SCP-2XXX-JP - 犠牲トンネル(コンテスト参加作品)

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クレジット

タイトル: SCP-2XXX-JP - 犠牲トンネル
著者: ©︎taka-ryuu
作成年: 20XX

アイテム番号: SCP-xx-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-xx-JPを通過する県道███号線をカバーストーリー「土砂崩れ」を用いてSCP-xx-JPの少なくとも10m手前で封鎖し、通行を求める車両・人民が出た場合は迂回を促してください。また、今後その必要性が出てくればSCP-xx-JPを撤廃することも認可されています。SCP-xx-JPに関する調査・実験を行う際は可能な限り無人機を用い、直接人間が入る必要がある場合はDクラス職員に調査を行わせてください。

説明: SCP-xx-JPは、██県にまたがる県道███号線の最西端である細雪¹村の手前に位置する長さ約620mのトンネル²です。SCP-xx-JPは細雪村へ至る唯一の入り口ですが、細雪村は現在は廃村となっているとされており、ほとんど使用されることはありません。
しかし、近年一部の人民の間ではいわゆる「心霊スポット」として認知されており、SNSに「細雪トンネルに入る」と投稿した10代男性2名が行方不明になった事や、その後もSCP-xx-JPに入ったとされる人々が全員消息を絶った事から財団の目に留まり、調査されるに至りました。
SCP-xx-JPの異常性は、調査の結果入った全ての物質に、おおよそ400mほど進んだ段階で何らかの改変をもたらし、全活動を停止させる事と推測されています。また、300m地点からSCP-xx-JPの壁面や床にはしばしば「生き物のよう」と形容される人間や動物の筋肉・皮膚に酷似した未知の物体が見られるようになります。この物体の採取及び科学的な研究や証明は成功していません。
以下は、SCP-xx-JPに関する調査を行った際の記録です。

+ Dクラス職員を用いた探査ログ:xx-JP-1

探査ログ: xx-JP-1

対象: SCP-xx-JP

探査者: D-13365

<記録開始>

「このトンネルだな？なんていうか、嫌な雰囲気だぜ」

「じゃあ、入っていく」

「今、トンネルの中を前に真っ直ぐ歩いてる。薄暗い。照明が設置されてないようだ。俺に懐中電灯を持たせた先生は正しかったな」

「入り口から離れて、どんどん暗くなっていってる。それに…臭え。機械油と肉が腐ったような、変な臭いがする。」

(その後も、臭いを訴えながら300m地点まで進行)

「そろそろ300mか？どんどん臭いは強くなってるぜ。あと、空気が生暖かいぞ。気持ち悪い。」

「うっ⁉︎前方に何かある…。いや、壁だ。それに床…。一体化してるのか？なんだ、あれ」

「先生！床が柔らけぇ！壁から血が滴ってる…このトンネル死体で出来てるよ！…なんだって？特徴？壁が、壁がよぉ、肉でできてるんだ。床は犬やら猪やらの体だ。それぞれ肉が溶け合ってくっついて、壁や床に…なってるんだよ。」

(D-13365は嘔吐)

「…あ？更に奥へ(嗚咽)進むのか？冗談だろ？回収してくれよ。(嗚咽)俺は…もう無理だ。」

(20分程その場所にとどまり回収を要求するも、博士の説得により再度進行する)

「ぶにぶにした床を踏みしめる気持ち悪さが、先生にわかるかよ。イカれてる。俺も狂いそうだ。大概のクソみてぇな経験はしてきたつもりだったが…(嗚咽)生き物の腹の中を進んでる気分だ。ああ。」

(400m地点まで進行)

「…先生。俺はまだ生きてるよな？これは先生に届いてるよな？俺は…ヒトだよな？」

(D-13365は金切り声を上げる)

「先生！手が伸びてきた！俺をこのトンネルの一部にしようとしてるんだよ！目がみてる！笑ってる！俺もコレになるのか！」

(映像からも、D-13365を引っ張る手が確認された。D-13365の歩行スピードが低下。叫びながら走り始める)

「出口はまだかよ⁉︎くそったれ！あああっ！」

(600m地点まで進行)

「先生。出口だ。明るい。死にたくない。いや…死なないんだろう。もし出れなければ、こいつらの一部として生き続けるんだろう。嫌だ。もうすぐ…出口なのに」

<記録はここで途切れた>

補遺: 財団は細雪村こそがSCP-xx-JPの異常性を解明する鍵であると考え、ヘリコプターを用い細雪村に入ることに成功しました。
細雪村側から見たSCP-xx-JPの入り口は、そのほぼ全てが人体や犬・猫などの動物の体の一部とみられる物体で構成されており、天井部分にはD-13365の頭部に似た物体も確認されました。
また、細雪村には崩壊した家屋や荒れた畑が立ち並んでおり、人の居住できるような環境ではありませんでしたが、「メイコ」と名乗る90代と思しき女性一人を発見、保護しました。
以下はメイコ氏へのインタビュー記録です。

+ インタビュー記録:xx-JP-1

対象: メイコ氏
インタビュアー: カジノ研究員

<録音開始>

カジノ研究員: こんにちは、メイコさん。財団に協力して頂けるとお聞きしました。インタビューを行っても？

メイコ氏: もちろんよ。それが…彼女の供養になるかもしれないもの。

カジノ研究員: 彼女、とは？

メイコ氏: サヨちゃん。村の英雄であり、悪魔でもあり、私の友達でもあったわ。

カジノ研究員: それは、一体どういった…

メイコ氏: もう80年も前になるかしら。細雪村は山に囲まれた地形でしょう。村の外に出るには登山道が一つだけ。とても険しい道よ。

カジノ研究員: そうですね。しかし、登山道については容認していませんでした。

メイコ氏: 当たり前よ。土砂崩れでとっくの昔に塞がったわ。細雪村の土は柔らかくて、土砂崩れも珍しくないの。昔からね。そこで、トンネルを掘ろうって話が出たのね。

カジノ研究員: そうでもしないと村から出ることができないわけですね。

メイコ氏: そう。でもやっぱり土砂崩れが問題で…。何度掘っても崩れちゃうのよ。それで…人柱を、立てようって。

カジノ研究員: 生贄ですか。もしかしてその人柱が＿＿＿

メイコ氏 サヨちゃんだったわ。不思議な子よ。自分が死ぬ前の日まで笑ってた。明るい子だったけど。あんまりふつうにしてるから、実感が湧かなくて…気がついたときには、彼女は土の中に入っていって。

カジノ研究員: お辛いでしょうが、続きをお願いできますか。

メイコ氏: ええ、…その年の工事で、トンネルは完成した。土砂崩れは起こらなかった。でも…結局私たちは外に出られなかった。

カジノ研究員: なぜでしょう。

メイコ氏: トンネルに入ると、体が引っ張られて、トンネルの一部に、なってしまうの。きっとサヨちゃんが関係してるわ。何人もトンネルから出ようとしたけど、誰も半分も進めなかった。補強してるのよ。

カジノ研究員: 補強ですか。

メイコ氏: トンネルを補強してるの。材料は問わない。サヨちゃんが頑張ってるのか、怒ってるのかはわからないけれど。みんな、トンネルの一部になるか、心を壊すかして死んでしまったわ。生き残ったのは私だけ。サヨちゃんの友達だった私だけ。これは偶然かしら。私はサヨちゃんを弔いながら生きてきたわ。でも、何人か、外側から入ってしまったみたいね。犠牲は増えてしまった。あなたたちがトンネルを封鎖してくれたのは有難いこと。

カジノ研究員: …なるほど。ご協力ありがとうございます。またお話を伺いますね。

メイコ氏: はい、ありがとうございました。

<録音終了>

Footnotes

1. 「ささめ」と読む

2. 正式名称は細雪トンネル

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  批評コメント批評コメント

  
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  surou 24 May 2020 08:48

  なんとなく私的に好きなSCPです。
  「細雪村は今や廃村となっているとされており」ではなく
  「細雪村は現在は廃村となっているとされており」のほうがいいかなと思います。
  まだ1日目の新米ですが深い感覚に陥るので好きです。

  taka-ryuu 24 May 2020 12:00

  surou様批評ありがとうございます！
  ご指摘の通り「今や」を「現在」に改稿させていただきました。
  また、前述の改稿時に気づいた

  ・構文ミスで表示されていなかった「先生！床が波打ってる！壁が呼吸してる！生きてる！このトンネル生きてるよ！…なんだって？特徴？壁が、壁がよぉ、肉でできてるんだ。床は犬やら猪やらの体だ。それぞれ肉が溶け合ってくっついて、壁や床に…なってるんだよ。」を追加
  ・メイコ氏へのインタビューで、メイコ氏が「あの子への供養」といっているのに研究員が「彼女、とは？」と返しているのが不自然だったので修正

  などの改稿を行いました。

  まだもう少し、批評をいただきたいです。

  From: 批評エキスパート

  yzkrt 24 May 2020 14:17

  無人機を用いた調査ログ:xx-JP-1

  内容が説明と同じなのでわざわざ実験でする必要性を感じませんでした。

  インタビューはhttp://scp-jp.wikidot.com/standard-templateを参考に整えてください。

  (1時間程その場所にとどまり回収を要求するも、博士の説得により再度進行する)

  少し長く粘りすぎだと思います。

  異常性の根幹がSCP-002と同様であると思いました。インタビューがあるのである程度の差別化は行えるとは思いますが、まず異常性の方をある程度差別化していく必要があるでしょう。インタビューはあまりいじらなくともなんとかなるとは思いますが、残すのであれば、探査記録も異常性の差別化のために書き換えた方がよいでしょう。

  また、最後の文章は完全に職員の私見であり、報告書に乗せるには少し深い切込みが足りないと思いました。現状の内容であれば削除した方がまとまるでしょう。

  Re: From: 批評エキスパート

  taka-ryuu 25 May 2020 02:18

  批評ありがとうございます！
  現時点で改稿できる、

  ・1時間→20分(Dクラス職員のゴネ時間)

  ・最後のカジノ研究員の言葉の削除

  ・無人機探査ログの削除

  の部分を改稿しました。

  + 異常性の改稿について

  SCP-002との類似性をご指摘いただき、作品のコンセプトとした「人柱が補強しようとする余り犠牲が増えるトンネル」をそのままに考える事となり、壁にぶち当たりました。
  物質を建材に置換する異常性も考えましたが、かえって002感が増してしまう気がします。
  yzkrt様でなくても、これを読んでいただいた方は第三者からのご意見を発信していただけるとうれしいです。

  最後の編集 25 May 2020 03:43 by taka-ryuu さらに表示

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