さよならフルメタルアイズ

「あと24ヶ月しか生きられません。」

自分にであろうと、他人にであろうと、真っ向からクソ真面目にこんな台詞を吐かれたら誰だって揺れる。実際揺れた。僕は二年後に死ぬらしい。

悩んでいてもしょうがないのでさっそく財団を辞めた。


「高校卒業直後に財団に就職した奴は酒の味を知らないまま死ぬ」なんて決まり文句がある。死んだ同期の顔を思い出すからあまり考えたくはなかったけど、今は鮮明にこの声を噛み直せる。アルミ缶から零れたプルタブを摘みながら。初めての発泡酒の味は昨日の記憶諸共消し飛んだままなのに。

窓の向こう側に佇む曇り空が気持ち悪くなるくらい優しくこちらを見下ろしてくる。それでも今は──

──淡い地獄の色。脳裏に焼け付いた硝炎。煙。音。乾いた作業工程。液晶の向こう側で叫ぶ記録の欠片が馬鹿みたいに中指を立ててきたあの日々が、今は無性に恋しい。

僕は人間だった。平穏と哀愁に浸り、ボカロとエナドリに笑える人間だった。


空白


二週間。燃え朽ちた今までの僕を鏡越しに馬鹿にする。
滅茶苦茶笑ってやった。死んでこいカス。

廊下の向こう側で固定電話が鳴ってる。型番は14文字。- は数えない


「アキラぁ?」

「久保です。」

「マジでアキラじゃん。」

「どうしました。」

「いや、高校の同窓会誘おうと思ってさ。」

「名前何でしたっけ。」

「ふぇ?」

「いや、あなたの。」

「金森。忘れちゃったんかい。」

「ごめんなさい。」

「大丈夫だよ~。んで同窓会来る?」

「行くかもです。」

「日程教えるね。LINEでも一声かけたんだけどもしかして連絡先消しちゃったりしてる?」

「ごめん。僕アカウントの引継ぎやってなくて。」

「えっ。」

「新しいスマホに移行してから。」

「じゃあ口頭で説明するわ。メモは?」

「準備できてる。」

「8月26日10時半に錦糸町駅前集合。近くのしゃぶしゃぶの店予約しとくので、集まり次第そっち向かいます。」

「メモりました。」

「うお速いな。ドタキャンも別にかまわんけど一声かけてね。」

「はい。」

「じゃ。」


錦糸町。右翼系の団体が黒い車の上で何か叫んでる。

「久保~!」

うるさい。

「──お待たせ。」
「ども。」
「何年ぶりだっけ。」
「あー……」
「七年。」
「七年。」
「七年間ぶり。」
「はい。」
「七年ぶりだね。」
「はい。」
「名前覚えてる?」
「えーと。」
「私の名前。」
「あー。」
「佐々木です。」
「ごめん。」
「大丈夫。痩せたね。」
「そう?」
「うん。」
「そっか。」
「……あ、みんな来たね。」

知らない人たちが来た。


肉の味がしない。

[以下加筆]


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