、無から有が生まれた。その有は存在ではなかったが、ISとIS NOTの占める形而上空間と意識を食みながら、確かにそこにあった。それはIS NOTの系譜とは言える実在ではあったが、ISにもIS NOTにも分けられず、ただただ真実ならざる混沌であった。世界には今までISとIS NOTの調和が保たれていたがゆえに、混沌に対しても調和が必要とされた。そのため、秩序が、世界に畳み込まれていた万物から求められた。そうして、1人の男が世界で4番目の存在として誕生した。

男は、存在し始めた瞬間に自らの使命を理解した。混沌を追放し、世界に秩序をもたらさねばならぬと。

観測者がいなければ、どれほどその戦いが続いていたのかは分かるまい。少なくとも秩序の主観では、戦いの間は永遠に、戦ったあとでは一瞬に感じられた。それは、戦いというよりも議論のようだった。だが、それはあまりにも荒唐無稽で無茶苦茶なものであった。互いの概念を、解釈を、アイデアを放出し合い、公理に問いかけた。結果のみを簡潔に述べれば、秩序は混沌よりもより良いアイデアとして世界に立った。秩序は、混沌をこの世界と交わるが重なりはしない、異なる次元へと追放した。しかし、混沌をそこへ追放した時点で秩序は文字通り自らのアイデンティティが消えゆくことに気づいた。混沌の存在しなくなった世界では、秩序もまたその存在を許されなくなろうとしていた。そのため、秩序は混沌の存在する次元に、四角い孔を開けた。こうすることで、混沌はこの世界に齎される事こそあれど、世界全体を損なう事は出来なくなった。そして、混沌が世界からいなくなったため、秩序も一度何処かへ姿を消す必要があった。

新たに秩序立てられた世界には、やがて多くの宇宙が生まれた。そうして世界の情報が増えたために、知識と忘却の2柱が生まれた。ISとIS NOTは彼らを依り代とし、いよいよ実在を得て世界に顕現した。

ISの抜け出た光の殻からは、奇妙で鮮やかな生命が生まれ出た。彼らは世界で最初の生命として誕生したが、金属をひどく嫌っていた。彼らはISの声を聞くことができた。それに従って生きていくことで、彼らは大いに繁栄した。IS NOTの抜け出た虚無の闇からは、存在し得ないものたちが生まれ出た。彼らは秩序が欠けた全くの空虚であり、彼らとして実在してしまった意識、自然、空間は皆一様にパターンを叫ぶのみだった。それは、世界が秩序に支配されてしまった弊害であった。

次に機械と肉の神が生まれた。機械の神はその身を以て宇宙を少しずつ形作り、自らを万物に組み込んだ。このことより遠い遠い未来、現生人類が誕生する前か後かというところになって、彼は壊れ、その存在は無くなってしまったが、彼の神としての概念は残っている。人々は壊れたる神を復活させることができる。それは組み立てることによって、集めることによって、団結することによって。そして肉の神は様々な生命を創造し、そのうちのいくつかは賢く、同種を増やして世界の様々なところで生きていった。奇妙な民は機械を嫌ったために、西へと移り住んだ。[真西導入も検討]

ISは数ある宇宙の中心に知識の集まるところを築き、その最奥に住んだ。そこは無数の宇宙の全てと繋がる場所で、そこでは知識を伝えるもの、形として残すものが生まれた。寿司これが今の言葉と本である。IS NOTはとある宇宙の、何からも忘れ去られた地底の暗闇に住んだ。混沌の父たる彼は、近づくもの全てを狂わせ忘却させ、誰も近寄れぬようにした。

肉の神が生命を地に満ちさせた後、多くの神々が世界に生えてきた。まず、生命が生まれたことにより、死を操り生命を弄ぶ兄弟達と、宇宙の数だけのその配下が生まれた。そして調和のため、一度擦り切れた魂を悠久の円環に導く姉妹たちが生まれた。生と死が誕生し、そこに繁栄も宿った後に、婚姻と姦淫、恐怖と畏敬を司る緋色の王が生まれた。その他にも驚異と歓楽の神、生まれてまだ若い煮立った世界から距離を置いた鹿、ただ夜空の星々を眺める詩人などが君臨していた。神々と生命たちは、やがて東の果てに都を立てた。


一人の男が、最初の父の都の石畳を歩いている。その隣、大層立派な建造物の前、紫を基調とした宇宙を連想させる壁紙の貼られた店があった。そこの店主は、街中にいる大勢の生命と神々の中から目をつけ、男に声をかける。

「やあそこの兄さん、うちのワンダーな玩具たちを見ていかないかい?兄さん子供はいるかい?いない?なあにそれでも大丈夫、こっちの『ミスター・おしゃべり』がいれば孤独なんて──」

男は歩調も崩をさずに微笑み、秩序立った歩みを進めながら手を横に振って答える。

「いいや、いやいや、遠慮しておくよ。我らが王への謁見があるのでね。」

店主は大袈裟に驚いた。眼球が数秒飛び出た後に、小気味良いパチーンといったゴムの音とともに眼窩へ戻っていく。飛び上がったそのまま礼のポーズを取り、それとは裏腹に気さくそうに返答する。

「ワーオ!これは失礼、貴方が噂のフレッツウィリーさんとは、あー、閣下。頑張ってください、我らが王は偉大なるお方です。どうかあなたが彼の第二の支えとなりますよう。ところで、お仕事の後の幸せにもワンダーテインメントの玩具はおすすめですよ!」

「分かった分かった、見てみるよ。では!」

男は続けて歩きながら、いつものようにどこでもない場所、もしくはあらゆる場所からの視線を感じた。混沌を司る5つの手と眼が、それが封じ込められた孔から都を、秩序を覗いていた。そして、秩序はそのことは気にも留めず、街で話題の王の友人としてのみ軽い注目を受けながら、ややその足の動きを早めていった。彼が城門についた時、すでに太陽は南中より2°ほど前といったところだった。顔パスで門を通り、開けた別棟近くの庭で話し合う少年たちの声を聞く。

「なあ兄さん、兄さんはどうやって主は宇宙を作ったんだと思う?」

弟が兄に尋ねている。

「さぁ、どうだか。少なくとも、文字通りに私たちが考えられないようなやり方であるはずだし、知る必要もない。主への疑いは最大の罪だよ。私たちはただアベルのようにひたすら主に供物を捧げればいい。父さんもいつもそう言っているだろう?」

碧眼黒髪の男はそう返す。彼は男を見ると軽く一礼し、すぐに弟の方に目を戻す。先ほど男が入ってきた門からは、地響きを鳴らす男が入ってきた。彼は、自分の数百倍はあろうかという異形じみた生物の死体を丸々背負って走っている。その持っていた肉を天空に放り投げ、自らもどこからか取り出した剣を支点として、兄弟2人に見せびらかすように中空を舞った。
[アベル〜]

[アダムの王宮]
彼らは人の活動が見られないほどに階段を降りながら話し始めた。
「即ち、1つの巨大な神が生まれる時、それに対して相反する神が同時に生まれる、ということだな?」

「概ねそういうことだ。私の知る中では多く調和と呼ばれている?私は平衡という呼び名のほうが好きだがね。」

「だな。平衡力。ならば、"主"にも平衡関係にある存在がいたというのか?」
その名を呼ぶことにどこか不快そうな様子を見せながら、アダムは聞く。

「勿論。ISと、IS NOTだ。これは誰がつけた名前でもない。彼らを知覚するだけで分かる、普遍的なものだ。その後に──」
彼は少しの間何を言おうか逡巡し、再び口を開いた。
「どうにかして、宇宙群が生まれた。私達が歩いているこの宇宙も、君がその冠を手に入れた宇宙も全てそうして生まれたものだ。そして次に、肉と機械の神が生まれてきた。その後の出来事は君が学んだことそのままだよ。」

「ありがとう。しかし、実際宇宙はどうやって生まれたんだろうな?ISとIS NOTの2等分された世界と、この星の数だけ宇宙と存在がある世界には大きな隔たりがある。」

そう疑問を呈され、名状しがたい視線でアダムを見た後、男は答えを返した。
「さあな?だけど、案外大したことない理由かもしれないがね。」

そう言い終わり、二人の足音が止む。

アウダパウパドポリスには、6桁の番号で表される住所があった。アダムたちの住む場所、"エデン"は、国の王として、00-00-01の番号を与えられていた。しかし、彼らが前に立つのは存在しないはずの住所。00-00-00。これは即ち、世界の王にその価値を認められた者のみが入れる場所ということだ。そして男は、まさにそれに適していた。

扉に手をかけた時、男は冷や汗が顔を流れ落ち、首から垂れるのを感じた。扉は特段重いわけではない。中に入ったら死ぬということもない。何度も開いたことがある扉だ。だが、ただただ、恐ろしい。

しかし何もなく扉は開く。普段は名だたる神性が腰を下ろす13ある楕円の円卓の、端の椅子に座った。毎回垂れ流される汗を拭き取るためだけに置いている、最高級の緋い羽から作られたハンカチを手に取る。来賓に腰を掛けさせた後、アダムは慣れた様子で彼と向き合う椅子に座る。

「ではだ、アダム。今回は何を知りたいんだ?」
彼は部屋に怯えているようには見えるが、アダムに対してはそうは見えない。

「"何"?違うよ、私は"全て"を知りたいんだ。なんたって私はまだ生まれて数百年しか経っていない若造なんだからね。学び盛りなんだ。宇宙の生まれた時の分子一つ一つの動きを知りたい。神々の動いた軌跡を知りたい。この天空の都が浮き上がった瞬間を知りたい。私が何から生まれどこへ行くのかが知りたい!なあ、ウィリアムズさん!教えてくれよ!」
アダムは円卓に手を付きそう叫んだ。彼の絶叫が狭い部屋の中で何度も跳ね返る。

「そこまで執着するのなら、図書館に行ってみるのはどうかね?」
男は、アダムの熱意に笑いながらそう返す。

「図書館。遥か彼方、次元を越えた先にある、主、あー、ISの司る知識の貯蔵庫かい?はた迷惑なことに、その知識の根源に向かうために必要な知識の欠片が存在する。そして、私は知らないんだ。」
アダムは俯き、そう言った。

「そうさな、もし私が鍵を持っていたらどうだ?ここで少しばかりの儀式をして、昇位して蜘蛛や海星の断面を眺めながらしばらくすれば、宇宙の中心に辿り着く。行く気はあるかい?」
男は軽くおどけたようなジェスチャーをしながらそう話す。

「なんだって?ああ、行くとも、行くともさ。そして、あなたがこの質問を一番嫌ってるのは知ってるが、それでも問わせてくれ。あんたは何者なんだ?あまつさえ王である私や幾多もの神々が知らないことをまるで見てきたかのように悠々と話し、更には図書館の鍵さえ持っている。」

「私が何者なのか、君に関係があるのかい?私はただ君の元に居て知識を与え、世界の秩序を保つだけさ。」


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執筆者: MrDrYTisgod
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最終更新: 29 Apr 2021 16:13
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