虎屋博士たちの逆襲

虎屋博士は、目の前に広がる光景を理解できないでいた。

眼前には、夕焼けより赤い緋色の風景が広がっている。そして、彼の周囲には手羽先、フライドチキン、砂肝などさまざまな鶏肉料理が皿に盛り付けられた状態で並んでいる。

緋色の風景については虎屋博士も認知していた。彼のいた世界では444-JP-outbreakの汎世界的な拡大によるK-クラスシナリオの発生が宣言されていたからである。彼もシナリオ発生初期に噂には聞いていたのでこれについては理解できた。

しかし、眼前に散らばる無数の鶏肉料理については、彼も理解できないでいた。このような現象が起こったという事例は全く聞いたこともないし、ましてや自身が鶏肉料理が大好きという訳でもないからだ。

「……ん?なんで唐揚げが浮いてるんだ?」

背後から声が聞こえたような気がしたので振り返る。しかし、そこにはササミカツしかない。

「そう、それだよ。そのササミカツが俺だよ。」

ササミカツがむくり、と浮き上がった。どうやらこのササミカツが声の主らしい。私と同じく料理に見えるミーム持ちということなのだろうか。

「はじめまして、私は虎屋外郎といいます。あなたは?」

「奇遇だな、俺も虎屋外郎ってゆうんだ。よろしくな。」


「ああ、私のもとに鳥が…。それでは皆さん、次はよろしくお願いしますね。」

虎屋博士は、3匹の緋色の鳥に身を引きちぎられた。彼の意識は虚空へと放り込まれた。


虎屋博士は目を覚ます。周囲にはいつも通り赤い世界が広がっていた。そして周囲にはさまざまな鶏肉料理の姿をした平行世界の自分がいた。虎屋博士は覚醒済みの虎屋博士に声をかけ、昏睡状態の虎屋博士を起こして回った。幸いにも前回の時とメンバーは同一みたいだ。

「よかった、前回とメンバーは変わっていないみたいですね。それでは前回言ったとおりいきますよ。」

虎屋博士たちは、唐揚げの虎屋博士の主導のもと、かつての鶏の姿を再現するように陣形を組みはじめた。ササミカツの虎屋博士は胴にぶらさがり、手羽元の虎屋博士は片手を胸肉の虎屋博士と、もう片手を手羽中の虎屋博士とつながるといったように……。

こうしてこの場にいる虎屋博士全員が並んだ結果、その配置は翼開長13mにもおよぶ巨大な鳥の様相を呈していた。

「で、ここからどうするんだ?」

「すみません、陣形を組めばどうにかなるかと思っていたのでそれ以上のことは何も考えていませんでした……。」

「は?それじゃあ並んだ意味ないじゃねえか。」

「いちいち文句言う暇あったら代案を考えろこの[削除済]!」

「な…、[削除済]だと貴様この野郎!」

「I think we don't have time to swear.」

「日本語でどうぞ。」

「ハ?ワタシニホンゴシャベレマセーン!」

「みんな、もう言い争っている余裕はないみたいよ!」

虎屋博士たちは陣形を組んだまま浮かびあがった。眼前に広がるはもはや見慣れた紅色の大地。そして彼らの眼前に見えるは無数の緋色の鳥。

「ああ……、今回もだめだったか……」

「諦めるんにゃまだ早いけぇ、どないすればええか考えようず。」

「分かってる、分かってるんだがなあ……」

今や鳥共は虎屋博士たちの周囲を完全に覆うように隊列を成して飛行している。彼らの眼前にはもう紅色の空も大地も見えず、鳥どもが作るどこまでも黒い影の色が見えるのみだった。

「ここまで徹底的にされちゃうとちょっとな……」

「これでもだめだったか……」

「くそっ……」

虎屋博士たちを包囲していた鳥のうち数匹が先陣切って突撃してくる。今更ながら虎屋博士たちの頭に絶体絶命の4文字がよぎった。












「「「「「「「「「「赤時化夜薙げ緋色の虎屋草食み根食み気を伸ばせ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

とっさに全員の口から同時に放たれた言葉は、本能的に出たものだった。

刹那、虎屋博士たちの体から大量の肉汁があふれだし、彼らの間をものすごい速度で駆け巡った。肉汁は駆け巡るごとに虎屋博士たちを縫い付け、融合させ、変形させた。その体表面からはまばゆい光が放たれていた。

神々しい光が強さを増し、周囲を覆わんとした瞬間、光はものすごい勢いで頭上に集結し、光線となって肉汁とともに鉛直上向きに放たれた。光の集合過程で虎屋博士たちの表皮はこんがりと絶妙な具合に焼きあがった。彼らを捕食せんと接近していたものはひるんで後退し、頭上を飛んでいた鳥共は光線に巻き込まれ木端微塵となった。

かつて緋色の鳥だった深紅の粉は虎屋博士たちの体表に降り積もり、その身体を紅に染め上げた。虎屋博士の集合体だったものはいまや真紅の衣をまとった巨大な鶏の丸焼きと化していた。

『超合体鳥獣!フルパワー虎屋外郎var.スカーレット!!!』

虎屋博士、否、超合体鳥獣フルパワー虎屋外郎var.スカーレットは産声を上げるや否や、自身を包囲していた緋色の鳥共を屠りはじめた。眼前にいる物たちはなすすべもなく大口に丸呑みにされ、ある物は硬く締まった衣をまとった翼で殴殺された。またある物は鋭く磨かれた爪に全身を引き裂かれた。体制を立て直さんと距離を取ろうとする物は、鶏冠から高圧で噴射された肉汁ビームにその身を貫かれ、地に墜ちていった。












世界を燃やし尽くさんとする紅蓮の世界において、緋色の鳥を制するものもまた緋色の鳥超合体鳥獣フルパワー虎屋外郎var.スカーレットなのであった。

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