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20██/09/██、SCP-2999-JP-Cとして財団に雇用されていた実体の内1体が、その外観的特徴に於いてSCP-1999-JP-Aと一致するとの指摘によって調査対象へと回されました。
その調査結果とSCP-1999-JP-A実体の有する現実改変特性、並びに雇用されていた実体から回収された"脚本"の内容を総合的に判断した結果、財団上層部は現在の財団に於ける雇用基準そのものがSCP-1999-JPの影響を受けている、と結論付けました。
20██/10/██、問題のSCP-1999-JP-A個体の収容を完了。その他のSCP-2999-JP-C個体群に関しての処遇は……
SCP-2999-JPのあの1件は、「アノマリー職員への不当な扱いは許容されない」として決着したのではなかったのか。それが再度覆されたのが20██年、あれから十何年、僕はあまりに多くのものを目にし、そして自身でも経験しすぎた。
僕は長らく、アノマリー職員迫害への対策とカウンセリングをやってきた。「人間の子供サイズのカマキリのよう」なんて言われるように、自分も "異常" である僕だからこそ、本当に彼らに寄り添って癒し、解決できる。そう考えて自ら倫理委員会に転向したのが、最早哀しく、懐かしい。
でも、意味なんて無かった。"普通"の職員と同じになれた筈の僕たちはあの日、再び突然"オブジェクト"へと堕とされた。
「現在の財団の雇用基準は、既知のアノマリーによる改変影響を受けていると見られる」
のだと。
「現在雇用されている異常な職員群は、アノマリーによる改変以前は財団による収容対象であった存在であるものと考えられる。しかし現場の人手不足と混乱の回避を目的として雇用自体は継続する。」
と。
その通達が来た瞬間が、この現状の始まりだった。その通達の内容は、"普通"の職員たちの意識を徐々に壊して変えてしまった。
あるアノマリー職員は、職場で自分の手首を切った。「収容されるべきオブジェクトでありながらやむを得ず雇用を続けねばならない存在」としての扱いは、彼女の心に重くのし掛かっていた。収容されるべきなのにされていない、そんな存在に向けられる目だ。
そして僕らへの扱いは、同僚からの視線のみならずその待遇自体も変わっていった。福利厚生は減っていき、サイトや機材への損害による財政難では、アノマリー職員への支給から、優先的に差し引かれていく。……分かってる、この扱いは"当然"だ。むしろオブジェクトである僕たちに、支給がある事の方が"おかしい"んだろう。事実 "非異常な" 職員の増員は進められ、僕らを"正しく"収容対象に回す準備が進められている。
そんな扱いの中で、手首を切った彼女の行為に突き返された返答は
「異常性を鑑みた上での致命傷となる可能性の低さから、パフォーマンスの域を出ないと判断する」
というものだった。「中途半端に職員扱いされるより、いっそ収容された方が楽」、そんな言葉を前にして、僕は何もできなかった。
「過度なパフォーマンスは君の収容室への移籍を早める結果になるだろう。」
彼女の言葉とすれ違う内容の警告は、彼女の言葉が何一つ届いていない事の表れだろう。それにどうせ全員収容すると決まった上での、その警告に何の意味がある……?
勿論、僕は異を唱えた。でもその訴えは無効となった。
「異常存在の雇用自体が既知のアノマリーによって引き起こされたと判明した今、雇用下にある異常存在が相互に結託する事は好ましくない」
……僕にはもう、アノマリー職員たちのための発言権すら無いらしい。
僕は、僕を信じ頼ってくれた彼らにどんな顔をすれば良いんだ。今の僕は、助けを求めて来たアノマリー職員たちを延々と裏切り続けるだけの存在だ。
昔の僕は実際に、幾つかの問題を解決できていたと思う。まだ倫理委員会がマトモに動いていた頃は、僕が中心に立って幾つものハラスメント事例を扱った。だから僕はハラスメントの解決と被害者の救済が、自分の中での使命になっていた。大きな事から日常の些細な問題までを扱う、 "優等生" になっていた。
……もしかしたら、僕が倫理委員会を変えてしまったのかもしれない……時に、そう思う事もある。尤も、そうは言っても実際のところは分からない。でも、 "非異常" の委員会メンバーたちは、緑色の、自分の臍周り程の背丈の "優等生" を内心疎ましく思っていたのではないか。……分からないが。
何にせよ、もう僕は倫理委員会にいる意味自体を失くしてしまった。カウンセリングで訴えを聞く度、自分も心の傷を抉られ、無力感だけが増していく。それにドローンの設計や各種専門の知見に於いて、既知のアノマリー職員と同等の働きができるDクラス出身者を、代替職員として試験雇用する試みも検討され始めたと聞く。……僕らの存在は何だったのだろう。僕はもう受け止めきれなくなった。誰かの傷も自分自身の傷も。僕は自分も迫害を受けながら、それでも誰かの傷を癒せる程に強くなかった。
死ぬ前に、僕の被害者のリストアップをしておこうと思う。
僕が裏切った全員のリストではなく、ここで今この瞬間に、僕がやっている事の被害者のリストだ。
この中には、所謂「アノマリー職員への迫害」に苦しんだ人達が多く含まれると思う。信頼してくれていた人達を、僕は最期まで易々と裏切る訳だ。
その裏切りの、被害者のリストが以下だ。
- 「共にこの差別を解決へと導こう」という約束を、一方的に破られた多那瀬料理長は被害者である。
- 「ミギノリがそんな事企む筈があらへん」と、僕を必死に庇ってくれた咬冴隊員は被害者である。
- 「危険なGoIへの対抗のため」に作った筈のウィルスプログラムを、こんな目的に使われた集姫鈴呼SEは被害者である。
- 「本部のサイトから持ち帰った噂話」、「眉唾もののジンクスか都市伝説」として話した筈の内容を、勝手に真に受けられた█████(名前は伏せる)は被害者である。(そのナンバーを勝手に探し当てたのは僕だ。)
- 「システム侵入に丁度いい」等という勝手な理由で、折角出張までして組み上げてくれたサーバールームの中を荒らされる集姫鈴音IEは被害者である。
- SCiP.NETへの侵入者の為にこんな夜中に駆り出され、僕を射殺しなければならない機動部隊の面々は被害者である。
思えば、本当に沢山の人達を裏切ってしまった。
財団そのものも裏切ってしまった。
これは財団の使命と個人の勝手な使命の、優先度を履き違えた愚か者の単独犯行だ。
もうすぐアップロードは完了する。もしこのナンバーそのものが本当に破壊者なら、
いや、もう足音が近い。
さよなら
アップロード完了
通知: 以下は無断アクセスによって改竄された文章です。バックアップ後に前リビジョンに差し戻されます。
アイテム番号: SCP-048
オブジェクトクラス: Decommisioned
特別収容プロトコル: SCP-048は直ちに破壊されなくてはなりません。
説明: SCP-048は財団職員が有する、異常性を保持した職員に対する差別感情です。
これらの感情を有する者は財団の「保護」の理念に反し、数多くの "オブジェクト" の自己終了の遠因を作り出します。そして何よりも彼らと同じ財団へと忠誠を誓い、例え自らがオブジェクトであろうとも職員、共にある仲間たちとして献身を続けてきた筈のアノマリー職員を攻撃し、迫害することの倫理的観点からの異常性を認識しません。確かにアノマリー職員たちは収容対象なのでしょう。しかし迫害対象ではない筈です。例え一時のまやかしであったとしても、僕たちは財団の仲間でした。
アノマリー職員は不当に扱われるべき対象ではありません。この様な差別迫害そのものこそが、本当に破壊されるべき対象です。
これで終わりにしてください
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:5662538 (14 Sep 2019 13:02)
齟齬や誤用誤字も(私の知る範囲内では)無いと思います。
このまま投稿されたらDVすると思います。
まず、前提として私は人事に関する知識が浅く、名前を出されただけではほとんどキャラクターに関して如何なるバックストーリーも感じられません。
私はこのTaleに対して、中身が殆どないのではないかと感じました。現在この下書き中に含まれている内容はSCP-2998-JPの概要と、人事ファイルへのリンク、そしてSCP-048を書き換えることによって表現した痛烈な批判のみです。SCP-048を書き換える、という方法をとって批判する手法は斬新で面白いですが、なにぶんそれ以外の要素が殆ど記載されていないに等しいです。
この下書き中に記されているSCP-2998-JPに関する内容はSCP-2998-JPの概要の域を出ていません。実際に行われたアノマリーへの嫌がらせも、差別も、SCP-2998-JP自体に記載されている描写の方が詳細かつ精巧です。この下書きではSCP-2998-JPの概要を抜き出した上で個人名を充てたに過ぎず、実質的なストーリーをここの文章だけでは読み取れませんでした。
恐らくは、この人事に関する背景知識を持ち合わせているのであればまた違うように見えるのだと思います。しかし、それを持たない私にとってこのTaleは楽しめませんでした。
ご批評有り難うございます。
とのご意見を見るに、どうやら意図したオチが伝わっていないのではないかと思えます。この認識が正しいかどうかを確認するために、まず以下にどのようなオチを意図していたのかを記載します。
……さて、ここからオチの説明です。最後、確かに主人公の人事は「SCP-048を書き換える」という行為を行いました。少なくともここまでは執筆者(私)の意図とH0H0さんの読み解いた内容は合致しているようです。しかし、その行為の目的は決して「痛烈な批判」などではありません。彼は、追い詰められた末にそれでも、自分自身を犠牲にしてでも差別迫害に苦しむ他の同胞達を救おうとしたのです。
そもそもSCP-048は「呪われたSCPナンバー」です。これは単なる偶然によるジンクスなのか、それとも本当に「048というナンバーにオブジェクトを破壊する/失わせるという異常性があるのか」、それは断定されていません。ただ、終いにはO5まで出張ってきてこのナンバーを封印した、という事実だけは確かです。言い方を変えれば、「SCP-048というナンバーは、割り当てられたオブジェクトをぶち壊す性質を有した異常存在である」可能性がかなり濃厚なレベルで存在します。その可能性は決して100%ではありませんが、差別迫害の末に追い詰められた1人の職員がすがり付くには十分な可能性でした。
以上を纏めて結論を述べてますと、
「主人公は、048というナンバーが本当に登録オブジェクトを破壊する異常性を持っている可能性に賭け、アノマリー職員への差別感情をオブジェクトとして報告書に登録する事で048の異常性を活性化させて差別感情そのものを財団内から葬り去ろうとした」。
これがオチの意味です。そしてその後の結果がどうなったのかは、敢えて読者の想像に委ねています。
……やはり、このオチの意味が正しく伝わっていなかったという形でしょうか……?
もしそうだとしたら、どのような要素を加筆すればこのオチが問題なく伝わるか、ご教示頂けますと幸いです。
宜しくお願い致します。
私のミスです。私はSCP-048とSCP-2165の内容を混同し、その上で批評を行なっていました。申し訳ありません。また、SCP-048を書き換えることによって差別意識を破壊しようとしている試みであったことも理解しました。重ねて見当違いの批評を行なったことを謝罪します。
申し訳ありませんでした。
状況、承知致しました。
……その上で再度批評を行った場合、「UV、NV、DVのいずれか」、「改善すべき箇所はあるか、あるなら具体的にどのようにずべきか」、等の観点から見てどのような評価となりますでしょうか……?
宜しくお願い致します。
オチへの理解が変わっても、依然としてDVすると思います。
現在の下書きの根本的な問題はオチに至る過程までの内容の殆どがキャラクターの名前から察せられるであろうバックストーリーとSCP-2998-JPそのものに頼ってる点です。
例えば、咬冴隊員の代表的なTaleの一つにウチの居場所があります。これ自体はこの咬冴隊員の悲痛な来歴を詳細に描写することでTaleとしての面白さを確保しています。このTaleは、名前を出すだけでその悲痛さを流用しようと試みているに過ぎないのではないかと感じています。
現状の構造が招いているのはこのTaleが面白いのではなく、キャラ、及びSCP-2998-JPが面白いだけの状態です。キャラクターに詳しくない人間が読んだのなら、その面白さのうちキャラクターに関するものは皆無になります。そのため、このTale自体にはDVすると思います。
改善策を欠いていました。追記します。
絶対的に必要な点として、被害者が具体的にどういったシチュエーションを辿ったのか、もしくは主人公が見てきたシチュエーションに対し、主人公がどう感じていたかの描写が挙げられると思います。
何故これが必要なのか、それはSCP-2998-JPという記事自体に記載されている内容が既にこの遺書よりも濃い内容だからです。その為、SCP-2998-JPでは描写されていない主人公の感情を描写し、差別化を図る必要があります。同時に、前述の内容を描写することでキャラクター性の確立が行えます。これによって名前を出すことによって連想されるバックストーリーへの依存が解消できます。
再度ご批評有り難うございます。
との内容ですが、これらの要素が必要であるとの認識には私も全面同意致します。
その上でH0H0様と私の認識が大きく食い違ってしまっている部分がございまして、私は「それ、現時点の下書きに、既に元々盛り込んである要素なんだけど……」と感じてしまっています。
それらの要素が盛り込まれているのは、
という部分です。
この部分の記述から、以下の要素が読み取れる筈だと私は感じています。
これだけの要素を盛り込んだにも関わらず「中身がない」との批評を受けてしまった原因は、
のいずれかではないかと推測します。
1だった場合
上に箇条書きで書き出した内で伝わらなかったのが具体的にどの要素であり、その要素はどのような文章にしたら問題なく伝わるようになるのか、という点についてご教示頂けますと幸いです。
2だった場合
現状、私はこの内容が「薄い」という感覚を全く抱けていないため、「どこがどのように、どういう理屈で薄いのか」、という点についてご教示頂けますと幸いです。
宜しくお願い致します。
まず、私が今までSCP-2998-JPと表記していたものはすべてSCP-2999-JPの間違いです。このような非常に大きいミスを二つもしていたことを、深くお詫び申し上げます。
2です。薄い点は
Enginepithecusさんが提示した全ての箇所です。
理屈は、内容がこれ単体でほとんど面白くないからです。そもそも、この主人公のキャラクター性の確立がされていません。結果、知らないキャラクターの遺書を私は読みました。そんなキャラクターが間接的に苦しんでる描写がなされようと、私は共感できませんし、共感するために文章からそのキャラクターが感じてたであろう感情に思いを馳せることもありません。なぜなら、私はシチュエーションを見たらそれなりにキャラクターが感じるであろう感情を慮ることはできますが、それに付随するストーリーを想像するまでの労力を払いたくないからです。
Enginepithecusさんが提示した殆どの要素を受け取っていたとみて間違いありません。主人公がカウンセリングを通して追い詰められていたであろうことも、差別的な言動に追い詰められて自傷行為に及んだ挙句屈辱的な思いをした職員があることもしっかり読み取っていました。しかし、それを読み取っただけでは面白くありませんでした。
私は
仮に、この状況を面白いと思うのなら、それは状況に新規性があった時でしょう。「ああ、職員が異常性を持っていることを今まで疑ったことはなかったけど、もしここに差別が発生したらこんなことになってしまうんだ」と感じるはずです。しかし、その新規性はすでにSCP-2999-JPが持って行ってしまいました。そのため、読んでいても物足りず、面白くありません。どんなに、悲惨で、みじめで、苦しんだ職員がいたとしても、その描写が生む面白さがSCP-2999-JPのそれを上回る、もしくはそれに迫るものがなければ結局はSCP-2999-JPの焼き直しにすぎません。
また、既になされている描写から想像を膨らませ、職員たちがどんなにみじめであったかを細に込み入るほど想像し、その悲惨さを詳細に思い描いたのなら面白いかもしれません。しかし、それをして実際に描写すべきなのは作者であり、読者にその苦労を押し付けることが前提のつくりならば私はDVします。例外として、読者が思わず想像したくなってしまいような記事(例えば、反ミーム、依談などが挙げられます)を挙げます。これらは、想像する以前に読者が想像したくなってしまうような独特の魅力を有しています。
いわば、現状のTaleは題材あるいはプロットしかありません。あまりにも表面しか記述してなさ過ぎて読者が面白いと感じる深度まで到達するために読者が払うコストが高すぎるのです。そのコストは殆ど与えられた題材でTaleを自分で書くことと等しいです。
3点、質問をさせていただきたい点がございます。
まず
との内容についてなのですが、
①何故、これ単体で見ようとしてしまうのでしょうか。このTaleの真髄はオチの部分にこそあり、そのオチには強力な新規性があるとの認識です。だからこそ、その前振りにあたるその他の部分は既存の要素で足場を固めているのです。故に、このオチとオチ以外の部分を切り離してオチ以外の部分だけを「焼き直しである」と批判するのは、言ってしまえば戦隊ものの30分ドラマを20分のところまでしか視聴せず、「結局怪人は倒されないし彫像にされた人々も元に戻らなかった。つまらない。」と批判するのと同等の行為に感じてしまう次第です。最後まで見れば怪人は倒されて人々も元に戻るのです。最後まで読めば大きな新規性が用意されているのです。それなのに、何故オチとオチ以外の部分を「連動した一体のもの」として捉えては頂けないのでしょうか。一体何が、オチとオチ以外の部分を「連動した一体のもの」として捉える事を阻害しているのでしょうか。私はこのTale下書きのオチとオチ以外の部分を既に「連動した一体のもの」として捉えてしまっているため、いくら「オチ以外の部分が~」という批評を頂いても「それ、オチを見てないからでは?」という感覚に陥ってしまいます。私が頂いた批評の内容を正しく理解するためには、まずH0H0様が感じていると思われる「オチとオチ以外の部分の(悪い意味での)相互独立性」の正体について伺う必要があるようです。
②「キャラクター性が確立される」とは、この場合どのような条件が満たされることを言うのでしょうか。先程の内容から、H0H0様は「主人公は倫理委員会所属であり、ハラスメントへの対策やカウンセリングを担当している」という事も、「主人公は他者が迫害される事に対して自身が迫害されるのと同等の極めて敏感な感受性を持つ」という事も、「極限の精神状態の中でも、自分の死後の他の職員の処遇を予測して事前に先回りした配慮をする事ができる落ち着いていて理知的な性格の人物像である」という事も伝わっていた筈です。にも関わらず「この主人公のキャラクター性の確立がされていません。」とのご批評を頂いた事に、私は大きな矛盾と違和感を感じました。私には、既にキャラクター性の確立はなされているようにしか見えない現状です。もしこれが「キャラクター性の確立がなされていない」状態であるとするならば、「キャラクター性が確立された」状態とは、一体どのような状態を指すのでしょうか。
また
という内容に関しまして、
③このTaleの「題材/プロット」は、「アノハラ時空で、1人のアノマリー職員が048を利用して差別感情の消失を謀る」というものです。しかし「現状のTale」の本文の内容は「アノハラ時空で、1人のアノマリー職員が048を利用して差別感情の消失を謀る」ではありません。「あの1件は、「アノマリー職員への不当な扱いは許容されない」として決着したのではなかったのか。(~中略~)これで終わりにしてください」です。ここには題材/プロット以外に、「真面目で責任感の強い、1人のキャラクター性の確立されたアノマリー職員が不正編集の試みを実行に移す程にまで追い詰められ、しかしそれでいながら最期まで、自分1人を悪者にしてほかのアノマリー職員に糾弾が及ばないように考慮していた」という悲壮なストーリーが明確に描写され組み込まれています。少なくとも、私はそう認識しています。にも関わらず「現状のTaleは題材あるいはプロットしかありません。」という評価になってしまっている事の原因は、何処にあるのでしょうか。
ご教示頂けますと幸いです、宜しくお願い致します。
1.なぜオチに絡めてここを評価しないのか
オチが機能不全だからです。
この要素は一切の説明がありません。
現在、私が否定的に見ている遺書パートがつながるオチの要素はここです。
私は説明がなされていない部分の影響で、このオチが唐突だと感じています。
私は説明が為されている部分に対して、キャラクターの確立(後述します)がされていないため、その行動に対して感情が動きませんでした。
上記の二つの影響で、現在のオチは「唐突に、よく分からないキャラクターが差別を解消させるために一手を打った」くらいの認識の域を出ません。"これで終わりにしてください"の重みもよく分からないままです。
オチを勘案していなかったのではありません。オチの機能不全の状態を改善する一策として重点的に言及していました。オチの唐突さ、およびオチ以外にしか言及しない理由に言及していなかったのは私のミスです。
2.キャラクター性
私が考える、特に人間におけるキャラクター性はキャラクターの感情がどういった発現が為されるか、です。人の感情は、まさしくその人の人生を表すものです。なぜなら人間の感情の発露はその人間が今までどのような人生を送ってきたかにダイレクトに影響されるからです。全く同じ人生を送ってきた人間が同じ事象に対して同じ感情を抱くかどうか、のような思考実験はここではしません。ただ、大事なのは感情の発露はその人が送ってきた人生に依存する点のみです。例えば、私たちは意味もなく"もいきゃへ"という単語に敵意を抱きません。1なぜならこの単語は今私が適当に考えた単語であり、人生における文脈が欠如しているために、何か感情を抱こうとしても感情が動くだけの理由がないためです。逆に、私たちは罵倒語に対して反応し、悪感情を抱きます。物理的に見たらただの音の波にすぎないにも拘わらず。なぜなら、私たちにとって罵倒語とは自身に対する攻撃であることを今までの人生の中で文脈づけられているためです。また、「ラーメンを食べる」という短い文章に対して私は良い印象を抱きます。なぜなら、私は今までの人生の中でラーメンを食べたときは大抵おいしく、おなかも膨れて満足する経験を送ったことがあるためです。このように、人間の感情はその人が今まで送ってきた人生に大きく左右されるがために、人物が何に対してどのような感情を抱くかはその人間がどんな人物であるかを雄弁に語ります。
人間におけるキャラクター性の確立とは何に対してどんな感情を発露させるかを読者に知らせることです。2
今回の下書きの場合、押し並べてどの感情も平凡です。差別された人間に対して憐れむ、或いは自身の不義理に対して申し訳なく思う。これは無名の人間でも成り立つ程に平凡で、キャラクターの独自性がありません。しかし、これは必ずしも差別されて喜んだり、不義理に興奮するような異常者に仕立て上げろという事には繋がりません。また、感情が平凡であること自体に全く悪い点はありません。感情が平凡だけど、キャラクターを確立させたい場合への対処法として、「シチュエーションを具体的に、描写を細に行った上で感情を描写する」という手法があります。
"崖から飛び降りた人間を見て悲しんだ"、という文より"恋人が崖から飛び降りた瞬間を目撃して悲しんだ"、"喧嘩別れした矢先に、お互いに仲直りした後、いざ会う直前で崖から滑り落ちてしまった恋人を見て、悲しんだ"。この三文の中で、どれが最もキャラクター性が確立されているかは3文目だと思います。逆に、1文目はあまりにも平凡すぎてそれを目撃した人間がどんな人間だったかを慮ることが不可能です。感情の発露が、人生においてどのような文脈を持っていたか。この文脈を詳細に描写するほど、キャラクター性は確立されていきます。
ある場面において、どのような行動を取るかだけでは不十分です。その情報だけ渡されても、将棋の駒がどう動くかとキャラクター性は殆ど変わらないと考えています。ある場面において、どのような感情を伴ってどのような行動を取るかが分かってようやく独立した一個人なのです。
私は、このTaleにおける主人公が"なぜ起きたことに対して特定の感情が想起されたか"がもっと欲しいです。迫害は常識的に考えて悪いことだから、でもいいと思います。しかし、それだけではSCP-048を書き換えないはずです。
3.このTaleはプロットしかない、について
これは、私の視野が狭くなり、かなり行き過ぎた言動をしてしまったと思います。申し訳ありません。この発言は私が重点的に言及していた遺書部に対しての発言であり、このTale全体に向けるべきではない言葉でした。謹んで訂正いたします。
一方で、遺書に関してはこの発言を撤回するつもりはありません。
既に確立されたキャラクターに対してこの遺書を書くならば、そのキャラクター性を参照することで遺書の端々からとれる文章に感情を読み取ることができます。しかし、遺書をもってキャラクター性を確立させようとしてもキャラクター性の確立とするには情報量が足りなすぎ、この描写からキャラクター性を確立させるには読者にTaleを1つ書かせるような労力が必要です。これが私がこの遺書部分をプロットか主題しかないと称した理由です。
ここをプロットのような状態から脱却させるには、この遺書が始まる前、或いは後にキャラクター性を確立させるか、遺書をもっと詳細にするかのどちらかだと思います。
頂いたご批評内容を元に、大規模な加筆を行いました。
また、
については改稿前の段階で既にその理由がはっきりと記載済みでしたが、今回の加筆によって前よりもよりはっきりと伝わるようになったかと思われます。
加筆によって、ご指摘の点は改善できましたでしょうか。
引き続き宜しくお願い致します。
しばらく更新が見られないため、この下書きのステータスを「批評中断」にしました。下書き批評を受ける準備が整ったならば、お手数ですが、改めて下書きのステータスを「批評中」に変えていただくようお願いします。
Technical Moderator of SCP-JP
定例会での批評を受けて大幅に改稿致しました、引き続き宜しくお願い致します。
また本作は、
SOYA-001様主催のサイト-8148コンテストへの参加を意図した作品です。
その二週後の定例会批評の内容を更に反映して改稿致しました。
宜しくお願い致します。