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アイテム番号: マイケルズ博士SCP-4428
収容クラス: SafeEuclid
特別収容プロトコル: マイケルズ博士は危険に晒されていません。マイケルズ博士の個人的幸福は保証されるべきです。この目標のため、マイケルズ博士はサイト-96に留置され、彼の研究や収容に直接関与しない職員との交流を許可されません。SCP-4428はサイト-96の異常生物収容チャンバータイプⅡ1に収容されます。サイト-96へ入場する全ての職員は「SCP-4428による死」のタナトーマ抽出施術を受けることが義務付けられます。また、どのような形であれSCP-4428についての情報をサイト-96外へ持ち出す試みは禁止されます。サイト外へ持ち出される文書は全て確認され、サイトの敷地から外出する職員は全員記憶処理を受けることが義務付けられ、サイト外へ発信される情報は自動検閲システムによってSCP-4428に関する情報が含まれていないかチェックされます。
除染チームが常時マイケルズ博士に随行し、彼が去った後にそのエリアを消毒します。このチームの隊員が任務内容や彼らを取り巻く状況について話し合うことは許可されません。
説明: ジェレミー・フェルドソン・マイケルズ博士は、イギリス-インド系人種の非異常な人間男性であり、現在サイト-96でレベル3研究員として雇用されています。マイケルズ博士は33歳で、財団では8年間働いています。彼は未婚の一人っ子で、両親以外の近親者はいません。SCP-4428は汚染物質を排出する敵対的な寄生生命体であり、SCP-4428の情報について発言した生命体へ寄生します。発言した対象への寄生プロセスには物理的な隔たりは障害にならないと考えられています。また、宿主を移動する際に前の宿主を殺害します。
発見経緯: SCP-4428は2019/10/13にサイト-96の放棄された地下階層で発見されました。
レベル3研究員ジェレミー・マイケルズは久方ぶりに伸びをして盛大に息を吐いた。彼はこれまで非常に厄介な同居人と共に暮らしており、一時も気の休まる時は無く、最近になってようやくその同居人の問題を片付けることが出来た。
「お疲れさまでした。ジェレミー」
声を掛けてきたのはマイケルズの職員安全性評価試験(PSAB)を担当した男だった。彼はマイケルズと共にあの恐ろしき紫色の寄生虫による被害を抑えるために奮闘してくれた。何の拘束もされていないアノマリーが目の前にいる状態でのインタビューは想像を絶する緊張と恐怖を含んでいただろう。上手い事やってくれた彼には感謝の言葉しかない。
「久しぶりだな、お前たちの仕事ぶりは素晴らしかったよ。途中ヒヤッとしたところもあったが、良くやってくれた」
「ありがとうございます。そういえば、どのようにしてあの寄生虫を引っぺがして箱に押し込めたのですか?」
男の疑問は当然とも言えるものだ、何故ならSCP-4428を宿主から引きはがすということはその宿主の死を意味し、マイケルズ以前の寄生された職員たちは全員が亡くなってしまった。彼らとマイケルズの違いは、マイケルズにある程度の時間があったことだ。マイケルズはアレが発見されるまで耐えることが出来た。だから生還した。
「最近ここでも話題になってるタナトーマってのは知ってるか?」
「少しだけ。えーっと確か……"液状化した死という現象そのもの"でしたっけ」
「そう!それなんだ。タナトーマを抜くと、抜いたタナトーマに対応する死因で死ななくなるし、傷もつかなくなる。俺たちはそれを収容分野に応用することにしたんだ」
タナトーマを抽出された動物はその死因で死ぬことが無くなり、過程で発生するはずのダメージも負うことが無くなる。それを利用した収用法は「SCP-4428によって発生する死」のタナトーマをサイト-96の全職員から抽出するというものだった。この方法の利点はSCP-4428の寄生をも防げる所にある。SCP-4428の寄生はその終了時に宿主が死亡するためか、死を遠ざけるタナトーマ抽出によってSCP-4428の寄生すら発生しなくなった。
「タナトーマ様様って感じだよ。正直、俺はもう一生頭のアイツと一緒に暮らすことになるのかと思ってたぜ。人と会う時は相手に細心の注意を払ってもらわなきゃならなかったし、あんなんが付いてたんじゃ出世すら出来ない。一生制限された生活を送るか、もしくはしくじって死ぬ羽目になるものだと絶望しかけてたんだ」
そんな時に死を克服するタナトーマ抽出技術が世界中に広まった。きっかけは何処かの会社が起こしたタナトーマ関係の流出事故らしいが、それは結果的にマイケルズを長きにわたる苦痛から解放することとなった。
「本当に良かったです。そうだ、今度の休みにパーティーでもどうですか?誤伝達部門の同僚たちを呼んで祝賀会をやろうと思ってたんです」
「良いなあ!是非とも参加させてくれ」
マイケルズは非常に上機嫌だったが、にわかにその表情は暗いものに変わり、男は驚いて疑問を投げた。
「どうしたんですか?そんな暗い顔して。折角解放されたのに」
「いや、実はな。俺の前にSCP-4428にやられちまった奴らがいるだろ。あいつらのことを思うと無念でさ」
マイケルズの前にSCP-4428の宿主となり殺された者達。彼らは共に働く同僚であり、マイケルズは彼らの死を悼んでいた。男はそれを聞いてあることを提案する。
「実はですね……」
至る所に配管が張り巡らされ、動きを止めている工作機械がちらほらと見える暗い地下道をマイケルズは歩いていた。その手に花束を抱えて。
「確かアイツが言っていたのは……ここっぽいな」
マイケルズが足を止めたのは、墓の前だった。そこにはSCP-4428の犠牲となった者達の名が刻まれている。もちろん死体はここではなく財団の墓地に葬られているのだが、余りにも悲劇的な出来事だったために、それを忘れないための碑文が刻まれた墓がSCP-4428の初期発見地点であるサイト-96の地下階層に立てられることとなった。
「ローズウッド、D-4428-1、D-4428-2、ハワード、ガビ……みんな、俺たちはあのクソムラサキを箱にぶち込んでやったぞ。それがせめてもの手向けだ」
マイケルズは持って来た花束を墓の前に置くと、十字を切り俯いたまま暫く立ち尽くしていたが、顔を上げた時にはスッキリとした表情をしていた。
「よし!みんな、俺は行くよ。お前たちの分も俺は世界の為に働く」
彼は墓に背を向け地上に戻ろうとする。その瞬間
ピチャリ
頭に何かがへばりついたような感触。それはあの時とそっくりだった。彼がSCP-4428に寄生された時の感触に。
(……!?もしかしてアレの亜種か何かか!?クソ!あいつだけじゃなかったのかよ。どうするどうするこいつをどうにかしないとどうしよう……って何を慌ててるんだ。こいつもアレと同じ方法でどうにかなるじゃねえか)
マイケルズはほんの数秒焦ったが、SCP-4428と同様にタナトーマ抽出で解決できる問題と判断し、地上への通路を走り出した。
「よし、もうすぐ地上だな。さっさとこいつに関連するタナトーマを抜いてオサラバしたら、パーティのことを考えよう。俺はようやく解放されたんだ、また同じ轍を踏んでたまるか!」
マイケルズの足は気持ち早まっていた。彼はあることを恐れていたが、口に出すこともハッキリと考えることもしたくなかった。しかしそれについて意識せざるを得なかった。だから気付けなかったのだろうか、彼に近づく男の気配に。
「ジェレミー!探したぞ!」
マイケルズはすぐに何らかのジェスチャーをすべきだったのかもしれない。口に手を当て、頭にへばりつく何かを指さして伝えていたならばもしかすると運命はまた別のものになっていたのかもしれない。だが、そうはならなかった。
「ん?お前なんか頭についているぞ、赤い粘液みたいな-」
男が言い終える前に、ジェレミー・マイケルズ博士は絶命していた。最後に見た光景は赤いアメーバのようなものが男の頭へと飛びついていくところだった。
███は危険に晒されていません。
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任意A任意B任意C- portal:5875210 (22 Nov 2019 06:43)
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