改稿する前の保存

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私が生まれるよりも少しだけ前の事。

ガリレオ・ガリレイという1人のスシブレーダーが地球を握り、回した。
その結果、地球は闇寿司に支配されスシブレードの普及と共にヴェールは破れた。
財団やGOCを初めとした様々な団体、組織が抵抗したが地球そのものを握られており、地球を人質にされては手が出せなかった。
しかし、意外にも闇寿司は手際良く敵対していた団体・組織との交渉を進め、和平協定を結んだ。

闇寿司の大きな目的の1つが更なる強い寿司の追及であり、他の団体と敵対するよりも友好的に振舞い技術を吸収しようと考えたのであろう。
敵対していた団体・組織もそれは悪い話ばかりではなく、技術向上や平和であることは自組織の目標達成に繋がる。
今まで不安定だった勢力図が闇寿司が頭1つ抜けることにより安定し、ここ数百年で最も平和であったと言われている。そして、様々な組織の技術力を吸収した結果、高度に発展した寿司は魔法と区別がつかないと言われるほどになった。


そして、私がスシブレーダーとなって日本チャンピオンになった翌年の事だ。
平和は急に終わりを告げた。
切っ掛けはガリレオ・ガリレイの死である。ガリレオ・ガリレイの死には謎が多く、現在でもその真相は定かではない。ガリレオ・ガリレイはアノマリーという異常な物により寿命を延ばしておるらしく、そう簡単に死ぬはずがない上にスシブレーダーとしても当然強力である。

しかし、ガリレオ・ガリレイの死の真相を見つけるよりも、地球の握りという抑止力が消え今まで息をひそめていた過激な団体・組織が一斉に暴れ出したのだ。
もちろん財団やGOC等の組織は予めそういった事態を予想し備えていたが、予想を上回る抵抗に遭い第三次オカルト大戦が勃発した。

私も仲間と共に少しでも一般人が受ける被害を減らすべく戦った。
「ひどい有様ね……」
倒壊したビルが立ち並ぶ街を見て剣崎がそうつぶやいた。
「明らかにヤバそうなのは近づかずに専門組織に任せておけ、私達はあくまでも一般人の救助が目的だ」
「流星はムカつかないの!」
剣崎が口調を荒げる。
「それよりも人命救助が優先だ。それにどこの組織かも分からない奴に迂闊に手を出しても戦争が悪化するだけだ」
剣崎が不満そうにこちらを睨んでいる。
私だってもう1年以上も続いているこの戦争にはうんざりしている。
しかし、既に戦場は様々な組織で入り乱れ誰が敵で誰が仲間かも分からない有様だ。
その時、剣崎の背後で音がした。
「危ないっ!」
咄嗟に相棒を懐から出し、掛け声を省略して相棒を射出する。
現れたそいつは機械と植物が複雑に絡み合ったような化物であり、剣崎にとびかかろうとしていたところであり、何とか相棒が間に合い大きく弾き飛ばす。
「剣崎怪我は!?」
「だ、大丈夫よ」
剣崎が無事なことに安堵し、再び化物の方に向き直ると既にどこかに消えていた。
かなりのダメージは与えたので暫くは大丈夫だろう。
「急いで取り残されている人がいないか確認してここを離れよう」
「そうした方が良さそうね……」
取り残されていた数人を救助し帰還する。
何か月かはそんな事を繰り返していた。

しかし、永遠に続くかと思われた第三次オカルト大戦は唐突に終わりを告げる。

地球が人類に対し宣戦布告を行ったのである。世界中で同時に大地震・噴火・異常気象などを初めとする災害が発生し、この時点で人類の5分の1が死傷した。これらは総称して「大災害」と呼ばれている。

大災害から数時間後、世界中の電波放送がジャックされ地球の意思を名乗る少年から以下の内容が告げられた。

「初めまして、私は地球。先ほど発生した災害は私が起こしたものだ。君たち人類は私の中で生態系の頂点であるにも関わらず、醜い殺し合いを止めようとしない。その結果、地球環境の悪化や美しい生態系を破壊してばかりだ。だから私は人類を滅ぼす事にした。
だが、人類を滅ぼすにはかなりの代償を私も支払うことになるだろう。だから人類が自ら1億人程度に減らすなら、滅ぼすのを止めてやっても良いと考えている。
1ヵ月時間をやる。その間に結論を出せ。もし抵抗するようなら即座に攻撃を開始する。」

全世界のトップや有力な組織の代表で話し合いが始まった。
「1億人以下にするなど到底受け入れられるものではないだろう」
「大災害で大きく減ったと言っても、まだ30億人以上居るんだ。そのほとんどを減らそうとすれば生き残りをかけてさらに大きい戦争が起きるぞ」
「戦うしかないだろう」
「1億人以下にすれば助かるという保証も無い。1億人以下にして気が変わりでもしたらそれこそ抵抗すら出来ずに滅ぼされることになる」
1億人以下にすれば助かるというのも保証が無く、1億人以下にした後では抵抗する手段すら失われるのも大きい。
地球と全面戦争することが可決され、1ヵ月の猶予は地球への研究と対策に用いられた。

様々な組織の優秀な研究班により、「地球の意思」の波長と「寿司の意思」の波長が酷似していることが判明した。
皆さんもご存じの通り私たちが扱う寿司には意思が存在する。これは「寿司の意思」ではなく、個性のようなものであり通常であればほとんど分からないレベルの物である。
例外として、寿司の声が聞こえるものがようやく分かるといった程度の物であり、その波長は小さくか弱いものだ。
そして、地球の意思にそれが見受けられる原因として、ガリレオ・ガリレイが数十年にもわたり地球を寿司として握り、回したからであったと推測された。
その為世界トップクラスのスシブレーダーも招集され、私も地球への対策会議に参加することになった。

地球に意思が発生してからはガリレイ・ガリレイが握っている間は抑圧されていたのか、それとも地球の意思がそこまで発達していなかったかは不明であるが、ガリレイ・ガリレイの死と第三次オカルト大戦での環境破壊が地球が人類と敵対する大きな要因であるのは間違いないだろう。

地球の意思が寿司の意思であるならば、対策も寿司と同じものになってくる。
通常であればスシブレードで倒して言う事を聞かせればいいのだが、地球は文字通りスケールが違う。
地球の地表を多少削ったとしても勝ちにはならないし、仮に地球を破壊できるほどの力があっても人類は地球でなければ生きてはいけないので意味がない。
寿司であれば回転を止めるという手段もあるが、地球の回転が止まっても人類に待ち受けるのは滅亡である。闇寿司であればこういう時はブレーダーを狙うらしいのだが、地球そのものがブレーダーであり寿司なので、そういった戦法も使えない。
実体化した地球の意思を攻撃できればダメージを与えられそうなのだが、地球上どこにでも実体化できるようであり、更には普段地球の核に居るらしく攻撃することは困難である。

結論から言えばかなり厳しい状況だ。希望は一時停戦協定を結んだ様々な超常技術を扱う団体が開発している兵器ぐらいで、その他の人間は攻撃ではなく避難や防御の為の準備を進めていた。

そうこうしている内に1ヵ月が経ち、地球との和解も失敗し攻撃が始まった。
私はスシブレード日本チャンピオンとして世界各地を飛び回った。
地球はあまり地球環境に悪影響を与えたくないのか、大災害ほどの災害は引き起こさなかったがそれでも人類は徐々に減っていった。
地球に有効打を与えることが出来ないまま人類は10億人を下回った。

その頃になると、自暴自棄になった人間が人類を1億人以下にして助かろうとして大事件を引き起こす者、地球信仰を初め地球の為に人類を滅ぼそうとする者等、人類同士での争いも急増していた。
人類全体が諦めかけていた時、突然酢飯の雨が降った。


地球酢飯漬け、闇と名乗る老人が自分がこれを行ったと名乗り出たのである。
地球酢飯漬けにより地球の意思の活動は大幅に弱まった。
しかし、このままでは酢飯に埋もれて滅ぶか、地球の意思に滅ぼされるかの違いしかない。
そこで、闇が提案した。

「地球の意思は地球環境を重視している為、このまま膠着状態に入るのは嫌なはずだ。しかし、私の地球酢飯漬けにより大した攻撃は行えない。それでも時間が経てば地球環境を考えずに大災害以上の災害を起こすだろう。その前に私が囮となり地球の意思を誘い出す。地球酢飯漬けにより地球の意思が私に攻撃するには実体化が必須となる。その実体化した地球の意思を君たちに倒して欲しい。実体化した地球の意思を倒すことが出来れば、地球は元の意思を持たない惑星に戻るはずだ。」

闇の提案は対地球作戦本部によって議論された。
リスクは大きいが現時点で有効打を与えられていない以上この作戦に人類の未来を賭けることにしたのである。
即座に決戦の準備が進められた。

意外にも大きな作戦の1つに私と私のスシが選ばれた。
私と私のスシの必殺技である"ホーキング・レイジエイション"は光速に近い速度でスシを射出する技だ。
威力やスピードは凄まじいが、反面コントロールが効かず直線でしかスシを動かすことが出来ない為、実戦ではまず相手の寿司に当てることすらできない技だった。

そんな使いにくい技なのだが、今回はこの技を狙撃のように使用する。
詳しいことは分からないが地球の磁場・重力等をリアルタイムで計算し、照準を合わせ陽電子砲のような装置で射出するらしい。
更にレールガンと同じく2本のレールで発射すると箸と形が似ていることから寿司との親和性が高くなり威力が上がる。
地球の意思はあくまでも寿司の意思の発展形である為、寿司に最もダメージを与えられるのは同じ寿司である可能性が高いという事らしい。

地球との決戦は地球酢飯漬けによる影響を考え、2日後の18:00に決定した。
大急ぎで準備が進められ、私の作戦以外にも数十の作戦があり各団体が総力を尽くしているらしい。
私もVRでシュミレーションではあるが実戦の為の訓練をし、簡単ではあるが今回の作戦で使われる兵器の説明を受けた。
万が一、地球の意思が反撃してきた場合手動で操作しなければいけない場面が出てくるかも知れないからだ。
そして、あっという間に決戦当日となった。

決戦の場所は周りが小さな丘に囲まれた盆地である。しかし、周りの丘の内部は全て対地球用の兵器が準備されている。
闇は盆地の中央で待機し地球の意思を誘き寄せる。
現在は認識阻害スシフィールドが展開されており、地球からは分からないようになっている。


18:00、認識阻害スシフィールドが解除され全員が備える。

18:13、地球が出現するであろうと予測されていたポイントのうち1つに地球が出現する。
隠しカメラによって地球の意思の容姿がモニターに映し出された。
人類に宣戦布告した時と同じ容姿であるが、モニターを見た瞬間全身から冷や汗が吹き出し、震えが止まらなくなった。
表情は特に無く普通の子供と言われても違和感は無いだろう、しかし威圧感と言うか雰囲気が人間とは全く異なるのだ。
まるで、巨大な壁や物体を見た時のような……

その時、地鳴りと共に大きな揺れが発生した。

揺れが収まりモニターを見てみると上空からの映像が映されており、周りを囲む丘の3分の1が巨大な地割れにより消失していた。
私が居る地点は運よく巻き込まれなかったようだが、地球酢飯漬けの影響下でもかなりの力を残しているようだ。

それからは兵器の音が鳴りやまず続いた。
ミサイルやレーザー等の見た事も無いような兵器が絶え間なく地球の意思目掛けて飛んでいく。
しかし、ほとんどが効果が無いようで地球の意思は気にせず闇の方へ歩いていく。
寿司の意思実体化装置は作動しているようでどうやら転移は出来ないようだが、あくまで闇から半径80m範囲内であり、地球の核へ逃げ込まれたら再び手が出せなくなる。

私の方も作戦を実行段階まで来た。
VRゴーグルのようなものを装着し、照準が合うのを待つ。
手が震え心臓が高鳴る。私の手に世界の命運が掛かっているかも知れないのだ。
地球の意思は時々大規模な地割れを発生させながら、徐々に兵器がある場所を潰していく。

大きく深呼吸し始めて寿司を握り、スシブレーダーとなった時のことを思い出す。
日本チャンピオンになるまで何十年とこの相棒と一緒に歩んできた。
よし。もう大丈夫。こいつと一緒ならこの身がどうなろうとやり遂げて見せる。
もう一度、笑顔でスシブレードをする為に。

照準が合う音が鳴り、発射ボタンを押す。
轟音が鳴り響きこの為に作られたから対地球兵器陽電子砲SRMN仕様から相棒が射出される。
後は技を発動させるだけなのだが、急に機器からエラーが発生する。
見ると磁場が急激に変化し寿司の軌道予測が変化している。
相手は地球。1枚も2枚も相手が上手でありこちらの攻撃は読まれていた。
こうなれば予定より数秒早いが技を発動しスピードで振り切るしかない。

"ホーキング・レイジエイション!!"

スシが光を纏いスピードが上昇していく。
しかし、加速する前に磁場や重力が変化し軌道予測が大幅にずれて闇の方へ向いてしまう。
しまったと思った。地球の意思はこれが狙いだったのだ。
闇に近づけば近づくほど対地球兵器は増えていく。
闇の近くには自爆用の核兵器が置かれており、最悪はこの場の全員と地球の意思を道連れにする作戦であったのだ。
地球の意思はどうやってそれを知ったのか、はたまた偶然なのかは分からないが"ホーキング・レイジエイション"が発動してしまった以上私にも止められない。

「ふっ……若造が……まだまだ握りが甘いな」

闇へ光を纏ったスシが着弾する寸前に闇がそっとスシに手を添えた。
するとスシは方向が切り替わり地球の方へ速度はそのままに進んでいき、地球の意思に着弾し周辺が光に包まれる。
一瞬の閃光の後、下半身が吹き飛んだ地球の意思がモニターに映し出される。
地球酢飯漬けも解除され空から降る酢飯も止んだ。

闇が地球の意思に近づく。
闇は片腕が先ほどの"ホーキング・レイジエイション"の軌道を変えた衝撃で消失しており、歳も相まってよろけているが、それでも地球の意思の元にたどり着こうとしている。
急いで付近の人間が駆け寄り闇へ手当てを開始するがどうやら闇はそれを拒否しているらしい。
私にも責任はある。急いで現場へ駆け下りた。

「私はもう助からない。だが私には地球がこうなってしまった責任がある。ガリレオ・ガリレイに負け闇寿司を明け渡したのは私だ。地球の意思の最後を聞く責任がある」

その時、モニターにノイズが流れ地球の意思が写し出された。
モニターはノイズが多く地球の意思は万全ではないようだ。
今すぐ止めを刺すか迷ったが、今回闇が居なければ我々に勝利はなかった。
私は闇の意思を尊重する。

地球の意思 「人間どもめ……お前らの勝ちだ……だが、私を倒すことが更なる絶望の始まりだと知れ……忌まわしい……」

そこでノイズが大きくなり、モニターは正常に戻った。
地球の意思は徐々に薄くなり消えていくようだ。

「ごめんな……地球よ……寿司は楽しく回す物だったんだよな……こんな簡単なことに気付くのに時間がかかっちまって……どうか安らかに眠ってくれ……」

闇はこれまでの荘厳さすら感じる雰囲気とは違い、ただのか弱い老人に見えその両目から止めどなく涙を流していた。
そして、残った手で俺を手招きして近くに呼んだ。

「さっきのスシは君の物だね……君にお願いがある……どうか……どうか寿司で笑顔になる世界を……スシブレードで楽しく笑える世界を……」

私は闇の手を取り目を見て、「必ず」と答えた。
闇は優しい目をした後、力なく笑い息絶えた。

私は立ち上がり、地球の意思を見た。
さっきまでの無表情と違い、本気で恨めしそうにこっちを睨んで消えていった。

「これで全部終わったんだよな……」


最後に地球の意思が不穏な事を言い残し消滅した為、地球上で何か異変が無いか即座に調べられたが。特に異常な点は見受けられなかった。
作戦に参加した半数以上が死傷し、更には早急に積もった酢飯を除去する必要があったが、みな勝利の喜びに酔いしれていた。

しかし、すぐに異変は現れた。
急激に海面が上昇した。
研究者は原因を探し、それはすぐに見つかった。
月が地球に向けて落下して来ているのである。

詳しく無いので良く分からないが、どんな方法を使っても接近を止めることは出来ず、破壊できたとしても破片が地球に落下してしまうらしい。
地球の意思が最後に言い残していたのはこれの事だったのだ。
完全にどうしようもない状態らしく、一週間程度で文明を維持するのが困難な状態にまで陥るらしい。
そして2週間も経たずに月が地球と接触し人類は間違いなく滅ぶ。

何故月が落ちてくるのかについては1つの仮説が立てられた。
ジャイアント・インパクト説を知っているだろうか。
月は地球ができたての頃に巨大な隕石と衝突して、地球の欠片から出来たという説だ。
月が地球の欠片で出来ているのならば、地球の意思で動かせてもおかしくはない……という事らしい。

生き残った人類を少しでも逃がそうと、かねてより作られていた宇宙船に乗る人間を選ぶ段階まで来てしまった。
搭乗人数はどんなに詰め込んでも1万人が生存可能な範囲であり、その他の人間は財団が発見した未知の並行宇宙や世界に行くことになる。
どの方法でも確実に生き残れる保証はなく、実質的に我々の文明は滅んでしまうだろう。
それでも、最後は地球に残る者も多く居た。
私はどうしようか。
地球の意思を倒すのに貢献した者として、どんな選択肢を選ぶことも許可されている。

私は……

私は……まだ諦めたくなかった。

闇にスシブレードで笑顔を人類に齎すことを約束したのだ。
しかし、スシブレードなんて言ってられる状況ではない。
闇は命を懸けて私に全てを託してくれたのだ。
なにか……何かないか考えた。
もちろん私は科学者では無いし、それどころかずっとスシブレード一筋だったのでスシブレード以外は何も分からない。

じゃあ、スシブレードで何かできないか。
1つだけ思い浮かんだものがあった。
私は対地球決戦の時に一緒に戦った研究者達に話してみた。不思議と研究者達は地球に残る者が多く時間はあった。
私が話したことが実現可能かどうかの議論が始まった。
話が難しすぎてなんにも分からなかったが、どうやら可能性はあるらしい。

すぐに必要な機材が揃えられ開発が始まった。
とは言っても先日の地球との決戦で使用した物が多いのでそのまま使う形だ。
しかし、機材の改造やらなんやらは全く分からないので見ていることしか出来なく申し訳なかった。
作業してくれた人や研究者達に、避難や家族と過ごさなくていいのか聞いたが、ほとんどの者が既に家族は失っており地球に残るらしい。
家族が生きてるものが生き残るべきだと。
意外だったのは地球の意思とあれだけ戦ったのに、地球自体は嫌いじゃないから死ぬときはここが良いと。
どうせ死ぬなら地球と共にという意見が多かった。

そんな感じで作業妨害している間に、理論上は恐らく可能という物が出来上がった。
完成品を見ても良く分からなかったが、彼らがそう言うなら信じることにする。
仮にこれが成功しようと失敗しようと何の意味もないかもしれない。
それでも付き合ってくれた仲間達の為に成功して欲しいと願った。

散々勿体ぶったが、私がしようとしているのはタイムワープである。
対地球兵器陽電子砲SRMN仕様で強化された"ホーキング・レイジエイション"を見て思ったのだが、更に強化すれば光の速度を超えられるのではないかと思ったのだ。
相対性理論とかはさっぱりだが、研究者達曰く実際に光速を超える事が出来るなら、スシを過去に送ることが出来る可能性があるらしい。
しかし、光の速度を超え更に過去に送る負荷が大きく、スシの形は保てず寿司の意思だけを送ることになる。
また、過去に送れるかは不明で過去に送れたとしてもどれくらい過去なのかも分からない。更には過去に送ることが成功して、その結果過去が変わったとしても今の我々が居る世界が変わるかどうかは分からないという事らしい。

要するに完全に無駄な可能性が高いのだ。
それでも皆手伝ってくれた。
どんな小さな可能性でもこんな最悪の状況が変わるならやる価値はあると言ってくれた。

そして、再びタイムワープ型陽電子砲SRMN仕様装置に相棒の寿司をセットする。
後は電力を集めボタンを押すだけでいいらしい。
初めて相棒を握った時の事を思い出す。
涙が出てきてしまった。ずっとこの寿司と一緒に育ち、戦い、笑ったのだ。
スシブレード以外何にも取り柄が無い私が日本チャンピオンになれたのは間違いなく相棒のおかげだ。
こんなに協力してくれる仲間に出会えたのもこの相棒が居たからだ。

電力が貯まり、仲間達が見守る。
名残惜しいが仲間達にもまだやることがある。
私はボタンを押した。

轟音と共に寿司が射出され電気を放出しながら加速していく。

「"ホーキング……レイジエイション!!!!!"」

相棒に光が集まり眩しくなっていく。

頼んだぞ相棒……寿司で……スシブレードで人類に笑顔を……

「行ってこい!サルモン!!!」

そう言うとサルモンは閃光を放ち、消えた。






どこかの国のとある時代

???????????: へいらっしゃい。……おっと。[笑みを浮かべる]
??????: 何ですか?
???????????: へっ。寿司、回しに来たんだろ?

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