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いかにも旧式といった輸送用小型レシプロ機の狭いキャビンの中、肉切り包丁のストーンは向かい合わせに座る闇親方の顔色を伺う。ガタガタと揺れる機体はお世辞にも乗り心地が良いものではなく、エンジン音が重く高く腹の底を揺さぶり続けている。
闇親方はいつものごとく不機嫌そうな表情ではあるが、目を閉じて席に身を任せた自然体、その姿に苦痛の色はない。込み上げかかった胃液をなんとか押さえつけつつ、ストーンは己の未熟を恥じた。それはそうと、この便を手配した連中には後で一言苦情を入れてやろうとも誓った。

コクピットとの仕切り板ががらりと手で開けられ、端麗な顔立ちをしたアジア人パイロットが大声を上げる。

「到着まであと30分!天気よくないからね、荒っぽくなるかもですだよ」
「今更の話だ。こっちは荷物と思ってくれて構わねえ」
「あいあいー」

ピシャリとドアが絞められた後で、闇親方は窓の外を見る。延々と続いた海原の彼方、薄く砂色の大地が見て取れる。アフリカ某所の砂漠地帯。通常の旅客機が飛び交うルートとはかなり外れた目的地。海風が巻き上げる砂塵が厚く立ち込めたベールの中へと、闇親方とストーンは進入していく。

やがて一際音を高くしたエンジンが、ふと沈黙する。停止したと錯覚するのは束の間。墜落と勘違いするような急降下によるアプローチ。壁一枚隔てた外側でぞっとするような軋みを立てながら、広げられた翼が風をはらんでたわむ。しかし思ったよりも小さな衝撃と共に、機体は地面に舞い降りた。コンクリートでさえない、砂地に鉄板を敷き詰めたような滑走路だ。激しい縦揺れと共に、飛行機は減速し、急造と思しき駐機場へ向かう。安堵の溜息を漏らすストーンに、闇親方は口の端をゆがめて言った。

「財団の野郎ども、いけ好かない連中だが、人選は確からしい」
「順調な旅路ではありましたが、さてはて、この先が思いやられまするぞ」
「ちげえねえ」

アフリカ北部某所。通常の交通手段では直通便が存在しない中、この便を手配したのは闇寿司内でマナ財団と呼ばれる連中だった。慈善団体とのことだが、こんな紛争地帯にまで到達するルートを二日と経たず用意して見せた。しかもパイロットの腕は一流。キナ臭いことこの上ない。

ついでに言えば、日本から出るときに使用した旅券と航空券は使命は勿論行先まで偽造されていた。係員に一切怪しまれなかったということは───。その素性に考えを巡らせてしまうストーンを置いて、闇親方は一足早くシートベルトを外している。さっさと機外へと出てパイロットと帰りの打ち合わせを始めたボスを、ストーンは慌てて荷物を引っ掴んで追いかける。


切っ掛けは、一通の封書だった。

マナによる慈善財団の青少年支援プラン」
『恵まれない紛争地帯の子供たちに食と遊戯を届けませんか?』

最初はこの文書が何なのか誰にも分からなかった。体裁はよくある海外ボランティアの募集チラシのようだったが、内容は闇寿司たちが回すスシのことを把握しているとしか思えない内容であり、ご丁寧にプログラム応募規定や用紙が一式添えられていた。

手の内を知られているなら、飛び込んで情報を掴む方がいいだろう。会合において発せられた闇親方の言葉に表立っての反対は無かったが、幹部を始めとした構成員から参加の手を上げる者は中々現れなかった。一人、エッグカッターのランを除いては。卵を用いたスシ全般を得意とする若い四包丁。実力は確かだが、荒事がどうも苦手な男でもあった。

「俺、紛争地帯とかよく知らねえんですが、今は休戦ってことになってるんですよね」
「ああ。危険なことには変わらねえが、一応前線から外れた村が対象ってことになってやがる」
「腹空かせた子供らに、色々食わせてやるんでしょ? なら俺の100のタマゴ寿司レシピが、絶対役に立つんじゃねえかって。親方、行かせてくれませんか」

真摯なまなざしに、周囲からはヤジが飛んだ。

「お前さん、調味料変えただけで違うレシピって言い張ってるじゃねえか。炒り卵とスクランブルエッグ何が違うんだよ」
「あああん!? 全然違うだろうが、このすかポン!」
「外国だろ? 生卵使うスシ全滅じゃねえか」
「るっせえ、鮮度のいい卵産む鶏ごと連れて行きゃすむじゃねえかよ」

収拾が付かなくなりそうなところを、闇親方は一睨みで静めた。

「闇寿司にとって、この世界はまだ未知のことだらけだ。ひよっ子だ。だから手探りで進めていくしかねえ。蘭丸」
「は、はい!」
「ネタは最初運び込むしかねえだろうし、向こうの情勢も信用出来たもんじゃねえ。だから、無茶だけはするな。危ないと思ったら逃げて、必ず帰って来い」
「あ、ありがとうございます、親方!」

その後、マナ財団との調整は支障なく進み、半年後にエッグカッターのランは日本を発った。
一度回せるように加工したスシは腐ることがない。それを荷物一杯に詰め込んでの旅立ち。道中も大過なく、マナ財団のバックアップもあってか、現地での立ち上がりは上々である旨の連絡が届くようになった。デジカメや携帯の仕様にも制限がある中、解像度の荒い写真に、村人と道場を建てたり、スシを回したり、お得意のタマゴ寿司を振舞ったり、生活の断片が二枚、三枚と切り抜かれては届く。

『村は戦火を外れていたようで、周辺から色んな人々が集まっています。子ども達も寿司を気に入ってくれたようで。こっちでも食材を握れるように研究していますが、しばらくは追加のスシを送ってもらえるとありがたいです』

闇親方は配下に指示を出して、可能な限りランの要求に応えてやるようにした。保存性がいいものについては、コメやネタも。
全ては上手く回っているように見えたある日、ふと闇親方はランから要請のあった追加のスシが空輸パックに詰められているのを見咎めた。

「おい、ストーン。そいつは、ランに送る包みか」
「はっ。ご指示の通り、ランが必要としているネタを用意したところです。今夜にでも発送の手筈になっておるところで」
「岩ガキ、フグ肝、ハッカクキリン漬け。なんだ、妙に物騒なネタばっかじゃねえか。ランの手紙見せてみろ」
「こちらに」

見たところ何の変哲もない便箋に、確かに詰められている通りのスシの名が並べられている。一通りの寿司操作法を伝授したので、少し闇らしい変わり種も欲しいと述べた筆跡も、特におかしな点はない。だが、写真の類がないこと、ともすればラン自身の手にも余る危険なネタに闇親方は胸騒ぎを覚えた。

「ドクターを呼べ。酢飯接続を試す」
「今からとなると、夜も遅くなりましょうが……」
「いいから急げ」

その気になれば地球の裏側とでもほぼリアルタイムの通信を可能とする精神酢飯接続の弱点は、前準備の煩雑さである。
オペレーターたちが闇寿司本拠であるラーメン店、その二階で準備を整えたのは深夜0時を大分過ぎたところであった。
果たして、結果は。

「は、反応はあります! しかし微弱、応答もありません。親方、これは」
「スニーク!マナ財団のやつらと渡りつけろ。直ぐにだ」

招集されていた四包丁に指示を出し、闇親方は苛立たし気に椅子をけり飛ばした。


空港と呼ぶにはあまりにも雑然とした広場を横切ると、日本と比べてかなり強烈な日差しの下で、一台の四輪駆動車が待ち構えていた。
降りて来たのは半袖シャツにネクタイを締めた男である。さすがに上着は来ていないが、仕立ては中々いいものだった。

「闇寿司の方ですね」
「そっちは」
「ダビロスと申します。国連から派遣され、この付近の難民キャンプの生活支援活動をしています。あなた方のご案内も仰せつかりました」
「分かった。出してくれ」

後部座席に乗り込むと、古い車体のわりにはよく整備されていた。キーを回すとエンジンが快調に回り始める。

悪路ではあるが、自動車が一定数通る道ということで、思っていたよりは危険のない道行である。力強い走行音と共に、窓の外をまばらに生えた枯れ木と砂埃が流れていく。

「人を探しているとか」
「黙って運転してくれ」
「お探しの村ですが、記録にないんですよ」
「なんだと」
「何分戦乱の後で、自然発生した集落はそこら中にありますからね。一応、そちらからの支援物資のタグを辿ってみたところ、あるキャンプに集積されてから先は行方不明です。っと、着きました」

汚れてはいるが、まだ新しいと思われる木材で簡素に作られた看板。文字は読めない。傾いた鉄柵がぐるりと周囲を取り巻いているが、視界が悪いこともあり端の方は見えない。規模からして、キャンプ群である種のハブ的な役割を持つ地点なのだろうか。

警備兵と思しき二人組が形だけといった風の鉄条網とバリケードを開き、四駆車は建物の前に停まった。通された先は事務室である。発電機があるのか、喧しい音を立てながら冷房が生ぬるい風を吐き出していて、試しに捻ってみた蛇口からは、やや茶色いながらも冷たい水が流れ出た。

「濾過されてはいますが、そのままは飲まないように。コーヒーでよろしいですか?」
「俺はいらん」
「うぬ、では自分も結構」
「残念、この辺りの名物ですよ。では私は失礼して」

欲しくなったら言ってください、と男はコーヒーを淹れ始める。素焼きのポット。極細挽きの豆は粉状だ。さすがに手慣れた手つきである。

「結論から言えば、お探しの方はどこかに囚われている可能性が高い」
「マナ財団のやつらに担がれたってのか」
「いいえ。彼らは理想ばかり大きくて、考えなしで無能ではありますが、悪意はない。ただこの辺りの治安は悪くてね。支援物資を横流しして儲けようとする連中が多い。それだけならいいが、中には武装化して大っぴらに違法マーケットを牛耳る集団になっている」

私の仕事は、本来その流れに介入して適正な配分を実現することでもあるのですが。カップの向こうで男は自嘲気味に言った。とても理想通りには運用されていないのだろう、とストーンは確信する。

「悪いことは言いません。あなた方がこれまで通りの支援を続けている限りは、そのランという方の身の安全は保障されるでしょう。それを脅かすのは卵を産む鶏を絞めるようなものだ。状況の確認には我々も最大限協力します。」

ストーンは、闇親方が癇癪を起こして室内をめちゃくちゃにするのではないかと身構えた。しかし、闇親方は一声うなると、言った。

「ランがいる場所がこの辺りってのには違いないんだな」
「恐らくは」
「分かった。だが手ぶらで帰るわけにもいかない。あいつの所在だけでも掴みたい」

ダビロスは溜息をついた後、キーを投げてよこした。

「ここにホテルなどありませんが、お二人用に宿泊スペースは押さえておきました。設備に期待はしないように」
「感謝する」
「何日かお待ち下されば、もう少し情報を集めてみましょう。ただし一つ忠告を。あなた方だけでは決して出歩かないように。」

投げかけられた言葉は背で受け、闇親方とストーンは、比較的快適な室内から、乾燥の激しい屋外へと歩み出る。


一体どのくらい時間がたったことだろう。現在時刻を把握するため1日に2度、風が柱を軋ませる音を数えていたが、もうそのような気力はなくなりつつあった。それを見てか、監禁当初は張り付いていた見張りも今は殆ど来ない。

ランが閉じ込められているのは、民家を改造した狭い独房である。それでも床が一通り掃除されているだけましで、村人の多くはほとんど家畜小屋も同然の設備に囚われているはずだった。とすると、何やら利用価値が自分にはあるらしい。そしてそれは彼が握るスシに原因があるのは相違あるまい。

ノックの音がする。鉄格子で隔てられて、向こう側は事務机と電灯が置いてあり、ドアを開けて部屋に張って来たのはまだ小さな少年だった。
浅黒い肌に白い簡素な服。運んでいるのは彼らの主食である薄いナンのようなものだが、発酵しているのか、独特の酸味がする。しかし、少年が自分で作って振舞ってくれるその料理が、ランには酢飯とどこか共通項があるように思われて嫌いではなかった。

「やあ、ベレクテ。今日もひとりかい」
「うん。グアデニャ、昨日の夜から帰って来ない」

重たげに盆を持って歩み寄ってきた彼は、小さな手で器用に鉄格子の一部を開いて夕食を差し入れてくれた。ありがたく手を合わせて食べ始める。それを見守る少年にとって、今が唯一の休息時間であることをランは知っていた。

「大人たちはどうしてる」
「まだ元気。でも弱ってる人いる。ごはん無い」
「おばさんは」

少年の世話をしている女性であるエリヤは、血縁はないらしいが、身寄りのない少年たちを親身に面倒を看ていた。無言で黙り込んで肩を落とす少年に、ランは優しく声を掛けてやる。

「じゃあ、俺から一つプレゼントだ。ほら」

どこから取り出したものか、ランの手の中には一つの鶏卵と菜箸が握られている。器用に菜箸で卵を掴むと、ランは食べ終えた食器で箸を叩いた。

「へいらっしゃい」

床に落ちて回転し始める卵を、ベレクテが興味深げに見つめている。

「俺のタマゴはマジカル☆エッグ、中身は何かあててみな。よっと」

掛け声とともにジャンプした卵は着地と同時に、底から先端に向けてひび割れる。もぞもぞ動いた次の瞬間、中から黄色いヒヨコが飛び出て羽ばたいたかと思うと、ベレクテの頭に着地し、ピヨと鳴いた。

途端に笑顔になる少年の肩におりたヒヨコは、頬ずりしたり耳たぶを甘がみしたりと忙しく立ち回る。急に賑やかになりかけたのを慌てて静かにさせ、ランはもう一つ卵を取り出した。

「さて、手持ちがもうないからよ。一個しか使ってやれないけど。へい、らっしゃい」

今度の卵は、回転し始めてから段々と回転数が上がっていく。どこか重心が定まらない感じだったのが、急に鋭い回転となり、今度はそのままひびが入る。するりと衣を脱ぎ捨てるように現れたのは、陶器のように滑らかな肌のゆで卵だ。

「これなら隠し持っていけるだろ? 食わしてやんな」

下げた食器に上手に卵を隠して、少年は嬉しそうに立ち去っていく。それを見送りながら、ランは少年の素質について想いを馳せる。

手元に一枚残しておいた、薄い主食。穀物を水で溶いて発酵させてから、鉄板で焼いて作るらしい。味付けも発酵も見事なものだ。食べなれていない自分がどうこう言えるものではないのかもしれないが、丁寧に心を込めて作られている味だと分かる。

料理が好きな子なのだろう、最初に会ったときもスシに興味津々といった様子だった。中々上手く回せずに拗ねていたが、ランの見立ては違った。彼には、きっと持ち込まれたスシより前に、もう回すべき相手が居る。それを探してやろうと思っていた矢先に、村が襲撃を受けた。

最初は軍崩れかテロリストかが略奪に来たのかと思っていたのだが、どうも妙な動きをしている。まず大人たちを拘束して子どもに世話をさせている。中でもスシを回す素質がある子どもたちはどこかほかの場所に移動させられたようだ。

加えて、わざわざ日本から取り寄せさせられて没収されたスシの存在に、自分の置かれている境遇。奴らはこの国ではとても手に入らないようなネタのことまで知っていた。

思索を巡らしていると、大人しく待っていたヒヨコが鳴き声を上げて小首を傾げた。随分可愛らしい姿だ。笑えて来ることに、食後に精一杯の力で回してこのサイズしか出せなかった。思ったよりも衰弱してしまったらしい。

「ま、出来ることから始めていくしかないな」

檻の隙間から手を伸ばすとヒヨコが素直に手のひらにうずくまる。握力に注意しながら引き戻した拳を、2m程上の天窓へと持ち上げて促してやる。しばらく逡巡していたものの、小さな探索者は最後にはひょい、と窓枠に飛び移り、夜の闇の中へと消えていった。

「親方、怒ってるだろうなぁ……はあ」


闇親方は不機嫌の極みだった。仮の宿に入り、まずは徹底して消毒を行う。結論として、尾行を始め、盗聴器やカメラは確認されなかった。続いて、僅かばかりに食料品の並ぶ配給所で夕食の調達と見せかけた偵察。

途中で別行動していたストーンが、どこで手に入れたのか生の牛挽肉を持ってきた。現地の料理らしい。検分の結果、それはスシに十分に転用可能だった。

部屋の中に戻り、ストーンは闇親方に思い切って話し掛ける。

「親方。貴殿が考えておられるのは、即ち、此度の敵が横流しなどではなく、スシブレードそのものが狙いだと」

闇親方は答えずに、ベッドに丸めた毛布を押し込んでいる。気休めではあろうが、他にも偽装を怠らない。端末から酢飯接続の際に突き止めた座標を呼び出す。精度は良くなくても、10kmは外れていないだろうというのがドクターの見立てだった。

「ランの力は応用が利く。だからこういう状況にこそ一番輝くと思って任せた。だが、あいつの弱味も同時に出ている気がしてならねえ。行くぞ、ストーン。あのバカを連れ戻す」

一度電灯を落とし、ベッドに潜り込んだと見せかける。十数分かけて、周囲の気配を探る。外に人通りはない。動物でもいるのか、それともまだ争いの手が潜んでいるのか。だが暗がりの中は彼らのホームグラウンドでもある。墨汁で染めたかのような正式装束に身を包み、二人はぬるりと窓から闇に溶け出していく。

移動手段として車は使えないが、足の速い寿司を持ち込んであった。索敵にそれらを放ち、二人はその後ろから前進していく。微弱な寿司共感反応があった。ランもまた寿司を回しているらしい。それを基に進路を細かく調整していく。

果たして、辿り着いたのは井戸であった。くみ上げてみると、街中よりも随分と澄んだ水である。

「親方、鳴き声が」
「俺にも聞こえる」

水を飲み休息をとる親方にストーンが報告した。入れ違いに水分を取らせている間に、闇親方はスシから伝わってくる鳴き声に耳を澄ませる。微弱で散発的な信号。応答を返すとピタリと止む。

集落が近い証拠に、少しずつ整備された道が見えてくる。真正面のルートを迂回しつつ、やや裏手から当たりを付けて建物に近付いていく。果たして、建築途上の写真で見た闇寿司道場があった。だが、出入口は叩き壊され、質素な調度も引き剝がされたり欠落したりと酷い有様である。

そして横手に備えられた階段に、小さな黄色い鳥が待っていた。

「ランのコカトリスです」
「の、幼体だな。思ったより消耗してやがる」

小さく囀りながら闇親方の指を突くヒヨコはそれで二人を味方と認識したのか、先に立って誘導を開始した。


座ったまま体力の損耗を防いでいると、天窓にはまった鉄格子が二度、三度と何度か揺さぶられる。注意を向けると、先ほど放ったヒヨコが頭を出し、こちらを向いてピヨと囀り胸を張った。

「何か見つけたか!」

思い切って格子を握り、上体を持ち上げる。外を覗いてみると、闇の中から白い球状のものが二つ飛んでくる。ギリギリキャッチした拍子に片手を放してしまい、ランは背中から地面に落下する。だがその口元には笑みが浮かんできた。小さく呟くのは彼の能力を励起する言葉。

「いくぜ、エッグ・スクランブル。スフレ!」

ぼふり、と音がして床一面にふわふわのオムレツが出現する。トランポリンの要領で、背中から落ちた反動を利用して飛び上がる。鉄格子の上部に柔らかく、もう一つの卵を横にして挟みこむ。ほんのわずかに殻が歪むが、傷は全くつかない。再び落下しながら詠唱する。

「エッグ・スクランブル。レンジ」

三つ数えてオムレツの下に退避。バン、と控えめに爆発音がして、外に鉄格子が弾けて隙間が開けた。

「やっぱり日本で仕込んだ地鶏の卵は一味違うな」

忘れ物がないか見回して、いっせーので、と掛け声をかけて屋外へと躍り出た。着地すると冷たい土の感触が懐かしい。と、背後から重々しい足音がして、ランは肩をすくめて小さくなり、ひとまず土下座した。

「親方、すみません、捕まっていました。あとストーンの旦那も」
「オヌシ、こうも易々と脱出しおって。わざと捕まっておったのか」
「あいや、抜け出した逃げ切る算段が出来てなかったのと、あとちょいと村人たちと仲良くなっちまってまして」

頭を搔くランの体をストーンは検分する。肩と背を触り、簡単な身体の確認。闇寿司の肉切り包丁の名は伊達ではない。彼ほど肉に精通していると身体の異常はそれだけでおおよそ察知できた。多少痩せてはいるが、戦闘面での不安にはならないだろう。

闇親方は低い声でランを𠮟りつける。

「それはお前の甘さだ、蘭丸。四包丁に求められる勝利の意味というものが全く分かっていない。だが、敢えて留まったというのなら突き止めたことがあるのだろう。言ってみろ」

ランは顔を上げた。心なしか表情は固い。

「ここを襲った奴らの目的ですが、幾つかの点から推測しました。俺が教えてきた中で、ちょっとでもスシを回せる奴は、全員連れていかれています。そして、取り寄せさせられた戦闘用のスシ。ここの連中は、スシの兵器利用を画策しています」

予想していた事ではあったが、事実を聞いてストーンは衝撃を受ける。そもそも紛争地帯でどんな役立たせ方があるのかと。しかし頭の中の冷静な部分が計算を弾き出す。その辺りで手に入る材料から、子どもが、突如として一定の戦力を作り出しうる。最適な役割が一つ。

「いなくなったのはみんな子供たちだ。親方、ここは、スシを使った子どもの暗殺者の養成所です」


闇親方は、気だるげに目頭を揉む。逡巡の時間は短かった。短い夜の間に、やらなくてはならないことは多い。

「ずらかるぞ。もう用は済んだ」
「待ってください、村人を解放してやらねえと」
「ストーン、ランを担げ」
「御意」

即座に命令に従ったストーンにより、ランは腰を掴まれて肩に載せられてしまう。そのまま撤退を始める二人に、ランは小声で文句をまくしたてた。

「親方、ここは危険なんです! この放置しておけばスシがずっと馬鹿げた手段に使われるんですよ? ここの子どもに美味いスシ食わせてやりてえって、そうやって来て、あんまりじゃねえですか!」
「馬鹿たれ。スシを握るのは一朝一夕で出来ることじゃねえ。俺たちさえいなくなれば、供給が立たれてここの目論見は自然とつぶれる」
「あんたも分かってるはずだ、いつか、人はスシを回す! ここでの料理にだって、その素質はある。もう、変化はきっと始まっているんだ」

ランの脳裏に浮かんでいるのは、ベレクテの持ってきてくれたパンだ。現地の主食が発酵食品であるこの地には、きっとスシが芽生える。人と共に回る彼らが戦闘と暗殺のために消費されていく。

「───っ、なら! 一人だけ、一人だけでいい。連れて行かなきゃいけない子がいるんだ。頼むぜ。ストーンの旦那! 降ろしてくれよ」

だが闇親方は取り合わない。全て理解したうえで。通りには見張りもおらず、寝静まっているようだった。建物の影から首だけ出して見回すと、直ぐ近くに無人の車が一台。折悪く、索敵用のスシが警告を発する。地平線、ライトを煌々と照らしながら接近するピックアップトラック。ご丁寧に銃座も付いている。

それでも今からなら逃げおおせる。車に乗り込もうとした瞬間、闇親方はストーンに組み付き、三人で固まり合って元居た建物の陰に飛び込んだ。一拍遅れて、長い鉄の矢が車に突き立ち、エンジンを破壊する。

「あなた方だけでは決して出歩かないように。そう、申し上げたでしょうに」
「ダビロスか」
「もう大体把握されてしまったご様子ですからね。結論から言います。我々としては一人、スシを我々の為に握ってくれる人がいればいい。闇親方、まさかご本人に来て頂けるとは僥倖」

ダビロスが手を上げると、闇親方たちを囲むようにして銃を持った兵士が出現する。闇親方は懐から丼を出す。ストーンに目配せすると、既に彼もランを降ろし、分厚い包丁を構えていた。

「抵抗は無意味ですよ」
「お前こそ、それっぽっちの銃で俺達を倒せるとでも? ご自慢のスシはいいのか」
「数に限りがありますのでね、大義にのみ使っていますよ。そしてそれも今日限りだ! 闇親方以外殺せ!」

闇親方は確信する。近付いているトラック、あれは第三勢力だ。いよいよややこしくなってきやがった、と歯噛みする。背中でランが忌々しい笑みを浮かべているのも気に食わない。その手に、卵を渡してやる。大盤振る舞い、2パック分だ

「親方、いいですよね」
「最近高えんだよ。大事に使え」
「承知。エッグ・スクランブル、コカトリス!」

発砲の閃光、飛来する弾丸をさえぎったのは、赤と褐色に黒が鮮やかに織り交ぜられた翼であった。

太いカギ爪、隆々とした腿、舌を動かして牙をむく長い尾、爛々と輝く双眸に肉厚の鶏冠。巨大な軍鶏が聳え立っている。息を吸い込み、上がる雄たけびは村全体を叩きおこしていく。10個使用の全力コカトリスだ。

「さあ朝ですよっと。親方、俺は裏の奴らを!」
「蘭丸、帰ったら覚えて置け。こってり絞ってスープの出汁にしてやる」

ランは自分の身を抱きしめて、おお怖い、などと言いつつ、卵のパックを持って駆け出していった。


大音量で響き渡るけたたましい鳥の鳴き声で、ベレクテは床に布を敷いただけの粗末な寝床から飛び起きる。続いて断続的な銃声。襲撃の夜のことが思い起こされる。

知らず震えながら、身の回りの道具類を確かめていると、窓を外から誰かが叩いた。

「ひい」

後退りする。だが、よくよく聞くと、それは何か硬いものが外から何度も窓を突いているような音だった。次いで、小鳥の鳴き声がする。慌てて窓を開けてやると、ヒヨコが飛び込んでくる。ベレクテの袖を咥え、何度も何度も引く様子に、ベレクテは恐る恐る問いかけた。

「ついて来いってこと?」

ぴよ、と鳴いてヒヨコが袖を離す。続いて鍵の束の元にいき、何度も爪で蹴りつけるのを見て、ベレクテはその意図に気が付く。上着を羽織り、鍵の束を掴んで外にまろび出る。目指すは大人たちの監禁されている建物だ。

中に入ると、皆起き出して不安そうにしている。一番近くの扉を開けると、中にいた村長が驚いた顔でベレクテを見た。

「どうなってるんだ。他の子たちは」
「皆いなくなった。でも後で、今は外に!」

次々と扉を開けていく。何かが燃える匂いがする。急いでと声を掛けるも、衰弱している村人たちの動きは遅かった。ヒヨコが急かす中、囚われの人々を避難させる。

あともう一棟。最後の避難者を建物から出して、次の建物に足を向けようとした矢先、ぱっと、目的の家が炎に包まれた。為す術もなく燃え落ちる家屋に、ベレクテは立ち尽くす。

「そんな、エリヤ」

何人かの兵士が彼を取り囲んでいるのにも反応することが出来ない。炎を背に、長身の男が歩み寄ってくる。

「なんだ、一か所にいれば焼いて済んだものを。坊主、お前が逃がしたのか」

指揮官と思しき男は、隣国の武装組織の紋章を肩に着けていた。

「腐った連中にはふさわしい。お前たちのふざけた武器のせいで、俺たちの部隊は随分と損害を受けた。報いを受けさせる。あれは何と言ったか、そう、スシだ。」
「違う、違うよ。僕らはただ、食べて遊んで」

指揮官はベレクテが涙を流して訴えるのを聞こうともせず、冷酷な指令を出す。人員の半分は逃げた村人を追いかけ、その背に向けて小銃で射撃を行った。悲鳴が上がる。

「お前も、スシを回すのだろう?」

指揮官が腰から抜いたピストルで、ベレクテの頬をなぞる。ゴツリと頬骨にぶつかる感触。引き金に指が掛かっている。

「ベレクテ!」

誰かが、自分の名を呼んだ。茫洋とする視界の片隅、男が走ってきていた。


「エッグ・スクランブル、タンカルシールド!」

ランの目が怒りに燃える。無抵抗に逃げ惑う村人たち、背後から撃たれようとしている。使用済みの卵の殻を投げると薄い板となり飛翔、人々を守るように展開した。弾丸に対して斜めになることで耐久力を上げている。

小銃の弾程度なら通用する、とランは更に踏み込んでいく。

「エッグ・スクランブル、フライ・フライ!」

両手の指の間に挟まれた5個分のタマゴ。それぞれを握り割って、水平に腕を打ち振る。放たれた黄身と白身が回転しながらみるみる固まり、目玉焼きとなった。うなりを上げて射手たちの元へ殺到したかと思うと、白身の縁が鋭く銃身を断ち切り、続く射撃を不可能にする。加減しつつも、その刃は次に戦闘服の上から兵士たちを無力化する。

「ベレクテ!」

指揮官の男がこちらに何かを向ける。好都合だ、撃たせたのを防いで懐に入れば、ベレクテを保護できる。シールドを形成、その陰に身を隠したまま突進する。

その動きは、ランの命取りとなった。

指揮官の男が放った物体は、唸りを上げて宙を切り裂き、シールドに突き立つ。薄紙を破るかのように突破する。牡蠣殻をまとったスシ。その固く歪な鋸刃が、音もなくランのわき腹を抉り、こぶし程の肉と血液を奪い取って通り過ぎた。

勢いのまま二歩、三歩と進み、ランは驚いたかのように傷口に手をやろうとしてそのまま崩れ落ちる。

「どうして、そのスシを」

食いしばった歯の間から漏らした言葉に、指揮官は追撃のピストルで答える。五発打ち込んだ所でようやく言葉を返してやる。

「昨晩やって来た客人の置き土産さ。どうしても友達で人は殺せないと言って投稿してきてな。お陰でいろいろな情報が手に入った」
「グアデニャ、グアデニャのスシだ」

ベレクテは、血に染まったスシを見た。昨晩にグアデニャが持っていた筈の貝がそこで回っている。

「ブローカーがいるはずだ。探して殺せ」

余計な損害を被った、と嘆く指揮官はふと忘れ物に気が付いたようにベレクテにスシを向ける。射出。

逃げなくちゃ。混乱の極みの中で、ベレクテの足がもつれ、尻もちをついてしまう。予想外の動きに狙いがずれ、後頭部をスシが掠めた。血の混じった頭髪が飛び散る。喘ぐようにして地を掻き伸ばした指先に、軽くすべらかな物体が触れる。咄嗟の判断で、ベレクテはそれを指揮官へと投げつけた。

「エッグ・スクランブル、ドレス」

回転しながら割れた卵から投網のように黄色い膜が広がり、ねじれながら指揮官を絡めとる。湯気を立てる拘束具に男は苦痛の声を上げた。その隙に、ベレクテはランの元へと辿り着く。

「ラン! ラン!」

血だまりの中から伸ばされた腕がベレクテの手首を掴んだ。信じられないほどの強い力だ。引き寄せて、ランは少年の頭に口を寄せた。

「いいか、お前が倒せ」
「でも、持ってきてくれたスシ、回せなかった」
「お前が回すのは、これだよ」

渡されたものは薄いパンだった。ベレクテがこれまで何千枚も焼いてきた、主食だ。布のように折りたたまれたそれを、ベレクテの手のひらの上に広げる。そして、その上に卵を一つ。

「仕上げの一個だ。エッグ・スクランブル」

回転した卵はすぐに殻を脱ぎ捨てたかと思うと、スポンジ状になって渦を巻く。伊達巻。ロールケーキのような見た目をしたそれは、ランの一番得意な卵焼きだ。

それに呼応するようにしてパンが自然とそれを包み込み、小さく跳ねる。ベレクテに何かを訴えかけるように。

部下の手を借りて、なんとか卵の拘束から抜け出した指揮官が喚きながら立ち上がるのが見えた。ランに背中を押され、ベレクテも立ち上がり、手の中に生まれた相棒を握り締める。かすかに熱が脈動しているのを感じた途端、少年の体の奥底から力が沸き上がる。構えなど分からない。ただ、目の前の敵めがけて飛ぶように、握りたてのスシを高く掲げる。

「へいらっしゃい」

異国の言葉を唱えた瞬間に、そのスシは真っすぐに飛んだ。遅れて放たれた牡蠣を粉微塵に打ち砕き、そのまま指揮官の頭部へと。恐怖に歪んだその表情を、ベレクテは最後まで見つめていた。


ふと目を開けると、ゆっくりと朝日が昇るところだった。久しぶりに拝む太陽にランは瞬きをする。だが、それだけだった。手も足も動かせそうにない。

と、ベレクテとヒヨコが視界の上部から顔を出す。少し見下ろすと、脇で傷の具合を確かめていたストーンが力なく首を振る。闇親方は、と探すと、少し離れた場所から歩いてくるところだった。誰かと話していたらしい。

「親方、やられちまいました」
「ああ」
「こいつですよ、初めてスシを回して敵をやっつけちまった。すごい子でしょう」
「そうだな」
「お願いです、俺はもう駄目でも、こいつを連れ帰るって約束してください。この子はスシを握った。ここにいちゃダメだ」

お願いします、と掠れた声で繰り返す四包丁を、闇親方はじっと見下ろしている。その願いを聞き入れることで、この先どれ程の困難が待ち受けているか。承知の上で、闇親方は一度だけ深く頷いて見せた。

「覚えておけよ蘭丸。意地を通して死ぬことは負けじゃないが、勝利とは呼べねえ」
「はは、容赦ないぜ」
「だが、繋いだものは俺が持っていってやる。安心しろ」

ベレクテが、ランの体に縋る。その包帯の巻かれた頭を撫でてやりながら、程なくして。ランは大きく一つ息を吐き、絶命した。


闇親方は、後始末をストーンに任せ、待たせていた相手の元へと戻った。闇親方をこの地に送り届けたパイロットである。しかし、その身を包むのは戦闘服だった。

戦闘が凡そ終結した後、彼と政府軍がやって来て事態を収めた。村を制圧していた武装勢力とそれに口利きをしていたブローカーは逮捕。報復に来ていた隣国の武装組織は壊滅。その中に何食わぬ顔で混じっていたパイロットに、さすがの闇親方も呆れた。

「で、結局お前は本当はどこの人間なんだ」
「財団よ、そりゃ。でもちょっとばかし有能な方ね」

もしあっちの財団が用意した飛行機だったら、あんたら今頃良くて砂漠の真ん中か、或いは海の藻屑だったよ。そう言って男は肩をすくめる。

「どうするね。帰りの飛行機、燃料ギリギリよ。三人って聞いてたから」
「死体はいい。代わりに子どもを一人頼む」
「あんた、甘いってよく言われないか」
「馬鹿言え。あいつは自分の始末は自分でつける奴だ」

バサバサ、と羽音が響き、ランの元へとコカトリスが舞い降りる。ヒヨコがランの胸元から見上げ、二匹はしばらく見つめ合っていた。巨大な闘鶏はカギ爪で注意深くランの体を掴むと、ふわりと飛び上がった。そのまま、海へと飛んでいく。行く先に、赤く太陽が昇った。

主人との別れを惜しむかのように、一際高く長く巨鳥が吠え、その残滓は悲しく辺りに響いた。

(了)


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