SCP-1911-JP
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アイテム番号: SCP-1911-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1911-JPは、現在財団の収容下に置かれていません。SCP-1911-JPの飛行ルートを追尾する無人の小型偵察艦、及び月面基地の電波望遠鏡、木星圏サイト-0038“ポート・ガニメデ”の無人宇宙機群及び監視衛星網を用い、艦影を撮影・記録し続けてください。なお、GOCとの不干渉協定は現在も継続中です。当該オブジェクトの近傍宙域を無人機で厳重に哨戒し、GOCの艦艇群の接近を阻止してください。

説明: SCP-1911-JPは、木星の衛星軌道上に存在する1基の戦闘型航宙機動プラットフォームです。当該オブジェクトは、大日本帝国の艦隊再編計画に伴い建造されました。SCP-1911-JPは、大日本帝海軍が保持していた金剛型に酷似した艦影を持っていますが、その規模は金剛型の10倍程のものとなっています。また、艦体中央部には大型の鳥居及び社が確認できます。当該オブジェクトを無人機によって調査したところ、SCP-1911-JPの構成素材には、杉、ヒノキが使われている事が判明しました。また、SCP-1911-JPの船体下部を常に覆うような形で数万トン規模の海水が耐えず流動している事が判明しています。何らかの不明な原理によって出現しており、これらの海水はSCP-1911-JPの艦体下部を保護するような形で耐えず供給されています。

SCP-1911-JPの武装については、現在も稼働が確認されています。
諸元を、以下のリストに記載します。
全長 400m
全幅 90m
基準排水量 30万トン
主砲 30センチ現実崩壊砲 12門
副砲 15センチ対物質破壊砲50門
対空兵装 無人式機関銃座200門
対地・対艦兵装 空間機動型一号機雷及び空間魚雷
搭載航空機 全環境対応 ハ式改遊星戦闘機“雷轟” 50機
主機関 東弊式対消滅永久機関8式
主推力機関 星間物質吸引式噴進機関 1基
制動・軌道調整複機関 小型噴式姿勢制御装置 左舷・右舷合わせて500基
電波兵器 量子通信式空間レーダー2基
神祇的施設 鳥之石楠船とりのいわくすふね及び火之夜藝速男ひのやぎはやを神社
食料・水増産用デュプリケータ及びナノマシン式物資製造工場 冷凍睡眠施設

以上のデータは、GOCのエクリプス級外宇宙無人航行艦による、複数に渡る襲撃が行われた結果判明しています。
GOC外宇宙艦隊戦闘記録

また、1945年の敗戦後、財団が大日本帝国海軍から入手した資料によっても、同型艦の存在が判明しています。

アクセス承認

CLASSIFIED

財団超常史データベース

SCP-1911-JP捕捉資料

以下の資料は財団超常史研究科アドレアス・ノエインによって編集されました

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建艦に到る経緯

SCP-1911-JPは西暦1907年(明治40年)に、大日本帝国の国防方針が策定された際、当時大日本帝国海軍省傘下のGoi「東弊組」に発注された、建艦計画がその基礎となっています。当時、我が国の政体であった大日本帝国は、二度の戦役を経て、さらなる拡張を目指していました。陸海軍は自身の価値を拡張しようとし、その仮想敵国を第1にロシア・第2に米国・第3にフランスと定めました。

「帝国ノ国防ハ露米仏ノ順序ヲ以ッテ仮想敵トナシ主トシテ之ニ備フ」
────1907年(明治40年)国防方針

海軍はその主要敵を米国海軍と定めました。その際、帝国海軍に大きな動揺を与えたのが、のちに「ダニエルズ・プラン」で知られる米国海軍の海軍再建計画でした。また、英国も強力な艦艇を次々と就役させていました。

その際、海軍から提出されたのが、八八艦隊構想です。

大日本帝国海軍は、日露戦争時に建造された臨時建造費によって初の国産戦艦「薩摩」と「安芸」を持っていました。しかしその性能は、英国のドレッドノート級戦艦の就役によって時代遅れのものとなってしまいました。それ以降も、英国は当時に於いて強力な戦艦群を就役させ、大日本帝国海軍はそれを超える性能の艦艇の建造を模索し続けました。

建艦及び設計思想

1907年に打ち出された艦隊再建計画は、当時の我が国の超常行政にも大きな影響を与えました。

海軍は、当時日露戦争の軍需品の下請けを行なっていた業者の一つである「東弊組」に目をつけました。これらの組織は、大日本帝国が行なってきた日清・日露戦争の対超常作戦に於いて有益な技術開発及び陸海軍への供与を行なっており、海軍からの信頼を得ていました。海軍省は東弊組に「単艦で巡洋艦及び砲艦群を圧倒する事が可能な戦艦」の建造を命じました。

当時設計された軍艦は、当該オブジェクトの規模と比べれば、ごく小さなものでした。トン数及びその規模は、当該オブジェクトの10分の1ほどであり、その仕様は日本初の国産戦艦「薩摩」「安芸」とほぼ同クラスのものとなります。海軍はこの性能では満足せず、再設計を命じました。しかし、その後は八八艦隊計画を進めるにあたり、その先鞭として4隻の金剛型戦艦を購入しました。これにより、東弊組の戦艦設計は頓挫し、一度凍結される事となりました。

東弊組の技術者達はその状況で、尚も戦艦の設計を継続していました。東弊組は艦船の設計のため、草創期にあったプロメテウス・ラボとの接触を行うため、欧米に技術特派員を派遣した形跡が確認できます。しかし、プロメテウス・ラボからの技術供与については不成功のうちに終わったものと思われます。これは、第一次世界大戦と並行して発生していた第6次オカルト大戦による政治的な判断によるものであるというのが、現在の定説となっています。

渡欧した技術特派員は、ドレッドノート級の視察によって、建艦に対するヒントを得ていたものと思われます。東弊組の技術者が軍令部に提出した設計の一部を参照したところ、その設計は中間砲を廃止し、その分確保できた搭載量を大口径の主砲に回す事により、主砲の威力および搭載数を高めるとともに射撃管制を効率化すると言う手法を取っていた事が判明しています。また、主砲を艦の中心線上のみに配し、タービン機関を採用する手法も取られています。しかし、近代的な大出力のタービン機関の製造にあたり、東弊組が要求した資材の要求を、軍令部は拒否しました。これにより、タービンの製造は一度頓挫したと思われます。

また、東弊組は自社製戦艦の有用性をアピールするべく、軍令部及び艦政本部対超常課との交渉を粘り強く続けていました。しかし、当時の担当者は彼らの要請を拒み続けていたという事が、当時の記録により判明しています。しかし、東弊組の提案を聞きつけ、それに対して賛意を示す人間もまた存在しました。それが、金田秀太郎中佐です。彼は50万トン級の戦艦の建艦計画の腹案を持っており、東弊の計画にも大いに賛同していたという事が、当時の記録に残っています。これにより、東弊組は海軍との交渉の窓口を得ることに成功しました。

東弊組はそれから7年間の長期にわたり、軍令部との交渉を続けることになります。この状況が急変したのが1914年1月のシーメンス事件でした。この事件の影響により、日本海軍は軍備の国産化を進める事を余儀なくされました、さらに、7月には第一次世界大戦が勃発しました。大日本帝国は局外立を保ちつつも、第一次世界大戦の発生に伴う軍事技術の飛躍的発展を目の当たりにし、海軍もまた、高性能な軍艦の建造を模索することになりました。なお、英国は1914年の時点に於いてドレッドノート級及びQE級を建造し、米国はネヴァダ級戦艦の建造に移っていました。それに対抗するため、要求される性能は1907年よりもさらに高いものが求められていました。

軍令部はこれを受け、東弊組に再度の軍艦設計を依頼しました。その設計方針は以下のようなものです。

1.英国及び米国の戦艦を上回る規模のものであること。

2.強靭な装甲を持ち、QE級の38.1cm及びネヴァダ級の35.6cm砲に耐えうるものである事。

3.大推力の主機関と推進機関を備えていること。具体的には20乃至25ノットの速力を持つものである事。

4.大口径の砲及び対空兵装をもち、対空見張りを容易にする何らかの装置を備えている事。

5.外洋での長期活動に備え、十分な糧食を賄う何らかの手段をもつ事。

なお、東弊組からさらに一つの追加案が提示されました。

6.敵航空艦隊(1914年当時に於いてはドイツのLZ式飛行船群を指す)への対抗手段を持っている事。

これは、当時の東弊組にとって非常に過大な要求でした。艦政本部対超常課はもこれを承知していました。この過大な要求の裏には、長年に渡る東弊組との交渉を終了したいという、艦政本部側の思惑が含まれていました。しかし、東弊組はこの要求を受諾し、艦艇の設計作業に入りました。その際、東弊組は艦政本部に対する資材の要求を行っています。

海軍軍令部宛

新造戦艦建造二関スル資材ノ要求ノ件ニツイテ
艦の資材トシテ以下を要求スルモノトス

材木██トン。

以上

東弊組

設計の変更

1915年、東弊組は艦の主機関を製造すべく、艦政本部に資源の要求を行いました。しかし、東弊組は資源の確保の交渉に失敗していたと言う事が記録に残っています。その後、東弊組は蒐集院から離脱した超常カルトから人員を集め始めました。特に、当時蒐集院の補完的な役割を勤めていた五行結社へと接近し、人員の徴募を行っていた事が明らかとなっています。東弊組は要求された性能すら不十分と判断し、その設計を独自のものへと変更したものと考えられます。この動きに対して、蒐集院が残した当時の資料が残されています。


東弊組、火男火売神社ノ禰宜・氏子ノ血筋ニアルモノ、オヨソ十数人集メ、何ラカノ儀式ヲ行ッテイル模様。

ヒノカグツチノ勧請ヲ行ッテイルモノト推察サレル。

又、此レラノ人員ハ、五行結社ニ連ナルモノデアル。

彼ラハ琵琶湖ノホトリニテ艦船ト思シキモノヲ建造シテイルモノト覚ユ。

現状、此ラニ対シテハ慎重ナ観察ヲ要ス。
然シ、海軍艦政本部対超常課ノ干渉アリ、観察ハ十分ナモノトナラズ。

サラナル人員ノ派遣ヲ当職ハ要望ス。

大正5年 4月5日 蒐集院按察使 ██████

最終設計

東弊組が軍令部に提出した入札書の一部が、公文書として保存されていました。以下にそれを示します。


ヒノカグツチノ勧請ニ成功ス。此ニヨリ、東弊式永久機関8式ハ完成トナル。
機関ヲ中心ニ、船体構造ノ構築ニ移ル。

船体ハ木材ニテ構築ノ要アリ。我々ノ加工技術ヲ以ツテスレバ問題ナク達成可能デアロウ。
鳥之石楠船神ノ勧請ニツイテハ、五行結社トノ連携ニヨリ成功ガ見込メルト思ワレル。
装甲ニツイテモ十分解決可能。艦型ニツイテハ、二柱ノ神ヲ降ロス故、巨大ナモノトナラザルヲ得ズ。

兵装及ビ船内ノ生存環境設備ニツイテダガ、此ハ東弊ノライブラリを使用シ、設計ト製造ヲ行ウ予定デアル。

「不正」ノ如キ行為ニ思レルヤモシレヌ。事実「ライブラリ」ノ使用ニ現場カラノ反対ノ声アリ。然シ、我々ハ軍令部ガ望ム以上ノモノヲ作リ上ゲネバナラヌ、マタ期限モ迫リツツアル。

他ニ取ルベキ方法ナシ。現場ヲ説得スル必要アリ。

此レホド注意深ク設計サレタフネナラバ、プロメテウスノ連中モ容易ニ作ルコトハデキマイ。

大正5年8月 東弊組 ██████

以降、1914年から1916年に到るまでの軍令部と東弊組の交渉記録は、殆ど残っていません。1945年の敗戦時、焼却処分されたものと思われます。しかし、東弊組が当該オブジェクトを完成させた事は残存資料からの推察で間違いのない事だと思われます。公文書館には艦政本部対超常課が残した資料が保管されており、財団は1945年にこれを確保しています。


東弊組ヨリ知ラセアリ。
琵琶湖ノホトリニテ我驚愕ス。カノ怪物ハ其ノ威容ヲ湛エ、ソコニアリ。

アマリニモ巨大。
然シ、琵琶湖ニ浮カベタ物ヲ、ドノヨウニ移送スベキヤ?
我、東弊の技師ニ問ウ。

技師曰ク「当艦ハ飛行能力ヲ有シ、ツエペリン級ノ飛行船団ニモ対処可能」トノ事。
アマリニ馬鹿馬鹿シイ。ダガ、彼ノフネハ実際ニ飛ンデ見セタ。

大正6年 7月5日 艦政本部対超常課 浦部利道大佐

浦部大佐の報告を、艦政本部は「非現実的」と受け止めたと思われます。それ以降の記録は確認できていません、
しかし、浦部大佐の日記から、オブジェクトの辿った経緯を確認する事ができます。


技師達トノ交渉難航ス。

何ヤラ、技師達ガ騒イデイル、トノ報告アリ。

測距儀ニ奇妙ナ物ガ写ッテイルト言フ。
技師ノ報告ガ真実ナラバ、彼ノフネ、測距儀ハ何光年モ先ノ小惑星ノ影スラ観測可能ト言フ。

俄カニ信ジ難シ。然シナガラ、マズハ彼ラヲ、落チ着カセネバナラヌ。

大正6年 7月6日 艦政本部対超常課 浦部利道大佐


我、驚愕ス。

測距儀ヲ見タ、ソコデ技師達ノ観測ガ正シキ事ヲ確認ス。

此ガ正シイノデアレバ、我ガ帝国ガ来ルベキ戦ニ勝トウガ負ケヨウガ、コノ惑星ハ滅ブ定メニアリ。

技師達ハソレニ備エ、人ヲ集メルヨウ、我ニ進言ス。

如何ニスルベキヤ。

大正6年 7月6日 艦政本部対超常課 浦部利道大佐


集メラレル限リノ人材ヲ集メタ。

殆ドガ若スギ、或イハ年老イテイル。
技師達ガ用意シタ冷凍睡眠装置ニドレダケ耐エラレルヤモワカラヌ。

ダガ、行カネバナラナイ。

彼ノ星ヲ落トサネバ、帝国ニ、人類ニ未来ハナイ。
此ノ手記ハ遺シテユコウ、家族ニダケハ真実ヲ伝エネバナラヌ。

智子、私ハ明日、ココヲ去ル。
ダガ、ソレハ人類全テノ明日ノタメ。
君ト、ソシテ君ノオ腹ノ中ニイル子ノタメダ。

私ヲ身勝手ナ男ダト、ナジッテクレテカマワヌ。
ダガ、私ハ行カネバナラヌノダ。

大正6年 10月15日 艦政本部対超常課 浦部利道大佐

補遺1: 西暦1917年10月、サイト-19は日本から飛び立つ巨大な飛行物体を観測しました。それは第二宇宙速度で地球を飛び去りました。その後、1997年にシュメーカー・レヴィ彗星が観測され、木星軌道上で破壊された事が確認されました。この天文学的イベントには、カバー・ストーリー「木星への衝突」が流布されました。

補遺2: SCP-1911-JPは、現在木星軌道上を周回しています。現在に到るも、SCP-2399との戦闘は発生していません。外宇宙支部はこれを受け、現在監視プロトコルを実行中です。また、戦闘が発生した場合に備え、外宇宙支部はこれを抑止すべく、戦闘能力を保持する外宇宙航行艦の増産体制を進めています。

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