SCP-2572-JP下書き 切れぬものなど…

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アイテム番号: SCP-2572-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2572-JPは低危険度物品収容ロッカーで収容してください。

説明: SCP-2572-JPは粘土細工用のプラスチックナイフです。異常性は人間によって保持された場合発生します。SCP-2572-JPは保持している人物に「このナイフで切れないものは無い」という認識災害を植え付けます。この認識災害は現在取り除くことに成功していません。また、異常性が発生している間オブジェクトは如何なる圧力を加えられても損傷しません。異常性に曝露した人物(以降、暴露者)は周囲の人間に親交の最も深い人間に前述の内容を証明しようとしますが、オブジェクトの切れ味から通常それらは失敗に終わります。証明に失敗した曝露者は周囲の人物のどのような反応も自身に対する嘲笑として認識し、激昂します。そしてSCP-2572-JPを用いて親交の深い人物に暴行を加えます、その際にナイフは同サイズのステンレス製ナイフと同様の切れ味に変化します。また、この状態でのSCP-2572-JPを使用した暴行は必ず致命傷となります。結果として暴力を振るわれた人物は死亡し、その後SCP-2572-JPの切れ味は外見と同様なものに変化します。SCP-2572-JPによる外傷が原因で死亡した人物は同質量の粘土に変化し、未知の手段によって活動を行い、曝露者の口腔から気道に侵入し硬化します。その後曝露者は気道がふさがれたことが原因の窒息によって死亡します。

実験記録001

対象: D-1898

実施方法: 実験室内に対象とSCP-2572-JPのみを設置し手に取らせる。

結果: 対象は異常性に曝露した後D-1899を呼ぶことを要求する。D-1899を実験室内に入室させると対象はSCP-2572-JPを用いて実験室のドアノブの切断を数回試みるものの失敗、激昂しD-1899を暴行する。2分後D-1899が死亡し肉体が徐々に粘土に変化していく様子が観察されるが対象は気づいていない。殺害から2分後対象はD-1899が死亡していることに気づき、体を抱えて涙を流す。殺害から2分30秒後D-1899が完全に粘土へと変化、変化に気づいた対象が驚いた様子で距離をとると粘土は流動体に変化し、這いずるような動きで対象に接近、対象が少しずつ後ずさりし実験室の壁に当たると、流動体の粘土は対象の顔面に飛びかかり、口腔及び鼻腔から内部に侵入、対象は一瞬目を見開いた後首に両手を当て苦しむ。その後1分30秒程痙攣し、最終的に死亡する。

分析: D-1899はD-1898と日常的に交遊していたという記録がある。曝露者が植え付けられた認識を証明しようとする人物の選定に何か関係があるのかもしれない。次回の実験では親交のある人物とない人物を用いて比較する。-天宮博士

実験記録002

対象: D-2111

実施方法: 実験室内に対象とSCP-2572-JP、D-3129、D-1281、D-2112(D-2111と親交がある)を設置し、対象にSCP-2572-JPを手に取らせる。

結果: 対象はSCP-2572-JPを手に取るとD-3129の指を切断しようとするがD-3129の抵抗とD-1281、D-2112の妨害によって失敗、対象は激昂しD-2112に暴行を加える。D-2112は抵抗せず、D-3129もD-1281も妨害することもなく傍観しているように見える。D-2112の死亡後は前回の実験と同様のプロセスで対象が死亡。D-1281とD-3129については実験終了後インタビューを行う。

分析: インタビューの結果、D-1281及びD-3129はD-2112を助けるといった思考や行動を起こす意思が失われ、自分に暴行が加えられないように祈っていたということです。このことからオブジェクトは曝露者が激昂している間、周囲の人間の抵抗力や抵抗の意思を阻害する作用があると考えられます。-天宮博士

実験記録003

対象: D-3561

実験方法: 実験室内に対象とD-3562を設置、対象がD-3562を殺害した後に変化した粘土を職員が即座に拘束し、内部の確認が可能な小型収容室に収容する。その後対象を他のDクラスから隔離し、様子を観察する。

結果: 粘土は小型収容室内部で暴力的な反応を繰り返していたが、3時間ほど経つと活動を停止した。

分析: 物理的な隔離が有効ということか。-天宮博士

追記: 実験の翌日、隔離していた対象が寝台で窒息死しているのが発見された。対象の気道には粘土が詰まっており、粘土から採取したDNAはD-3562のものと一致した。また、小型収容室内部の粘土が消失しており、映像記録を参照したところ小型収容室から粘土が消失したのと同時刻に対象が苦悶し始めたことが判明したため、粘土が対象の気道に転移したものとみて間違いないと考えられる。

そう簡単には防げないらしい、執念深いのか、それとも対象との親好の厚さ故とでも言うのか？-天宮博士

補遺: SCP-2572-JPは神奈川県横浜市██区のアパートで10代の男性の遺体と共に発見されました。遺体の顔面は粘土によって覆われており、これは気管内から粘土が溢れだしたためと推測されます。不動産会社によると、20代の女性と10代の男性が同室に居住しており、10代の男性は女性の実子であることが判明しました。粘土から採取したDNAは室内に残っていた女性の衣服から採取したものと一致しました。

また、室内からは小包と手紙が発見されました。以下がそのコピーです。

陽太へ

お父さん、さいきんとってもたいへんで、お金をおくることができません。だけど陽太のお誕生日はちゃんとおぼえてるから、プレゼントをおくるね。お父さんが作った、とってもすごいナイフだよ♪切れぬものなどない！陽太、お父さんと同じ彫刻家が夢だって言ってたもんね。ガンバれ！絶対にお母さんにも見せてあげてね！

お父さんより

調査の結果、小包と手紙の送り主は女性の元夫で彫刻家の夢追 ██氏であることが判明しました。夢追氏は3年前離婚裁判に敗訴し養育費の支払いが命じられていましたが、ここ6ヶ月の間振り込みは行われていません。

エージェントが夢追氏の自宅に訪れたところ、アトリエで死亡している夢追氏を発見しました。夢追氏の死体からは血液が抜かれ、粘土に置き換えられていました。現在夢追氏を殺害した人物を捜索中です。

また、遺体のそばにこのような文が夢追氏の血液で書かれていました。

You Are Not Cool.

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