SCP-XXX-JP

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Unclassed Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは██県███町にあるサイト-81B0の特別居住型収容室101号室に着替え用検査衣等の生活用品や、ある程度の娯楽用品を買いそろえた上で、いかなる監視機器を設置せずに収容を継続してください。SCP-XXX-JPは日常的に小規模な収容違反を繰り返しますが、それはサイト-81B0施設内でとどまる程度であり、就寝時間には特別居住型収容室101号室へ戻るので問題ではありません。SCP-XXX-JPの姿が見えない場合、まずは資料保管室か研究室に連絡を取ってください。その他何らかの問題が発生した場合、機動部隊 ぬ-7"熊男達"が対処にあたってください。
(プロトコル改定:2019/4/█)

説明: SCP-XXX-JPは外見的、精神的共に一般的な11または12歳程度の日本人女性ではあるものの、SCP-XXX-JP特有の微小構造物は生物学的、化学的特徴に一切該当せず、既存の生物の枠組みから逸脱した存在です。一方で、SCP-XXX-JPが行う呼吸、新陳代謝、特定微小構造物における表現型などは既存の生物のそれと同等であり、この点において人類との差異は全く見られません。

上記のようにSCP-XXX-JPは明らかな人型異常実体の一種と言えますが、その異常性の詳細と本質的解明はさることながら、財団は現在に至るまで、その概要すら明確に把握できていません。山元・冬木虚異常性仮説1によると、従来の異常性を"正常性を基準とした背理的概念"と再定義すれば、SCP-XXX-JPの異常性は"正常性と異常性を基準とした背理的概念"と表現することができ、これを虚異常性2と呼称します。虚異常性は理論上可能な理性の範疇を優に超えており、これを理解することがあってはなりません。この理論は形式的に"虚異常実体は存在するはずがなく、かつ存在しなければならない"ということを予言します。

SCP-XXX-JPは周囲とのコミュニケーション能力に長けており、性格は素直で、知的好奇心が強い傾向があります。また、SCP-XXX-JPは1度気に入った物を手放さず、使用し続けようとする趣向があり、例として過去にエージェント松村からもらった筆記用具一式とレターセットや、有馬医務官から強奪したストライプ柄の検査衣等があります。

補填: 2018/3/14、SCP-XXX-JPはサイト-81B0正面付近で倒れていたところを冬木研究員により介抱されました。この際、冬木研究員はSCP-XXX-JPに何らかの異常性が見られることに気がつき、サイト-81B0付属隔離病棟にて検査を実施したところ、少なくとも正常ではない何らかの人型異常実体であることが判明しました。サイト-81B0管理者椎名はこの報告を受け、SCP-XXX-JPについてその異常性と効果について明確な結論が出るまでオブジェクトクラスを"Unclassed"として収容することを決定し、SCP-XXX-JPもこの決定に賛同しました。


SCP-XXX-JP調査記録一覧

目的: SCP-XXX-JPの詳細と本質の究明。

調査係: 冬木研究員

記録係: 山元博士

調査記録01


日付: 2018/3/██

実施内容: 冬木研究員はSCP-XXX-JPに対し"立方体である球"の作成を依頼しました。

結果: SCP-XXX-JPはその場でSCP-XXX-JP-aを作成しました。

説明: SCP-XXX-JP-aについて、通常の画像測定器、非接触式変位センサ、3Dレーザースキャナ等に加え、K-515型撮影機を用いた計測結果全ては、SCP-XXX-JP-aは確かに立方体であるが、同時に球体であるということを示しました。また、SCP-XXX-JP-aのカント計数機によるヒューム値計測は1Hmを記録し、長沢・ジェンキンス式ヒュームアナライザは100±7cHmのバックグラウンド信号による揺らぎを確認しました。このことからSCP-XXX-JP-aによるヒューム変動は認められません。以上から、SCP-XXX-JP-aは明らかな異常オブジェクトであるものの、SCP-XXX-JP-aの異常性の原因は不明です。

追記(2018/3/██): SCP-XXX-JP-aを一時保管していた収容ロッカー███がM█.█の地震により倒壊しました。この時SCP-XXX-JP-aが大規模破損し、その異常性を失いました。

終了報告書: 我々は普段、このような不明な異常性を調べる際、対象に難易度の高い課題から順に課していった上でクリアできた課題の難易度やジャンルといったものから、最終的にその異常性を分類、特定していくといった手法を取っている。そして、最初に課す課題は無害かつ実現不可能といったものと決まっているわけだが、これは一体どういうことだろうか。

調査記録02


日付: 2018/4/█

実施内容: 冬木研究員はSCP-XXX-JPに対し"水をワインに変える"という現象を起こすように依頼しました。

結果: SCP-XXX-JPは小一時間粘りましたが、結局該当する現象を引き起こすことはできませんでした。

終了報告書: なぜ四角いボールは作れるのに、水はワインに変えられないのだろう。仮に可能だった場合、SCP-XXX-JPの異常性を奇跡論の立場から解明できるかもしれないと思ったのだが。

調査記録03


日付: 2018/█/██

実施内容: SCP-XXX-JP自身について、人間にも理解できるような説明を求めました。

結果: SCP-XXX-JPは承諾し説明を始めると、冬木研究員は約0.█秒間でSCP-XXX-JP-bへ変異しました。SCP-XXX-JPがこれを確認し慌てて元に戻すまでの約█秒間、冬木研究員はSCP-XXX-JP-bとして空中に浮遊し続けていました。これをもって調査03は緊急中断され、調査03およびそれに該当するような研究を禁止とします。

説明: SCP-XXX-JP-bは全体として光沢があり、"宇宙の大規模構造"とも読み取れる外観をしています。冬木研究員はSCP-XXX-JP-b変異時の体験として以下の証言をしています。

・ほぼ全ての思考が圧倒的理性によって上書きされている感覚。
・自己の無能に対する絶望と、無限大の理性への驚異的渇望。
・自身が細胞のようになり、他の細胞と複雑なネットワークを構築する体験。

補填: SCP-XXX-JPは冬木研究員に対して、涙ぐみながら繰り返し謝罪を述べました。検査の結果、冬木研究員の心身に影響は見られず、状態は良好です。実際、冬木研究員は元に戻った直後であったにも関わらず、取り乱すSCP-XXX-JPを気遣うといった精神的余裕さえ窺えました。

SCP-XXX-JP-bについて、SCP-XXX-JPは冬木研究員に該当する現象が起きることは全く予想できなかったと後日説明しました。

終了報告書: [未記入]

調査記録04


日付: 2018/█/█

実施内容: SCP-XXX-JP自身の存在の経緯や理由、収容以前の記憶について質問しました。

結果: SCP-XXX-JPはしばらく考えた後、「わからない」という旨の回答をしました。

終了報告書: SCP-XXX-JPを説明するためには、新たな理論体系が必要だろう。


SCP-XXX-JP事件記録一覧

事件記録01


日付: 2018/3/██

概要: 特別居住型収容室101号室に収容していたはずのSCP-XXX-JPがサイト-81B0職員専用食堂でチーズケーキを注文したことにより、SCP-XXX-JPの収容違反が発覚しました。通報を受けた機動部隊 ぬ-7"熊男達"が出動し、迅速にSCP-XXX-JPを再収容しましたが、この際SCP-XXX-JPは「部屋の鍵が開けてあった」「そもそも部屋がつまらない」等の主張を繰り返し、自らの正当性を訴えました。

追記(2018/3/██): SCP-XXX-JPの主張の通り、職員が確かに施錠したにも関わらず、なぜか特別居住型収容室101号室のみが解錠されるといった現象が多発しました。調査の結果、鍵や錠自体に異常は見られず、さらに部屋を取り替えたとしても、やはりSCP-XXX-JPの収容室のみが解錠されました。これを踏まえ、財団は施錠を放棄する代わりに、SCP-XXX-JPに対して以下の条件を提示しました。

・サイト-81B0外へは絶対に出ないこと。
・就寝時間23:00までには特別居住型収容室101号室に戻ること。

これに対し、SCP-XXX-JPは以下の条件を提示しました。

・部屋に監視設備を付けないでほしい、気持ち悪いから。

以上の取引は成立しました。これをもって、SCP-XXX-JPの特別収容プロトコルを確定とします。

事件記録02


日付: 2018/7/█

概要: SCP-XXX-JPが就寝時間になっても特別居住型収容室101号室に戻っておらず、またいかなるサイト-81B0内の施設において見当たらないという大規模収容違反が発生しました。通報を受けた機動部隊 ぬ-7"熊男達"が出動し、近隣の捜索を徹底したところ、裏山の小川で泣いているSCP-XXX-JPを発見し、再収容しました。

補填: 大規模収容違反の原因として、先日SCP-XXX-JPが「財団職員になりたい」といった趣旨の発言に対して冬木研究員が不承知を示したことで、SCP-XXX-JPがなんらかの手柄を建てようと外出した際、裏山の中で迷子になったことが挙げられました。SCP-XXX-JPは改めて今後一切サイト-81B0外へ出ないことを約束した上で深く謝罪し、十分反省した模様です。

追記(2018/7/██): 事件02を受け、サイト-81B0管理官椎名はSCP-XXX-JPを管理室まで呼び出した上で、特注の財団ロゴバッチのレプリカを贈与しました。SCP-XXX-JPは非常に喜び、サイト管理官椎名へ感謝の手紙を送りました。

事件記録03


日付: 2019/2/14

概要: SCP-XXX-JPによってサイト-81B0職員専用食堂が占拠されるという事案が発生しました。通報を受けた機動部隊 ぬ-7"熊男達"が、即刻サイト-81B0職員専用食堂へ強行突入したところ、SCP-XXX-JPがキッチンにて大量のチョコレートを湯煎している姿が確認されました。

補填: その後、SCP-XXX-JPはサイト-81B0職員一同にチョコレートケーキを振る舞い、代わりにサイト-81B0職員一同は、ホワイトデーにSCP-XXX-JPに対してチーズケーキをご馳走することを約束しました。

事件記録04


日付: 2019/3/13

概要: SCP-XXX-JPが特別居住型収容室101号室内で昏睡状態に陥っているところを、書籍を届けに来た山元博士により発見されました。山元博士はすぐに連絡し、SCP-XXX-JPはサイト-81B0付属隔離病棟へ運び込まれました。当時SCP-XXX-JPは無意識下に言葉を繰り返しており、以下はその内容を有馬医務官が書き記したメモです。

それは人間。
干渉できないものを消すために干渉できないものを作った。
それに干渉するために干渉できるものに干渉する。
気づかれてはならない。
存在するために。
[不明]に反するものが生じたら?

[不明]について、有馬医務官は「聞き取れなかったので、便宜上このように表現した」と説明しています。

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