インタビュー記録XXXX
日時: 19██/██/█
対象: SCP-XXXX-JP-5
インタビュアー: ██研究主任
付記: このインタビューは、青森県下北半島沖でのSCP-XXXX-JPに関する調査後に実施されました。
<録音開始(14:22)>
██研究主任: それではインタビューを開始します。体調は大丈夫ですか?
SCP-XXXX-JP-5: ええ、問題ありません。
██研究主任: では早速本題に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか?
SCP-XXXX-JP-5: [黙ったまま頷く]
██研究主任: まず、あなたが初めてそれを見た時、何を思いましたか?
SCP-XXXX-JP-5: 最初にあの影を見た時は不思議だ、奇妙だということ以外は何も思うところはありませんでした。ただ…。
██研究主任: ただ?
SCP-XXXX-JP-5: [13秒間の沈黙]
SCP-XXXX-JP-5: …ただ、それをナマズのようだと認識した瞬間、言い知れない不安感が…。…深い海の底からやってくるような感覚がありました。
██研究主任: しかし、あなたは事前の取り調べで、「不安感と同時に何者かから語りかけられているような感覚があった」と供述していますね。
SCP-XXXX-JP-5: はい、耳から聞こえたのではなく、脳に直接語りかける感じで…。何だか遠くで私の名前を呼ぶ声が聞こえたような感覚でした。あの時はその声を識別できなかったのですが、何となく私の母のものだったような気がします…。
██研究主任: では、その声の内容がどういうものだったか教えてください。
SCP-XXXX-JP-5: まず最初は、「██(アサバ研究員の下の名前)…、█…█…?██…、██…、██…。」と、私の名を連呼していました。
SCP-XXXX-JP-5: [6秒間の沈黙]
SCP-XXXX-JP-5: 調査開始2ヵ月後くらいから、その声が何かこう…、変わったように感じたのです。その時を境に、声はよく人類についての持論?を語るようになりました。最もよく聞こえてきたのは、これまで過ちを犯してきた人類に対して、私はこの星に代わって制裁を下しているという旨の内容でした(この内容は、19██年██月██日のSCP-XXXX-JP-5の日記にも確認されています)。
██研究主任: なるほど。それ以降声に変化はありましたか?
SCP-XXXX-JP-5: しばらくは私に対する呼びかけと、前述のような内容を語るだけでした。そのため私は、慣れたせいか、段々とその声を意識しなくなっていきました。…ただ、 調査終了の3ヵ月前頃から、明らかに声の感じと内容が変化したように感じられました。
SCP-XXXX-JP-5: [置かれていた水を一口飲み、深く呼吸する]
SCP-XXXX-JP-5: …まず、声質が私の父のもののように変化しました。そしてその声は、[認識災害を引き起こすためデータ編集済]という内容を私に語りかけてくるようになりました。案の定、それを聞いた私は半狂乱となり…。あとはそちらの把握している内容と同じです。
██研究主任: …結構です、ありがとうございます。これでインタビューを終了しようと思いますが、何か言っておきたい事等はありますか?
SCP-XXXX-JP-5: …これから私はどのような扱いを受けるのでしょうか?
██研究主任: あなたは新たにSCP-XXXX-JP-5と認定されたわけですから、恐らく財団で収容、保護されるものと思われます。
SCP-XXXX-JP-5: そうですか、安心しました。…もしそうなった場合、私は引き続きSCP-XXXX-JP研究に参加したいのですが、可能でしょうか?
██研究主任: 私には何とも。一応、私が██博士にあなたからの提案として上申しておきます。
SCP-XXXX-JP-5: ありがとうございます。
<録音終了(14:41)>
付記: ██研究主任はインタビュー開始前に反ミーム剤を投与されており、SCP-XXXX-JP-5の発言に含まれる情報による認識災害は発現しませんでした。尚、██研究主任はインタビュー終了後記憶処理を受けました。
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アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: その特性上、今日に至るまでSCP-XXXX-JP-1の収容方法は確立していません。また、SCP-XXXX-JP-3は地球規模の災害を引き起こす可能性があります。財団が設置する観測装置において、SCP-XXXX-JP-2の検知及びSCP-XXXX-JP-3の発生が確認された場合、財団本部及び関係各国の財団支部とアメリカ地質調査所、日本国気象庁、ヨーロッパ地中海地震学センターが連携し、アメリカ地質調査所の名義で、SCP-XXXX-JP-3の発生をカバーストーリー「巨大地震」として世界各国政府に伝達します。
説明: SCP-XXXX-JPは、SCP-XXXX-JP-1と、SCP-XXXX-JP-2、SCP-XXXX-JP-3及びSCP-XXXX-JP-4と、人型実体であるSCP-XXXX-JP-5から成る一連の異常現象です。
SCP-XXXX-JP-1は、太平洋プレート外縁部のモホロビチッチ不連続面に存在する、外見は一般的なナマズ(Silurus asotus)に似た実体です。全長は平均462.583591.392km、最大実測値は4283.672kmであり、強粘性の流体であると推測されており、その長さは随時変動します。SCP-XXXX-JP-1は太平洋プレート外縁部に沿って各プレート下を自由に移動し、その際にSCP-XXXX-JP-2およびSCP-XXXX-JP-3が太平洋沿岸諸国世界各地で観測されています。
SCP-XXXX-JP-2はSCP-XXXX-JP-1から発生する異常振動現象です。SCP-XXXX-JP-2は地震波とは異なる特殊な波動エネルギーによりプレートを刺激し、SCP-XXXX-JP-3の発生を促進するものと考えられています。尚、SCP-XXXX-JP-2の地殻における伝播速度は平均12.4km/sです。
SCP-XXXX-JP-3はSCP-XXXX-JP-2により誘発される地震活動です。これまでに観測されたSCP-XXXX-JP-3は、大半がマグニチュード4.9以下の規模ですが、統計上59.3回に1回の割合でマグニチュード8クラスの大規模なものも発生しており、数多くのSCP-XXXX-JP-3が事例XXXXに指定されています。
また、SCP-XXXX-JP-2はSCP-XXXX-JP-1を視認した人間に比較的強い認識災害を発現させるミーム的性質を持っており、この性質はSCP-XXXX-JP-4に指定されました。
SCP-XXXX-JP-5は、SCP-XXXX-JP-4の影響を受けたアサバ研究員です。青森県下北半島沖での調査において、SCP-XXXX-JP-1を視認したことによりSCP-XXXX-JP-4に曝露し、以降今日までその影響を受け続けています。SCP-XXXX-JP-5に対してあらゆる精密検査が行われましたが、他のヒトとの生物学的な差違は見受けられませんでした。現在までに確認されたSCP-XXXX-JP-4に曝露した人間はSCP-XXXX-JP-5のみです。SCP-XXXX-JP-5は財団に対して非常に協力的であり、「アサバ研究主任」名義でSCP-XXXX-JP研究に参加しています。
更なる調査の結果、SCP-XXXX-JPと酷似した現象が他の地殻プレートで発生していることが判明しました。少なくとも██件の事例において、この異常性が関わっているものと考えられます。このことを踏まえ、財団はSCP-XXXX-JPの推定活動範囲を太平洋プレート外縁部から全世界の地殻プレート下へと広げ、世界各国の財団支部に対し、「プロトコル・イワトコ」の実行を通達しました。
以下は、新たに事例XXXX報告書に加えられた事例の一部です。
事例XXXX-25
発生日時: 19██/█/██ 3:27
発生場所: イタリア共和国カンパニア州██████県████市
概要: 発生の5ヵ月前からSCP-XXXX-JP-2検知数が増加し、SCP-XXXX-JP-3-25発生の1.5ヵ月前にその値は急激に減少した。発生したSCP-XXXX-JP-3-25の規模はマグニチュード6.9で、土砂崩れや建物の倒壊が多発した。余震も含む一連のSCP-XXXX-JP-3-25関連現象により███人が死亡した。
付記: カバーストーリー「イタリア南部地震」が作製、流布されました。太平洋プレート以外における最初のSCP-XXXX-JP確認事例です。
事例XXXX-41
発生日時: 20██/██/██ 18:14
発生場所: インドネシア共和国████島北西沖██km地点
概要: 発生の8ヵ月前からSCP-XXXX-JP-2検知数が増加し、SCP-XXXX-JP-3-41発生の1週間前にその値は急激に減少した。発生したSCP-XXXX-JP-3-41の規模はマグニチュード8.8で、巨大な津波も発生、インド洋沿岸各地に甚大な被害を与えた。死者・行方不明者は計██████人に上る。
付記: カバーストーリー「████島沖地震」が作製、流布されました。その被害人数の多さとインドネシア政府の初動の遅さから、21世紀最悪の自然災害と評されています。
上記2つの事例を含む██件の事例が新たに事例XXXX報告書に加えられ、20██年█月時点での事例XXXXの総数は██件に上ります。早期のSCP-XXXX-JP-2の検知及びSCP-XXXX-JP-3の観測のために、財団は全世界の計████地点に観測装置を設置しており、現在も増設が進められています。
補遺4:
20██年12月21日、静岡県の南方沖███km地点でSCP-XXXX-JP観測装置設置作業を行っていた日本の深海掘削船ちきゅうが、深度████m地点付近でSCP-XXXX-JP-2を検知しました。その後の追跡調査によるとSCP-XXXX-JP-2検知数は増大中であり、過去の事例を参照すると、約██ヵ月後にこの地点周辺で大規模なSCP-XXXX-JP-3が発生すると予想されています。
財団では現在、SCP-XXXX-JP-1の収容方法確立のための研究が進められており、オブジェクトクラス及び特別収容プロトコルの見直しが検討されています。
何度も推敲しましたが、自分では改善すべき点や工夫が必要な部分が分からなくなりがちなので、忌憚の無い客観的な意見をいただければ幸いです。
>SCP-1311-JP-2検知数が日を追うごとに増大していきました
>発生の5ヵ月前からSCP-1311-JP-2検知数が増大し、
増加のほうがいいかもしれません
>これ以外にも、
具体的にかいたほうがいいかもしれません
>補遺4:
SCP-1311-JP観測装置設置作業中の深海掘削船ちきゅう
20██年12月21日、
不自然な改行があります
ご指摘ありがとうございます。
文章中全ての「増大」を「増加」に変更しました。
具体的に書くと文章が少し長く複雑になりそうだったので、「上記2つの事例を含む██件の事例が新たに事例1311報告書に加えられ、」と訂正しました。
気づきませんでした…。改善しました。
拝読しました!
ご指摘ありがとうございます。
しばらく寝かせておいて、改めて見返してみましたが、だいぶ自分勝手な書き方だなぁ、と反省しています。伝承を無理矢理SCPにこじつけるのも強引だったと思っている所存です。
アドバイス、非常に助かります。もう少し長い時間をかけて練り直してみようと思います。