BLONDE & NAIL-GUN ──Part1: 金髪女とネイルガンと釘バットと黒髪眼鏡黒ニーソミニスカ文学少女

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BLONDE & NAIL-GUN
──Part1: 金髪女とネイルガンと釘バットと黒髪眼鏡黒ニーソミニスカ文学少女

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「──アンタ名前なんつったっけ。いやね、実はやり合ってる最中うっかり忘れちゃったんよね。マジで誰だっけ。えっと……」

──荒い吐息だけがやたら小さく響く足立区某所の路地裏。青いツナギと工員帽に身を包み、右手に血塗れの釘バット、左手にネイルガンを握り締めたポニーテールの金髪女が一人。左腕と左耳を吹き飛ばされながらも決死の逃亡を続ける黒髪の眼鏡女の後ろを、馬鹿にするようにゆっくりと歩んでいた。吐息の主たる黒髪眼鏡は時々背後を確認しながら左腕の流血に顔を歪め、それでも尚前進する。金髪女の背中に搭載された大出力コンプレッサーと二つの超大型バッテリーが、歩みを進める度にガッチャガッチャと音を立てた。

──二人の辿り着いた先はゴミ袋が積載されている薄汚い袋小路だった。滝のように血を流す黒髪眼鏡の胸元および腹部には、大型の、赤く朽ちた十数本の釘が突き刺さっている。金髪少女は黒髪眼鏡の傷など目もくれずに、淡々とその軽快な声を放った。

「ああ、あ~、そうだ、アレだわ、アンタの名前アレだったわ、ビシェロ=ウナだったわな。ようやっと名前思い出せたわ。物忘れ激しすぎて笑うわぁ、っはっはっは~。……んー、カオス・インサージェンシーの日本方面隊でデカい顔してるって聞いてたけどホント大したこと無ェなオイ。何かアレらしいじゃん。“針と刃の魔女”とか何とかと恐れられてだいぶイキってたらしいじゃんアンタ。──んで蓋を開けて見りゃ低レベルも甚だしい物質干渉型現実改変者かよダッサ。ダッサ~! ダッサいわ~!ホントダサいわ~~~ァにゃははははははははァはァはァはァはァはァ~~~~~~!!!!」

──独特な爆笑の声に青筋を立てつつも、黒髪眼鏡はその右手を素早く掲げ、バタフライナイフの集合体としか形容できない何かをその指先から精製した。集合体は黒髪眼鏡の欠損した左腕の切断面へと移動し、ギリギリ腕部に見えなくもない形へとその姿を変える。──荒い呼吸を整え脂汗と血反吐を撒き散らしながらも、黒髪眼鏡は右の袖口から出現させたカランビットナイフを握り締め、静かに戦闘態勢へと移行した。身体こそボロボロではあるものの、彼女の心はまだ死んでいないらしい。

金髪女はやっと爆笑を止め、そして落ち着いた声で挑発を続ける。

「ったくよォ、オタクにだけやたらモテる文学少女みてえな面しやがってお姉さんムカついちゃうぞこの野郎。このアマだったわな。ごめんな。──あと今の私のたとえ巧くない? ねぇ、巧くない? しっかり物事の的を射たの久しぶりだわ──」

「……御託はもう十分だ。さっさと来やがれ金髪。……初対面の人の面をあわや文学少女などと嘲るそのユーモアには感服するが、とりあえずボクはそんなキャラじゃない事だけ伝えとこう。」

「ぅぁぁぁああああああボクっ娘属性来たァーーーーーーーッッ!!! いやァ、お姉さんねぇ、いやさっきから深夜テンションで話しちゃってごめんなァッ! 酒とか一切飲んでなくてもこのテンションになるから許してなァ! ……あっと……お姉さんボクっ娘が滅茶苦茶好きなんだわ。何年か前のとあるアニメで性癖歪まされて以来──」

台詞の途中、金髪女は突如としてネイルガンを構え、黒髪眼鏡の黒ニーソを白く艶やかな太股ごとノールックで射抜いた。途端に可憐で華奢な右の太股が可愛らしいニーソごと腐り落ちる。絶叫をかき消すように、金髪女は再度照準を修正し黒髪眼鏡の丸い眼鏡を青い眼球ごと射抜いた。

「──もォオカズと言やぁボクっ娘一択よ! ホント可愛いよねェボクっ娘! 萌える! 尊い! そしてえっちだ! そんな可愛いボクっ娘があわやここに一人ッ!」

楽しそうに、半ば泣き声のような声を振り絞り叫びながら、金髪女は跪いた黒髪眼鏡へとネイルガンを乱射した。着弾地点を中心に肉や地面が腐り落ち、時間の経過と共に腐臭も濃くなっていく。──しかしながら黒髪眼鏡はその猛攻に、今尚耐え続けている。それどころかこの乱射を体中で受け止めながらゆっくりと立ち上がりつつある。

「アンタも人に教えられないタイプのねじ曲がった性癖持ってそうだな! だってムッツリスケベの面してるもん! 何をどう隠そうともお姉さんの目は誤魔化せないぞ黒髪眼鏡クロニーソミニスカ文学少女! ──さぁアンタも死ぬ前に己の性癖をぶちまけろ! BLは読めんのか! ショタは許容範囲内か! はたまた男の娘はイケるのか! 答えろ! お前の墓穴はここだ! 墓場まで持ってく秘密もここでぶちまけておくれ! お姉さんに聞かせてくれやァッ!」

「──うるせェェァアアァァァアアアアッッッ!!!!」

黒髪眼鏡は絶叫と共に立ち上がり、質素な黒スカートの中からボロボロと出現させたナイフ群で欠損した体の代替パーツを構築、これを瞬時に装着し、その両掌から市販品のカッターの替え刃を乱射した。さらに背部からも六本の日本刀がその刃を剥く。──何発かくらいつつも殆どの攻撃を釘バット一本で叩き落とした金髪女は、ネイルガンを構えながら一つ前の角へ後退し威嚇射撃を試みる。が、黒髪眼鏡もまた赤い釘を日本刀で叩き切りながらこれを追った。大型の斧へと変形した右脚が付近の電柱ごと金髪女を凪払う。

「うおッ──」

間髪入れずに黒髪眼鏡は突き進み、金髪女の土手っ腹へと──地を這うような低姿勢で正拳突きを放つ。拳を抜いた瞬間生暖かい血液がへその周りから溢れ出した。

金髪女は吐血しながらも黒髪眼鏡の背中へとネイルガンを押し当て脊椎への0距離射撃を試みる。しかしいくらトリガーを引いても釘は一向に放たれない。──黒髪眼鏡の左膝から延びた薙刀の刃が、いつの間にかコンプレッサーとネイルガンを繋ぐホースを叩き切っていた。金髪女はすぐさまバッテリーとコンプレッサーとネイルガンを放棄しようと動くが黒髪眼鏡はその隙を見事に突いた。腹部にもう一つの大きな刺し傷が開く。金髪女は顔を歪めながら後退りした。

「──おっほぉ……オ゙ェ…………気持ち悪……ゲロ吐きそう……」

戦闘開始から2分と30秒、ようやく二人の負傷のレベルは同一のものとなった。もはや互いに満身創痍である。──少し落ち着きを取り戻した黒髪眼鏡は、呼吸を整えながら自分の前で跪く金髪女の青ツナギへと質問した。

「──思い当たる節は山ほどあるから“ボクを殺そうとする理由”に関しては質問しない。それでも一つ聞きたいんだけど……お前は“誰”だ? どの組織の差し金だ? 財団やGOCがお前みたいな変態を扱ってるのかとなると正直疑わしいし、かと言って日本国内の蛇の手構成員にお前みたいな奴もいなかったはずだ。海外からの刺客だとしてもボク個人が他国の組織に喧嘩を売った覚えは毛頭無い。……まさか腕試しのつもりでボクに勝負を挑んだとでも?」

質問が終わるや否や、黒髪眼鏡は全身から出現させた細身の刃で金髪女の背中を浅く突き刺し続ける。さっきのお返しだとでも言わんばかりに、とにかく狙える箇所をくまなく刺し続け、殺さない程度に容赦なく嬲り始めた。

──突如として途轍もない大声が足下から黒髪眼鏡の鼓膜を揺さぶる。

「──鳴芽今日華ァッ、26歳ッッ!」

──金髪女は青いツナギをどす黒い赤に染めつつも、致命傷ギリギリの傷を複数負った腹に力を込めて唐突に叫んだ。そして更に続ける

「東京都立██高校卒業後、東京██大学機械工学部へ入学! 工具設計を専門に四年間の勉学を乗り越え、卒業と同時に三菱重工業へ就職する予定でした!! 四年前までは!!! 」

耳を軽く塞ぎながらも、黒髪眼鏡は金髪女の慟哭──否、自己紹介に聞き入っていた。叫び声は続く。

「──私の家系がとある呪術師の血筋を引いていると何かの組織に知られた途端に何もかもが変わっちまったんですわ!!! 黒服がお袋連れてくわ親父は記憶全部消された後で別人として社会復帰するわ!!! 黒服共の正体がアンタらカオス・インサージェンシーであることを知ったのはことの始まりから一年後だった。アンタらのボスはどうにもお袋の体を気に入っちゃったらしい。 ──現在絶賛行方不明中の我が母をクソ共から奪い返さなきゃいけねえ、そのためにはまず情報と殺しの腕が必要になってくる!!! 放浪の末ついに米国から出向してらっしゃる蛇の手一派から委託されたお仕事を執行するフリーの殺し屋になったってわけよ!!!釘を媒介とした呪術も一応使えるようになってきたしもぉ何か転職だわなこれ!!!殺した分だけ金がもらえるってどんなホワイト企業よって言うねェ~! ──そんな私のお仕事の記念すべき八回目のターゲットがアンタってわけね。ごめんね長々と。こんな安物に時間かけんのもアホらしいしさっさと殺すわ。」

「心中お察しするが先程幾つか背中の腱を切らせてもらった。それともう一つ。ボクには一つの大きな使命がある。浚われた親を捜し出し奪還しようと健気に戦い続けるお前の心を踏みにじるようで悪いが、こっちは仮にも世界全部を相手に戦ってる身でね。……という大義名分はさておき、単純にクソムカついたからお前はここで殺す。人の大切な生足腐らせやがって、覚悟しろよ。」

黒髪眼鏡は右腕に刃を収束させ、怒りに任せてこれを振り下ろした。土煙と爆音と衝撃波が一斉に発生する。並の人間なら木っ端みじんに吹き飛ぶ破壊力だ。

──しかし、刃の軌道上に青ツナギの金髪はいなかった。動揺の最中突如として自分の顔に落ちてきた影の正体をその目で確認する直前、黒髪眼鏡の耽美な顔は大量の脳漿と血液をぶちまけながら大きく内側にひしゃげた。

「──ハハッ、馬ァー鹿。腱斬られた如きで私が武器握れなくなるとでも思ってんのか? ……もう死んでたか。」

作業靴特有の重い着地音と同時に、腐りきった挽き肉と化した黒髪眼鏡の顔面が地面に叩きつけられる。ヴォンッと空を切りながら付着した肉片や血液を振り払い、金髪女は腰部のホルスターへと釘バットを収納した。

夜明け前の足立区の路地裏。すぐ横を流れる汚染された川の匂いが立ち込めるゴミ集積所の天辺で、金髪女はネイルガンを堅く握りしめながら太陽を見つめる。

「……何でこうなっちゃったかなァ、私。」

独り言を漏らす女の頬には、一筋の水滴が走っていた。


下書きここまで。
チームコンテストには一切関係ありません。

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