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略歴

1998/01/24


 ──激化する複数団体からの悪質な妨害工作を懸念した東弊重工社は、これらの排除、駆逐を主要任務とした独立武装セクション、“東弊警備保障”を秘密裏に設立。TH-G建造計画と時を同じくして進められていた巨大人型戦闘兵器建造プロジェクト“タケミカヅチ計画”の担当チームがこれの統括を担うこととなる。


同年/07/12


 ──イベント・ベルセポネ発生に伴いヴェールが崩壊。日本生類創研などの一部企業を除く国内ほぼすべての異常製造業者の大規模な経営悪化(いわゆる『開示恐慌』)が確認される。プロメテウスジャパングループとの一時的な通信途絶を皮切りに本社にて17の契約先との提携が一方的に破棄された他、28名の本社社員が重要機密記憶を抹消した後財団に投降、4名が記憶を保持したまま国外へ逃亡する。


同年/07/13


 ──本社の経営悪化に基づき東弊警備保障の予算縮減と、“タケミカヅチ計画”の一時的凍結、並びに人員の大幅削減実施。事実上の壊滅が決定。

──三年後──

──日本国 神奈川県川崎市──

──2000年07月12日:

 ──近場のコンビニで納豆巻きと缶コーヒーを購入し勤め先へ歩みを進める午前7時50分。目の前に広がる神奈川県川崎市は、今日も今日とて夏の大空に押し潰されていた。道行く人々の俯いた顔のおかげで首元の暑さが二割増しになる。おまけに湿度も高いときた。こんな日の朝飯に納豆巻きなんかを選んだ数分前の自分を恨みながら、液晶画面ようにのっぺり広がる空を見上げる。馬鹿にしたような清々しい青が俺を見下していた。

 TH-G計画制御部門の末端を担っていた俺が「被検体としての適性基準を満たしたから」という不明瞭な理由に基づき強制的に席を下ろされ、窓際社員の寄せ集めがコソコソ進める二番煎じプロジェクトのテストパイロットに任命されてから約四年。あの事件から今日で三年経つ。俺の勤め先、“東弊警備保障”は崖っぷちの経営を維持しつつもなんとか存続していた。そしてその崖っぷちからも徐々に脱却しつつある。今年二月の初陣を成功させたのが功を成したか、ついに先月、本社への予算増強申請も押し通せた。給料は二万円ばかり増え、僅か20名程度にまで落ち込んでいた社員数も少しは増えてくれるとのことで、取り合えずはどん底で足掻き続けたこの三年間がようやく報われるらしい。傾きかけていた俺の人生もゆっくりと、確実に戻りつつある。このまま真っ当に働いて真っ当に退職する。ここで負けるわけにはいかない。重工本社から捨てられた俺がここを失ったらもう何も残らないから。

 n度目の決意を胸に、精一杯の軽い足取りで偽装ビルの地下七階に位置する職場へと進んだ。


 ──ロゴ入りのツナギに身を包み会議場へ入室、伊勢いせ先輩の隣に移動して静かに朝礼の開始を待った。この場にいる20数名全員が密かに昇給報告とプロジェクト予算追加の報告を待ち望んでいるのが見て取れる。

 開始時刻ギリギリの段階で社長が慌てて入室。社員全員で起立し、作業帽を納め一礼。手を後ろに組み「おはようございます」の挨拶をしようとした瞬間だった。社長の第一声が響く。

「重工本社からの資金援助の打ち切り、ならびに本社代表取締役直々の命に基づき、来月を以て我が社、東弊警備保障は解散します。」

 幻聴に殴られたらしい。気づけば俺はその場に跪いていた。自分の耳と社長の声帯を疑いながら次の言葉を待つ。冷や汗が止まらないのはきっと気のせいだ。

「──これは確定事項です。二月における我々の活躍は確かなものでしたが、最終的にこの戦績が我が社の存続理由に相応しいものではないと結論づけられました。」

 意味が解らない。あの日俺たちは密入国してきた█████社の戦車小隊一つを壊滅させ、作戦目標である要注意人物をすべて拉致するという多大な戦果を修めたはずだ。有り得ない。認めるものか。TH-Gを追い越して初の実戦運用を行ったというのに。

「ここにいる全員が理解しているとは思いますが、重工本社での受け入れは経費の都合上絶対に不可能です。このまま動かない限り、私を含む25名が全員路頭に迷う、あるいは財団やGOCなどの正常性維持機関に拘束されることは確実です。……これより、私、社長、越前えちぜん明仁あきひとの独断で、大規模撤退プロトコルを実行します。社員は本日中に、すべての重要資料を保存した後ルート・アルファ/ナインを経由し重工本社に直接提出し、作業痕跡および不利益な証拠物件を処理、我が社が結ぶ全契約、協定を終了あるいは強制破棄し、各自の自宅にて夜逃げの準備を行い、明日中に確実に逃げなさい。再集合の詳細に関しては、ただ今から役員を集め臨時会議を開き決議します。また、“辞職”を希望する社員は重工本社の委員監視の下、重要記憶のみ完全消去した上で一度財団、あるいは神奈川県警に保護してもらいます。我が社の記憶抹消装置は優秀です、拘留されたところで何一つ有益な情報が引き出せないと判断され、ひとまずは安全に保護されることでしょう。こちらの紙に署名した方から順番に処理しますが、早めに決断していただかないと業務に支障が出ます。なるべく急いでください。……全員の安全と健闘を祈ります。直ちに作業に取りかかりなさい。」

 俺を置き去りに、他の社員は全速力で駆け出した。目の前が異様なほど暗いのはたぶん気のせいだ。立ち上がれないのも気のせいに違いない。

「真面目に生きていればそんな目に遭わなかった」とほざく輩を片っ端から殴りたい気分だ。俺ほど真面目に生きている奴が

夏蜜柑の騎士: 第一幕
──Summer Orange Standing


下書きここまで

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執筆者: v vetman
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最終更新: 03 Aug 2020 08:53
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