財団ストレイドッグス 序章

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虚空、何も見えない中永遠と彷徨う様な感覚、違和感を覚えるが目が開かない。僕はどんな生物だったか?その疑問に回答が素早く差し込む。そうだ、僕は後問 俊ごとい しゅん、人間だ。疑問が解決すると共に次の疑問が浮かび上がる。此処は何処だ?記憶を漁るが答えは現れない。第一に目に入ったのは、其処に広がる広大な都市、次に目に入るのは看板。都市名と思われるオノゴロと記されている記憶に全く無い地名であるが、此処は何処という疑問は思わぬ形で解決された。

突如、耳を劈く様な悲鳴が聞こえてくる。そこに頭から血を流し倒れている男がいた。其処に迅速に駆け寄り処理をする二人の人影。刹那、その死体はゲームの様に消え去ってしまう。後問は怪しげな人影を追っている間に何かにつまづき転んでしまった。いきなり、何故何処とも分からない都市で怪しい人影を追っているのかと我に返る。

すると
「君も彼らの仲間かい?」
と声をかけられる。其の声は優しくも冷淡な所を何処か感じる様な声だった。後問は不意をつかれ声が出なかったがこのままでは不味い、と直感的に感じ即座に文章を纏め答える。
「貴方は勘違いしている、僕はただの一般人だ!」
と精一杯叫んだつもりだったが、其の声は虚しく声にすらなっていなかった。沈黙の後、鈍い音がしたと思うと意識が遠くなっていくのを感じた。これ程に呆気なく命を落とすのかと思いながら倒れた。


再起、目を覚ますと知らない天井、知らない壁、知らない声が飛び込んできた。
「尋問を始めさせてもらうよ。君は今この街を騒がしている奴らと関係をもっているかい?」
此処は何処だ?この人は誰だ?奴らって?騒がしている?後問の頭に次から次と疑問が浮かび上がってくる。
その質問を押し退け
「僕はこの街に関係ないです!」
と断言したが信じてもらえる訳がなく、無常に次の質問が繰り出される。
「では君は、『能力者』かい?」
突如現実離れした事を聞かれる。その瞬間、何故か勝手に答えていた。
「一応そうですが…大したものではありません」
すると男は答える。
「良し、では此処で働たまえ。そうすれば命は取らない。悪い話ではないだろ?答えが出るまでだ。」
働く以外の道は無さそうだった。こうして、後問はこの街やこの場所についての説明を受けた。此処はオノゴロという街の財団探偵局という場所で、先程の怪しい奴らを探しているという事。この街には異常存在が多く存在すること、更に非常に危険だということだった。


時は現代の財団世界…ではなくその並行世界。この世界ではSCPは存在せず異常性と呼ばれる能力を持つ人間が存在する。彼らの名称は決まっていないが人々はこう言う。『能力者』と。これはそんな世界で生きていく彼らの物語である…


財団探偵局とは異常性を行使し、異常性を悪用している人物やそれにまつわる事件を解決する機関だ。他の人の依頼を受けて行動することもあれば自主的に動くこともしばしば。依頼とあれば尾行、人探し、浮気調査など様々なことを行う。オノゴロにある探偵局は支部であり、海外発祥で他の国にも存在する。

オノゴロ支部では後問、育良 啓一郎いくら けいいちろう鳴蝉 時雨なるせみ しぐれ前原 愛まえはら あいの四人と社長と呼ばれる人物で構成されており、後問は社長とは最初に話しただけでそれ以降会ったことは無い。後問は彼らの異常性を理解していない。それもそうだ、今まで前線に立たなかったうえに、探偵局に入社して直ぐの者に手の内を明かす筈が無いからだ。そうして半月が経ち後問に仕事が回ってくる。


とある昼下がり後問は、その怪しい人物を探していた。しかし、手がかりも掴めず延々と同じ場所をまわっている。それもその筈、彼は今まで探偵として仕事をした事など無いからだ。

そうこうしていると電話がかかってくる、育良からだ。
「もしもし、後問君?育良だけど、ターゲットは見つかった?」
間延びした声が聞こえる。
「いえ…それより育良さん?何処に居るんですか?」
「僕?僕はね今探偵局で1kgの肉を食べさせられているよ。」
「え?なんですかそれ…誰が首謀者なんです?」
「前原さん」
苦しそうな声が聞こえてくる。
「なんでまた…鳴蝉さんは?」
「鳴蝉さんは出かけたよ。何でも珍しい蝉を見つけたとかで」
「じゃあ、今捜索してるのって僕だけですか?どうりで探すのに時間がかかると思えば…」
「いやいやそんな事ないよ、周りを見てご覧。」
そう言われて周りを見てみると猫?みたいな何かが数え切れないほど居る。
「育良さん?なんですかこの猫みたいな何かは?」
「それが僕の異常性、ねこですよろしくおねがいします、沢山いるだろ?」
「これが異常性ってやつなんですね。」
「その子達が見ているものは僕の目にも入ってくるからこうして僕は探偵局に居られるって訳。と言っても範囲は400mくらいだし感覚を共有しているせいで、ほら今だって誰かがねこを撫でている。」
「あ、すみません僕です。」
「業務をサボるのは良くないよって、僕が言えたことじゃないね。という事でこの肉を食べ終わったら探索に行くから、前原さん肉押すのやめてもらってもいいですか…?」
そう言うと育良は電話を切った。しかし、ここオノゴロは人が多いためなかなか見つからない。今日で5日目だが手がかりもあまりなく、見つからない。

今回捕まえるのは東風浦こちうらと呼ばれる女だ。ここ数日で被害者が恐ろしく多い。これまでの経緯と事件の詳しい概要を確認するために手帳を見ることにした。


事件の詳しい概要はこうだ。最初の事件は今から半月前のギャングの抗争の時だった。抗争に巻き込まれた民間人の前に突如現れたという。それを見た人たちはそんな所にいるわけが無いと、口を揃えて言うのだ。
問題はここからである。その女、そう東風浦は怪我をカナヅチで叩いていくという。最初は痛いらしいが少しすると傷が治るらしく、治った部分は怪我をしなくなる。恐らくそれが東風浦の「異常性」だろう。だがただ治すだけではなく、治された人物はそれから10時間後に昏倒しそのままカナヅチで殴り続けられるらしい。そのせいで一時も休まる時間はなく探偵局に来た際には酷くやつれていた。

探偵局が確認しているだけでも数10人、その内の2人目と3人目は何故かオノゴロの別の区間で襲われたらしく、後問と育良が来た頃には廃人同様となっていた。そして4人目は別の支部の職員だった。どうやらオノゴロ以外でも被害があったらしく鎮圧に向かったところ殴られたらしい。この3人は怪我をしていた訳ではなくただ殴られたとの事。

犯人である東風浦の身長はおよそ150cmで黒や紺色の服を着ており、口元から首にかけてを隠しているとの事。そして神出鬼没で窓やマンホール、ダクトに車の下といったところから出たことが目撃者によって分かった。たまに別の人と共に出てくることもあるらしいがその人物は関係ない模様。

7月14日 捜索1日目
1日目は依頼者の話を聞いていたが、何故だから知らないうちに育良とその人がずっと話していた。何でも銃についてのことらしい。その人が持っていたモデルガンをみて
「鏡のように磨き上げられたフィーディングランプ…それに強化スライド、その上フレームとのかみ合わせを…」
と喋っていたら鳴蝉の拳が飛んできた。どうやら業務に関係の無い話を依頼者とあまりするなということだろうか。
依頼者は話を続ける。
「たまたま記事を見て来たんだが、あんたらならやってくれそうだな。依頼料は先払いで、そういやあんたらのサイト何時もsaving pageになってるけど大丈夫か?まぁ関係ない話だけど」
と言っていたのを覚えている。何の事か僕には分からなかったが善処しますと前原が言っていたのも覚えている。

7月15日捜索2日目
2日目は鳴蝉と東風浦を探していたはずがいつの間にか山に居た。こんな所に東風浦が居るんですかって聞くと鳴蝉は
「蝉取りに来ただけだから」
とだけ素っ気なく答えた。で、蝉の話を延々と聞かさせられた。そして何故から知らないけど蝉を取るためのコツだけを教わった。何故かは分からないが。

7月16日 捜索3日目
3日目にしてようやく東風浦の目撃証言のあった所に来たが、これと言って手がかりは無かった。しかし、不思議な人には会った。白い服に白の糸で刺繍していた人。そう言うファッションなのかなって思っていたら前原から電話がかかってきた。帰りにトイレットペーパーを買ってきてくれってことだったと思う、確か。ということでこの日も何も無かった。

7月17日 捜索4日目
4日目にして遂に見つけたと思っていたら他人の空似だった。さてどうしたものかと考えていると育良に会った。サバイバルゲーム?か何かの衣装を買いに来ていたという。この服を着て仕事に出るとやる気が出ると言っていたが前原に着てくるなと言われていた。それはそうだ、怪しまれると言おうと思ったらそれ着たって、別に能力が変わる訳では無いだろうと言われていた。少し可哀想だと思った。


そして今日、7月18日、捜索5日目である。しばらく考えつつ歩いていると育良から電話がかかってくる。
「はい、後問ですけど」
「もしもし?後問君?育良だけど、ついに東風浦を見つけたよ。」
開口一番に育良が言う。
「え、本当ですか!?何処ですか?」
「ちょっと待ってね… そこから200m先、西の方角、近くに鳴蝉さんも居るね。」
「分かりました、確保に向かいます。」
「任せたよ、僕は野暮用があるから。リビジョンから差し戻せとか…あぁクッソが!」
そう言うと育良は電話を切った。


そこに向かう途中に鳴蝉に会った。
「やぁ後問か、丁度良かった。誰かに見せたかったんだ、見てくれこの蝉を。」
「すみません、鳴蝉さん。今、育良さんから東風浦が近くに居ると聞いて…」
「なに、蝉に夢中で電話に気が付かなかった。どの方向だ?」
「あっちです」
そう言って指を指すと鳴蝉は椅子を持ってくる。
「よし、とりあえず椅子に座りなさい。」
「いや、椅子に座ってる場合じゃ…」
「いいから」
「…分かりました」
仕方なく椅子に座ると突如椅子から射出される。
「え、なにこれちょっと鳴蝉さん?鳴蝉さん!?」
「方向は大丈夫だな、頑張って捕まえてくれ」
「ちょっと!?待って!?これ何ですか!?」
「私の異常性、標的はノースカロライナは方角を決定するとその方向に飛ぶ。まぁ椅子が必要な上に2%の確率でノースカロライナに飛んで行ってしまうがその間はダメージを受けない…ってもう聞こえないか。」
嗚呼これが異常性、標的はノースカロライナ。ダメージは受けないと分かっていても怖いものは怖いし何より速い。座ったままの体勢で飛ばされているのを周りから見ると滑稽に見えるだろうが、恐ろしく怖いのである。

さて、次は誰にしようか。そう東風浦は考えていた。取り敢えず、アイツに電話しなければ。そう思い携帯を取り出し電話を鳴らす。これで良いだろう。そのとき自分の前にいきなり人が降ってくる。そうして爆風に巻き込まれる。吹き飛ばされたが直ぐに体勢を立て直し咄嗟に異常性を発現させる。その飛んできた男は探偵局に所属している後問という男だった。

なんとか東風浦に辿りついた後問は自分の異常性を発現させた。すると手元にCCレモンが現れる。後問は直ぐに500mlのそれを飲み干す、すると感覚が研ぎ澄まされる。

後問の異常性はクリエイティブ・コモンズ 3.0個分のライセンスを含むCCレモンを手元に出現させる異常性である。500ml飲む事に30分間、自身に関係する『何か』を継承するのである。勿論、後問自身『継承』できる物は無い。失われた物を彼は自身に『付与』していると言うべきだろうか。

東風浦は後問との距離を詰めてカナヅチで殴ろうとしたが、その場に後問の姿は無く逆に後問の拳が東風浦の腹部に深く刺さる。東風浦は直ぐにカナヅチで自分を叩いた後に距離を取ろうとした時、既に後問はカナヅチを振りほどき大外刈りで思い切り叩きつけた。

「全く、綺麗な大外刈りだった。」
振り向くと前原が居た。
「しかし、私は空手は教えたけど柔道を教えた覚えは無いんだけど。」
「たまたまですよ、それよりどうしてここに?」
「ちょっと買い物にね、でも私の異常性を使用せずに済んでよかったよ。私の異常性、海洋人間は被害がどうしても大きくなるからね。」
「そういえば僕は見たことないんですけど、どういう異常性なんですか?」
「その内分かるよ。さあ東風浦を捕らえて帰ろう。」
「そうですね。」
と言って後ろを見たらそこに東風浦の姿は無かった。前原はため息を着いた後にペットボトルを取り出す。
「…使いたくなかったけど、しょうがない。異常性発現、海洋人間!」
そう言うとペットボトルから水が飛び出した。そしてその水は東風浦の脚を貫いた。
「取り敢えずこれで一件落着…と言いたかったけどそうもいかないみたいだ。」
東風浦を見てみると件の異常性を使用して怪我を治している。
「前原さん、どうやって捕まえましょう?」
「やるしかないかな」
小声で前原が言うが早いか近くの海水を大量に突っ込ませる。そこら中が水浸しになったが海水が東風浦を包む。
「見せるのは初めてだったね、私の異常性、海洋人間は海水を操る事が出来るんだ。普段はペットボトルの分だけでいいんだけど…今回は捕縛するために海水を使用したって訳。東風浦は外傷は治せても精神的、もしくは窒息等には弱そうだったからこうさせてもらったのよ。さぁ、探偵局に戻ろう。」
そう言うと東風浦の包まれた海水の塊を動かしながら歩いていく。
しかし、東風浦は
「ちょっと!そこで見てないで助けなさいよ!」
と叫ぶ。
その方向を見てみるとペンギン?姿の何かが走って逃げていく。
急いで追いかけて曲がり角を曲がると、そこにはもう先程の人物は居なかった。逃げれるほどの距離もなくなおかつゆっくり走っていたはずなのにどうやって逃げたのだろうか…
モヤモヤしたものを感じながらとりあえず東風浦を探偵局で捕縛することにした。


時は夕暮れ、とあるビルの一室。男が2人話し合っている。
「東風浦が捕まったとの報告です。せっかく私の異常性で自由にしてやったのに…」
グレーのスーツを着こなした男が言う。
「しょうがない、事件を起こしてしまったんだから。まぁ探偵局とは仲良くしときたいし。」
狐面を付けた男がそれに応える。そこにペンギンの姿をした男が帰ってくる。
「いやぁバレた時はビックリしたね、東風浦には悪いけど逃げさせてもらったよ」
男はそう言った。
「マオ、君の異常性なら東風浦を連れて逃げることも出来たのでは?」
スーツの男がそう応える。
「こっちまで捕まりたくないしなぁ… あぁそうだボス、家の娘の婿になってくれませんか?」
「神山君、次は誰を自由にするんだい?」
ボスと呼ばれた男はそれを軽く受け流しスーツの男、神山 狐蔵かみやま こぞう に聞く。しかし神山は突如腕を撃たれる。窓の外に殺し屋でも居たのだろう。
「…全く」
撃った相手はその場を離れようとするが突然姿が消える。まるでその場から落ちて消えてしまったかのように。
「申し訳ありません、お手数をお掛けして。」
「いや、気にしなくていい。久しぶりに異常性を使用したよ。君は早く医務室に行きたまえ。それとマオ、さっきの話は無しだ。」
「そうですか…いい話だと思いますけどね。家の娘はとても可愛いんですよ。」
そう言うとマオは部屋をあとにした。狐面の男は続けてこう言う。
「君も早く行きなさい。」
優しいが何処か冷たく感じる声でそう言った。
「…了解しました、虎屋ボス
ボスと呼ばれた男、 虎屋 外郎とらや ういろうは不敵な笑みを浮かべて自分で作ったスコーンを食べていた。

以下お借りした人事 (上から順にエージェント育良、鳴蝉博士、前原博士、エージェント東風浦、エージェントマオ、神山博士、虎屋博士)(敬称略)
http://scp-jp.wikidot.com/author:ikr-4185
http://scp-jp.wikidot.com/author:semishigure
http://scp-jp.wikidot.com/author:mary0228
http://scp-jp.wikidot.com/author:kotarou611
http://ja.scp-wiki.net/author:shinjimao
http://scp-jp.wikidot.com/author:locker
http://scp-jp.wikidot.com/author:dr-toraya

後問はアノマラスアイテムクリエイティブ・コモンズ3.0個分のライセンスを含むCCレモンの作者である
syun5101さんから作らせていただきました。

わさび(新人財団職員)さんとネタを練って書かせていただきました。

小ネタもありますので、是非見つけてみてください


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