記事カテゴリが未定義です。
ページコンソールよりカテゴリを選択してください。
四宮が死ぬやつ
「四宮」
「あ?」
休憩室の向き合った椅子。そこに座ってきたポニーテールの小男が、煙草の煙と言葉を一緒くたにしてこちらに投げかける。煙だけを手で払い、舌打ちして睨んで、言葉の続きを待つ。
「お前はさ、自分の立案した計画で人を殺したことってあるか?」
「いや、ない」
即答する。彼はだよな、と呟いて、煙草を指でぐちゃりと潰す。よく見ると、その指にはいくつも火傷の跡があった。さらによく見ると、彼の姿は酷い有様だった。体を包む煙草と酒の匂い、目の下の深いクマ、跳ねっ返りの激しい髪。普段は女性にも間違われるその愛嬌はカケラも見当たらない。流石に、この全てが演技というのはありえないと見て良い。
何かがあったのだろう。意志が強い捻くれ男をここまでの姿にして、よりによって俺に話しかけるほどの、何かが。飯尾は躊躇った素振りで、話を続ける。
「いや、質問を変えるわ。お前って"嘆きの水曜日"の時、財団にいたか?」
「いた。その時は研究職だったし、俺のサイトでは収容違反はなかったがな」
"嘆きの水曜日"、それは81管区最悪の同時多発的収容違反の通称。それが起こったのはもう十年以上で、目の前の男はまだ勤務して二桁を迎えていない。ああ、こいつはあの惨状を知らないのか、と遅れて気がつく。そして、先程の質問の意図も。
「この前の収容違反、確か死者が1人出たな。あれの企画立案がお前だった、と」
「いいや、俺じゃない。そこだよ」
飯尾唯の目がこちらを捉える。貴族のような傲慢さと、浮浪者のような飢えを併せ持つその眼。
「きっと、俺なら救えた」
「ほお? 身長の割に随分と大きな自信だな」
「うるせえ、小せえのはお前もだろ」
軽口を軽口で返される。軽い言葉は重い空気に押し潰され、少しの静寂。飯尾は席を立ち、コーヒーを一人分淹れ、座る。俺は手元のペットポトルで喉を潤す。それでも奴はまだ何も話さない。痺れを切らして、こちらから話しかけた。
「……何が言いたい?」
「お前は、簡単に死ぬなよ」
その声色が、あまりにも本気だったもんだから。俺は声をあげて笑ってしまった。
「飯尾。一つ、言っておくが」
「……なんだよ」
「俺は、お前より頭がいい。先に自分の心配をした方がいいぞ」
空になったペットボトルを奴の額に投げつけて、席を立つ。時計を見れば深夜0時を回っていた。これ以上付き合う必要もない。
そう、確かにアイツは(ここにいい感じの描写)。だからきっと、大丈夫な筈だ。
祈る。それ以外のことをするには、俺の手はあまりに小さかった。
ページコンソール
カテゴリ
SCP-JP本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
翻訳作品の下書きが該当します。
他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。
言語
EnglishРусский한국어中文FrançaisPolskiEspañolภาษาไทยDeutschItalianoУкраїнськаPortuguêsČesky繁體中文Việtその他日→外国語翻訳日本支部の記事を他言語版サイトに翻訳投稿する場合の下書きが該当します。
コンテンツマーカー
ジョーク本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。
本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。
本投稿済みの下書きが該当します。
イベント参加予定の下書きが該当します。
フィーチャー
短編構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。
短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。
構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。
特定の事前知識を求めない下書きが該当します。
SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。
シリーズ-JP所属
JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。
JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。
JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:5526847 (09 Aug 2019 13:25)
コメント投稿フォームへ
注意: 批評して欲しいポイントやスポイラー、改稿内容についてはコメントではなく下書き本文に直接書き入れて下さい。初めての下書きであっても投稿報告は不要です。批評内容に対する返答以外で自身の下書きにコメントしないようお願いします。
批評コメントTopへ