現在このページの批評は中断しています。
はい、まずは名前ですか。えぇっと私は█ ██博士、元々財団の研究員をしていました。そして、同僚だった██ ██研究員の殺害を理由に尋問を受けています。
理由ですか……。……まず、この出来事は██研究員に私が恋心を抱いたことから始まります。
次第に、あの笑顔とハツラツとした性格に惹かれていったのは覚えています。しかし、明確なきっかけは彼女が泣いているのを見た日のことでした。確かあの時、彼女は上の博士に細かいミスで怒られて、私と一緒に片付けをしている最中です。彼女が手を滑らせて、ピンセットを床に落としてしまいました。多分何か限界に達してたんでしょうね、チャリンという音がしたかと思うとまるで糸が切れたかのように座り込んで……泣きはじめたんです。彼女は先に言った通りの性格でしたので、ビックリしました。でも同時に……えぇっと不適切かもしれませんが、何か……安心したんです。ちゃんと人間で弱いところもあって、そしてその感情が美しいな、と。
いえ、人の不幸に幸せを感じている訳ではありません。それがきっかけ、というだけで何よりも彼女の笑顔の方が好きですから。……正直な話、人間がこういう風になってしまってからは彼女が常に笑っている、多分これが壊れることはないと少し嬉しかったのを覚えています。
話は変わりますが、"博士"についてはどれくらい知っていますか。……えぇ、「悪意にまみれたパチモンばっか作ってる謎の人物」、そんな認識で大丈夫です。まるで子供のような人物でもありましたが、彼もしくは彼女、は狡猾で決して尻尾を掴ませるような隙は与えない人物でもあります。それなのに、急に粗が見え始めた時期がありました。皆さんもご存知のあれです。動く人がいない……というより通常業務以外のことを誰もしないようでしたので、仕方なく私が直接確認しに行きました。まさか本拠地に直接繋がっているとは思いませんでしたがね。
"博士"は、無防備にもソファーで寝転がっていました。ボサボサの髪の毛、ペンキや油汚れまみれの白衣、指紋のついたメガネ、実際に"博士"その人だったのかは分かりません。ですが、私が真っ直ぐに胸ぐらを掴みに行ったのは確かです。「どうしてあんな酷いことをしたのか?」「どうして子供を標的にしたのか?」「どうして同僚は不幸な事故に遭わなきゃならなかったのか?」……月並みなことしか言えてませんね。まぁ、行く前に、もう悪意の塊ですらない、もはや害がなくなってしまっていると予想ができていたはずですが、目の前にその姿が現れた瞬間、感情が抑えきれなくなっていました。でも、笑っていました。
その研究所には、器具が積み上がった机や、材料が煩雑においてある棚、赤黒い染みがついた手術台などがありましたが、そのほとんどに埃がかぶっていました。……これを忘れてはいけませんね。テレビです。あの部屋には最新型よりも少し厚めなテレビも置かれています。これでソフト面の開発をしているのだろうか、それとも普通のバラエティ番組を見て、笑っていたのだろうか、そう思いながら眺めて。そこには"博士"が映っていました。
そこで転がってるヨレヨレの白衣とは違って、皮肉めいた笑みと悪意を秘めた雰囲気を持ち合わせた、まさしく私の思い描いていた"博士"です。そこで何を言っていたかは話せません。しかし、この話で重要なのは、「私が"博士"を受け継いだ」ということです。
私は特別な業務を負うことはありませんでしたし、そもそもこの状況でそんな業務が発生することもないので、"博士"としての仕事を兼任することは簡単でした。あそこに残ったおもちゃの設計図、財団の設備、それらを利用してオブジェクトを生産して世の中に流通させる。私は人を傷つけるために作ったわけではないので、その後は確認していませんが。えぇ、私が"博士"となったのは子供たちの笑い声を聞くためでも、悲鳴を聞くためでもありません。……いや、彼女を殺すためでもありませんよ。まぁ確かに、彼女のためにこんなパチモンを作り続けたわけではあるのですが。こうしてオブジェクト作りに慣れた私は、ついに本命を完成させました。その完成品については先日尋問で申し上げた通りです、調査や収容はあなた方に任せます。それで、彼女にそれを使いました。
それを使って、彼女は微笑を失って、泣きました。泣いて、僕は何とか笑わせようとしたんです。でも全然笑ってくれなくて。私の顔を見て何も理解できていないような顔で涙を流しているだけで。私がどうしてあんなことをしたのか……それは、あのハツラツとした笑顔をまた見たかっただけだったんです。
以上で、私が彼女、██ ██研究員を殺害した理由とその周辺情報は全て話し終えました。これからは誰かに危害を加えたりすることも、"博士"としての活動をすることも、やることもやろうとすることもないと思います。
はい。えぇ……え?一命を取り留めた?では、一度会わせて……くれるわけないですよね。
……いえ、いいんです。多分、多分ですが、彼女の泣き顔を最初に見たのも、最後に見たのも、美しいと思えたのも、私なんですから。
それに……これからは彼女、笑えるんでしょう?
補遺: 彼の言及した元"博士"と見られる人物の拠点への突入作戦は成功、同人物の拘留も完了した。しかし、設置されたテレビには映像を受信する機構が外部、内部に存在せず、言及されたビデオメッセージの回収には失敗している。
また、今回██ ██研究員に見られたSCP-F331影響下からの脱出現象は現在まで再現に成功せず、現"博士"を自称する█ ██博士は反対にSCP-F331影響下にあり、インタビューで獲得した以上の有用な情報を得られていない。
ページコンソール
批評ステータス
カテゴリ
SCP-JP本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
翻訳作品の下書きが該当します。
他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。
言語
EnglishРусский한국어中文FrançaisPolskiEspañolภาษาไทยDeutschItalianoУкраїнськаPortuguêsČesky繁體中文Việtその他日→外国語翻訳日本支部の記事を他言語版サイトに翻訳投稿する場合の下書きが該当します。
コンテンツマーカー
ジョーク本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。
本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。
本投稿済みの下書きが該当します。
イベント参加予定の下書きが該当します。
フィーチャー
短編構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。
短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。
構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。
特定の事前知識を求めない下書きが該当します。
SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。
シリーズ-JP所属
JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。
JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。
JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C-
- _
注意: 批評して欲しいポイントやスポイラー、改稿内容についてはコメントではなく下書き本文に直接書き入れて下さい。初めての下書きであっても投稿報告は不要です。批評内容に対する返答以外で自身の下書きにコメントしないようお願いします。
- portal:5653117 (12 Sep 2019 08:13)
軸になっている部分や全体は問題ないと思いますが、現状ではオチでストーリーの全容が理解できるというよりは不明瞭になる気がします。スポイラーがないので分かりませんが、SCP-F331影響下にあるはずの現博士が研究員に不満を抱いて殺害一歩手前までいくのに違和感を感じました。、異常アイテムで異常性を交換した自己犠牲の物語になるのであれば殺害の下りは削り、現在が幸せである旨をもう少し加えてほしいかなと思います。また、本来テレビで喋っている人物がいるとミスリードさせる部分を入れた後にナチュラルに「私が博士になっている」のでちょっと混乱しました。
もし異常アイテムでお互いの性質が入れ替わる話なのだとしても、もっとシンプルな仕掛けができると思います。提案したいのですが、「最初からすべて補遺の状況だった」という設定で同じストーリーを組んでみるのはどうでしょうか。つまり「現博士はSCP-F331影響下にあったが研究員の涙を見るために逸脱した行動ができた」「研究員はすべて演技で、異常アイテムの使用で致命傷を負い演技が不可能になった」という流れです。この場合、現博士から幸福以外の感情を排除しつつ博士を襲名して嬉々とする描写を挟んだりすると伏線として機能するでしょう。
批評ありがとうございます!出来事がかなりボヤけてしまってるのはかなり問題ですね……文章を組み直してみます。
提案してくださった件ですが、うまく使えればさらに自然な展開運びにできるかなとは思いますが、その場合は自分の中で行動への理由づけなどがうまくいっていないこともあり、一度その方針で考え直して、ダメだったら現在の方針で改善していこうと思います。
改めてありがとうございました。