死神

記事カテゴリが未定義です。
ページコンソールよりカテゴリを選択してください。


扉が開き、誰かが入ってくる感覚に、俺は微睡みから意識を取り戻した。
熱はまだ引いてないようで、頭がボーっとする。どうせ医者か見舞いに来た同僚の誰かだろうと踏み、目を開けることも無く再び微睡みに─落ちようとしてハッとした。

俺の症状はただの風邪、医者がわざわざ押しかけてくるはずも無い。その上部屋には鍵が掛かっている、見舞いも来れるはずがない。じゃあ誰だ?回らない頭で必死に考える。考えて、考えて、考えて……俺は閉じていた重い瞼を開けることにした。

そこには全身黒ずくめの男が立っていた。黒いスーツ、黒い革靴、そして黒いサングラス。どこか神秘的な雰囲気さえ漂わせるその姿に、俺はガキの頃に聞いた死神の話を想起する。

"死ぬ時には黒い服を着た死神が来て、お前を死後の世界へ攫っていくんだ…"

婆さんの戯言だとタカをくくって居たが、こうも目の前に突然現れられると戦慄する。まだ目の前の黒ずくめ男が死神だと決まった訳でもないのに、俺は冥界に旅立つ覚悟を……

いや、ちょっと待て。俺はただの風邪のハズだ。それに今は熱はあるものの、元気ピンピンだ。死神に連れて行かれる筋合いはない。一体なぜ?

と、ベッドサイドまでやってきた「死神」はおもむろに懐に手を入れた。死者のリストでも取り出すのか?或いは魂を刈り取る道具か?俺は咄嗟に身構えるが、男が取りだしたのはそのどちらでも無く─タバコと、ライターだった。

気が抜ける俺を他所目に、男はタバコを咥え、ライターで火を灯した。もうもうと煙が上がる。次いで男は俺にタバコを勧めてくる。タバコをまじまじと見るが、見て分かる異常はない。男がテーブルに置いたタバコの箱も、俺が吸い慣れた銘柄の物だ。訝しみつつも、煙の誘惑には勝てない。受け取り、口に含む。すぐさま男が火を付けてくれる。吸い慣れた香りが鼻を抜ける。暫く吸っても、体に異常はない。フルーティーな香りが、脳の回転数を次第に上げていく。

で、結局コイツは誰なんだ。俺の思考はそこに回帰する。鍵が掛かっている部屋に入ってきて、無言でタバコを吸わせるヤツ。そんな男のデータは、俺の記憶にはない。じゃあなんなんだ?堂々巡りする思考。やはり死神……と言わざるを得ないだろう。俺は無神論者だが、こうも超常的な現象を見せつけられては、そう信じざるを得ない。では、何故死神がここに?俺はもうすぐ死ぬのか?急激に恐怖心が込み上げる。だが、改めて死神の顔をまじまじと見ても、この男が俺の魂を取るとは思えない。すると俺は……

"他の誰かに、殺される?"

まさか、と心の中で笑い飛ばすが、不安を拭い切れない。動機のある人間を、心の中でリストアップする。─片手で数えられなくなった辺りで考えるのをやめた。そして、この男が入ってきた時点で部屋の鍵は空いているはずだ。侵入しようと思えば、簡単に侵入できる。俺は急いで鍵を掛けに向かおうとするが─何故か馬鹿らしくなって、やめた。"死神"がいる時点で、俺の死はもう避けられないのではないか。ならば無駄な足掻きは必要ないのではないか。そんな甘い考えが、俺の頭を占める。タバコの煙が、心地よい倦怠感を与えてくれる。諦めて、枕に頭を落とした。

男はフィルターギリギリまでタバコを吸い、火を揉み消した。その頃には俺はとっくにタバコを吸い終えていたのだが……まぁいい。と、男は此方をじっと見つめてきた。サングラスの奥の目は見えないが、憐れむような視線を向けている……ような気がする。俺は死ぬのか?そう問いたくなる。だが、答えが返ってくる気もしなかったし、体は鉛のように重たくなっていた。瞼が再び重くなる。そうか、これは夢なんだ。風邪をひいた時に見る、タチの悪い夢。きっとそうだ。そう考える事にし、俺は瞼を閉じる。視界が暗転する直前、死神が目を瞑った気がした。視界が闇に覆われて、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Good luck,a traveler to death.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"次の瞬間、俺の躰は、1発の銃弾に穿たれていた。"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




インシデントログ:20██/██/██

20██/██/██、PoI-6███が自宅のベッドにて死亡しているのが発見されました。死因は壁に残っていた弾痕及び銃弾より銃殺と推定されますが、当時玄関ドアには鍵が掛かっており、人の出入りした気配はありませんでした。状況証拠より、SCP-710-JPの関連が疑われます。また、現場に残されていたタバコからはPoI-6███のものでない指紋が検出されました。これらは過去に回収されたSCP-4999が残したタバコから検出されたものと一致しています。

ERROR

The mr basilisk's portal does not exist.


エラー: mr basiliskのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:5634252 ( 30 Aug 2019 11:45 )
layoutsupporter.png
Unless otherwise stated, the content of this page is licensed under Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License