(ステゴロコン作品)左手(タイトル未定)

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タグ scp jp 自律素手喧嘩21

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-JPは、その母体の池田氏ごと、標準人型収容室にて管理する必要があります。SCP-JP活性化時には機動部隊う-10"パー"を派遣し、非活性化させて下さい。 SCP-JPは無力化されたため、特別な収容手順は必要ありません。

説明: SCP-JPは池田智氏の切断された左手です。腐敗の兆候はなく、代謝は正常に行われております。常時握られており、指を開く試みは失敗しております。

SCP-JPは、発生源が不明な推進力によって最大181km/hで移動します。通常時には池田氏の左手首断面に接合していますが、池田氏に危機的状況が発生すると分離し、それを回避する行動を取ります。活動内容は大部分が暴力ですが、状況によっては池田氏の心臓圧迫などの例外的な行動も取ります。池田氏によるこの動作の制御は概ね不可能であると推定されています。

発見経緯: SCP-JPは2001/█/██に、██市中央病院にて発見されました。当時池田氏は自宅で、刃物で手首を切断して自殺を試みましたが、近隣の住民の通報によって病院に搬送され、その止血処置中に異常性が発現したところを回収されました。収容の際に大きな被害は発生せず、事後処理も問題なく行われました。また、池田氏の自宅からは妻の遺体が発見されています。

インタビュー記録:

対象: ██氏

インタビュアー: ███博士

注記: インタビュー時点では、池田氏には財団の詳細は伝えていない。

<録音開始>

███博士: こんにちは。ご機嫌いかがですか？

██氏: どうも、あまりよくない。まずとっても気持ち悪い。左手の感覚が全然なくて。

███博士: 左手の制御はできない感じですね。失礼なことを伺いますが、切断なさったのではないでしょうか。

[18秒間の沈黙]

██氏: ああ。といっても、動脈だけ切るつもりだったんだが。やってしまった…やってしまったよ…。

███博士: 辛いようでしたら、ここまでにしますが。

██氏: いいや、言ってしまいたい。現場を見て分かっただろうが、あの日俺は妻を死なせてしまった。この手で…。

███博士: 確認済みです。

██氏: 聞いてくれ。俺は昔からすぐ手を上げる性格だった。それを止めてくれたのがあいつで…。

███博士: なるほど。

██氏: あいつが襲われかけたところを俺が助けた。その時、怒りで相手を殴りすぎてしまって。あいつは感謝してくれたけど、同時にこれからは少し手を緩めるように言った。

███博士: その彼女が言うのも不思議ですね。

██氏: それから、あいつはずっと俺の事を気にかけてくれた。俺もそれに応えようと努め、やがて結婚したんだ。

███博士: それは喜ばしい。

██氏: でもな、怒ると周りが見えなくなるのはどうにもならなかった。それで、俺はしばしばあいつに当たっていたのだろう。いや間違いなくそうだ。だが、あいつはそれを隠そうとしていた。おそらく、俺が散らかしたものも、壊したものも、全て片付けて。

██氏: 色んな人に相談したよ。だが、信じてもらえなかった。外では怒りを全部溜め込めた。家でそれが緩むんだろう。普段のお前がそんなことをするはずがない、そう言われたよ。ずっとそんな日々が続いた。

███博士: そして昨日、戻れないところまで来てしまったのですね。

██氏: ああ。金の事なんてあいつは気にしなくて良かったのに。全て終わりにしようとしたが、こんどはこんなことになるなんて。

<録音終了>

終了報告書: [検査の結果、上記の内容と異常性には特に関連性はないことが確認されました。]

補遺: 2005/█/█に、SCP-JPと氏を輸送中の車が、通過した橋の転落事故に巻き込まれました。██博士の証言によると、SCP-JPは██博士を含む同乗者全員を救出し、氏は転落死しました。これ以降SCP-JPの異常性は確認されなくなったため、Neutralizedに再指定されました。また、この際SCP-JPの手が開きました。内側からは非異常性の指輪が発見され、現在は██博士が所持しています。

計画書

ラフコンセプト