不死殺し

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また死ぬんだなあ、天宮は目の前に迫る銃弾が非常にゆっくりとした速度で進むのをぼんやりと眺めながら諦めた。彼女は出来ることなら死にたくないし、避けられるものなら避けたかったが、銃弾がゆっくりに見えるのと同じく体の動きも緩慢としており、今から動いても避けられはしないことが解っていた。だから彼女は眼を閉じることにした。

虹色の瞳はゆっくりと瞼に覆われ、迫る鉛の弾は止まることなくこめかみに直撃し……バシャリという音が鳴ると同時に壁画が現れる。真っ赤な塗料を惜しみなく使って描かれた、天宮麗花の遺作だ。

一人の男がポツリとつぶやいた。

「あなたが、あなたが悪いんですよ、天宮博士。そんな目で僕を見るから、僕を見つめるから!」


日本支部にはサイトが幾つもあり、当然そこでは何百何千という人々が働いている。ではもし1サイトに努める全職員がたった1人の男を殺すために全力で動いたらどうなるだろうか?

「それほどの大部隊をもってしても私1人殺せないとはお笑いだな!」

太り気味の体を揺らしながら息を切らして廊下を駆け抜ける大和博士の後ろには、十人十色の得物を手に駆ける職員たちの姿があった。

「ASSHOLE博士ー!ちょっとこの書類を確認しやがって欲しいんですが、ついでに死んでくれませんか!いや死ね!」

「足を止めなさい!お前には招集命令が出ています。今すぐ死なないと死体処理の時間が残りませんよ!足を止めて死になさい!」

「クズ博士ー!この前駅前の店が新作スイーツを出したんですけどね、それがおいしいんですよ。今流行りのフルーツに逆張りして一切フルーツを使ってない新感覚スイーツなんですけどねー!私がそれを食べながらお前を殺すために買って来いよ!」

彼らの追いかけっこは非常に単純な理由で始まった。大和博士が水野研究員と話し込んでいる時に、書類保管庫にたまたま普通の職員が入ってきてしまったのだ。彼の判断は素早かった。職員が銃を抜く前に書類保管庫から飛び出し「たまにはこういうのもイイだろう!追いついてみたまえ!」と言い放ったのである。最初は十分な距離が離れてから殺される予定だったのだが、追いかけてくる職員の数が増えるにつれ何だか楽しくなってきてしまい、現在の逃走劇に至った。

銃を持つ職員が時折発砲してくるが、両方が走っている状態で正確な照準を付けるのは難しい。おまけに、近接武器を持った職員たちが列の先頭を占めているために、彼らを気にして中々発砲できないという問題も発生していた。

対する大和もそろそろ体力の限界が近づいており、さて何処で殺されようかななどと考えていたが、その思考は足に鋭い痛みが走ったことで中断された。地面に倒れ伏しながら前方を見れば、サイレンサーとスコープ付きのライフルを構える職員の姿が目に映る。そして、大和が地面に倒れ込むと同時に、パスっ!という軽い発砲音と共に2発目の弾丸が彼の脳を正確にとらえた。

職員たちが各々の職場に戻っていく中、一人の男が死体の横で呟いた。

「僕と目を合わせるな」


神山博士は大量の書類を抱えて廊下を歩いていた。このような書類の運搬を博士レベルの人材が行っている事自体がおかしいのだが、彼にはとある事情により雑務の押し付けが許可されていた。今日もとある新人職員がするはずだった書類運びを代行するよう依頼されていた。

指定の場所──依頼した職員の所属する部署の近辺まで書類を運んだ神山は


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