本気で保留中

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自分が親しい人達と笑い、泣いたあの日々は何だったんだろう。

私はあの記憶を忘れ、忘れられることへの決断をまだ悩んでいると言ってずっと先延ばしにしている。
私は財団職員になった時からずっと財団のため、守るべき物のため、世界のためにどんなことであろうと合理的かつ迅速に取り組むつもりだった。
その初々しい宣誓も早速打ち砕かれることになろうと私は想像もしていなかった。

「あの青春なんてみんなが自己評価のために作った嘘の塊だ」
「自分、友人がもしそれを忘れていなかったら数多の命が救えなくなってもいいのか」

そんなマイナスばかりな自分会議を続けているせいか自分が何をしているのか少しずつ分からなくなりいつの間にか客引きや酔っ払い達の雑踏に紛れ酒も飲んでいないのに千鳥足で自分の家の方向へと歩いていた。

そうやってぼーっとしていると誰かが私の肩を叩いた。
振り返ると確実に私の記憶の中にはいらっしゃらない誰かがいた。
酔っ払いかと思ったが顔は赤くない、人違いだろうと思って声をかけようとすると
「よお、███」
その短い誰にでもできるようなその返答は私の眠っていた記憶を呼び覚ます。
彼は私のことを突然殴ったり学校のベランダに閉じ込めたりした世間一般では最低ないじめっ子というような奴だ。
しかし私はこんな評価を口に出して言える程偉くも賢くもない。
なぜなら私は彼に「仕返し」をしたからだ。

どう話を切り出せば良いのか全く分からない。なんで彼は私に声をかけたんだ?
なんで私は彼に気づかなかったんだ?いつも通っている道のはずなのに
そんなことばかり考えていると彼のほうから切り込みに来た。
「これから飲まないか」
私は頷いた。適当な理由を付けて断ればいいものを不意打ちだったが故に頭がまともに回っていない。


裏路地の質素な焼き鳥屋で私はぼんじり2本と烏龍茶を注文しメニューを彼に渡し彼に交換で渡されたメニューを元の位置に戻し
「最近どうだ?」と雑な振り方をした。
それに対して
「職場でパワハラ上司に小さなミスで怒鳴られるわ痴漢冤罪吹っ掛けられるわで大変なもんだよ…
 そっちはどうなんだ?」
「同じような感じ、壮大なプロジェクトを任されずに毎日単純作業で自分が何のために働いているのかわからなくなってくるよ…」
私は笑うことすらできなかったが彼は諦めたような笑いを見せた。
その諦めは自分に向けられた期待から来るような気がしたが自意識過剰だと自分に言い聞かせるが精神的な圧迫感がにじみ出るだけ。
そんな気まずい雰囲気の中に店員が焼き鳥を持ってきて溜まっていた息が飛び出た。
ぼんじりに噛り付きながらオフィスに籠って報告書を書いとけばよかった今更な後悔をしつつ体にタンパク質が行きわたり微かながらも幸福感を得て戦意を取り戻す。


「お前にいつも追従してたあいつはどうしてるんだ?」
「あいつって██のことか?██なら今IT企業でシステムエンジニアをやって家庭もでき順風満帆ってところだが27で家庭を作るなんて想像できたか?」
「いや、無理だな」

くだらない世間話でのらりくらりとあの話題に触れないようにしてそろそろ一時間が経過しようというところだ。
ここまで来れば明日も忙しいからこの辺でお暇しようじゃないかと言って素早く解散できるはずだ。
皮肉なことにすり減った精神に比べ金だけは使えずに貯まっている。奢れば相手も忘れるだろう。
というわけで
「明日も早いからここらで帰らしてもらうよ、今日は俺の奢りでいいから」と言って席を立った。
そしてスムーズに勘定を済ませ店を出て、帰るわ、じゃあなと言おうとした。
その前に彼は
「まだ覚えているぞ、あの恨みは」

怖い、それだけの感情だった。だがその怖さに私の想像が加わりその強さを増す。
その怖さに負けないよう自らを鼓舞するため誰にも聞こえないくらいの大きさで舌打ちをしてみた。
「ああ、忘れられないものだろうね。けど君も私にいきなり殴ったりつまらないことで土下座を強要したよね。それを考えれば五分五分ってところじゃないか。君だけではないよ、恨みを持っているのは」

行動と思考は別の人格が描いたように矛盾していた。
後悔した。謝罪の言葉が出てこなかった。傲慢にも程がある。
次に出てくる言葉に怯えながらも体勢は崩れず、高圧的に見える態度を取った。

「全く謝るつもりもないと…そういうことでいいか?」
「ああ、その通りだ」
「クソが」
「お互い様だ」

一番面倒なことになった。
少し行動を改めていたら仲良くなっていたのだろうか。
もう忘れたかった。何もかも。

「ここじゃ場所が悪い、適当な場所に行くぞ。」

おおよそ何をするかは分かった。なら、こちらも相応の対応をしよう。


「ここでいいか」


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