学校の七不思議

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アイテム番号: SCP-1184-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1184-JP周囲は常に財団職員によって監視され、SCP-1184-JPを中心とした半径1kmへの民間人の侵入はカバーストーリー「地盤沈下」によって防がれます。万が一侵入を許した場合、その人物を拘束しAクラス記憶処理を施した後、解放してください。また財団職員は月に二回、SCP-1184-JPの劣化の進行具合を確認する必要があります。劣化の度合いが一定以上に達していると確認された場合、財団職員による補修が行われます。この時、SCP-1184-JPの異常性に曝露しないよう注意を払う必要があります。

またSCP-1184-JP内の探索を行う場合、セキュリティクリアランス3以上の職員最低2名の許可を取ったうえで行ってください。

説明: SCP-1184-JPは、██県███市に存在する3階建ての廃校で、196█～200█年の間、実際に███高等学校として運営されていたことが確認されています。

校舎内部は損傷が酷く、床や天井が崩落している等の状況にも関わらず、200█年に一般業者により行われたSCP-1184-JPの解体作業はオブジェクトの再生能力によって失敗しています。このことから、SCP-1184-JPは建物の老朽化以外の要因で破壊されることはないと推定されています。

SCP-1184-JPは、当時『行列のできる心霊スポット』として有名であったSCP-1184-JPに財団が注目し、異常性が認められたため収容に至りました。

SCP-1184-JP内部には7体の███高等学校の制服と思われる服装の高校生に見える人型実体（SCP-1184-JP-1～SCP-1184-JP-7）が存在し、それぞれ個別の意思を持っています。またこれらの実体とはある程度の意思疎通が可能で、財団に対して友好的であることがこれまでの調査で判明しています。しかし、SCP-1184-JP-1～SCP-1184-JP-7との物理的接触が成功した例はこれまでありません。また、SCP-1184-JP-1～SCP-1184-JP-7は通常10代～20代の人物のみ視認が可能です。
以下がSCP-1184-JP-1～SCP-1184-JP-7の情報です。

番号	説明
SCP-1184-JP-1	SCP-1184-JPの1階部分廊下に出現する人型実体。16、17歳の男子高校生のように見え、常に廊下を周回しています。
SCP-1184-JP-2	SCP-1184-JPの1階に存在する「1-5」教室に出現する人型実体。16、17歳の男子高校生のように見え、常に教室中央に一つだけ残された椅子に座り黒板を見つめています。椅子もSCP-1184-JP-2の一部なのか、接触は不可能です。
SCP-1184-JP-3	SCP-1184-JPの1階から2階へ上る階段の踊り場に出現する、女子高生のように見える人型実体。常に1階へ続く階段を見つめており、人間の姿を見るとその人物に近づこうと試みます。
SCP-1184-JP-4	SCP-1184-JPの2階に存在する図書室に出現する、女子高生のように見える人型実体。常に何らかの小説を読んでおり、これまでに『人間失格1』、『羅生門2』等の実在する小説が確認されていますが、それらがどこからどのようにして現れるのかは判明していません。
SCP-1184-JP-5	SCP-XXX-JPの3階に存在する音楽室に出現する、女子高生のように見える人型実体。常にピアノを弾いており、これまでに『エリーゼのために3』等の実在する曲を演奏しているのが確認されています。また、ピアノもSCP-1184-JP-5の一部なのか、接触は不可能です。
SCP-1184-JP-6	SCP-1184-JPの3階に存在する美術室に出現する、男子高校生のように見える人型実体。常にキャンバスに絵を描いていますが、毎回絵が完成した瞬間にキャンバスから絵が消失するのが確認されています。
SCP-1184-JP-7	SCP-1184-JPの屋上に出現する、男子高校生のように見える人型実体。常に屋上の縁に腰かけ、SCP-1184-JP周囲の様子を見ています。

SCP-1184-JP-1～SCP-1184-JP-7のいずれかを一定時間以上視認した人物（以下SCP-1184-JP-A）は、SCP-1184-JPのことを他人に伝えたいと強く願うようになります。これは、実体から目をそらす、目を瞑ることなどで対処可能です。またSCP-1184-JP-Aによって広められたSCP-1184-JPについての情報には、その情報を得た人物にSCP-1184-JPを訪れたいという欲求を強制する異常性があります。また、この異常性に曝露しSCP-1184-JPを訪れた場合、SCP-1184-JP-1～SCP-1184-JP-7はその全員に視認されます。このミーム災害は、SCP-1184-JP-Aに該当する人物にAクラス記憶処理を施すか、異常性の発露から1か月経過することによって止めることが可能ですが、早期に手を打てなかった場合、SCP-1184-JP-Aに該当する人物は急速に増加します。

補遺1184-1: ███博士が、過去数回に渡りSCP-1184-JP-1～SCP-1184-JP-7にインタビューを行いました。以下がインタビュー記録です。

インタビューログを開示する

インタビューログ 1184-001

対象: SCP-1184-JP-1

インタビュアー: ███博士

[記録開始]

インタビュアー: やあ、こんにちは。いい天気だね。

SCP-1184-JP-1: ああ、こんにちは。珍しいですね、僕に話しかけるなんて。

インタビュアー: 君に聞きたいことがあるんだが、構わないかな？

SCP-1184-JP-1: ええ、どうぞ。僕が答えられることなら。

インタビュアー: まず、君の名前は？

SCP-1184-JP-1: 名前……ですか？ 僕は渡辺ですが。

インタビュアー: この校舎内には君の他にも6人居るね。彼らの名前も教えてほしい。

SCP-1184-JP-1: 6人？ 何言ってるんですか？ この学校、確かに生徒数は全校でも少ないですが、さすがに6人なんてあり得ませんよ。

インタビュアー: いや、それは昔の話だろう？ 私が知りたいのは今現在この校舎内に存在する、君を含めた7人の情報だ。

SCP-1184-JP-1: ……あの、本当に何なんですか？ 言っている意味が分かりません。ほら、今もそこの教室で授業が……

[発言の後、数秒間考え込むような様子を見せる]

インタビュアー: どうした？

SCP-1184-JP-1: いや……何で僕は授業中に廊下で歩いてるのかなって思って……でも何故だか、廊下を歩いてないといけない気がするんです。

インタビュアー: それはどうして？

SCP-1184-JP-1: 何というか、強制はされてないんですけど、ここでこうしてた方がいいというか……すみません、上手く説明できません。

インタビュアー: 話を戻すが、君はこの校舎で今も授業が行われ通常通り運営されていると思っているのか？

SCP-1184-JP-1: 思っているって……実際そうじゃないですか。

インタビュアー: 私には、この校舎は酷くボロボロでとても授業が行われているようには見えないんだがね。しかも校舎内に生徒と思しき人物は7人しか存在していない。

SCP-1184-JP-1: ……ちょっと、何言ってるんですか。冗談もほどほどにしてください。

インタビュアー: 事実だ。私にとっては。

SCP-1184-JP-1: ……

[記録終了]

終了報告書: SCP-1184-JP-1はこれ以降、インタビューに応答しなかった。心ここにあらずといった感じだったが……彼らは、学校がまだ存在していると思っているようだった。今後、他のSCP-1184-JP内の実体にもインタビューを行うべきだろう。＿＿███博士

インタビューログ 1184-013

対象: SCP-1184-JP-7

インタビュアー: ███博士

[記録開始]

インタビュアー: やあ、こんにちは。君で7人目だ。

SCP-1184-JP-7: お、アンタは……最近しょっちゅうここに来る白衣の兄ちゃんだな。どうしたんだ、こんな屋上まで来てよ。

インタビュアー: 君は私を知っているのか？

SCP-1184-JP-7: そりゃまあ、伊達に一日中こっから外見てる訳じゃないからな。アンタが何者なのかは知らないけど、アンタがいつも下の連中と何かしら話してるのは知ってる。どうだった、アイツら。

インタビュアー: 全員まだこの学校が存続していると思っているようだった。一度この学校は廃校になってると伝えると固まってインタビューが続行できなかったが、二度目には記憶が抜けたかのように学校が存続していると認識していたよ。私のことは覚えていたんだがね。君もそうかな？

SCP-1184-JP-7: あー、やっぱりそうなってたんだ。安心しな、俺はこの学校がもう潰れてんのは知ってる。

インタビュアー: ようやくまともなインタビューが出来そうだ。まず、君と名前、そして他の実体の違いを知りたい。

SCP-1184-JP-7: デリカシー無いなぁ。俺は鈴木だよ。二つ目の質問は……まあ、簡単に言えば親と子って感じだな。俺が親で、アイツらが子ね。

インタビュアー: どういうことだ？

SCP-1184-JP-7: 巻き込まれたのさ、アイツらは。被害者なんだ。まあ、俺も巻き込まれてこうなってんだが、俺は記憶があって、アイツらには無い。

インタビュアー: 巻き込まれたとは何に？

SCP-1184-JP-7: 事件があったのさ、この学校。調べてんじゃないの？

インタビュアー: 廃校直前のあれか？ しかしあれの犠牲者は6人だったと記憶しているが。

SCP-1184-JP-7: そう。それで合ってる。俺は廃校になった後にこの学校に来たんだ。アイツらを弔おうってな。だがそれがいけなかったのかもな。俺は「声」を聞いちまった。

インタビュアー: 「声」とは？

SCP-1184-JP-7: ありゃ多分、この学校とアイツらの声だったんだろうな。「忘れられたくない」ってさ。

インタビュアー: それで君はどうしたんだ？

SCP-1184-JP-7: まあ、驚くわな。だが何とかしてやりたいと思った。そしたら急に体の自由が効かなくなってさ。体が勝手に屋上に向かってって、そのまま飛び降りたんだよ。死んだ！って思ったけど、すぐにこの屋上で目が覚めた。まあその時には本当に死んでて、それからずっとこうなんだけどな。

インタビュアー: つまり君自身も既に死んでいて、この学校に囚われている、と？

SCP-1184-JP-7: 端的に言えばそうなるな。何で俺の死がトリガーになったのかは分からないけど、それからアイツらは人から見えるようになって、喋れるようにもなったが……記憶も見ている風景も、当時のままになってるらしい。

インタビュアー: 君は何故他の場所のことを把握できるんだ？ この屋上から移動できるのか？

SCP-1184-JP-7: いや、出来ねえけどな。俺はどっちかというと「校舎側」なんだよ。ここで起きたことは大抵把握できんのよ。脳内で監視カメラ見てる感じ。

インタビュアー: ふむ……では、何故この校舎に人を呼びたがる？ 先程の「声」からすると、この学校と事件の犠牲者を忘れさせたくないから、と推測できるが。

SCP-1184-JP-7: ああ、まあ90点ってとこだな。俺らはそもそも人に忘れられたら消えるのさ。『ONEPIECE⁴』知ってる？ あれのセリフに人が死ぬのは人に忘れられたときだってのがあるんだが、正にその状態だよ。

インタビュアー: つまり、君たちの存在を知る者がこの地球上から消えたら、君たちも消えると？

SCP-1184-JP-7: おいおい、不吉なこと言うなよ。だがまあ、その通り。最近めっきり人が減ってさ。アンタには感謝してんのさ。

インタビュアー: ……何もした覚えはないが

SCP-1184-JP-7: アンタがいる限り、俺らは消えずにすむからな。

[記録終了]

補遺1184-2: 200█年█月██日、███高等学校にて、同校の教師█████による生徒殺害事件が発生しており、その影響を受け███高等学校は廃校に追い込まれました。その被害者6名とSCP-1184-JP-1～SCP-1184-JP-6が名乗った氏名は一致しています。また、200█年██月█日から行方不明となっている███高等学校の元生徒の氏名はSCP-1184-JP-7の名乗ったものと一致しています。

Footnotes

1. 太宰治により著された小説。

2. 芥川龍之介によって著された小説。

3. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンによって作曲されたピアノ曲。

4. 尾田栄一郎氏著の漫画作品。

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  SCP下書き「学校の七不思議」

  reflet13 24 Nov 2019 03:04

  拙作ですが、内容に面白みがあるか等批評をよろしくお願いします。

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