SCP-XXXX-JP 誰も悲劇からは逃げられない

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 現在、SCP-XXXX-JPの収容は、その乱数的性質により成功していません。脱出に成功したSCP-XXXX-JP-aは、望む場合Bクラス記憶処理の後解放されます。現在までSCP-XXXX-JPからSCP-XXXX-JP-bを含んだ2名未満の犠牲者での脱出には成功しておらず、SCP-XXXX-JPによる消失者の数も判明していません。

説明: SCP-XXXX-JPは、全人類を対象として無作為に発生する事象です。現在まで、道路や線路付近など、SCP-XXXX-JPは、命の安全が完全には保たれていない場所で発生する傾向があることが確認されています。SCP-XXXX-JPは、畔木博士によって発見され、いくつかの実験により存在が判明しました。
SCP-XXXX-JPが発生した人物(以降SCP-XXXX-JP-aと呼称)は、その場に肉親や恋人、自身の子供など、関わりが深い人物(以降SCP-XXXX-JP-b)が周囲に出現していることを発見します。その数秒後、SCP-XXXX-JP-bは、車の激突や電車との激突により死亡します。それと同時に、周囲の人間はその事象への極端な無関心と動きの低下が発生します。そしてその状態から180秒ほど経過した場合、SCP-XXXX-JP-bがSCP-XXXX-JP-aによって確認される少し前の時間へと逆行します。なお、この逆行によって、SCP-XXXX-JP-bの生死が変化した例は有りませんでした。この逆行を知覚したことによるSCP-XXXX-JP-aの心理的ストレス等の原因から自殺が行われた場合、SCP-XXXX-JPは消失し、SCP-XXXX-JP内部で死亡した人物の情報は、記憶、電子データなどの全ての記憶媒体から消失します。

補遺:

探査記録01 - 日付████/██/██

担当:
D-████と長谷川研究員
記録方法:
SCP-XXXX-JPが発生しD-████がSCP-XXXX-JP-aとなった状態で、小型カメラと通信機を用いて調査を行った。
探査記録:
[探査開始]
長谷川研究員:カメラを起動してください。

D-████:あれ、こっちだとちゃんと動いてるんだけど。見えてないか?

長谷川研究員:なるほど。何か先ほどまでと変化はありますか。

D-████:いや、特には….あれ?

長谷川研究員:どうしましたか?

D-████:あれ、いや、俺のお袋がいた。足悪くしてるはずなんだがな…なんで居るのかはしらねぇが、道路の向こうにお袋がいる。ちょっと話しかけてもいいか?

長谷川研究員:許可出来ません。しばらく様子を観察してください。

D-████:….そうかい、わかったよ。結局…(衝撃音となにかが折れたような音)へ?

長谷川研究員:何か発見しましたか?

D-████:お袋が…たった今車に引かれてすっ飛んだ。今…四肢が変な方向に曲がってる。助けにいく。

長谷川研究員:出来る限り過度な接触を控え、その場に居合わせた一般人として違和感が無いように行動を___

D-████:うるっせえな!!今それどころじゃねえんだよ!!あとでお得意の記憶操作なりなんなりすりゃいいだろ!!

(数十秒の間、D-████は指示に対して応答せず、救命行為を行い、救急車の通報を行った)

D-████:駄目だ、心臓が、もう…動いちゃい

(D-98963の発言が完全に聞こえなくなり、数秒間、不定期に逆再生のラップ音のような音が繰り返される)

D-████:ああ…

長谷川研究員:大丈夫ですか?あなたの母親の状態は?

D-████:は?俺はお袋には十数年は会ってねぇけど、なにか関係があんのか?

長谷川研究員:え?…なるほど。だいたいは解りました。その道路の付近に、あなたの母親はいませんか?

D-████:いや、いるわけねーだろ。第一に、お袋は足を悪くして、歩け…え?

長谷川研究員:周囲に、正常な運転をしていない車は有りませんか?

D-████:いや…無いけど…そもそもどうしてここにお袋がいるんだ?脚悪いし、杖も無しに歩ける状態じゃなかったが…回復し(衝撃音と固いなにかが地面に打ち付けられる音)

長谷川研究員:…迅速にあなたの母親の治療を行って下さい。

D-████:え、あ?あ、ああ。解った。少し待っててくれ。おい大丈夫か!!母さん!!(しばらく救命行為を行う)

D-████:(沈黙)クソが。もう駄

(不定期なラップ音)

長谷川研究員:あなたの母親は、いま元気ですか?

D-████:さあな。この職場に来てからは会ってねえからさっぱりだ。

(以降、十数回似たやり取りを行った。)

D-████:…なあ、

長谷川研究員:どうしましたか。

D-████:俺は…気のせいだと思うんだが…なにか、忘れちゃいないか?

長谷川研究員:それは、あなたの母親と関係があることですか?

D-████:ああ。なんか少し前から脳味噌にこびりついてんだよ。なんか、この道路と、母親が。…現に俺の目の前に、母親がいる。多分だが…車が来るだろうし、その車のナンバーは████だ。違うか?

長谷川研究員:はい。

D-98963:(長い沈黙)なあ、これは何度目なんだよ、何回死んだんだよ、いつここから抜け出せるんだよ、いつ母さんは助かるんだよ、どうなってんだよ、なあ、頼むよ、ここから出してくれよ。もう死ぬのを見るのも聞くのもうんざりなんだよ。なあ、なあ!

長谷川研究員:落ち着いて下さい。現在模索中です。

D-████:もう…(沈黙)無理だ。(衝撃音)俺はもう、どうすることも出来ない。もうここからも動けない。もう嫌なんだよ。死なせたく…いや、死ぬとこ見たくねえんだよ。見るたびに、飛び散るたびに思い出すんだよ。思い出も、過去も。頼むよ、出してくれよ。殺してあげてくれよ。…もう、逃げさせてくれよ。(銃声と肉片の飛び散る音)

(その後一切の音声が流れなくなる)

追記: D-████に登録されていた人物や記録に残っているD-████の母親とされる人物は存在していません。

<インタビュー記録,SCP-XXXX-JP01>

対象: 畔木博士

インタビュアー: 長谷川研究員

付記: このインタビューは、消息不明になっていた畔木博士が発見されてから一日後のインタビューです。

<録音開始, [████/██/██]>

長谷川研究員: 本日はよろしくお願いいたします。

畔木博士: はい。

長谷川研究員: では。なぜあなたは、あの空間を知った上で脱出出来たのですか?

畔木博士:(沈黙)私に家族はいますか?

長谷川研究員: …え?

畔木博士:私に妻と、娘はいますか?

長谷川研究員: いえ、貴方に現在までそのような記録はありません。

畔木博士:では、凪原██と、畔木██という人物の記録はありますか?

長谷川研究員: …いえ、調査しましたが、そのような人物は見つかりませんでした。

畔木博士:そうですか。(数十秒の沈黙)私はおそらく…運が良く、そして運が悪かったのでしょう。多分ですが、あの状況から脱出する条件は、私とその関係者を含めて2人死ぬことです。あの時、私はあれに重複していました。そしてそれが、私の娘と、私の妻でした。私の家族写真であったはずのものには、私が変に隙間を開けて立っている様子が写っています。使っていなかったかのように埃を被った部屋もありました。 つい先日まで、妻が書類を整理していた部屋も娘が眠っていたはずの部屋も、がらんどうで傷ひとつついていません。おそらく、あの空間で死んだ人物は、忘れられるという形で本当の死を遂げることになります。私は(数十秒の沈黙)、あの場所で数百回は、二人が死ぬのを見ました。吹き飛ばされた肉塊を、肉片を何度も。もう終わったんです。二人私が抱えた二人が、同時に動かなくなったあの時に。だけれども、まだ、まだ脳裏に焼き付いてるんです。アスファルトに混じる血の匂いを。悲鳴を、ちぎれた肉塊を。

長谷川研究員: 落ち着いて、ゆっくりでも構いません。辛いなら、まだ…

畔木博士:私は、なぜ彼処から出られたのかはわかりません。でも出られました。最後に…意識が途絶える間際、聞こえたんです。妻の声で、娘の声で。(声が震える)

長谷川研究員: 落ち着いて下さい。今日全部話す必要はないんです。またいつでも、心に余裕がある時で

畔木博士:怖いんです。明日も自分が存在していられるかが。聞こえたんです。妻の(沈黙)そして娘の声が。「いきて」って。もう、もう私は…

長谷川研究員: 一旦インタビューを終了しましょう。もうこれ以上一度に話すべきではありません。貴方を、私たちが忘れるようなことはありません。


<録音終了, >

終了報告書: その一日後畔木博士は拳銃による自殺を試み、自室で倒れている所を発見されました。早急な治療により一命をとりとめたものの、現在も意識は回復していません。


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