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夢の握りは現実でその姿を見せることは無い。
概論
"夢の握り"は形而上空間に存在するいわゆる夢と呼ばれる場所でのみ使用可能なスシブレードの総称だ。夢の握りを作成するには個人ごとに存在する夢界という概念を用意する必要がある。この時、用意する夢界は自分のものでも他人のものでもスシブレードの性能に大差はない。しかし、私は後述のある理由から自分のものを使うことを強く推奨する。
また、夢の握りを作成するには──そもそも夢でスシブレード対決をするには──オネイロイを保有し、自在に操作することが出来なければならない。この前提を満たせないものには夢の握りを作成することは不可能だ。
残念なことに夢の握りを現実で使うことは出来ない。──夢の握りを夢から持ちだせたものはおらず、かつてはその存在に疑問符が付いていた。私が夢でも覚醒状態と変わらずに行動できるオネイロイ保有者で無ければ、夢の握りを開発することはできなかっただろう。
スシブレード運用
攻撃力
防御力
機動力
持久力
重量
操作性
夢の握りは圧倒的なステータスを誇り、凡百の寿司を一蹴することは容易い。また、夢の握りが属する概念の握りは、作成に特殊な技量が必要であることは周知のことと思う。その中において、この夢の握りは比較的作成が容易な部類であることも特徴である。
夢の握りの反則的なまでの能力は、ひとえに夢界をネタに使用していることに起因する。個人の精神世界である夢界を寿司ネタサイズまで圧縮したことにより、概念としての"重さ"を高レベルで確保している。そのため、生半可な攻撃にはビクともせず、軽量級スシブレードならば押しつぶすことすらできるのだ。
夢界をネタにすることは同時に持久力の無さにも直結している。スシブレードが傷付くことは即ちブレーダーの夢界が傷付くということでもあり、精神に多大な悪影響を及ぼすことが研究者たちからの報告や、使用者へのインタビューなどで明らかになっている。
当ファイルを閲覧中の読者は現時点でこのような疑問を抱いているだろう。「握った夢界をどうやって元に戻すのか、敗北を喫したらどうなるのか」この点については問題ない。夢から覚醒したい場合や、敗北した場合は、夢の握りを食すことで、ネタサイズに圧縮された夢界は元に戻り、通常通り起床することが出来る。
他の活用法
夢の握りの製法を闇寿司のオネイロイ保有者たちに周知させることで、夢において闇寿司は容易に覇権を握ることが出来るだろう。
量産型鯛ブレーカーの夢バージョンとでも思ってもらえれば、いかに夢の握りが優れたスシブレードであるか想像できるはずだ。
エピソード
さて、ファイルの上部に記載した「夢の握りを作成する際は自分の夢界を使うことを強く推奨する」ということだが、何故そのような結論に至ったのかここに記そう。
当時、夢の握りを開発中であった私は、ある疑問に思い至った。それは、「ネタに使用する夢界が自分のものか他人のものかで、スシブレードとしての性能に差異は出るのか」というものだ。
この疑問を解決するため、私はある実験を行った。オネイロイウェストから誘拐してきた被験者二人(両者ともアマチュアスシブレーダー)に、お互いの夢界をネタにして夢の握りを握らせ、勝負させるというものだ。
「両者の実力が同程度であることは確認済み、果たしてどうなるか」と観測室から観察していたところ、予想通り勝負は拮抗していた。かなりの接戦であり、思わず実験のことを忘れて見惚れそうになったところで、片方のスシブレードがフィールドから弾き出された。
実験室から被験者たちと夢の握りを回収しようと観測室から実験室の扉の前に移動し、扉を開けた。あの時目にした出来事を、私は一生忘れられないだろう。
まず目に入ったのは、敗北したオネイロイが夢の握りを飲み込むところだった。夢の握りを飲み込んだオネイロイは、突然苦しみ始め、床に倒れ込むとその場で震えはじめた。10秒ほど経って震えが止まったが、今度は体がピンク色のドロドロとしたものに変化し始めた。人ほどの大きさのピンク色の塊は勝利したオネイロイに向かってゆっくりと進み始めた。私は好奇心から手出しすることなくそれを見守っていた。勝利したオネイロイはその場から動かず、ピンクの粘液に飲み込まれた。その途中、未だにフィールドに残っていた夢の握りも同様に飲み込んでいた。
オネイロイと夢の握りを飲み込んだピンク色の塊は、中央から徐々に濃い紫色に変色を始めた。次の瞬間、紫色の巨大な塊は同色の何かを大量に射出し始めた。私は自身の夢の握りで射出されたものを叩き落としながらなんとか扉を閉じた。閉じる直前に自身の夢の握りは呼び戻した。
私はその場から逃げ出し、研究所から離れたところで夢の握りを食し、現実へと帰還した。
翌日にワールドニュース1を確認すると、シャリを大量に射出する新種のナイトメアコレクティブが発生したという報道がなされていた。ナイトメアコレクティブはその後、FC管轄の夢界に進入し、それ以降は姿を現していないという。
この一件以来、私は他人の夢界を使用した夢の握りを一度も作っていない。また、作成方法を教える際にも他人の夢界を使用することを強く禁じている。
関連資料
オネイロイ・グルメガイド: オネイロイウェスト編
オネイロイウェストにおける飲食店についてのガイド。有名なアンブローズ・レストランから、かなりマイナーな「間違い料理の幸運な注文者たち」まで幅広く掲載している──後者については存在しない番号に数回掛けると繋がる。
夢-Wikipedia
明晰夢について理解することが出来れば、オネイロイの操作における助けとなるだろう。
闇寿司ファイルNo.456"悪夢の握り"
悪夢領域をネタに使用する寿司。個人の夢界を規模、概念強度において遥かに上回る悪夢を使用するため、使用者は限られる。
文責: 夢
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任意A任意B任意C- portal:5875210 (22 Nov 2019 06:43)
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