Tale-タイトル未定
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「インタビューはこれで終了です。ご協力ありがとうございました。」

自らのこと以外にはほとんど「分かりません」しか口にしなかった聴取が終わり、僕はわずかに気を緩めた。

視線を下ろす。"#FFFFFF”に思えるほど真白い机の上では腕の薄い灰色が目立ってしまう。
今の会社に就職した時は白い腕が目立つのが嫌でデスクも椅子も白いものに替えてもらったが、今では黒の方が灰色の異常な肌は目立たないのではなかろうか。

回想にふける僕は余程疲れて見えたようで、インタビュアーの男性──白衣を着ているから研究職だろうか──は僕が顔を上げたのを見てから再び話し始めた。

「それでは、御影さんのこれからの話ですが、はっきり言ってこの異常性では完全な社会復帰は難しいです。」

彼によると僕の色合いがグレースケールのように見えるのはミームとかいうものの影響で、その影響を抑える仮面はあれど息苦しくて常用できるものではないという。けれども、

「完全な社会復帰は難しい、ですか?私はそうは思いませんよ。そもそも私、アルビノですから、そういう奇異な目で見られるのは嫌でも慣れてしまいました。それに、今の会社はそんな私でも良くしてくれますし、進行中のプロジェクトもあって、やめるわけには」

「そういった、あなたの心情や周囲の目の問題ではないのです、御影さん。我々の職務は異常存在の確保・収容・保護。仮にミーム汚染抑制効果のある仮面を着用してもあなたが一般社会において異常であることには変わりありませんから、我々はあなたを社会から隔離する他ないのです。それに、」

そこまで言って、一呼吸おいて、インタビューからずっと無感情だった男性の顔に明らかなためらいの色が見えた。

「残念なお知らせとなりますが、財団の調べによると、あなたの勤めていた会社はあなたが拉致・監禁されていた2ヶ月の間に倒産しています。」

絶句した。

確かに社長は経営状況が芳しくないと言っていたが、まさかここまで切羽詰まったものだったとは。

「…そう、ですか。」

僕の言葉に男性は小さくうなずくと、始めの無表情に戻った。

「それでは御影さんのこれからの選択肢についてお話ししていきましょう。あなたの異常性でしたら財団では特に問題にはならないでしょう。大学などでの研究経験も無いようですし、清掃員か事務員あたりですかね。今判断するのは難しいでしょうから、丁度1週間後、来週の土曜日までにこちらの電話番号にご連絡ください。それまではサイト内の部屋に滞在していただきます。何かありましたらこちらまでご連絡くださいね。」

各職業の業務内容や滞在中の連絡先、使える施設と立ち入れる範囲の地図が簡単にまとめられた冊子と滞在者用IDカードを受け取り、部屋を出る。
ちょっと食堂でも見てから行こうかと思ったその時、見覚えのある、忘れようのない青年に声をかけられた。

「インタビュー終わりましたか、お疲れ様です。」

「あ、あの時はお世話になりました、御影です。えっと、」

「ああ、覚えててくださったんですね、赤羽です。よろしく。」

あの暗いコンクリートと鉄扉の部屋から僕を助け出した恩人なのだから、忘れるはずがない。

「よろしくお願いします、私、ここで働くことになったので。」

「まあ、財団でここ、って言ってもこのサイトとは限りませんけどね。せっかくですし、少し案内しますよ。」

言われるままに赤羽さんについていく。やはり詳しく話せないこともあるらしく、所々で軽く説明しつつ、他にも色々しゃべりながら彼はずんずん進んでいく。
しばらく進むと丁字路に突き当たって右に曲がり、重そうな鉄の扉が2つ並んだ正面の部屋に僕は通された。

「…で、ここが俺のオフィスです。」

「えっ…と、オフィスって入っていいんですか、私?」

「大丈夫、大丈夫。ここに重要な情報はないし俺の客ってことで」

「良くない、から!」

白衣を着た女性が僕たちが通ったドアを勢い良く開け放つ。

「あ、水鐘博士、」


私服と最低限の私物がスーツケース1つで届いた。色物はもういらないのだから、妹に頼んで全て親戚・知人に譲るか古着屋に売ってもらうことにした。

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