就職

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その年の就活は、いつもとは一風変わったものだった。

「おい聞いたか?今年からうちの大学に"財団"と"連合"の推薦枠が出来るんだってよ」

「"財団"と"連合"、ってあの正常性維持機関のか?」

「マジかよ、噂じゃ最難関国立の上位層しか行けないって話だぞ。うちみたいな中堅国立にも来るのか」

そろそろ就職を考え始めようかと思っていた俺は、サークルの奴が持ってきたその話に思わず耳を傾けていた。

財団と連合と言えば、日本どころか世界で知らない奴がいないといっても過言ではないほどの超が付く有名国際機関。その職務は大雑把に言えば"世界を守る"こと。中学生や高校生の頃に誰もが一度は想像してであろう夢が叶えられる場所だ。1998年のある事件によって明るみに出たこの2つの機関は、以降門戸を一般に開放し世界中から優秀な人材を集めていた。

当然日本国内でも新たな就職先として注目が集まったが、職務内容が内容だけに要求される学力その他の能力は並の国家公務員を優に超えており、多くの学生が夢を持って就職試験に挑むがその大半が無残にも散るという結果に終わっていた。大手就職斡旋業者によれば財団と連合を合わせた去年の競争率は驚異の500倍。民間の超常企業であるプロメテウス・ラボやニッソ医機など財団や連合に負けず劣らず人気の超常組織も存在するが、募集定員の母数が違うからこそこんな競争率になっているのだ。


時は流れ、まず構内に財団のポスターが掲示されて推薦を希望する生徒の受付が始まった。噂は本当だったのだ。連合の推薦はまだ先の話らしい。

俺は空きコマを使って、ポスターの掲示場所に行ってみた。目的のポスターはすぐに見つかり、俺はしばしそれに見入った。

白衣の研究者と迷彩服を着た戦闘員らしき男性が、こちらに向けて手を差し伸べている。彼らの服には財団の象徴である"盾に三つ矢の印"が縫い付けられており、ポスターには大きな文字で『確保・収容・保護』という標語に加えて

『君の日常を、守ってみないか』

というキャッチコピーが印字されていた。いつか授業で習ったどこかの国のポスターを思い起こす構成。そのキャッチコピーに、俺の心は踊った。

絶対に推薦を勝ち取る。もちろん連合という選択肢もあるが、キャッチコピーを見た瞬間決意は固まった。この大学で初めての財団への就職者となってみせる。その為なら何だってやってやるし何もかもを捨てても構わない。

その日の帰路、俺は家から一番近い財団施設の門を叩いた。


髪を整え、体を清潔にした後、つい先日届いた新品の白衣を身にまとう。身だしなみを整えてから、彼は上司が待つ職場へと向かった。

「今日からこちらでお世話になる、海崎と申します。よろしくお願いいたします」

同じように各地から選抜された新人職員と共に挨拶をする彼の白衣には、あの日ポスターで見た印がしっかりと刻まれていた。

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  1. portal:5616457 ( 06 Mar 2020 05:13 )
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