Tale下書き ツーン

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    この記事は「ふとった財団」に属する記事です。ふとった財団は簡単に言えば異常存在の研究をその摂取のために行う肥満体質の財団です。Discordチャンネル上で大喜利のような形で盛り上がり、関連記事の作成の動きが現れています。

    何がいいたいかというと内輪に偏った記事になっていないでしょうか。その部分が心配です。

    またそれとは関係なく、私のTaleの処女作となります。至らない点しかないとは思いますが、何卒宜しくお願いします。


<2005/6/3 サイト81██連絡路にて>

サイト81██の各収容室連絡路に白衣を着た団体が現れる。財団において白衣の集団は特に異常な光景な訳ではない。が、先頭を歩く男以外全員がその幅広すぎる恰幅の所為で、窮屈そうに白衣を着ている。そんな一団を一瞥したサイト81██の職員は例外なく目を丸くするが、すぐにその目線は納得のそれに変わる。

異世界の財団。確保、収容、支配を掲げたり、鮫を殴る事を至上としたり、独自の進化を遂げた財団を基底世界の財団は数多く発見している。
今回発見された財団は向こう側から基底世界の財団へコンタクトを取ってきた。

……美味しそうな匂いがした、という文言とともに。

そんな彼らとの交流の先頭を切って案内人を務める鍾植しょうしょくは、どうにか困惑の感情を抑えていた。というのも、後ろから聞こえてくる会話が気が気じゃないからである。

「なるほど、これはやはり概念を抽出した後に啜るべき……」
「こちらは特殊な調理が必要そうですな……」
「いえ、そちらはあえてそのまま、という手も……」

果たしてここまで気味の悪い財団があったかと、鍾植は頭を抱えたくなる。その癖、向こうの世界の技術力には目を見張るものがあるし、なまじこちらへの敬意も持ち合わせているというのだから余計にタチが悪い、とも。
鍾植が幾度としれない溜息を噛み殺したとき、後ろから、1人の男が鍾植に質問をしてくる。

「ほう、SCP-2770-JPは摂食実験が行われているのですね」

代表の男のネームプレートには大喰おおばみと書いてある。
今回の交流の代表の人だよな、と脳内で補足しながら鍾植はSCP-2770-JPの説明を続ける。

「ええ、そのオブジェクトは食べる事で異常性が発現するので」

「我々の世界からすれば、その話は聞き捨てなりませんな?」

「はは、そうですね。このオブジェクトは摂食することによって所謂、"アイスクリーム頭痛"を引き起こすのです」

「食べる事で"アイスクリーム頭痛"を?」

「厳密には違うのですが。ああそうだ、資料を持ってきますね」

「是非とも、よろしくお願いします」

鍾植は近くの職員を呼び止めて、手短にSCP-2770-JPの資料を持ってくるように指示する。それが後々、自分の首を絞めるとも知らずに。鍾植はどこか侮っていた。彼らの財団の信念を。

とある平行世界にて存在が確認された財団。彼らの理念は確保てをあわせて収容いただきます保護ごちそうさま。異常性を持つオブジェクトを摂食することが、至上理念の亜財団である。


<2005/9/11 サイト81██第1共同オフィス>

ズルズルっ……と、オフィスに異音が響く。鍾植は1人、カップ麺を啜っていた。
あらかた麺を啜り尽くし、額に浮かんだ汗を腕で拭った彼は、最後に汁を飲み干そうとするが、何かを躊躇うよな素振りを見せた後、細かく千切れた麺と汁の上に浮かぶネギをちびちび食べた後、再び意を決して飲もうとするも、またしても躊躇ってしまう。
そのまましばらく汁と睨めっこをすること数分、何かを諦めたようにデスクにカップ麺の容器を置いた。

その時だった。

「何してるんですかっ!」

「うわぁ!?わぁぁぁ!?」

「ああ!?ご、すいませーん!?」

突如両肩を強く押さえつけられ、驚いた反動で膝を強かに机に打ちつけた衝撃でカップ麺を溢してしまう。
痛む膝を無視してとっさに白衣が汚れることも厭わずにカップ麺の汁の洪水を堰き止める。うんうん悩んでたおかげで汁が冷めており、火傷をせずに済んだのは、不幸中の幸いであった。

閑話休題。

「エージェント・宙飾ちゅうしょく。あまり驚かせないでくれたまえ」

「すいません。反省しています」

そう言って頭を下げる彼女と鍾植は、なんだかんだで長い付き合いになる。本人はその関係を腐れ縁だと信じてやまないが。

「私が考え込んでいる時に驚かさないでくれ」

「さっきからカップ麺を見つめていたやつですか?」

もしかして藪蛇だったかと、鍾植は迂闊な自分を呪いながら微妙に相槌を打つ。

「ああ、まぁ、そうだな…」

「どーしたんですかぁ、鍾植博士。あなたともあろう人が」

さっきまでの反省を一転させ、鍾植に擦り寄る宙飾。
そんな彼女の変わり身に鍾植はもう慣れているのか、特に指摘することもなく話を続ける。

「この記事を読んでな」

「んー?これって……ああ!数ヶ月前に別の並行世界から来ていた財団の人ですか!」

「そうそう、言い方は悪いけど、かなり太っていた人だ」

「あの人たちの圧凄かったですよねぇ……してその記事がどうかしたんです?」

「ん、あー、読むか?」

「そこまで話してて気にならない方が少数派でしょうね。クリアランスレベルは大丈夫ですか?」

「ああ、ただの研究結果だからね、特にかかっていない」

「なるほど。では少し拝見します……」
 
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SCP-2770-JPの成分をペースト状にした物。

SCP-2770-JPの特異性に注目し、SCP-2770-JPのフェロモンから抽出した成分を用いることによって、任意の箇所の血管を膨張させ、三叉神経を刺激させる事が可能。これによって他の食材の代替食材として使用が可能です。
効果
側頭部を刺激する事で「アイスクリーム頭痛」を再現が可能
鼻上、中、下甲介を刺激する事で「山葵」の再現が可能
舌を刺激する事で「辛味」の再現が可能
食道及び脳の一部を刺激する事で「アルコール濃度の高い酒を飲んだ際の喉の刺激及び酩酊感」の再現が可能

SCP-2770-JPから作成された調味料は血管を膨張させる方法で刺激を与えている為、多量摂取や継続的な摂取によってなんらかの神経障害や血管障害などの発病につながります。 大喰博士主導の研究の結果、これらの副作用は解決され、健康的な食品となりました。またSCP-2770-JPの品種改良の結果膨張の作用を減少もしくは増加させる事が可能になりました。

舌の血管をわずかに膨張させることで「旨味」の再現が可能
脊髄の血管をわずかに膨張させることで「多幸感」の再現が可能
性器の血管を膨張させることで「オーガズム」の感覚を得られる

追記: これらをアノマリー調味料と呼称する事にする。アノマリー調味料の素晴らしき点は、それ自体はまったくの無味であるという事だ。素材の邪魔をせず料理に深みを出すことができるアノマリー調味料は偉大なる発明である。この場を借りて、SCP-2770-JPの研究資料を貸し出してくださった第██████並行世界の財団職員である鍾植博士に心からの敬意を。

「あー……」

そう言って彼女は顔を顰める。

「もしかして鍾植博士って、エビの尻尾1とか食べられないタイプですか?」

「……その通りだ」

「鍾植博士、案外そういうの気にするんですね」

「まぁ、な。気持ち悪いだろう?」

「そんなに気になるならこれから私が作った弁と……」

「結構だ」

「え、いや」

「やめてくれ」

「あっはい」

話を遮られてまでも拒否された宙飾は肩をがくりと落とす。

「別に美味しいじゃないですか……どうして……」

「いや君のはそう言う話じゃあないだろう」

そう断言された宙飾はこの話題が続くことを嫌って、咳払いの後に、それはともかく、と前置きしてから話を戻す。

「それほどまでにこのアノマリー調味料は完成度が高いのですか?」

「ああ、サンプルもそこにある8色分送られてきている。これだ」

「8色ですか?」

疑問を呈する宙飾に鍾植がアタッシュケースを手渡し、宙飾がそれを開けると、そこにはたしかに8つの色とりどりの粉末が小分けに瓶詰めにされて黒いクッションの中に埋まっていた。

「なんか、そう言うブツみたいですね」

「ブツ言うな」

「薬物っぽい……」

「もっとダメだろう」

「冗談はともかく、実際に鍾植博士は試食を?」

「ああ、桃色以外をね」」

「どうでした?」

「凄かったよ。青はまるでかき氷をかき込んだかのように痛んだし、緑も脳天まで突き抜けるほど痛かった。赤に限っては幾ら水を飲んでも舌から辛さが抜けなかったしね」

「本当にちょびっとだったんですか?」

「そこに嘘をついてどうする」

鍾植がやや呆れたようにそう言うと、宙飾もそれもそうですねとすんなり引き下がる。

「んー……そういえば桃色以外って言いましたよね?この記載されていない黒も舐めたんですか?」

「そうだ」

「勇気ありますね……どうだったんです?」

そう聞かれた鍾植は、少し困ったような顔をする。

「黒は……分からなかったな」

「分からなかった?」

「ああ、他のもののように食べてすぐ何かあったわけでもない。かと言って遅効性でもない。強いて言うなら、少し寒気がした程度か」

「えぇ……なまじ記載がないだけ何もないのも気味が悪いですね……ちなみに桃色は……?」

「君が第1号になるかね?」

「いや、ちょっと……」

宙飾の視線が気まずそうに泳いだのを見て、鍾植は宙飾から目を逸らしたその時。

『〜〜〜♪〜〜〜♪』

突如、美しいマリンバの音色が流れ出す。
2人の視線が音源である鍾植の白衣のポケットに向けられる。
鍾植は己のポケットから音を撒き散らしながらブルブル震えるスマートフォンを取り出すと、宙飾に断りを入れてから電話の先の人物と会話を始める。

「はい、お久しぶりです……」

手持ち無沙汰となった宙飾は、少し唇を尖らせながら報告書を一瞥した後にアノマリー調味料の入ったアタッシュケースを弄り始める。
そこで、宙飾はふと。

(あれ、なんかこのケース変……?)

そのアタッシュケースは一見どこにでもあるようなそれだが、アタッシュケースの表面には僅かに結露が浮かんでいる。

(アタッシュケースが冷たい……?)

不審に思った宙飾がよくよく観察すると、蓋に違和感を感じる。

「あの、鍾植博士……」

と、彼女が鍾植がいた場所に向かって振り向くと、そこには誰も居なかった。
頬を膨らませた宙飾はその方向からそっぽを向くようにアタッシュケースを見ると、そのまま弄り始めた。
あーだこーだとアタッシュケースを弄くり回していた彼女は、アタッシュケースの蓋が二重になっていることに気づく。

「これは……?」

蓋を取り外してそれを発見した彼女が、手にとってマジマジと見つめている時だった。

「宙飾!」

「はい!?」

いきなり鍾植に名前をよばれた宙飾は咄嗟にアタッシュケースを閉じ、それを後ろ手に持って隠す。
何も隠す必要は……!と思い至ったその思考は、突如彼女の両肩に置かれた鍾植の手によって吹き飛ばされる。

「は、はひぃ……!?」

自分の顔の目の前に鍾植の顔が近づき、宙飾は顔を真っ赤に染め上げる。

「この前のオブジェクトの実験が……どうした、顔が赤いぞ?大丈夫か?」

「だ、大丈夫でふ!」

「ほ、本当か?……万が一と言うこともある、君は今日は休んで……」

「いえ!だいっ!大丈夫です!やります!」

「ま、まだ件名も何も言ってないんだが……わかった、今から実験の準備をするからついてきてくれ」

「はい!」

そう言って我先にと準備室に向かう鍾植に置いていかれまいと宙飾は手に持っていたそれをポケットに押し込んで小走りで着いていく。 


<2005/9/11 サイト81██女性職員専用寮>

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

おおよそ女性とは思えないような咆哮を上げるのは、ようやく我が家へ帰還した宙飾であった。
ベットに顔を埋めて溶けている彼女は、眠りに落ちるその寸前にポケットに突っ込んだそれを思い出す。

「いっけない、洗濯回す前に出さなきゃ……」

なんとかベットから抜け出した宙飾は、洗濯カゴに放り込んでいたズボンの中からそれ……USBメモリーを取り出す。

「そういえばこれ、鍾植博士に言わずじまいだったな……」

そう呟いてUSBメモリーをテーブルに置こうとした宙飾に、ふと魔がさす。
改めてそれをマジマジと見る宙飾。

「……中身はなんなんだろう」

そう思うともう止まらない宙飾は、自分の支給されたパソコンを起動し、そこにえいっとUSBメモリーを一息に挿す。
そしてそのUSBメモリーの中には。

「……なにこれ?」

たった1つのファイルがあるのみだった。
適当なアルファベットが羅列してるようにしか見えないそれは、どうやら音声ファイルのようだった。

一度席を立ち、ヘッドホンを片手に戻ってきた宙飾は、改めてそのフォルダを開く。


 

画像のライセンス
ソース: https://search.creativecommons.org/photos/a649ce79-78d0-4804-a36c-5f159ee99919
ライセンス: CC BY 2.0
タイトル: United colours of India
投稿者: Marco Bellucci氏
公開年: 不明


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