秘密基地に集まって

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クレジット

タイトル: 秘密基地に集まって
著者: CRC-601
作成年: 2020

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Safe

特別収容プロトコル: 当該オブジェクトは移動不可能であるため、周囲を河川に沿ってバリケードで封鎖してください。吊り橋に接近した現地住民などの非認可人物には、老朽化の為工事中であると説明されます。映像として記録できない反ミーム性を持ちますが、ライブ映像をディスプレイ越しにもう1つのカメラで撮ることでSCP-XXXX-JP-1を監視、映像の記録が可能です。
異常性の調査の為エージェント・盤州はサイト-██にて拘束され、帰宅や外出を禁じられます。ですが、本人の希望による食事やカウンセリングなどは可能な限り承認されます。
5度目以降の事象-XXXX-JPの発生を抑止する為、英智研究員の延命治療を継続してください。またエージェント・盤州の英智研究員との面会の要求は承認されます。
英智研究員の延命措置は不要となりました。

2020/05/10：SCP-XXXX-JPの異常性の緩和が認められ、未解明領域への再分類が決定しました。この特別収容プロトコルはいずれ緩和される方針です。

説明: SCP-XXXX-JPは熊本県██村に存在するとされる吊り橋に関連して発生する異常現象の総称です。

SCP-XXXX-JP-1は西側の入口に"まんげつばし"と掘られている██川の上に架る吊り橋です。このオブジェクトは以前、"徒歩など直接訪れることで存在を確認できるが、地図や写真で記録できない"という異常性を持つ未解明領域UE-XXXXXXX-JPとして財団の管理下にありました。当該オブジェクトはエージェント・盤州によって発見され報告や調査が本人と英智研究員によってなされました。記録されてから、近隣住民やその他生物が内部に侵入した痕跡はありません。

2019/11/12 0:00丁度、初めての事象XXXX-JPが発生しました。SCP-XXXX-JP-1に、封鎖されている吊り橋の内部に侵入する手段が無いにも関わらず2人の成人男性（以下、SCP-XXXX-JP-2、SCP-XXXX-JP-3と呼称）が出現します。
その後、SCP-XXXX-JP-2は抵抗しているように見えるSCP-XXXX-JP-3の腕を掴んで吊り橋の中心部まで引きずり、SCP-XXXX-JP-3を持ち上げて河原に向かって落下させます。SCP-XXXX-JP-2はその後消失しますが、SCP-XXXX-JP-3は落下した河原で少しの間叫んだり、吊り橋の一部を掴んで登ろうとする素振りを見せます。
SCP-XXXX-JP-3が落下して間もなく、シオマネキ（Uca arcuata）と同じ外見的特徴をもつ実体の群れSCP-XXXX-JP-4が出現しSCP-XXXX-JP-3の摂食を始めます。SCP-XXXX-JP-4の持つ異常性として、SCP-XXXX-JP-1近辺はおおよそ一般的なシオマネキが生息する環境でないことと、強い肉食性であることが確認されています。SCP-XXXX-JP-4群に捕食されたSCP-XXXX-JP-3はすぐに意識を失い、血液などの体液を一切排出せず完全に消失します。

後に類似の事象が更に3度発生しています。調査の結果、SCP-XXXX-JP-2は身体的特徴からSCP財団サイト-██に勤務するエージェント・盤州であり、SCP-XXXX-JP-3はエージェント・盤州との血縁関係や交流を持つ人物4人であることが判明しました。
エージェント・盤州の執務室に取り付けられていた監視映像には、イベント発生時に部屋で眠っていたエージェント・盤州の体が消失しているのが確認されており、時間ちょうどにSCP-XXXX-JP-1のもとに転移していると考えられます。以下はイベント発生時におけるSCP-XXXX-JP-3の人物とエージェント・盤州との関係を纏めたものと、エージェント・盤州への当案件に関する事情聴取の記録です。

識別番号	発生日時	名前	性別	エージェント・盤州との関係	現在の状況
1	2019/11/12　0:00	盤州 淳之介	男	父親	死亡
2	2019/12/12　0:00	野上 光	女	友人。かつての交際相手	死亡
3	2020/1/11　0:00	手嶋 菜奈	女	母親	死亡
41	2020/2/9　0:00	英智 藍樹	男	友人。英智氏は財団に勤務する研究員	意識不明 財団のサイト-██にて延命治療中

+ インタビュー・ログ-XXXX-JP:エージェント・盤州

インタビュー対象: エージェント・盤州

インタビュアー: 涼縫瀬研究員

前記: エージェント・盤州はSCP-XXXX-JP-1（前UE-XXXXXXX-JP）の発見者であり、SCP-XXXX-JP-2としての異常性を持つ人物である。当該オブジェクトの発見に至る経緯や事象XXXX-JP発生に関する事情聴取を行った。

〈インタビュー開始〉

涼縫瀬研究員: インタビューを開始します。SCP-XXXX-JPの発見に至った経緯や、今回の事件、言わば盤州さんに殺人の疑いがかかっていることや貴方が所持する可能性にある異常性に関しての調査を行います。御協力お願いします。

エージェント・盤州: 俺はやってない。本当なんだ、信じてくれるかわからないが…[沈黙]わかった、今は聞かれたことだけに答えることにする。

涼縫瀬研究員: どうやってあの吊り橋を発見したのですか？

エージェント・盤州: 前話したことあると思うが██村は俺の地元でね。実を言うとあの橋自体は昔からあったんだ。この間久しぶりに帰って、子供の頃遊んでた山まで行ったんだよ。あんまり風景は変わってなかったから件の吊り橋も見に行った。昔よく使ってて、仲間内で度胸試しみたいに使ってたな。

で、地元から帰ってきた時に英智にその話をしてさ。撮った写真を見せてたりしたんだけど、その吊り橋の写真だけ無くなってた。英智には｢撮り忘れたかもしれん｣って言ったんだけど、アイツ興味持っちゃってさ…いろんな地図で調べてもあるはずの位置に吊り橋が無いから、俺また地元まで行かされた。熊本だぜ？やばいだろアイツ。まぁ、その時はお互い仕事無かったからよかったけど…そうして英智は写真や映像に残せないっていう異常性を突き止めて、後はアイツが全部やってくれたよ。発見したのは俺だけど、未解明領域ファイルに提出してくれたりしたのは英智自身だな。

それからだと思うが、アイツはサイト内に友人が増えて、仕事を任されるのもちょっとだけ多くなった気がするな。俺と英智は元々親友だけど、エージェントの癖に未だにトラック運送くらいしか仕事のない下っ端の俺からすれば羨ましかった。
いや…そんなんで殺害の動機になんてならないぞ。そんな目で見るなよ。俺はとびきり小心者だから人を突き落とすなんて無理だし、英智とは本当にかけがえの無い親友だと思ってる。アイツが心の支えになってるんだよ。俺が毎日英智の寝てる部屋でアイツが目覚めるのを待ってること、涼縫瀬も知ってるだろ？

涼縫瀬研究員: ええ。
ですが現段階では、貴方がSCP-XXXX-JP-1の吊り橋の内部に突然出現するという、所謂転移能力を持っている可能性も示唆されています。心当たりなど詳しく教えて頂けませんか？

エージェント・盤州: 俺も信じられないんだ。今まで何度も、漫画のキャラ真似してやってみたことはあるけどな。寝てる間に勝手に瞬間移動してるなんて話…それに英智だけじゃない。親父もお袋も、彼女も…俺にとって大事な人達ばっかり居なくなる…それも俺が手にかけた事になってるんだ。他人事なんだよ。俺が俺じゃなくなったとか、何かに取り憑かれてるみたいな…勝手に話が進んでる感覚だよ。信じてくれないと思うけど。

涼縫瀬研究員: 貴方自身が異常性を持つという可能性は否定するということですか。

エージェント・盤州: あぁ。本当だ。今ここで瞬間移動してみろと言われても不可能だぞ。…なぁ、英智を殺そうとしたのは、本当に俺なのか？あの映像に映っていたのは、本当に俺か？

涼縫瀬研究員: 貴方ですよ…貴方が、英智さんを。

[本インタビューに関連性の低い話題であるため省略]

〈インタビュー中断〉

過去4度に渡る事象-XXXX-JPの発生日時から、このイベントは毎月10日前後の満月の日に起こると考えられ、最後のイベント発生から１ヶ月後の2020/3/10を含む１ヶ月の間、SCP-XXXX-JP-1周辺とエージェント・盤州の監視・警備を徹底しました。ですが、5度目のイベントは発生せずエージェント・盤州が転移する現象も確認されませんでした。これに即し、4人目のSCP-XXXX-JP-3である英智研究員が死亡していないことから5度目以降のイベントが発生しないと仮説が提唱されています。現在、英智研究員の延命治療を継続することにより、事象-XXXX-JPの発生の抑止を成功させています。

補遺: SCP-XXXX-JP-3-4: 2020/4/8、SCP-XXXX-JP-3-4（昏睡状態にあった英智研究員）が突如覚醒した後、手首や腹部を突き破ってSCP-XXXX-JP-4と同種と思われる群れが内部から出現しました。SCP-XXXX-JP-3-4の開口部から下の体はそれによって上半身と分断され、腹部から下と両手首にはシオマネキと酷似した外見を持つ巨大な鉗脚に変化しました。その後SCP-XXXX-JP-3-4は自立し、同室にいたエージェント・盤州に少しの間発話した後部屋を出ました。廊下でそれらを見かけた職員の通報によってサイト管理部に通達され、保護された後インタビューが行われました。

室内の映像からはそれらの不審な動きは確認されませんでしたが、治療室に残ったエージェント・盤州は憔悴しており、不明な手段で声帯を切断された状態でした。心神喪失状態のエージェント・盤州の回復を待って、当該案件に関するインタビューが再開される予定です。またこれ以降、事象XXXX-JPの発生は確認されていません。

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1. portal:6151471 (13 Mar 2020 05:40)

Footnotes

1. イベント発生時、現場に駐在していた機動部隊員により、初めてのSCP-XXXX-JP-3の救命に成功。