死の終焉×オネイロイ

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その日、世界は死を失った。現の世界は悪夢の様相を呈す。町中は亡者じみた生者で溢れかえり、一部の特権階級は他者の体を奪ってでもその悍ましい状態へと陥るまでの猶予を延長しようとする。

 しかし、そんな現の世界とは無縁の場所がある。
それは夢だ。夢の世界に死は無く、それは目覚めに近い感覚なのだろう。夢の世界は奇々怪々で一見するとまとまりの無いようにも見える。
そんな夢の中でも様々なオネイロイや夢界実体の集まる集合意識が存在する。「オネイロイ・ウェスト」もその一つだ。
ここは夢界の中でも巨大なコミュニティの1つであり、かなりの数のオネイロイと夢界実体が住み着いている。
 町中にはすらりとした足の生えた二足歩行するタイヤや、虹色の翼の生えた空を泳ぐ魚、ローターの付いた飛行する眼球等が思い思いの場所で跳んだり地面に叩きつけられたりしている。
 また、ここから消えたモノもいる。巨大な芋虫は一瞬にして消え去り、ガムボールマシンは足早に接続を断ち出ていった。彼らが何処にいったのか、残りのモノ達は気にもしなかった。
 そこに1人の少女が現れた。年端のいかない容姿と、それに似合わぬ白い髪。ここに来たのは初めてのようで、物珍しいのかキョロキョロと周囲を見回している。
 その少女に1人?が声をかける。それはキャスター付きのベッドであった。
 「よう!嬢ちゃん、ここは初めてかい?俺が案内してやろうか?ここには全てが揃ってる、1つだけ我慢できりゃあ飽きることはないだろうぜ」
 「私はここに足りないものを知っている。私はそれを伝えに来た」
 「ほー、言うじゃないか。だったら何が足りないか、試しに言ってみな。当たったら好きな場所へ乗せてってやるよ」
 「おーい!ここにいるカワイコちゃんが、俺達が何を我慢してるのか教えてくれるってさ!」
 いつの間にか周囲には続々と夢界実体とオネイロイが集まってきていた。新参の少女がなんと言うのか気になっているのだ。
 「あいつ、見かけねえ顔だな。なんか怪しくないか?」
 金魚鉢が金魚に尋ねる。
 「べーつに、だーいじょうぶでしょー。私たちはー夢の住人なんだからー」
 あっけらかんとした声で答えるのは猫耳の生えた金魚だ。彼らは新しい奴が何かやらかして、面白いものを見せてくれることに期待していた。
 「それじゃあ、答えてもらおうか!俺達には何が足りない!?」
 少女に腕の生えたマイク(マイク・ワンという)を渡し、キャスター付きベッドが聞く。
 「死」
ボソリと呟くような答えは、マイクによって何倍にも拡声されオネイロイ・ウェスト全体に響き渡った。
予想外の答えに驚愕が走る。
 「すげえな、あいつ一発でツモったぞ!」
 真っ青なインクで文字の書かれたホンチュンが叫び声を上げる。
 「確信を持っているのかわからないな。カンで当てたんじゃないのかね?」
 真っ赤なインクで文字の書かれたリューファが冷静に考察する。
 「どっちにしろスゴいじゃん!今まで初見でこのトイに正解したやつはいないんだぜ!」
 普通の豆腐がハツの正解者を褒め称える。
キャスター付きベッドは少女にご褒美をあげることにした。
 「よし!じゃあ聞かせてくれ、君は何処を観に行きたい?」
少女は答えた。
 「いいの、私は連れていって貰う必要はないから」
 「おいおい、それじゃ困っちゃうなあ、どうしてそんな意地悪を言うんだい?」
 「連れていくのは私、貴方達の逝く場所は、死神の夢」

少女は腕の生えたマイクを握りつぶした。マイク・ワンは死んで溶けて透明になって消えた。
少女は何処に仕舞っていたのか、大振りのナイフを取り出し、近くを飛んでいた翼の生えた魚を切り刻んだ。羽が辺りに舞い散るが、すぐにマイクと同じように溶けて消えた。
 夢の住人達は目の前で何が起きているのか理解出来なかった。自分達は死とは無縁のはずだ。これはなんだ?少女は何者だ?あのナイフは誰だ?
 雑多な疑問に対して与えられる答えは1つ、意識の断絶だった。
少女はまるで舞い踊るかのように刃を振るい、夢の住人を葬っていく。
誰もが呻き声すらあげる間もなく消えて行く様は、まるで無声映画のようだった。
 そして、少女は逃げ出したモノを除いて一通りその場にいた全てを殺し終えると、1体だけ残っているオネイロイに気付いた、それは少女に最初に声を掛けたキャスター付きベッドだった。
少女はゆったりと落ち着いた足取りでベッドに向かって近づいていく。すると、ベッドは少女に質問を投げた。
 「なあ、嬢ちゃん、あんた何者なんだ?」
 「…」
 「なんでいきなりこんなことをするんだ?」
 「…」
 「チッ、わけもわからず殺されるのかよ…」
少女は無言でナイフを振り上げ、ベッドに突き刺した。
「私は夢の死神、現の私はその役目を放棄してしまった。私がその役目を此方で果たさなければならない。永き眠りに目覚めを」
少女はその場を去り、次の集合意識へと歩みを進める。
 


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