壥入座

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子供の頃というのは、基本誰もが好奇心の塊だと思います。だからこそ、親が寄り添って、子供が危険な場所や物に首を突っ込むことを叱って止めるんでさぁね。しかしどうにも子供に取っては窮屈で、子供だけで集まってする鬼ごっこなんてものは本当に楽しく感じると。まぁ容量の悪い奴はなんかそこで人様の土地に入って大目玉食らったりするものですが、そうやって基本子供は大きくなっていくものでございます。まぁつまり子供には、ルールとして入っては行けない場所と言うものは最初はわからないんですね。
それとは別に。皆さんも一度は経験あるんじゃないかとは思いますが。例えば近くの林だとか、薄気味悪い場所に入ると、背すじがゾクリと粟立つような事。所謂これは原始的に入っては行けない場所なんですね。人間が原始から怯えていたところ。そういう所は、基本子供もずかずかと上がることはあまり無いでしょう。

いやあ、前置きが長くなってしまいましたね。古い友人にですね、前田と言うものがおりまして。これもまぁ絵に書いたような小学生男子というような奴でして、結構仲良くさせて貰ってたんですよねぇ。

それでですね、確かあれは8月末、うざったい暑さが残るような日でした。あいつの家に遊びに行く事になりまして。他の友達二人と向かいますとですね。前田の家の玄関の前にですね、一枚の薄い、半紙でしょうかね、そういう紙ぺらが落ちてまして。見るとこう、足の型見たいなものが押されてて。それを一目見て、他の二人がその紙ぺらを気にも止めず入っていくのを見て、「ああ、もうこの家には入れないな」って、理由もなしに思って。怖くもなく、何というか、せっかく来たのに残念だなあみたいに感じたのを覚えてます。何だったのかまではわかりませんけど。当時小さい子供でしたけど、それを見た時からですねぇ、良い家ってのと、悪い家ってのがわかるようになった、ってのは。

いや、あの後どうしたかなんてのはもう覚えちゃいませんよ、何しろ、次の日から二人とも、瞳孔が奈落みたいに真っ黒になっちゃいまして、色んな場所の隅しか歩けなくなっちゃいまして。廊下とか教室とかですね。なんだか気持ち悪くて、話しかけるのも止めちまいましてね。

入ってってその二人も助けりゃよかっただろうって?馬鹿おっしゃい、夕方なのにどの部屋にも明かりがついていない家なんかに、誰が入るもんですか。


dear:佐原
from:石川
お前の家って今暗い?

dear:石川
from:佐原
いや別に。今日は好きな番組があってさ。夜ふかししてるわ

dear:佐原
from:石川
暗くしたほうがいいよ

dear:石川
from:佐原
何が?暗くしたほうがいいって。じゃあ聞くけどこの時間にお前は電気もつけずにパソコンだけつけてんのかよ?

dear:佐原
from:石川
そうしないとみえちゃうからね

dear:石川
from:佐原
見える?何がだよ?

dear:佐原
from:石川
お前行っただろ あの家

dear:石川
from:佐原
行ったけど…お前が行きたいって言うから俺外で待ってただろ?

dear:佐原
from:石川
外から見たか 部屋

dear:石川
from:佐原
見てないよ ていうかどうしたのマジで

dear:佐原
from:石川
聴いたか 足音

 

dear:石川
from:佐原
お前何見たんだよ 言えよ怖いから

dear:佐原
from:石川
いた

dear:佐原
from:石川
来る 足音が

dear:石川
from:佐原
は?いたって何が?

dear:佐原
from:石川
嫌だ ここは暗いんだ

dear:佐原
from:石川
パソコンの光が漏れる 消さないと見られる 見つ


壥入と言うのはですね、ほら、子供なんてのはほおって置くとすぐに夜ふかしを始めたりするでしょう。そういう事を止めさせるために親御さんなんかが頑張って生み出した、まぁ妖怪とは少し違いますが、そう言った、半空想の類の物にございます。ですから姿かたちも様々ございまして、部屋の天井程の身長の者、巨人のような大きさの者、細い体躯のもの、筋骨隆々なんて者もあるらしい。ただですね、共通する所もあるそうなんですね。家の中をばたばたと走り回って寝てない子供を探す、目を盗る、家に入る前に何かしら足跡を残す、これはね、正直変だとは思うんですよ。北も南も、壥入という名前とこの習性だけは何処も一緒と来たもんですからね。いんや、知りませんよ私は。出自由来もも何もかも。でもねぇ、みんな言うんです。この名前を言うと。お母さんなりお父さんなりに言われた事あるって。そんでいって笑うんですね。夜ふかしさせないためだったんだろうなあ。ってね。けらけら笑うんです。いやあ、ご存知のはず。忘れているだけのはず。夜中に聞きませんでしたか?あいつの足音。


神奈川県逗子市 死亡記録総覧:ページNo.2254
棚倉 葵(18)
死因:不明。発見当時両目がくり抜かれており、眼孔から未知の黒色をした液体が噴出していた。その他、永久歯5本、上顎を含む役8の臓器が消失していた。

船染 蘭人(19)
死因:不明。自ら両目をシャープペンシルで失明させた状態で発見。その他一切の外傷が存在していない。


まぁつまりどういう事かと言いますとですね、他人の家なんてものは何がいるかわかりやしませんからねえ、基本立ち入るものでないという話です。持ち替えでもしたら尚更ですからねえ。いやあ、本当に、立ち入ろうが立ち入るまいが、駄目なものは駄目なんです。あれ、刻が過ぎちゃってますかい。悪いね、ちょっと目を悪くしてしまって。どうしてもお座敷を汚してしまうんですよ。何しろ、ずっと黒い涙がちょちょぎれの語り部なんて、不気味でしょう。僕はもう家には帰れませんからねえ。そうそう、住まわれてしまって。でもそう言う類のものはね、なすりつけちまえばこっちのもんでございますから、またいずれぶらりといなくなるでしょう。それまではまた、こうぶらぶらと生きさせて貰いますわ。ワハハ。ワハハ。ワハーハハハハ。ワハーハハハハ。ワハハハハハハ。



いずれ、あんたのとこにも来ますよ。電気は消しとく事ですね。


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お邪魔します


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