今日、花が咲いた。弱々しくも力強い花たちが懸命に生きている。
瞼を持ち上げ、
「『SCP-001の発生が確認されました。特別収容プロトコルに従って、全ての職員は名誉退職となります。お疲れ様でした。』ですって。」
サイト-8181、C-3研究室。志文研究助手は頭に月下美人の花を咲かせた女性にそう言う。
「」
今日、春の花が咲いた。心地よい空気を吸い込んで。
今日、夏の花が咲いた。
今日、秋の花が咲いた。すぐそばに涼しげな空気を携えて。
「ふぅ……。最期にお腹一杯に食べれて……幸せだわ。」
「最期か……。」
紅茶の香りを吸い込みながら、二人はカップに口を付けた。使い慣れたカップからは湯気が踊る。寒い部屋で飲む紅茶の美味しさはよく知っていた。
「あんたは俺でよかったんですか。」
「ん?」
「提案していうのもあれですが、最期の時間を結局俺と過ごしちゃって。もっと仲がいい人がいたと思うんですが。」
「彼女たちにも彼女たちの過ごし方があるでしょ。」
彼女は少し寂しさを覚えるも、軽く微笑む。
「それに……。」
「志文のことは口うるさかったり生意気だったりで嫌いだけど。」
「もし、誰かと一緒に死ぬならって考えたら他に思いつかなかった。それだけ。」
「……俺も同じこと考えてましたよ。」
紅茶からの湯気はすでに消えている。二人はぬるくなった紅茶を飲み干し。
白い息を吐いた。
明日、冬の花が咲く。力強くも弱々しい花たちが懸命に生きていた。
サイト-8181、C-3研究室。神恵研究員はお茶の続きをしているかのように椅子に座っている。彼女の体からは、この世界がそうだったように、月下美人儚い美が咲いていた。
色は枯れ落ち、白に染まる。
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任意A任意B任意C- portal:5653117 (12 Sep 2019 08:13)
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