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"プロトコル・最後の反復試行"
██████████周目開始。
当周回を以て目標は達成され、当該反復試行は完了となる。
20██年3月22日
場所: サイト-93
「ヨーコ、また帰ってきたよ。
……ううん、勝てなかった。
……でも大丈夫だ。僕たちは何度でもやり直す。ほら、今回も僕が君を強くしてあげるよ。」
気付くと、僕はヨーコ ──セラピーアニマルの狐だ……── の頭に手をかざしていた。ヨーコが、きょとんと首を傾げる。
あぁ、ダメだダメだ。また妄想に打ち勝つために、別の妄想に頼ろうとしている。
「おはようございます。気分はどうですか?」
低く落ち着いた声がする。
「あぁ、先生……。えぇ、大丈夫です。……ちゃんと自分で自覚できました。」
「それは良かった……。少しずつ、焦らずに治していけば良いんだからね。」
二言三言話して、先生は帰っていった。
……僕は時に、ありもしない事を自分の中で信じ込みかけたり。
……またある時は酷い幻覚を……
……裏庭のただの小鳥が、何メートルもあるドラゴンに見えてしまったり。
……でも。それでも。
……僕はヨーコの助けを借りて、いつか妄想に打ち勝って行くんだ……。
……それが、ぼくの決意だった。
コツン、コツン、コツン。足音を響かせ収容室からの廊下を1人歩きながら、"先生" は深い溜め息を吐いた。
職務では固い男だが、プライベートは異なるという、私はそういうタイプだったんだ。呑気に、ソシャゲなんかして。
しかし突然、重苦しい絶望が全てになってしまった。あの通達を目にしてから。
「とあるオブジェクトが、間も無く収容違反する」。そう通達が届いたのは今朝だった。既にあらゆる収容維持の試みは悉く失敗し、間も無く世界が終わる事は確定事項なのだという。
何故わざわざそんなことを……
「……何故、この私なんかに通知したんだ?」
ほとんどの職員たちは、終焉のその瞬間が訪れるまで、この事を知らぬまま過ごすのだそうだ。ならば、私にも知らせなくて良かったのでは……?出来ることなら、その最後を迎えるときまで、呑気にスマホでソシャゲの周回プレイをしていたかった。ダントツ最弱と言われてしまっている推しキャラを、育てまくって大ボスを撃破するのが夢だったのに。
……そもそもだ。そもそも私は、そんな最高機密のような事実を伝えられるべき「ほんの一握りの職員」ではない。私は確かに、これまで多くの実績を上げてきた。"病室" で狐と戯れているあの青年は私の1番の実績の証明であり、1度Keter級の危機の芽を未然に摘み取った事があるのは事実だ。だが……、
……今回は話の規模が違う。私以外に、もっと通知すべき職員は他にいた筈だ。
…………。
……終焉、
……敗北、
……周回、
……終わり、敗北……
……纏まらない疑問を巡らせているとふと、「私に通知した理由は、私自身の地位や業績とはまるで関係無い別の何かなのではないか」という考えに至った。例えばクロステストの時などは、その担当職員が突然通達を受け取ったりもするそうだ。
……でも、世界はもう終わるのだから……
「……むしろ狐の方かもな。」
世界の終焉を前に、上層部はセラピーアニマルを欲しているのかも知れない。
「……はは。」
自分のジョークで軽く笑った。乾いた笑いだ。そもそもセラピーアニマルならば、何もあの狐でなくとも他所から調達すれば良いのだ。元々あの狐だって……
……あの狐何処から調達したっけ。
数秒間考える。
……あぁ、そうか、分かった。
……完璧に分かった。所謂天啓ってやつだな。
……暗い廊下に、コツコツと足音が木霊した。
20██年3月22日
場所: サイト-██
その日、世界の存続は諦められた。
収容維持は、実質的に放棄する。
それが下された結論だった。
対象による終焉は、間も無く開始されるだろう。
全ての努力が塵と消え、何の意味も無かったのだと突きつけられるようだった。
財団上層部、「一握りの職員」の中でも更に一握り。何人分かの低く深い嘆息は、時折思い出したように沈黙を破り、そしてまた消えを繰り返していた。
間も無く、対象は収容下を脱するだろう。勿論我々は、最後のその瞬間まで、世界の終焉を食い止める手段を探すシミュレーションを継続する。だが仮に方法があった所で、我々がそれを探し当てられる事は無いだろう。
……そんな言葉から始まる文面が諦観と共に書き起こされ、そしてそのエンターキーが押下されて配下の職員達へと通達が下ったのが5時間前だ。
「……最後の悪足掻きを、認めてくれて有り難う。」
焦げ茶色の長机に向かいあって座る彼らの中の1人が、そう口を開いた。
「…………あぁ。だが無意味だろう。他に出来ることは何もないからという、ただそれだけの事だ。」
暫くの沈黙の後、そう返した男は更に言葉を続ける。
「何しろ、あれが異常性を発揮する為の条件がまるで満たされない。オブジェクト自身の認識がどうであれ、SC……」
その言葉を遮るように、卓上の専用電話機から緊急の要件を知らせる着信の電子ベル音が鳴った。オレンジ色のランプはクリアランスレベル3職員からだ。
言葉を遮られた男が一瞬の静止を経た後手を伸ばす。何も知らない下位の職員達のため、いつも通りの業務を続けてやるのも残された日々の中での使命の1つだ。
……受けた話は、かなりの長さがあった。だから、「その件は意見書に纏めて再度提出してくれ」と伝えた。
そしてその一幕から、1月が経過した。
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20██年4月30日
場所: S██-██17-H
キョロキョロ、キョロキョロ。冷たく硬い足場の上で、1匹の狐が戸惑うように辺りを見回している。
「本当にいいの?」と言いたげな狐に、ポニーテールの博士が静かに声をかける。
「……今日は特例なの。上層部……偉い人から、大事な事を知らされてね。」
博士の顔をキョトン、と見上げ首を傾げるその狐。
「ほら、あなたも彼も、今まで外に出て冒険なんて出来なかったじゃない?」
……そう、この狐、本来であれば収容されるべきオブジェクトだ。博士はSCP-150-JP報告書の実験記録を思い出す。
人間と500円玉の、「価値」を入れ換えたこの狐。
「直立不動の人間」になった500円玉と、自販機で使用できてしまった、元人間だった500円玉。
(本来だったらあたし自身が、入れ換えられてるところね……)
博士は、SCP-150-JPを抱えて地下から縦穴を登る。
……もうこの期に及んでは、博士が入れ換えられるような心配は起こり得ないのだった。
(さぁ、上に行きましょう……。)
1人と1匹はささやかな、「最期のパーティー」へと向かうのだった。
20██年4月30日
場所: S██-██17-プライム
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僕は……、今もまだ妄想の中に居るのだろうか。
……僕は先生たちに連れられて、もう十何年ぶりに施設の外に出た。いや、もしかしたら施設の中庭なのかもしれないが。
……でも、目の前に広がっている光景は、余りにも現実離れしていた。遥か地平線まで続く真っ白な大地に、傍らにはストーンヘンジの様な、しかしそれよりも遥かに滑らかで浅く紋様の入った表面の環状列石。
「良いんですよ。折角長年の治療が部分的とはいえ身を結んだんですから、お祝い兼ねてのパーティーです!」
先生はニコニコ顔だ。先生は、僕の妄想や幻覚は少しずつ快方に向かって来ているのだと言う。
「本当に……良くなってるんでしょうか。」
先生は、僕の肩にぐっ、と手を置く。
「大丈夫だよ。何も一気に治す必要はない。無理をせず、少しずつで良いんだ。」
……僕は、再び目の前の空間を見渡す。思い出せないが、幾度と無く似たような幻覚を体験しているような気がする……
……凄く、ボンヤリと。
僕は一体、いつから妄想の中に居たのだろう……
最初は、スーツ姿の集団からストーキングを受けている、という妄想だった。それは大学での勉強に全くついて行けなくなったのと同じ時期だから、それを切っ掛けに僕は壊れてしまったんだと思う。
ある時などは、自分には物凄い超能力が眠っているのだという妄想があった。……勿論、現実にそんなことはあり得ない。
……そういえばこうなってしまう前、学生時代の僕は科学者になるつもりだった。環境やエネルギーの問題を、変えられると本気で信じていた。でも、その結果挫折してこのザマだ。
……今の僕は、自分自身すら救えずにいる。ヨーコの存在に助けられ、それでようやく自分を保つ努力をしている……。
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「……あぁ!こら、はしゃぐんじゃないの!」
ふと、そんな声がした。僕たちより先回りしてBBQを用意してくれていた女の先生 ──とても偉い先生らしい── は、抱き抱えたヨーコを笑いながら諌めている。
「あぁ!はいはい、もう我慢しなさいって言ったのに、すぐあたしを困らせるんだから……」
博士に缶詰めを出して貰って、鶏頭水煮をぱくぱく。そうだ、ヨーコだって僕のために、ずっと頑張っててくれたんだ……。
……だからきっと、自分で自分の幻から逃げてしまうのはフェアじゃない。
僕は、意を決して先生たちに、自分に今見えている光景の事を伝える。
「先生……実は今、僕は変な空間に居て、目の前に環状列石があるんです。そう見えてる、って話です。何かの神殿跡地みたいな……」
「……ふむ。神殿跡地かね。」
主治医の男の先生は、少し考えた後で僕に答える。
「……それはきっと、君がずっと自分を守るためにその中に居た妄想の象徴だよ。」
「妄想の象徴……、ですか……?」
「あぁ。今は君自身が、そこから出ようと頑張っている。だから何かを閉じ込めて守る神殿ではなく、柱だけの神殿跡地になっているんだ。」
……そうか……。僕自身も、頑張ってきたんだったな……。
……自分の見ている世界や認識が妄想で、まるで信用できないものだという事を。それを受け入れるのにすらうんと、初めは時間がかかった。
でも今の僕はしっかりと、その事実と向き合えている。治して行こうと思えている。
……それならもう少しだけ、前向きになってみても良いのかもしれない……。
「焦らなくていい。ゆっくりと、君のペースで良いんだよ。」
「……有り難うございます。」
「うふふ。……ほら、お肉冷めちゃいますよ。」
……うん、今は急がなくて良い……。
……このパーティーを楽しむことが、きっと今僕がやるべき事だ。
それがきっと。
……自分の今を乱さない事が、自分の幻と闘うことでもあるんだ。
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パキッ。
……ほら、これは昔と変わらず綺麗だ。
本当に些細な事だけど、それは遠い昔と同じように綺麗に割れて。
そうしたら、何だか心が楽になった。ずっとのし掛かっていた悪い妄想が、1つ消えて空が晴れたみたいだった。
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(皆さん……!彼は、打ち勝ちましたよ……!)
博士は、ふっと微笑む。
思えば、縦穴の下に降り立ったときも、狐に触れられ、入れ換えられるその瞬間も、件のデカブツは暴れるどころか身動ぎ一つしなかった。必然的に、恐ろしく運が良かったんだろう。何故なら、彼は打ち勝ったのだから。
「……あの、使い終わったお箸どうします?」
喉から明るい声が出た。さっきまでよりも明るい声だ。
「うん、こっちで処分するから、このゴミ袋に投げ込んどいて!」
報告書更新
説明: SCP-2317はかつて太古の実体「████、世界を貪る者」(名前は意図的に削除済)として知られていた1膳の割り箸(使用済)です。現在は防腐処理を施した上でサイト-19にて保管されています。
特筆すべき点として、SCP-2317は極めて正確に二等分されており、またその破断面は極めて理想的な平面に近似しています。
これからも続く世界。そして例の封印の中には代わりに、微動だにしない巨人が永遠に留まり続けるのだろう。
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20██年5月13日
場所: サイト-93
そして、日常が帰ってきた。
後日自室のデスクで1人、PCを叩く作業を終わらせる博士。
……そしてうーん、と伸びをする。
(……いやしかし、本当に不思議な任務だったな……)
無理もない。終わるはずの世界が、本当に突然揃ったピース群が組み合わさって、救われてしまったのだから。
そしてこの任務で彼女は本当にただ、パーティーをしただけなのだから。
(それにしても、あの狐はいつの間に、セラピーアニマルにされていたんだ……?)
あの青年、SCP-2973-JPはかつて自分の異常性を自覚しかけて、それ故に投薬され、今のカバーストーリーを適用されたのだそうだ。しかし、セラピーアニマルにわざわざ別のオブジェクトを選定する必要がある訳がない。
上層部は、それは世界を救った改変事象の一部か、付随する事象なのだろうと言っていた。あの時に元々実施される筈だったプロトコルには、SCP-150-JPは組み込まれてすらいなかったらしいのだから。
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「……うーん。」
やはり狐につままれた感覚。そしてその感覚に煙に巻かれまいとして、博士はあの日の通達の文面をいつまでも読み返し続けるのだった。
一方……
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……その一方で、同じ件の事を至極納得している男が1人。
定期の"カウンセリング"を済ませた後、私は例の通達の文面を見返していた。
あの通達があった日、天啓のように気付いた私は緊急要件の連絡を入れ、「意見書に纏めて再度提出してくれ」との指示を返された。
そして今やその通達文は、私にとある1つの感想を抱かせていた。
「ソシャゲ、また周回プレイしよう……。」
挑むのは、現状解放されてる中では唯一、銀のレアアイテムが入手できるボスステージだ。
「……何が "重課金して漸く使えるキャラ" だ!」
推しキャラの汚名を晴らすため、今日も私は周回をする。今はまだ勝てなくたっていい。銀のアイテムで強化する度、彼女は徐々に強くなる。
何たって、時間はたっぷりあるんだ。
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そしていずれにせよ2人のPCには、あの時の通達履歴が他とは別のフォルダに分けられ、記念碑の様に保存されているのだった。
ご批評頂きたい点
①上記スポイラーに示したストーリーの内容、筋書きは伝わるか
②UV、NV、DVのいずれか、またその理由。
③改善した方が良い部分は見受けられるか、また、もしあるとしたら具体的にはどのような修正を行うべきと見えるか
宜しくお願い致します。
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JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
現段階で投稿されたらdvすると思います。また他にもdvする方々は出てくると思います。投稿時のdv理由としては「登場オブジェクトをよく知らない人にとっては何が何だか全くわからん」「ヘッカ違い」の二つが主に想定されます。
・オブジェクトを知らない人
SCP-2317とSCP-150-JPを知らない人にとっては、「ものすごいモンスター」で割りばしにリンクが張られている時点で非常に混乱すると思います。さらに、「パキッ」「現地で渡す割り箸」でリンクを開いたら6つタブが出てきてガチガチのコマンド入力が開始されるに至っては何が起きたか理解できる人はほぼいないでしょう。(まあタブ6個演出はあなたのせいではないんですが……)
もう少しオブジェクトについて説明したほうが親切ですし、盛り上がりの補助にもなるかと思います。
・ヘッカ違いって?
元祖Apollyonと人間型のKeterと自我持ちのEuclidを扱っているには少々財団職員が油断しすぎているように思いました。SCP-1973-JPが作戦前に何かとうっかり入れ替えられたら全部終わってしまう事を考えたら絶対にモフらせてはいけないと思います。
異常三段重ねをやるとなれば何が起きるかわからないし、「成功率100%」などとは到底言えないと思います。またメタ的な話としても、もう少し物々しい扱いをしておいた方が後半との落差が出せるのではないでしょうか。のんきに始まってのんきに終わるよりは起伏が出ると思います。
・ところで
根本からめちゃくちゃ水を差すようで申し訳ないんですが、2317を割りばしにしたあと綺麗に割る事に何か意味ってあるんでしょうか。ただの割り箸になってしまったならわざわざKeterを騙さずともヘシ折って燃やしてしまえばいいのでは?
割りばしと入れ替える⇒割るというコンボはわりと面白く使えると思うので、「綺麗に割る」ことに必然性がある状況をもう一度考えたほうがいいかもしれません。
こちらに関しましては、
・SCP-2317→SCPでは相当に上位クラスの知名度を誇っているとの認識だった
・SCP-150-JP→序盤のペール色の文章内で、オブジェクトの性質を知らない人にもしっかりと説明しきったつもりだった
との理由でこのような形になっておりました。
それぞれより具体的には、どのような部分が説明不足で、どのように情報を追加すれば宜しいでしょうか……?
これらに関しましては、意図していたストーリーが上手く伝えきれていなかったようです。
……意図したストーリーを解説致しますと、これは、「成功率100%の、どんなに油断してやっても成功する必勝の戦い」なのです。その理由は、SCP-2973-JPの以下の異常性に由来します。
このTaleに於いてラストに記述している通り、SCP-2973-JPは事前に「現地で渡す割り箸を使え」と伝えられていました。この時点で彼は「現地で渡される割り箸を割るぞ!」と思い、上記の異常性がアクティブとなりました。
さて、この状態で「SCP-2973-JPが作戦前に何かとうっかり入れ替えられたら」ですとか、或いはその他の要因によってこの作戦が頓挫したとしたらどうなるでしょうか。作戦がトントン拍子に進むことを前提にしている「現地で割り箸を渡される」という状況が、そもそも成立しなくなります。つまり、「この作戦を頓挫させるあらゆる要因」は「SCP-2973-JPが割り箸を割る行為に対する妨害要因」に
該当し、それ故に全てがSCP-2973-JPの異常性によって無効化されるのです。SCP-150-JPによる突発的な入れ換えも、SCP-2317による自身の入れ換えに対する抵抗すらも。(冒頭で、SCP-2317が微動だにしなかった、というかできなかったのはこのためです。)
また、「最後に綺麗に割る意味」ですが、これは単純に上記SCP-2973-JPの異常性の特性上、「最後に綺麗に割る」以外の展開は起こり得ないという理由です。
そして財団がのほほんとしているのは「いや、あれだけのほほんとしてて相手はSCP-2317だったの!?」という落差を意識したのですが……、上手く活かしきれていない形でしょうか?
また、少なくとも上記の「100%成功するカラクリ」が伝えきれていなかったようであるため、こちら、どのような情報を追加すればハッキリと意図したストーリーを伝えられそうか、ご教示頂けますと幸いです。
だいたい理解しました。こちらもやりたいことがつかみきれていなかったようです。
一応ストーリーの補強として申し述べるならば、「いや、あれだけのほほんとしてて相手はSCP-2317だったの!?」をするなら最後の研究員パートまでSCP-2317に繋がる情報をなるたけ伏せてホンワカ日常taleに擬態した方がいいかもしれない、というくらいでしょうかね……。ほのぼのとしたBBQを描き切ってから、研究員パートで「真面目な作戦として、これこれこういう理由で”どんだけ適当でも必勝”という理論があったんですよ」を出しておけば誤読は減り、「2317と2973JPはどっちが強いのか」「でもやっぱ財団職員は職務中は真面目であれよ」という根源的ヘッカ違い以外でのdvは大分減るかと思います。
・オブジェクトの説明について
SCP-150-JPについては、そうですね。確かに説明を足すとしたら「"価値"とは物体が他の物体に作用するあり方のことである」という部分くらいですね……。(僕としてはいまいちこの説明と異常性がピンときていないのですが)
僕が言いたかったのはどちらかというとオブジェクトに対する説明不足というよりも、「リンク先まで入れ替えちゃったら読者が混乱しない?」の部分です。"価値"が作中人物にとって入れ替わるかどうかという話と、読者にとって入れ替わるかどうかはまた別なので。
たぶん割り箸がなんであるか知らない読者はいないと思うのでその辺のリンクは外してしまい、後の職員視点パートで、「割り箸だと思っているものが2317である」というあたりのネタ晴らしをしっかりとやった方がいいのかなと思います。
そして「100%」についてどういう意図であったのか、教えていただいてありがとうございます。
この部分により、「割りたいな~」と思う程度ではアクティブにならず、割り箸を手にした瞬間からアクティブになるものと考えていました。どっちのヘッカの方が主流かは知らないですが、「異常性をアクティブにすることで全ての不安要素を排除できる」という事を書いた方がいいかなと思います。
あと今更な疑問なんですけどこれ実質2317と化した割り箸ってどうなるんですか……?
有り難うございます。
こちら、ただいま頭を捻っておりますが、結構難しいですね……熟考致します。
少なくとも、必勝の理論はより具体的に示してしまった方が良いとの形ですね。承知致しました。
理解できました。これから改稿案を練る際に、併せて混乱を生まない形に修正させて頂きます。
成る程です。私としましては、「基本的には、目の前の割り箸を手に取ろうとする(実際に物理的に手に取るよりは前の)タイミングでアクティブ化する」との認識でした。そして、これは「本人は確認していないが、背後に割り箸があると伝えられてそれを手に取ろうとした時」にも同様にアクティブ化するだろう、と。それらを踏まえた上で、「○○日後に確実に割り箸を手渡される」と通知された状態は「本人は確認していないが、割り箸の存在を他者に約束されている」状態としてこれに近似し、アクティブ化するだろうとの考えで書いておりました。こちらの内容をよりハッキリと、伝えられる書き方を考えさせて頂きます。
SCP-150-JPの実験記録によると
との事ですので、「SCP-2317-Hの中で動かない薄気味悪い2317」になるかと思います。
頂いた批評を反映し、全体的に改稿を実施致しました。
引き続き宜しくお願い致します。
拝読しました、執筆お疲れさまです!
Engineさんが批評を望まれている部分に関して、批評させていただきます。
総評としてはDV寄りのNVかなぁという感想です。
理由としてはまず面白さを元記事の割り箸割りマンの面白さに完全に依拠している上、展開としても元記事と被っており意外性がなくテンションが平坦なまま終わってしまう(元記事を読んだことがある人なら「割り箸」というワードが出てきただけでなんとなく察せられるし、元記事を読んだことのない人には何がなんだかという感想になってしまうと思います)ため、面白みをどこに見出すべきかわからないという部分が挙げられます。
元記事の時点で「壮大な何かを匂わせつつ、最終的に『割り箸をきれいに割る』というしょうもないオチに落とす」という起伏のあるシュールギャグをやってのけているので、ギャグ路線で攻めるのは難しいかなというのが正直な感想です。
あと先行作品として既に同じ題材で似たことをやっている高評価のtale(こちら)が存在するのも逆風だと思います。
こちらは「よりによって割り箸割りマンにあの財団が頼り、人類の存亡を賭けている」という事態の深刻さや人物の真面目さと絵面のアホさの落差でおかしみを演出する構造になっているのですが、これは元の文体がシリアスであることに起因するシュールギャグとして機能しています。
以上のことを総括すると、(本作は「コミカル」であって「ギャグ」ではないという前提を置くとして)Engineさんの文体(おそらく意図してコミカルに寄せているのだと思います。)をよりコミカルに寄せて「おかしさ」ではなく「ほほえましさ」を演出する方向で勝負するのが良いのではないかなぁと愚考する次第です。現在の文体だとどことなく絵本的な雰囲気を感じるので……
Engineさんのtaleを読むにEngineさんご自身読者を引き込むタイプの文章は巧みでいらっしゃると思います。なのでその方向で調整しながら貪るものという強大な驚異をほんわかほわほわなやり取りの前に無力化するという方向で落差を作り出すのが面白みを生むのに有用な気はします。
以上拙い評ですが参考になれば幸いです。
ご批評、有り難うございます。
こちらですが、私自身の意図する面白さの根幹は、「絶対的な絶望そのものとも言える存在である2317が、2973-JPというシュールギャグの様な存在の世界観に巻き込まれ、のほほんとした展開の末に無惨な醜態たる最期を晒す」という部分に根を下ろしています。
「意外性が無い」という部分に関しましては、「パキッ!」の直後の画像でいきなり真っ二つになった2317が目に飛び込んでくる、という部分に意外性と盛り上りを込めたつもりだったのですが、不発でしたでしょうか……?この部分は、「2317が割れた」という事実が唐突に目に飛び込んでくる事により、前述の面白さの根幹とも強く連動する部分であるため確実に炸裂させたい形です。
これが不発と見なされてしまった原因を私なりに予測してみたのですが、
①デカブツ、というワードによって事前に正体がバレてしまった
②タイトルに「両断」というワードが含まれたことで割り箸が何らかの危険な実体である事が事前にバレてしまった
辺りかな、と考えています。
……これらは妥当な認識でしょうか?また、これら以外にも不発の原因となっている部分がありましたらお教え頂けますと幸いです。
こちらのTaleに関しましては、souyamisaki014さんと私とで面白さの根幹の解釈が異なっていたようです。私はこのTaleを読んで、「自覚なき異常性を利用される形で財団に囲い込まれ、運命に振り回された挙げ句に世界を終わらせる1人の男の哀愁」を感じました。そのため、「2973-JPが根幹に関わる」以外に被っている箇所を認識することが難しい状態です。
souyamisaki014さんが感じられた上述のTaleの面白さの根幹は
しているとの事でしたが、これは「割り箸割りマンがBBQしている、というシュールのほほんな状況の中に、唐突に威厳ある絶望、2317が放り込まれる」という形での面白さとは、差別化が不可能なほどに被るものでしょうか。或いは、前述の「唐突な真っ二つ画像」が不発であった事に起因して、似たような内容であるかのように見えてしまっている形でしょうか。
ご教示頂けますと幸いです。
2317が割れる点に関しては、そもそも2973-JPが出てくる時点で「まぁデカブツを割るんだろうな」という予想が成立してしまうので、ギミックは不発と言わざるを得ないかなと思います。その前で「物事の価値を入れ替える」という手法まで明かしてしまっている(これは私は少し飲み込むのに少し時間がかかったので「物事の価値」というのが何を指すのか明確にしてしまってもいいかもしれません)ので、「割り箸割るとデカブツもどうにかなるんだろうなぁ」という想像がついてしまうのもあります。
割れるシーンに意外性をもたせるのであれば「彼/私」の正体や割るために用いた理論は割る前まで伏せておいたほうがいいんじゃないかなと。(「割り箸」というワードも出さないほうが良さげです)
「自覚なき異常性を利用される形で財団に囲い込まれ、運命に振り回された挙げ句に世界を終わらせる1人の男の哀愁」はもちろん話の筋を追っていくとそう読めるのですが、話としては至極真面目なテーマであるところと事態のシリアスさ、「あれこれ工作して『よりにもよって割り箸に』因果を収束させることで人類を守った」という事実を真面目に語ることで「割り箸にそこまでする?」「なんで割り箸なんだよw」「壮大で熱いんだけどよりによって割り箸かぁ」「どういう顔すればいいんだ」というような感想を誘発し読者にちぐはぐな読後感を与えたことが評価されている原因なのではないかと思っています。(これはあくまで個人の解釈なので広めに意見を募ったほうがいいかもしれないです)
本作とこのtaleはそういう面では被る部分は存在しませんが、「真面目な前提に反してシュールギャグ時空が展開される」という本質的な部分ではさほど変わらないと思います。
現状だと視点が2317のことを知らない2973-JP側にあるので「2317が放り込まれる」ことによる落差はあんまり演出できてないかもしれないです。2317を脅威だと知っている財団側の人物も「これから割る」という確信の元行動しているので、そもそも読者はデカブツを脅威だと感じないかもしれません。主眼点を2317の威厳をゴミ箱にシュートすることに置くのであれば「えっ?また俺なんかやっちゃいましたか?」のノリを目指すほうが良いかもしれません。
誠に、丁寧なご批評有り難うございます。
頂いたご指摘を踏まえまして、
①2317の正体を悟らせない
②しかし同時にその脅威はしっかり脅威として印象付ける
③そしてその威厳ある脅威を突然ゴミ箱にシュートする
この3点を意識して大規模改稿と、タイトルの変更を行いました。
この形ですと、上手く面白さを引き出せておりますでしょうか……?
大半がヘッドカノンにはなりますが、ちょっとロジックに納得がいきませんでした。
SCP-150-JPによってSCP-2317と割り箸を交換するのがかなり無理筋のように思えます。SCP-2317は財団が諦めるほどのオブジェクトであり、SCP-150-JPくらいのオブジェクトが作用できるのであれば何かしら他の手を打って成功していてもおかしくありません。
また、上記問題をSCP-2973-JPの異常能力で達成させたという主張ですが、それも少し無理に思えます。
①SCP-2973-JPは割り箸を必ず割り、割りばしを割るプロセスは妨害できない
②SCP-2973-JPは現地で渡す割り箸を使うことになっている
③よってSCP-150-JPの交換は成功し、SCP-2317の割り箸が割れる
というロジックですよね?
元記事の意図から言ってSCP-2973-JPができるのは割り箸を割ることだけです。それゆえ割り箸がSCP-2317であろうが割ることができるでしょうが、逆にその割り箸がSCP-2317である必要もありません。つまりSCP-150-JPの交換が失敗し、普通の割り箸を割るというストーリーになっても一切プロセスの妨害にはなっていません。割り箸を割るという事象にSCP-150-JPの交換の必要性がない以上、SCP-2973-JPの能力が発揮される見込みはないでしょう。
そもそも妨害されるプロセスとはやっぱり手にとって力を込めてから割れるまでなのでは?②は口約束でそこまで保証させられるのか?割り箸を割ることは妨害できないにしろ、その割り箸を割るために世界を守る方向にうまく現実改変を作用させてくれるか?などの前提からの疑念はありますが‥‥
というわけで、「SCP-2973-JPならSCP-2317に匹敵する能力はあるかもしれないが、その能力を発揮させるプロセスが不十分だろう」という論です。感情的にもSCP-2317が簡単に破壊されても困るというのもあります。私はこのヘッカなので現状のアイデアだとどう頑張ってもDVを入れると思います。改稿しても厳しいと思うので私一人のVoteを斬り捨てた方が良いとは思います。
Jiraku_Mogana様、ご批評有り難うございます。
私自身、事前にTwitterにて頂いていた「拡大解釈が過ぎる」というご指摘を自分なりに咀嚼し、その意味するところを見つめ直そうと試みました。
その結果ご指摘の妥当性を認識した上で、以前に見かけた記憶のある、他のTaleディスカッションでの「このTaleは元オブジェクトをそのままなぞっただけで、オリジナリティに欠ける故にDV」という内容の批評文の文意との比較を行う事となりました。
「拡大解釈を行うとDV」であり、「オリジナリティが無いとDV」である。
そして両者の違いを考えた末、恐らく「拡大解釈が過ぎる」と「オリジナリティがある(元オブジェクトをなぞっただけではない)」の違いは
という部分に依拠するのではとの仮説にたどり着きました。
そしてこの仮説を前提にして、私は以下の作業を実施しました。
その結果として出来上がった試作物が、ページ冒頭に記載の改稿案です。この改稿案は前述のプロセスを経たことにより、全体的な流れは大きく類似しつつも「読者に抱かせようとする感情」や「Taleそのもののジャンル/主題」が完全に元とは異なるものへと置換されています。
その上で、現在私自身は「この改稿案をベースに修正を加え、ブラッシュアップを行った方が現状の下書きよりも良質なTaleになるのではないか」と感じています。そしてこの手応えが客観的に見ても間違いなさそうだと思えたならば、元の下書きを丸ごと撤回し差し替えてでもこの改稿案を形にしたいと考えております。
以上から、
との感想を抱かせてしまう現状を踏まえた上で、改稿案が
①上記感想に対してどの程度までのアンサーとなり得るか
②Taleとしての筋書き部分の面白さはどう映るか
をお聞きしたいとの次第です。
私の描写不足による認識の齟齬の防止と、その描写不足をご指摘頂きたいとの意図を合わせて、以下に改稿案のスポイラーを置かせて頂きます。
ご教示頂けますと幸いです。
私は感覚派なのでちょっと前半の言っていることがすべて把握できなかったのですが(「拡大解釈≒~」のとこなど。でも「①拡大解釈に頼らなければ論理を維持できない部分を洗い出す」のはとても良いと思います)、
以前の版より無理筋感は消えているように思いました。SCP-2317への依存描写が増したことで、私は「SCP-150-JPによってSCP-2317と割り箸を交換するのが無理」というヘッドカノンの違和を薄めている形となっています。(薄まっているだけで無理なのは変わりませんが)
その上で
①未だプロセスの不十分さが残る
②一旦整理する必要がある
というのが私の意見です。
長々と思ったことを書き出した形になってしまい、まとまりがない文章になってしまい申し訳ありません。
もし参考になる箇所がありましたら、適宜取捨選択していただけますと幸いです。
これまでに頂いた批評を踏まえ、思いきって内容をシリアスに振ってストーリーを再構成し、内容の刷新を行いました。
この改稿で、本下書きは過去版のそれとは異なるジャンル、異なるストーリーのものとなりました。
引き続き、宜しくお願い申し上げます。
昨日頂きましたDiscord批評を受けて、より内容が伝わりやすいように全体にシーンの追加等のブラッシュアップを行いました。
引き続き、宜しくお願いいたします。