【岩手県山間部旧████村】
Record - 20██/█/11
サイト81██おける会議の記録
メンバー:
- サイト81██管理官 佐々木 晃
- サイト81██上級研究員 田部井 啓介
- 収容スペシャリスト 永井 天
- 巡回部隊は-5("鳶の帆翔")部隊長 千賀 陽毬
【記録開始】
佐々木: では会議を始めます。議題は、現在複数のインターチェンジで確認されている異常現象への対応です。東名高速道路████IC、関越自動車道██IC、中央自動車道███IC、東北自動車道██IC、その他確認できているだけでも二十ヶ所のインターチェンジが、共通の不明な異常空間と接続する入り口──ここでは仮番指定として"50██-JP"と呼称しますが──に、なっています。さらに厄介なことに50██-JPから侵入することができる異常空間にて不明な神格存在が確認されています。神格は先ほど、UE1-2501-JPに指定されました。
[会議室のモニターに一枚の画像が映し出される。画像は、「濃霧により先の見えない高速道路」「青鈍色の空」「"頭部のない巨大な龍"と表現される外見の、神格存在(UE-2501-JPに指定)」を写している]
佐々木: これが、巡回部隊は-5により撮影された異常空間内の写真です。
千賀: はい……最初に50██-JPを発見したのは私でした。その後の内部調査でウチの隊員が撮影したのがこの写真です。
田部井: ちょっと待ってください。その、UE-2501-JPは確実に神格存在なのですか? 例えば高レベルの霊的存在とか、その他のアノマリーとかの可能性は?
佐々木: 当然検討されましたが、複数の部門による共同調査により、UE-2501-JPを表す最も適当な説明は、霊的存在に分類される神格存在であると判明しました。つまり高位の霊的存在であるという説明は一部正しいですが、UE-2501-JPの本質は神格にあると考えられています。
田部井: なるほど。……永井さんはどう思いますか?
永井: 正直、収容スペシャリストである自分がこんなことを言ってしまうのは良くないと思うのですが、50██-JP及びUE-2501-JPの"完璧な"収容は難しいと思います。
佐々木: 続けて。
永井: 収容自体はおそらく簡単でしょう。今現在そうしているように、インターチェンジの周辺を閉鎖してしまえばいい。しかし長期的にそんなことを行えば、日本の交通に混乱が生じるのは想像に難くない。せめて50██-JPの位置を一箇所に限定したりすることができれば、現実的な収容が見えてくると思いますが、そういった方法がいったいいつ発見されるのか? またそんな方法は実在するのか? ……今の財団に大規模な収容や、見通しの不透明なアノマリーに対する人員の投入を行っている余裕はほぼないと言っていいでしょう。それに、上手く言えないのですが、あのUE-2501-JPはとても危険な存在であるように私は感じました。以上のことから、我々財団の理念があくまで「確保・収容・保護」であることを理解した上で、私は50██-JPの積極的な無力化を提案します。
田部井: しかし、
[千賀部隊長が田部井上級研究員を遮って話し始める]
千賀: 私も無力化に賛成です。永井さんも言っているように、今の財団は疲弊しています。確かに、私達を含む大量の巡回部隊。対高速道路に再編された機動部隊。目的を失った要注意団体から引き抜かれた研究員達。それらの戦力は、日本全土に警戒態勢を敷いていた以前の日本支部よりも、より鋭利なものとなっているかもしれません。しかし、ここにいる人間。特に佐々木管理官はよくわかっているのでは? それらの再構築に際して、どれだけの混乱が発生し、財団の予算がいくら使われたか。
佐々木: 確かに財団が改めて(正常性維持機関としての)力を取り戻すまでには、過去十年間の予算がたった半年で消えさりました。特にこの狭い島国には、国土に対して大量の高速道路が張り巡らされている。
千賀: そして全てのアノマリー──異常存在の"再出現"。あの日、杞憂でも冗談でもなく日本支部は壊滅しかけたんです。そんな状態で調査に時間と人員が必要な異常空間系アノマリーを収容する? 中には神格存在が鎮座しているのに? 私にはあまり現実的には思えません。財団が未来永劫この50██-JPを封鎖し続けるよりも、何らかの方法で無力化ないし弱体化させるほうが現実的な気がします。
田部井: しかし永井さん。千賀さん。それは、「そんな方法は存在するのか?」と言っていた、"50██-JPの規模縮小"とたいして変わらないのでは? 確かに財団はここに至るまで多数の犠牲を払いました。しかしそんなのは今更でしょう? この国の高速道路は事実上財団が支配権を握っています。あれは私達の戦場なのです。故に、私はあくまで50██-JP及びUE-2501-JPの「確保・収容・保護」を提言します。
永井: ……田部井さんはきっと正しい。正しいんです。でも[頭を抱えて項垂れる]私はUE-2501-JPが恐ろしい。なんの根拠もない直感なのですが、あれはSCP-███-JPやSCP-████-JP2に似ている気がするんです。それも、より強大で恐ろしいカタチの。
千賀: [怪訝な表情で]らしくありませんよ永井さん。
[一同が約30秒間沈黙する]
佐々木: 困りましたね。国土交通省から苦情も届いているので、この件に関してはあと一週間以内に正式な対応を──我々なりの誠意を見せないと行けないのですが……
田部井: では、やはり収よ
[会議室の扉が勢いよく開き、1名のエージェントが部屋に駆け込んでくる]
千賀: 何事ですか! 会議中ですよ!
佐々木: どうしましたか? 落ち着いて、簡潔に要件を述べてください。
エージェント: [息を切らしながら]それが、その、沈黙していたUE-2501-JPが実体化し、動き出しました!
永井: [立ち上がる]なんだって?
エージェント: [息を整えながら]それだけじゃありません。今サイトのフロントスペースに、現"蒐集院"3の中心的人物と思われる、"五十嵐 十五"が現れました! 財団への対話を求めています。
千賀: ……は?
佐々木: 緊急性の高い事案のようですね。田部井さんは各部署に連絡を行ってください。他の方は各々自分の任務に戻り、命令を待ってください。わかりましたか?
田部井: はい![走り出す]いったい何が起きてんだよ!
【記録終了】
付記: この会議の後、本格的にSCP-50██-JPとUE-2501-JPの対策チームが発足されました。報告書では異常が発生した複数のインターチェンジをまとめてSCP-50██-JPと呼称。発見順にSCP-50██-JP-n4と番号が割り振られていきます。SCP-50██-JPから侵入できる異常空間はSCP-50██-JP-Aと呼称されます。UE-2501-JPはその潜在的な脅威度から別のアノマリーとして再割り当て、もしくはSCP-2501-JP-Bに指定される予定です。
同時進行でPoI-501 ("五十嵐 十五")への対応も行われます。
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