見極める術

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以下のカノンを使用しています。
  • 人的資源 - Dクラスが枯渇していくカノン。
  • - 異常性が喪失していったカノン。
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緊急通告


From: サイト-アレフ管理官 ブルース・ギャレット
TO: 全支部サイト管理官

件名: 平和指数上昇による犯罪発生件数の減少及び雇用Dクラスについて



サイト-アレフの管理官から我々に知らされた真実。知りたくなかった事実。いや、早めに知ることができて幸運とも言うべきか。財団は今、"Dクラス使い捨て"の供給が足りていない。他の支部は分からないが、どうやら世界の平和指数が上昇して凶悪犯罪発生件数が減少しているらしい。

この状況を緊急会議で説明するため、私は急いでDクラス雇用名簿を見直し、各月の新規雇用者数をグラフ化した。ずっと上がり下がりを続けていた折れ線グラフは、直近6ヶ月で2割程数値が落ちていた。目に見えた雇用者数の減少ならば、もっと早くDクラスの供給不足に気付けたのではないか?資料作成時そう思ったが、ある一つのデータを見つけその考えは変わった。

月ごとの異常事例発生件数並びに異常存在の収容件数も直近6ヶ月で減少していた。

要注意団体の関与がないアノマリーの発見割合が低くなっていることも特筆すべきだ。それに要注意団体が制作したオブジェクトも扱いが極めて難しい物は殆ど無かったらしい。そのため実験に使うDクラス職員の死亡率が低くなり、供給不足であることに気付けなかった。ざっとこんな感じだろう。人事部は管理しっかりやってくれよなホント……。

このまま供給が滞ると職員自らが被験者となるかもしれないな……。理事会が会議で今後の方針を決定するようだし、最悪のケースが起こらなければ私はそれで良い。鵺さんは就任したばかりなのに大変だな……。


サイト-CN-02の管理官、リリアン・グリフィンはギャレットからの通達を受け取ると、管理官室の豪勢な机の隅にある電話を取り各支部に連絡を入れた。6時間後に各支部の代表者2名による同時接続のリモート会議を行うことを取り決めたのだ。時差はあるがサイト-アレフから緊急通告が届いたのだ、そのようなことを気にしている場合ではない。

腰に届く程の艶のある真っ直ぐな黒髪をなびかせ、優雅に雇用名簿を取りに行く姿はまるで野山で一際輝く一輪の花のようだ。彼女は誰にでも親切で礼儀正しく、多くの職員を虜にしていた。彼女が歩いた後の廊下は空気か浄化されると言われるほど顔立ちも良く、まさに高嶺の花だ。


イタリア、ウンブリアに存在するサイト-イリデ。多くの研究チームと心理学者グループが管理している、主に知性を持ったアノマリーを収容しているサイトだ。サイト管理官であるミリアム・ヴェントゥーラ博士はリリアンとの電話であることを口にした。

「最近、アノマリーが異常性を喪失する事案が多発している。殆どが自然的な死であると考えられているが、発生頻度が急激に増加しており、とても不可解なのだ。会議で詳しく話す。」

渋く、妙に男前な声が響いた。告げられたのは、新たな事案面倒事。蓄えた髭を整え、彼もまた部下を引き連れ調査を開始した。


「管理官、SBU異常対策部1より情報提供です。キエフ郊外の古民家にて休眠状態にある人型アノマリーを発見したとの連絡が—」

「出動可能な機動部隊を派遣しておけ。SBUの奴らが連絡を寄こしてきたんだ、対人型実体との戦闘に特化している2部隊で十分だろう。先程フランス支部から緊急通告が届いた、サイト内の職員で話し合いをするから会議室の準備を。」

「了解しました、管理官。」

サイトUA-166管理官アンドリー・アーキペンコは禿げかかった頭を掻いた。その後中年の彼はよっこいせと立ち上がり、会議室へと急いだ。

当事案に対するウクライナ支部の方針は固まった。アーキペンコは両手を広げ、仲間の士気を鼓舞するためにこう言った。
「……さあて君達、仕事に取り掛かろうぞ。」


各支部がそれぞれ動き始め、資料が集まっていった。リリアンが取り決めたリモート会議に向け、サイトの会議室でさまざまな案が出される。しかし誰もが1つ不思議に思った事がある。


「O5評議会は今何をしているのだろう」と。


日本支部理事会やO4など各支部の権力者が同時に動いているのに、何故O5は何もこちらにコンタクトを取らないのだろう?緊急通告はサイト-アレフから発信された、O5評議会からではなく。

我々は何か仕掛けられたのか?評議会の掌で人形のように踊らされているのか?データベースを見る限りDクラス職員の雇用数は減少している、アノマリーの発生率も同じようにだ。だがこの減少が虚偽である可能性は拭えない。予め改竄されているのかもしれないのだから。

そして通告をしてきたサイト-アレフにも疑いがかけられるぞ。何故アレフだけが気が付いたのか、それは偶然なのか?サイト……。サイト-アレフはO5との密接な繋がりがあるのか?何もかもが怪しく見えてきた、どうしてあの緊急通告は全支部のサイト管理官に宛てられたんだ?

そもそもこんなことをするメリットは何なんだ!?何が目的なんだ?財団は全く関与してない可能性もある、ひょっとしたらこれは要注意団体によるハッキングなのかもしれないぞ?
わからない……考えるほどにわからなくなる。色々なことが頭の中を高速で廻っている。


何が嘘で何が本当なのか、見極める術は無い。己を突き進めるのみ。







「木伏君、また余計なこと考えてるでしょ。ほら、ぼけっとしないで手を動かす。あなたも日本支部代表として会議に出るんだから。」
「す、すみません鵺さん。」


そうだよな、私はまた変な妄想をしてしまったんだな。O5評議会やサイト-アレフの方々に申し訳ない。
……でも何故O5はこの事案に介入しないんだろうな。


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