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「えーい、金がねえ」

とあるサイトのとある職員がぼやく。ここ最近彼は度重なるオンラインゲームの課金要素への出資に頭を抱えていた。屋内にいることが増えた世間には、屋内での娯楽がより多く提供されるのは当然だが、彼はその中のあるものに虜になった。

「金を稼ぐしかない」

彼は愛する彼女のためにも時間と金を注ぎ続けていた。その彼女は画面の向こうからは決して出てこないが。一度彼に「その彼女はデータの集合でしかない」ということを指摘した同僚がいたが、彼は「君の彼女もタンパク質の集合でしかない」と返した。もっとも彼自信、データの集合よりタンパク質の集合の方が好きだったため、この返答を大きく後悔していた。

「持ち物の何かを売ろう」

彼を擁護しておくと、財団は副業など認めておらず、また裏稼業は厳しく罰せられるため、本当にこれしか手段がなかったのである。問題は、何を売っても足がつくことだった。

「記憶処理薬を売るのが良い」

なんということだろう。彼は財団の作った奇跡で小銭を得ようとしていた。しかし記憶処理薬を使用すると、消費量や目的を記した報告書を提出する必要があったので、そう簡単には行かない。

「オブジェクトを目撃させて、それを忘れさせるのに使ったことにしよう」

記憶処理薬はオブジェクトの記憶を消すことに使われるのがほとんどであるため、当然と言えば当然の結論である。しかし失敗すると彼の首が飛ぶ。いや比喩でなく。

「酒の席で使おう。」

彼が導いた答えはこうだ。まず人の少ない酒場で弱そうなやつと相席し、相手に嫌な記憶を忘れる話を持ちかける。即効性の記憶処理薬で効果を保証し、金を得る。そこにオブジェクトを出現させれば、その始末という口実ができるというわけだ。失敗しそうなら、酔わせてその日の出来事だけ忘れさせれば良い。

「残った問題はそのオブジェクトだけども」

調べに調べて、彼はSCP-132-JPを使うことに決めた。これなら持ち出すのは簡単、運ぶのも簡単、収容違反の被害もない。


「それで、いくら払えば嫌な思い出を捨てられるんです?」

さあ困った。彼は、いくら払えば嫌な思い出を捨てられるか、という質問の返答を考えてこなかった。とりあえずありきたりな返事をする。

「いくら払いたいです?」

「数千円で良いような気がしますけれども」

しょっぱい。これでは犯したリスクに見合わない。かと言って、いくらなら見合うのかと言えば答えられない。釣り上げる。

「効能は体験なさいましたよね。このような経験はもう二度とできないかもしれませんよ」

「いやでも、トラウマになるような出来事ならともかく、もう慣れた思い出ですからねえ」

彼はこのまま議論を重ねていく予定だった。しかし。

「そんなこと仰っても、手持ちこれだけなんですよ」

それを早く言ってほしい。彼の費やした時間が無駄になってしまった。粘っても仕方がないので、言い値を受け入れた。7000円。薬を入れたグラスと交換し、飲むのを見届ける。

「今日はもう帰ろう」

しかし家に帰るまでが遠足である。後始末はきっちりせねばならない。アタッシュケースから付箋を取り出し、相手の前に置く。


〜ゅゆ


間髪入れず、もう一度薬を飲ませる。付箋をしまい、相手を酔い潰れさせ、酒代を払わせ、店を出る。


「なんですかその話。いくら私でも騙されませんよ」

今日は4/1。彼の後輩はその日の特別行事を知っていた。
あの後彼はカバーストーリーもどきとして、体験談を数人の後輩に語った。かなり脚色し、考えながら喋る素振りも見せたため、日付も手伝って全員が冗談だと認識した。無事始末書も提出し、紙魚も元の場所に還し、後に何も残らない。

…本当に?

足がついてはいけないからといって、彼は紙魚を焼き捨てるような真似はせず、代わりに記憶処理薬を混ぜたインクを少し与えた。タンパク質の塊には作用する液体が、インクの塊に作用するのかどうか、本当に何も残らなかったのかは、誰も知らない。

少なくとも7000円は手元に残った。

〜☆ミvω0ノシ〜ゅゆ


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