SAMURAI SOWED: Part 1

「“サムライソード”ぉ? また出たんかそれ。」
「あー、俺の通学路解る? あのォほら、コンビニ曲がってすぐんところにあるカーブミラー。アレがバッサリと。」
「斬られてたんか。」
「断面エグいほど綺麗だった。警察来てたけど封鎖用のテープとかは張られてなくてさ。んで思わず近づいて写真撮ったんよ。……あぁ、これだわ。」
「うっわエグ。」
「でしょォ? ヤバくない?」

金曜日。午前8時42分。

一限目の開始まで残り20分を切った頃の人口密度。
ぎこちない音で溢れかえる5月の教室。6階の空。

窓際の一番後ろの席に座る僕は、朝の日差しを浴びて少しばかり温まった机にゆったりと突っ伏し、(今のところ)たった一人の、毎朝遅刻ギリギリの登校をキメてはこちらに自慢してくる友人を待っていた。隣席で何やらスマホを片手に盛り上がっている男子二人組の会話が眠気を飛ばしてくれる

[加筆]

「──よぉ。アカネ。」

聞き慣れた声に振り向き、立ち上がる。

「……遅いよ。」
「そりゃ狙ってやってるからね。」
「」

[加筆]


サムライソード。

中学校の卒業式の翌日から何となく囁かれていたこの街の噂。現象あるいは一個人のコードネーム。浅い伝承。怪談。簡単に言うとカーブミラーや道路標識が胸の高さのあたりからバッサリと斬られているだけの現象らしい。

つまりは今僕が目の当たりにしているソレだ。西宮と有栖川が騒いでいた、例のやたらダサい名前の奇妙な噂は実在した。

「まーーーーーーーたこいつかよ。」
「すっげ。写真撮っとこ。」
「グラインダーか何か使ったんかね。ちゃんと研磨しないとこんな光沢できないはずなんだけど。」
「にしては粉塵とか残ってないじゃん。」
「えー……ほんと何これ。」

ことあるごとにスマホを取り出す典型的な男子高校生二人を後目に、眼鏡をかけ直しながら支柱の断面を凝視する。見事な光沢。仰角およそ60°で一刀両断されたパイプの断面が描く楕円は、僕の眼鏡の向こう側まで反射している始末だ。オマケに金属パイプの断面付近には必ず発生するであろう歪みやバリが微塵も存在しないときた。

「──ヘイ、アカネさん、顔写っちゃうからもうちょっとだけ離れておくれ。」
「あ、ごめん。」

垢の特定を恐れていないのか、有栖川は内容の一言一句をすべて音読しながらツイートを清書している。別にこちらからそんなモノを見つけに行くつもりは毛頭ないが、如何せんこういう危機感の欠如は見ているだけでヒヤヒヤしてくるものだ。

「ツイート完了……そういやアカネさんってTwitterやってたっけ。もしアレだったらフォロバすんべ。」
「え、あ、」
「やってないんか。ごめんな。」

こういう男基本的にモテない

.

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