合衆国の短い一日

2001/09/10

At Manhattan Island


 ──旧日本陸軍の制服を纏う10数名の男女が、深夜零時を回った頃、この日俺が警備を担当していた倉庫の前にデカいトラックと共にドカドカ押し寄せてきた。こいつらは夜間警備バイトで小銭を稼ぐ俺ではない、もう一つの俺の顔を知っている。

若い女が一団を代表して、ポップコーンを頬張りふんぞり返っていた俺の元にキビキビと歩み寄り、きれいな発音で、この半年間ずっと待ち望んでいた第一声を発した。

「カオス・インサージェンシーの連絡員さんで間違いありませんね?」

「その通りだ。」

「……こんばんは、初めまして。明日の作戦のコマンドとして参加するIJAMEAの歩行戦車小隊です。バックアップスタッフ含む105名と12両、全員集結しました。これより反ミームフィールドを展開しつつ順次車両を輸送します。」

「今んとこあんたらが一番乗りだ。……ようこそ、日本の戦士たち。会えて嬉しい。」

 さっと立ち上がり、彼女らと固い握手を交わした。初対面ではあるが、ここに集った兵士は志を共にする戦友だ。互いの敬意を無言で受け止め合い、輸送作戦を開始する。

「ありがとう。私は江崎。江崎曹長です。あなたは?」

「エイクウ・キド。あんたらと同じ、アメリカへの復讐を誓った者だ。」

「日本の名をお持ちでしたか。」

「日本人の夫婦に養子として引き取られてね。仕事終わったら色々話したい。……おっと、もう一人誰か来たか。」

 暗い夜道から現れたのは旧ソビエト陸軍のコートを着込んだ老兵だった。薄い逆光と共に現れた彼は、そのシルエットをようやく明確にするや否や唐突に高温の霧に包まれ、数瞬後、一回り大きくなりながら再び我々の前に姿を現した。

「……そんな顔しなさんなカオスの若い方よ。予告通り馳せ参じたぞ。」

「目の前に蟹とも海老とも昆虫ともつかぬ化け物がいたらみんなこんな顔するさ。えっと……“P”の怪人部隊残党、(“骨董品”)だな。他の連中はどうした。四人で来ると聞いたが。」

「ほかの二人は別働隊として他の集合地点に向かったよ。もう一人は先週老衰でね。」

「お悔やみ申し上げる。災難だったな。こちらは──」

「IJAMEAの歩行戦車小隊の隊長、江崎曹長です。共にアメリカに、財団に天誅を。」

「“ロブスター”という者です。威勢良く礼儀もあるお方だ。貴女のような──」

「そういうのは後でやってくれじいさん。今は時間が惜しいから全員で働くぞ。」

“ロブスター”はちょっと肩をすくめた後、高温の霧とともにその変身を解き、武器類のチェックを手伝いに行った。俺はもう少し、ここで他の参加者を待つ。


 ──明日、2001/09/11、俺たちはカオス・インサージェンシー史上最大となる、財団、GOC、合衆国を攻撃目標としたテロ作戦に参加する。

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