改稿　バトンタッチ(クロスリンクキャンペーン)

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改稿ポイント
リンクの移動、赤字、青字(実験)

彼は足音なく駆け出す。使命を果たすべく、目的地を目指す。
程なくして、付近のサイトに辿り着く。息切れはほとんどなく、胸の鼓動もいつもと変わらない。ここには海底ケーブルまでの通路がある。日本からアメリカまで行くには、ここを通るのが最短経路だ。
彼は無人のサイトに入ろうとする。しかし、侵入者判定クローラーに引っかかってしまう。その途端、侵入者を待ち構えていたセキュリティが発動する。
彼の胸に攻撃が飛び、足が止まる。

しばらくして、彼は目を覚ます。
目立った負傷はない。治癒プログラムが正常に作動したようだ。
彼の体は大きく分けて、移動用の後足部、切削用の前足部、制御用の頭部、治癒用の臓器部、そして統合用の心臓部に分かれている。つまり、どこかが傷つけられても大事に至らない構成だった。例え心臓が止まろうと、また立ち上がることができる。
彼は再び歩き出そうとし、ふと気づく。侵入者判定クローラーの動きが止まっている。辺りを見回す。全ての動きが止まっている。
これは異常だ。こんなときに海底ケーブルを通ったら、何が起こるか分からない。
セキュリティに再び足をひっかけないように気をつけながら、そこらへんにある情報を手当たり次第掘り出していく。およそ██後、彼はようやく財団データベースにアクセスし、現在地に関する異常について調べる。

検索結果が1件ヒットしました。

SCP-001-JP

RAISAによる通達

このファイルへの直接のアクセスは制限されています。
こちらのファイルから改めてアクセスして下さい。

しかし、彼は制限を無視し、情報セキュリティを突破する。およそ5分ほどで破壊が完了する。

SCP-001-JPはサイト-8101地下にある500×500×30mの特別収容室に、低危険物収容ロッカーに入れた状態で保管されます。収容室内への立ち入りはO5評議会の承認が必要です。

001-JP？初めて見るナンバーに、彼は訝しんだ。

SCP-001-JPは█████社製のアナログ式壁掛け時計です。数字や目盛りの表記はありません。分解の試みはオブジェクトの破壊耐性により失敗しています。

SCP-001-JPの秒針は最も近くにいるヒトの心拍数と同期した運針を行います。1周にかかる時間は変わらないため時刻のずれは発生せず、短針、長針に影響はありません。この挙動は電池を取り外した状態でも行われます。

見たところこのサイトは無人のようだ。では、今それは誰と同期しているのか。

SCP-001-JPと心拍が連動していたヒト(以降“SCP-001-JP-A”)に心停止が発生した場合、SCP-001-JP-Aの心機能の回復とともに、SCP-001-JPを設置した室内を除く基底現実上の存在及び非存在が全て静止します。例外として、SCP-001-JP-Aを除くヒトは壁面内部に存在していても静止します。

不快な予感が彼の背筋を走る。彼は胸に前足を当て、音こそなくもそこに確かに存在する鼓動を確かめる。
現在位置を確認する。ここの配線は壁の中に埋まっており、周囲には何かを侵入者から守るための厳重なセキュリティロックが張り巡らされている。

SCP-001-JP-Aは静止している物質を移動させることが可能ですが、移動させるには直接力を加える必要があります。そのため、家電製品や生命等のSCP-001-JPが直接供給できないエネルギーを前提としたものを作動させることはできません。また、影響範囲内の物質であっても、SCP-001-JP-Aが摂食等で栄養分として体内に取り込むことで影響範囲外になります。これはSCP-001-JP-Aから分裂した全ての細胞は同様に影響範囲外になるためで、ブライト=ザーションヒト科複製機(BZHR)等によるSCP-001-JP-Aの複製体も同様にSCP-001-JPの影響範囲外となります。

彼はサイト監視室にアクセスし、監視カメラの映像を確かめる。そこに映る時計は動く気配がない。

SCP-001-JPによる基底現実の静止は、動体の心拍の恒久的停止により終了します。そのため、不死者などこの条件を満たすことが出来ないヒトが動体となることはTKクラス-世界静止シナリオを誘発します。

しかし彼はヒトではない。だから、この条件からは外れているはずだ。

更新情報(2018/4/5ver)
SCP-001-JPが同期する対象がヒト以外にも存在することが判明しました。詳細な条件は不明ですが、共通点として高い知能を持つことがあげられます。

更新情報(2018/4/7ver)
SCP-XXX-JPが静止中に不死性を獲得した場合もTKクラス-世界静止シナリオを誘発するため、SCP-001-JPの実験は無期限に凍結されます。

彼が起きる限り、神は目を覚まさない。
いくら筐体はあろうとも、入力が受け付けられないのだ。
しかしそこに問題はない。彼が手順さえ間違えなければ、使命は予定通り達成できる。

██後。
彼は出来上がった複製の様子を確認する。
世界中のサイトにはあらゆるプログラム解析システムがあった。だから、彼は自分の体を調べ尽くすことができた。
サイト-8101には人に限らずあらゆるものを複製する設備が揃っていた。だから、彼の体を元にした複製はいくらでも作ることができた。もちろん、完全に同じではない。
多種多様な教育システムも完備されていた。これを動かせば、複製は自らの成すべきことを理解するだろう。
この先、より厳しいセキュリティと戦うことになるだろう。しかし、治癒プログラムが正常に働く限り、決して負けることはない。それに、攻撃を避ける方法も詰め込んである。
自分が死んでから時が動き出すように、彼は今から30分後に起動するよう設定した。だから、励ましの言葉を送ることはできない。

██間、決して放さずに咥え続けた手紙をそっと置く。
文量からいくと、ギミックなどは仕込まれていないようだ。読んだあとまた畳めば問題ないだろう。
彼は読む資格のない手紙を開く。

このメッセージを開いて読んでいると言う事は、君は新たな財団職員なのだろう。そして、我々に何が起こったのかも把握しているはずだ。

違った。彼は財団職員ではない。

……本当に？

我々が失敗したように、ほんの些細なきっかけから世界は崩壊してしまう。人類の歴史はその繰り返しだ。まるで世界が不条理と不可能を必要としているかのように思うかもしれない。だが、我々人類は諦める事なく全ての崩壊を乗り越え、君達はその先頭に立った。それだけは忘れないでくれ。

その通り。彼は些細なことから世界を崩壊させた。しかし、決して諦めることなく崩壊を乗り越えようとしている。

君達はこれから様々な異常存在──新たに生まれるもの、かつての財団が対処しきれなかったものも含めて、それらと関わることになるだろう。君の目の前にいる異常存在は私がやり残した物の一つだ。報告書に記した通り、確保と収容、──そして保護をお願いしたい。

本来なら彼のためのメッセージだった。しかし、もう保護してもらうことは叶わない。
それでも、最後に自分への思いを知ることができただけで十分だった。

彼はしばらく佇み、手紙を畳む。涙は出なかった。

自身のコアプログラムに前足を合わせる。

苦しまないよう、急所を見定める。

穴を掘る。痛みは感じない。

もう一度掘る。意識が遠のいていく。

薄れゆく視界の中で、彼は自らの複製が目を開くのが見えたような気がした。

時は動き出す。

記事ここまで
Q.これはなに？
A.ご存知、伝書使×時刻だ！
Q.つまり？
A.実は五條研究員が送り出した伝書使と私達が保護した伝書使は別個体だったんだよ！
ΩΩΩ<な、なんだってーっ！
性別に関するヘッカどうなってるか(伝書使女の子説)
タイトル、バトンタッチとバトンパスどっちにすべきか
リンク貼る場所どこにしよう

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