あほげ講座--あほげ型オブジェクトとオブジェクトクラス

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「この度は、私のために時間を割いてくれてありがとう。今回君達に集まってもらったのは他でもない、君達の新たな研究対象について、こちらからある程度説明するためだ。あほげちゃんの収容および研究にあたって、現在までに私が調べた成果を共有しておいた方がいいだろうと思ってね。私はね、財団のことは信用しているんだ。何せ今まで何処の研究施設も取り合ってくれなかったのを、共同研究してくれた上にこの私を雇ってくれたんだから。だからね、そちらがあほげちゃんの保護を認め続けてくれる限りは、私は組織の人間として働くことを惜しむつもりはない。私の持つデータを、あほげちゃんのために有効活用してくれたまえ。うん、あほげちゃんについては私の方が先輩なんだから、心して聞くといいよ」

「まず、君。あほげちゃんは大きくわけて2種類あるというのはもう分かっていただけたかな?……そう、ならばよろしい。事前に配布した資料の通り、あほげちゃん……ここでは通例に則りあほげ型オブジェクトと言うんだったな、全く腹立たしいことだが……には、自然発生型と寄生型の2種類がある。しかし、それらは元を辿ると、全て自然発生型のあほげちゃんに集約するのだ。そしてこれを説明するには、あほげちゃんがそもそもどのようにして生まれるのか、ということについて考える必要がある。

……君達も知っている通り、「あほ毛」とはその宿主の自我があふれ出て頭頂部に形成される毛束の総称だ。これがあほげちゃんの前身である。ええとなんだって、質問?勿論大歓迎だとも。……自我というのは、自律した意思のようなもの、という解釈であっているか、なるほど、いい質問だ。ここで言う自我とは、一般より少し広義な用語として用いられているものでね。そうだな、アイデンティティという言葉の拡張版と捉えてくれればいいだろう。そのものを「個」たらしめる意識、感情、思考などを、私は「自我」と呼称しているのだよ。そしてこれは、量の概念を持つものでもある。人は誰もが、これらの感情や自己発現欲を溜め込むための器を持っているのだが、そこからあふれたものが、「あほ毛」として顕れるわけだな。この答えでよろしいだろうか?よし、それでは話を続けよう。

何らかの原因、例えば宿主の死などによって、宿主の頭頂部から切り離されるとはじめて、あほ毛はあほげちゃん……あほげ型オブジェクトになる。ただし例外もあってね。あまりにあほ毛に流入する自我が多いと、まるで宿主の自我があほ毛に吸われてしまっているかのような現象が起こる。このようなあほ毛は、宿主を通して他者に何らかの影響を与えるケースが多いから、その異常性を見逃したくないのであれば発見次第こちらから刈り取って確保するべきだろうね。まあ、あほ毛に自我を乗っ取られるケースは非常に稀であり、ほとんどの場合、あほ毛が人に影響を与えることはまずないのだが。まあこうした危険性もないわけではないからね。私はこれまで独自に調査を進め、あほ毛リストを作成し、それぞれのあほ毛にランクを付けてそれらの監視を行ってきた。君がもしこの活動に興味があると言うなら、そのコピーを後日差し上げよう。

ここまでで質問はないかい?……グレィト。それでは次にいこうか。あふれた宿主の自我の量は、あほげちゃんの勢いの良さやあほげ力……そうだな、ここの人間に分かりやすく言うならば……あほげ型オブジェクトのオブジェクトクラスに直結する。あほげちゃんに流れ込んだ自我が多ければ多いほど、あほげちゃんは強い自我を持つことになり、人に対して強い影響力を持つようになるのだ。そしてこのことは大抵の場合、財団の理念である確保、収容を妨げる要因となる。あほげちゃんは可愛いけれど、やんちゃなのも困りものだね。

さて、この自我の量を決めるのが、宿主の自我の総量そして……こちらが見落とされがちなのだが……、宿主の自我の器の大きさだ。自己主張の弱い宿主であっても、自我の器が小さいと、人に影響を与えるあほげちゃんを生み出してしまうことがある。むしろこういうあほげちゃんの方が発見は難しい。何故か?自我の強い人間とは、良くも悪くも、メディアに取り上げられることが多いだろう。そうして私の目に触れることがあれば、こちらも把握することができる。しかし自我の弱い宿主のあほ毛は、そうやって人の目に晒されることは滅多にない。そして彼らの宿主達が自我の器に溜め込むものは何だ?日頃の鬱憤、ストレス、まあ大抵良いものではないな。そういうものが溜まりに溜まったあほ毛があほげ型オブジェクトとなる時、周囲には「良くない」影響を与えかねない。君だってあほげちゃんが人々を苦しませるところなんて絶対に見たくないだろう?そのような事態を食い止めるためにも、一般社会に潜伏しているエージェント等にあほ毛判別の訓練を受けさせたいと考えているのだが……まあそれはさておきだ。このように、どのようなあほげちゃんになるかは、あほ毛に流れ込む自我の量によって決まるという訳だ。

ここからはもう少し具体的に見ていこうか。私が独自に定めたあほげランク別に、それぞれのあほげちゃんの性質について説明していこうと思う。……寄生型あほげちゃんはどうしたって?……まあまあ待ちたまえ。急いても何もいいことはないよ。

まずは最も自我の弱いランク1のあほげちゃんからだ。彼あほげ等は自我が弱い、というよりはほとんど自我の残っていないあほげちゃんでね。まあ、いわば抜け殻のようなものさ。本来自我の残っていないあほげちゃんは、あほ毛の形を保てずに消滅してしまうはずなのだが、時々何らかの原因によってあほげちゃんとして残ってしまうことがある。これがランク1のあほげちゃんだ。財団で言うところの、アノマラスアイテムに相当する、といえば君達もわかるかな?自我がほとんど残っていないから、外界に対して影響を与えることもない。収容方法も至って簡単だ。手間のかからない観葉植物という表現は、私としてはいささか不満ではあるが、的を射ていると言えるだろう。しかも、本来は消えてしまうはずのあほげちゃんだからね、あほげ型オブジェクトの中でもアノマラスあほげ型オブジェクトは、ごく少数なのだよ。しかしそれでいて最もその誕生に謎を残している、とても興味深い子たちだ。

さて次はランク2のあほげちゃんだね。収容されているあほげ型オブジェクトの中では、Safeクラスオブジェクト全てと、一部のEuclidクラスオブジェクトがこれに該当する。このランクのあほげちゃんは、個あほげとしての確固とした自我を持っている訳ではない。宿主の強い自我の「名残」が、そのようにあほげちゃんを見せているだけなんだ。だからこのランクのあほげちゃん達の特徴としては、影響を与えられる条件が限られていたり、暴露者に現れる影響がとても固定的であったりと、どこか柔軟性にかけている点があげられる。自前の自我ではなくインストールされたプログラムによって動いているようなものだからね。プログラムにないことは出来ないんだ。つまり、そのプログラムに沿って対処してやれば、完全な収容もそう難しくないというわけだな。

問題はその先、ランク3、ランク4のあほげちゃん達だろう。彼あほげ等は完全に個あほげとしての自我を有している。特にランク4のあほげちゃん……そう、そうだ、この子達が「寄生型」のあほげちゃんだ、この子達は個としての強力な自我を得ることで生みの親の頭を離れ、他の人間の自我を侵食してその頭頂部に寄生する。通常のあほげちゃんの場合であれば、他の人間の頭に根付いても、その宿主の自我に負けてしまいあほげちゃんとしての自我は徐々に衰退していくのだが、ランク4のあほげちゃんほどになると、逆に宿主の自我に根を張って自らの糧としてしまうのだな。そうして宿主の自我を全て吸い取ってしまうと、また新たな宿主に乗り移る……。本当に困ったちゃん達だ。いや、そもそもそんな子達を生み出す人間の自我だのエゴだのが悪いのか?まあ兎にも角にも、現在財団はあほげちゃんに「苗床」を与え、収容違反を防ぐため他の人間は近づけさせないようにするという手段を以て対処しているが、これでは根本的解決には至らないことは君にもわかるだろう。なぜなら今のままでは、「苗床」を用いて脱走された場合に、こちらは完璧に対処するプロセスを未だ持ち合わせていないからだ。幸いなことに、今までに確認されているランク4レベルのあほげ型オブジェクトは全てここに収容済みであり、また、先程説明した収容法の他に、それ等について個別対応の特別収容プロトコルも確立されている。だからと言って安心できるわけでは勿論ないがね。

さて、ざっとあほげ型オブジェクトについて説明してきたわけだけれど、何となくでも分かっていただけたかな?あほ毛持ちの人間が急増している現在、比例してあほげ型オブジェクトも数を増やしていくと予想される。だからこそ、いつか彼あほげ等の存在によって社会に混乱がもたらされることのないように、我々は日々安全で確実な収容方法を模索していかなければならないのだ。我々のためにも、あほげちゃんためにもね。「確保、収容、ほげ」1という素晴らしい理念がここにはあるのだから、この完璧な遂行を目指そうじゃないか。」


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