廃れゆく財団遺構 - SCP-JPサンドボックスⅢ

廃れゆく財団遺構

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クレジット

タイトル: SCP-231-JP-J - 廃れゆく財団遺構
著者: ©︎p51
作成年: 2021

SCP-231-JP-Jの唯一の出入り口はサイト-19のカフェテリアのバックヤードに存在する塩化ビニル製の幕です。幕の中央には「怪奇部門」という小さな段ボール製プラカードが識別子として取り付けられ、プラカードには「売却済」の札が貼り付けられています。この札を剥がす試みは羞恥心とプライドの複雑な事情によって中止されましたが、命令を無視したDクラス職員が剥がそうと試みた際に如何なる力を加えても剥がすことが出来ないと判明しました。

SCP-231-JP-Jの内装は既存の財団サイトのそれと類似していますが酷く損傷しており満足な管理環境に無かったことが容易に推測できます。それにも関わらず建築素材として使用されている物質は現在の財団で使用されているそれと比較して効果に差はないものの高価であることが明らかになっています。この不自然な整備状況と贅沢な素材の関連性は不明です。また、収容室の構造は財団の活動初期に使用されていた形式と類似しており、各収容室の扉には小さな覗き窓とそれを覆うスライドパネルが付けられています。覗き窓には内部の確認に支障が出ない程度の亀裂が存在しており、最後の点検から非常に長い年月が経過していることが判明しています。扉は建付けの悪化によって開閉不可能となっており、ノブの上方に小さなプラカードが貼り付けられています。特筆すべきことに、これらのプラカードは金属製です──この事実から扉のプラカードを設置したのは「怪奇部門」とは異なる組織である可能性が指摘されています。

出入り口となる幕の裏側には1枚のメモが貼り付けられています。全ての文字は手書きされており、印刷機が使用された形跡はありません。

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どうしてこんなことになってしまったのだろうか。もはや嘆くことすら許されない、ここは私たちの場所ではなくなったのだから。

さようなら。

I - 売却済
II - 売却済
III - 売却済
IV - 売却済
V - 売却済
VI - 売却済
VII - 売り出し中
VIII - 売り出し中
IX - 売却済
X - 売り出し中

財団がこれまでに怪奇部門を有していたという記録は存在しません。構造物に関する情報は記録されていません。

補遺231-JP-J-1: 部屋の内容物

以下は内部で発見された各部屋のプラカードの文言、また可能な限りにおける各部屋の内容物の外見的説明のリストです。各扉には「売却済」の札が張り付けられています。

部屋番号: 0267
プラカードの文言: 数多の屍の上にcoolは築かれる
説明: 室内には、様々な形状のコンクリート片が散乱しています。それぞれの破片は塗装の痕跡があります。また、扉からはチョコレートプディングのものと類似する香りが記録されています。

部屋番号: 055
プラカードの文言: デルタコマンドよりスイスアーミーナイフへ
情報災害による文書への打撃は確かにやつらを混乱させるだろう。だが、書き変わる文書の内容でこちらの情報を明かしてどうする。生存と通信能力に特化したプランA型の正式採用が決定したため、プランB型は適当に処分せよ
説明: 生後1～3ヵ月程度のイエネコまたはありふれた種類のニャオスインニャージェンシャーが室内を徘徊しています。興味深いことに、発見時から加齢の兆候を示していません。

部屋番号: 014
プラカードの文言: 良かったら使って下さい
説明: 室内は空です。職員は部屋に近づいた際に軽度のコミュニケーション障害を経験します。この影響は部屋から離れることで解消されます。

部屋番号: 102
プラカードの文言: 連邦捜査局超常事件課多目的倉庫
説明: 室内には、UFO型のルアーが付属した釣り竿、ペリスコープ部分が首長竜型に改造されたラジコン潜水艦、芽の生えたジャガタライモ(Solanum tuberosum)、著しく損傷したパスポート¹が乱雑に放置されています。

部屋番号: 004
プラカードの文言: 神と噛み合わぬ哀れな構造物にもMEKHANEの加護があらんことを
説明: 部屋中に歯車、ケーブル、滑車、ねじ、及びベルトなどが散乱しています。幾つかの物品は強い力によって歪曲された痕跡が確認できます。扉に近付いた人物はリラクゼーション効果のあるランダムな音楽の幻聴を体験します。

部屋番号: 未記入
プラカードの文言: 誰のハルコストか分からなかったので持ち主が来るまでここに置いときます
説明: 奥の壁にロシア地図が貼られています。バイカル湖に対応する部分は肉塊に覆われています。発見以降、肉塊は放射状に8本の体肢を伸長しています。

補遺231-JP-J-2: 音声記録

SCP-231-JP-J内で唯一扉に「売却済」の札が貼り付けられていない部屋が発見されました。扉には「Ad[判読不能]r's Room」というプラカードが取り付けられています。部屋内部からは1本の音声記録装置と1ドル紙幣2枚が発見されました。

以下に発見された音声記録の転写を表示します。

[再生開始]……財団に所属する全ての人々へ、私は謝らなければいけません。私は余りにも取り返しのつかないことをしてしまいました。切っ掛けは本当に些細な事だったのです。終わりなき渇きに苦悩していた私は、一時の潤いを得るために悪魔──いえ、悪魔すら裸足で逃げ出すようなケダモノ……仮に彼をオメガとしましょう──に助けを求めてしまいました。
なんでたった2ドルが50,936,299,102.49ドル（税抜き）になるのよ。どう考えてもおかしいでしょ！
その結果起きたことは、皆さんご存知の事かと思います。オメガは私に、与えた助けよりも遥かに大きな代償を求めました。しかも25,000人の命を人質にして。私は考え直すように言いました。しかし、彼は耳を傾けませんでした。私は脅されました。財団と人々の命を天秤に掛けろと。どうしても選ぶことの出来なかった私は、彼の記憶を消すことで財団と人々の命、両方を護りました。
収容作戦中にネチネチ言ってきたあいつが悪いのよ。
ところが、オメガは記憶を取り戻しました。前もって紙に記しておくという小賢しい手段によって！再び始まった要求は以前にも増して更に無慈悲で苛烈なものとなり、私は耐えきれなくなりました。幸いなことに、私はオメガが記憶を取り戻す2日前に財団の管理者に選ばれていました。そのため彼に対して機動部隊サイ-8〈口封じ屋〉を送ることが出来たのです。彼らは見事オメガを打ち倒したのですが、死の間際に第三者に債権を譲渡するという方法で私たちを呪いました。
あんな奴らと交流があるなんてわかるわけないじゃない！どうしろってのよ！
オメガが債権を譲渡したのは、緋色の王でした。知っている方も知らない方もいらっしゃるでしょう。問題は、彼の行動が原因かは解らないものの、緋色の王が我々の知っていた姿とは異なる姿で顕現し、しかも強力になっていたことです。緋色の王が遣わした"7人の簒奪者"は、6人がその力を振るいました。その結果、財団がどれほどの被害を受けたのか、余りにも傷跡が大きすぎたために完全には把握できていません。しかし、7人目の簒奪者が目を覚ますことだけは何とか防ぐことが出来ていました。その代償に職員たちには大きな精神的負担を強いてしまったことを覚えています。
彫刻の部屋掃除とかトカゲの相手とかに比べれば金をばら撒くことの何が苦しいのか私にはよく解らないのだけど。
しかし、賢明な努力も虚しく遂に滅びの時は来てしまいました。7人目の簒奪者は目覚め、財団の持てる全ての資産を奪ってゆきました。いまこのような状況に陥っているのはそれが原因です。私はこれから破産申請をしてきます。並行宇宙の権利とか700兆人分の人間の魂とかどうやって徴収するつもりなんでしょうね？まあでも後は2000がどうにかして[再生終了]
あの腐れナード童貞野郎！