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「ええっ!?ロイヤーズ氏からの資金提供が途絶えた!?」
会議室に相生の声が響く。
「ちょっと相生君、廊下の職員にでも聞こえたらどうするんだね。機密事項なんだぞ。」
「まあ驚くのはわかる、現に私も先程知ったからな。」
息が上がっている。
今我々は、危機に瀕していた…
僕の名は相生あいおい 裕貴ゆうき。財団日本支部資金管理部門"CMD"1の端くれだ。名前の通り財団の資金を管理してるから、実験の資金も僕らが決めている。そのためかクリアランスレベルは全員4、いいもんだろ。
ちなみにCMDは各支部にあり、それぞれ結構親密な関係にある。だから1年に一回全支部のメンバー全員で休暇に行く。「今年はスペイン支部の番ですね~」「去年のフランス旅行は楽しかったな」なんて会話をするように、毎年順番に各支部の国にお邪魔する。
っと、無駄話が過ぎたね。本題に戻ろうか。
「どうしてなんですか!?先月まで振り込まれていたんですよ!」
「きっとなにかあったんだ…そうだ、そうに違いない!!」
僕は冷静な判断が出来なかった。会議室を飛び出し、地下駐車場に向かう。
「冷静さを欠くのが彼の欠点だ、俺が追いかける。帰ってくるまで通常業務に戻れ。」
クソッ、手間かけさせやがって… 部門長、猪瀬は相生を追う。相生は猪瀬お気に入りの後輩であった。
「鍵がー、鍵忘れたー。」
猪瀬と相生がすれ違う。猪瀬が振り返る。
「ん?」
「あ、部門長。どうしましたか?」
(いやどうしたもこうしたもないよ!お前を追ってたんだよ!)
「あ、いや。(咳払い)相生、お前突然会議室飛び出してどこに行こうとしたんだ。」
しまった、咄嗟のことで叫んでしまった…
「これから空港へ。タイ支部に行ってきます。」
なんとも予想外の答えが返ってきた。
「なんでタイ支部に行くんだ?ロイヤーズ氏は謎が多いんだ。解決には至らないぞ。情報はリアルタイムで各支部に送られるが、これといってまだ有益な情報は出ていない。会議室で待っているのが得策だろう。」
「そっか、そうですよね…わかりました、戻ります。」
そうして私と相生は会議室へと戻っていった。もう少し考えてから行動してほしいものだ。
ある男の影が1つ…
「聞いちゃったよ…」
「とにかく、みんなに知らせな…いッ…と…」
男は首筋に手刀を喰らい、膝から崩れ落ちた。黒いコートを着た男か女か分からない者が男を運ぶ。
「知られてはいけないんでね、暫くここで眠っててくれ。」
黒コートは人気の無い倉庫室に男を閉じ込めた。
「さて、どうする?」
会議室では話し合いが行われていた。しかし、全く前には進まなかった。
「ってか今日も成田さん来てませんね。今大変なのに。」
「いつもの事だ、直に来るだろう。」
成田とは、相生と同じくCMD所属で、猪瀬と同期である。会議などにはあまり参加しないが、仕事を完璧にこなすエリートだ。
「いや、しかし彼女の意見も必よ…」
その時だった。
「緊急!緊急!収容チャンバー███にてSCP-███-JPが収容違反!総員直ちに避難せよ!繰り返す、緊急!緊急!」
けたたましく鳴り響くアラート、逃げ惑う職員、騒めく会議室。SCP-███-JPは侵食系の異常性を保持している。日本支部の資金予算案を削るため、特別収容プロトコルが見直されていたオブジェクトだ。機動部隊が到着するまでには逃げなければ、会議室にいた全員がそう考えた。部屋からいち早く出ることが満場一致で可決された。猪瀬がドアノブに手をかける。扉が開く。…猪瀬に向かって。
ガンッ
「痛ったあ!」
顔面を思い切り強打し、床に鼻血が垂れる。
「ああ、猪瀬いたのか。すまん。」
「な、成田…お前……」
顔を押さえる猪瀬を気にも留めず、成田は懐からある書類を取り出す。それはSCP-███-JPの報告書だった。
「よく考えてほしい、SCP-███-JPは1年程前にNeutralized指定されているだろ。」
成田以外の全員が驚愕する。続けざまにもう1つ。
「そして、恐らくあの音声には認識災害が埋め込まれている。」
会議室のスピーカーは最近調子が悪かった。そのため他の職員ほど影響を受けなかったのだ。
「ボクはこれがあったから大丈夫だったけどね。」
首に掛けているヘッドホンを指さす。
しかしまだ疑問は残っていた。
「なら一体何処からの襲撃なんだ、CIか?Handか?」
「いや、ボクが思うに、今回の大富豪ミスターロイヤーズからの資金提供停止に何か関係あると。」
まだ相手の思案が読める時期ではない。今回の事案では直接襲撃はなく、死者は0人だった。僕らはこれから一体どうなってしまうのだろう…
- portal:6085604 ( 08 Feb 2020 06:42 )

「何らかの物語が始まるんだな」というのは分かるのですが、ここだけですと単に"財団にお金がない"ということを言っているだけですので面白みに欠けている印象です。このtaleだけでも何か1つの物語を完結させる必要があると思います。
なるほど、何らかのインシデントなどを追加してみます
一人称視点の地の文で話が進んでいくのですが、知らないうちに支点の人物が変わっているので読みづらく感じました。
相生が対支部に行こうとした理由が全く分からないのでトンチンカンな会話に見えます。
インシデントを追加されたようですが、それもあまり内容に踏み込んだものではないですし、「資金難」だから起こるインシデントではなかったので作品のテーマがほとんど生かせていないと思いました。
こういう軽口の類も、内容が重厚であったりすれば清涼剤になりえますが、今回の場合だと内容に踏み込めていないのに脇道にそれるばかりであまりいい印象ではありません。
ちなみに財団の経理を描いたtaleとして財団経理課があります。参考になるかもしれません
作品テーマにあまり踏み込めてない…ですか
地の文の改良とインシデント内容の改稿をしてみます